結論

プロジェクトリーダーを任されて失敗する人の多くは、「リーダーなのだから、自分が引っ張らなければ」と考えて、メンバーの役割や決め方をはっきりさせないまま、大事な作業を自分一人で抱えこんでしまう人です。特に、ほかの部署から集まったメンバーのプロジェクトでは、リーダーに部下を動かす権限はありません。役割と決め方が決まっていないと、メンバーは何をすればよいか分からず、プロジェクトは少しずつ止まってしまいます。プロジェクトリーダーの仕事は「いちばん働くこと」ではなく、「みんなが動ける形を最初につくること」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、プロジェクトリーダーを任されて失敗した原因と、メンバーと一緒に進めるための考え方を解説します。

1失敗ストーリー

4人のプロジェクトで、一人だけが走っていた話

秋の展示会の帰り、配りきれなかったチラシの箱を抱えて、一人で抱えこんだことを反省するまなぶのイラスト

去年の夏、まなぶは、取引先向けの「導入事例集」をつくる社内のプロジェクトのリーダーを任されました。メンバーは、営業、制作、お客様の問い合わせ窓口から1人ずつと、まなぶの4人。期限は3か月後の秋の展示会でした。初めてのリーダーに、まなぶは張り切っていました。「せっかく任されたのだから、自分がしっかり引っ張ろう」と思っていたのです。

最初の打ち合わせで、まなぶは事例集の目的と期限を伝え、「みなさん、よろしくお願いします」とあいさつしました。けれども、誰がどの作業を担当するのか、どうやって物事を決めるのかは、決めていませんでした。そのあとも、事例に載せる取引先の候補を選ぶことも、構成を考えることも、まなぶが一人で進めていきました。メンバーには、ときどき「ご意見があれば教えてください」とメールを送るだけでした。

1か月が過ぎたころ、まなぶは、自分の担当の仕事とプロジェクトの作業が重なり、手が回らなくなっていました。取引先への取材の依頼も遅れ、事例集の原稿は半分も進んでいません。困って営業のメンバーに相談すると、驚いたように言われました。「てっきり、まなぶさんが全部やると決めているんだと思っていました。取材の依頼なら、担当の取引先なので、私から頼めたのに」。メンバーは、手伝う気持ちがあったのに、何を頼まれているのかが分からなかったのです。

結局、事例集は展示会に間に合わず、当日は簡単なチラシで代わりをすることになりました。プロジェクトを任せてくれた上司には、「リーダーは、一人で全部やる人じゃないよ。みんなが動けるように、最初に役割と決め方をつくるのが仕事なんだ」と言われました。展示会の帰り、まなぶは、配りきれなかったチラシの束を抱えながら、「一人で走っていたのは、自分だけだったんだ」と、ため息をつきました。

2原因分析

プロジェクトリーダーを任されて失敗した5つの原因

1

最初に、メンバーの役割を決めなかった

プロジェクトが始まったとき、目的と期限だけを伝えて、誰が何をするのかを決めないままにしていると、メンバーは自分の出番が分かりません。特に、ほかの部署から来たメンバーは、自分の本来の仕事もあるため、頼まれていないことには手を出しにくいものです。最初の打ち合わせで、作業を書き出し、それぞれの担当と期限をメンバーと一緒に決めることが大切です。メンバーの得意なことや、本来の仕事とのつながりを聞きながら決めると、引き受けてもらいやすくなります。

2

物事の決め方を、決めていなかった

プロジェクトでは、事例に載せる取引先や、全体の構成など、決めることがたくさんあります。誰がどうやって決めるのかが決まっていないと、リーダーが一人で決めてしまったり、逆に決まらないまま時間が過ぎたりします。「大事なことは週1回の打ち合わせで決める」「細かいことは担当者が決めて共有する」のように、決め方を最初に決めておくと、話し合いがなめらかに進みます。決めたことは、その日のうちに全員に共有しましょう。

3

「意見があれば」とだけ、メールで聞いていた

「ご意見があれば教えてください」と送っても、何について、いつまでに答えればよいのかが分からないと、返事はなかなか来ません。メンバーも忙しい中で、自分から考えて意見を出すのは大変です。「この3社の候補のうち、どれがよいと思うか、金曜までに教えてください」のように、聞きたいことと期限をはっきりさせて頼むと、メンバーも答えやすくなります。頼みごとは具体的なほど、相手は動きやすくなります。

4

自分の担当の仕事との重なりを、考えていなかった

プロジェクトのリーダーになっても、ふだんの担当の仕事がなくなるわけではありません。まなぶは、両方を抱えて手が回らなくなりました。リーダーを引き受けるときは、上司と、ふだんの仕事をどのくらい減らせるかを話し合っておくことが大切です。プロジェクトにかけられる時間が分かれば、自分でやる作業と、メンバーにお願いする作業も分けやすくなります。後輩や部下への任せ方については、後輩の指導役で失敗した話でも紹介しています。

5

進み具合を、全員で確かめていなかった

定期的に進み具合を確かめる場がないと、遅れに気づくのが遅くなります。まなぶも、1か月たってから、原稿が半分も進んでいないことに気づきました。週に一度、15分でもよいので、全員で集まって、それぞれの作業の進み具合と困りごとを確かめる時間をつくりましょう。進み具合を一枚の表にして、誰でも見られる場所に置いておくのも効果的です。遅れが早く見つかれば、作業を分け直すなど、手を打つ時間が残ります。全員で確かめることで、メンバーにも「自分のプロジェクトだ」という気持ちが育っていきます。

3図解

一人で抱えるリーダーと、みんなが動ける形をつくるリーダーの違い

⚠ プロジェクトリーダーで失敗する人のパターン
目的と期限だけを伝え、役割と決め方を決めない
↓
大事な作業を、リーダーが一人で進める
↓
「意見があれば」とだけ聞き、進み具合も確かめない
↓
メンバーが動けず、プロジェクトが期限に間に合わない
◎ プロジェクトを上手に進めるリーダーのパターン
最初に、作業と担当、期限をメンバーと一緒に決める
↓
決め方を決め、頼みごとは中身と期限をはっきりさせる
↓
週に一度、全員で進み具合と困りごとを確かめる
↓
メンバーが自分から動き、プロジェクトが期限どおりに進む
4解決策

プロジェクトリーダーで失敗しないためのチェックリスト

プロジェクトのリーダーを任されたら、最初の打ち合わせの前に、次の項目を確かめてみてください。最初の準備で、プロジェクトの進みやすさは大きく変わります。

  • プロジェクトの作業を、すべて書き出した
  • それぞれの作業の担当と期限を、メンバーと一緒に決めた
  • 大事なことと細かいことの決め方を、最初に決めた
  • 頼みごとは、聞きたいことと期限をはっきりさせている
  • 上司と、ふだんの仕事をどのくらい減らせるか話し合った
  • 週に一度、全員で進み具合と困りごとを確かめている
  • 進み具合の表を、誰でも見られる場所に置いている

まなぶは今年の春、もう一度、事例集づくりのリーダーを任されました。今回は、最初の打ち合わせで作業を一緒に書き出し、取材の依頼は営業、写真とレイアウトは制作、お客様の声の整理は問い合わせ窓口のメンバーと、担当を決めました。大事なことは毎週火曜の15分の打ち合わせで決め、決めたことはその日のうちに共有しました。まなぶ自身は、全体の進み具合と原稿のまとめに集中しました。事例集は期限の2週間前にできあがり、今年の春の展示会で配ることができました。「リーダーは、走る人じゃなくて、みんなが走れる道をつくる人なんだな」。まなぶは、完成した事例集をメンバーと一緒に手に取りながら、そう思いました。

5おすすめサービス

仕事の失敗を減らすために

プロジェクトをみんなで進めるには、作業と担当、期限を見える化することと、部署をまたいだ共有のしかたを整えることが役立ちます。

A
時間管理を効率化したい人向け

タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】

プロジェクトの作業を、担当と期限つきで一覧にできるタイプです。誰が何をいつまでにするのかがひと目で分かるので、リーダーが一人で抱えこむことを防ぎ、遅れにも早く気づけます。

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B
業務プロセスから見直したい人向け

業務プロセス整理・DX相談サービス【Chatwork DX相談窓口】

部署をまたいだ仕事の流れや、情報の共有のしかたを整理することから支援してくれるタイプです。決めたことや進み具合をメンバー全員が見られるようにしておけば、プロジェクトが止まりにくくなります。

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まなぶまなぶ
自分が引っ張らなきゃと一人で抱えていたら、メンバーは何を頼まれているのか分からなかったみたいです…。
みらいみらい
プロジェクトリーダーの仕事は、いちばん働くことではなく、みんなが動ける形を最初につくることです。作業と担当、期限をメンバーと一緒に決めて、決め方もはっきりさせましょう。週に一度、全員で進み具合を確かめると安心です。
まなぶまなぶ
リーダーは、みんなが走れる道をつくる人なんですね。

プロジェクトリーダーを任されて失敗する原因は、自分が引っ張らなければと考えて、役割や決め方を決めないまま、大事な作業を一人で抱えこんでしまうことです。作業と担当を一緒に決め、決め方を決め、頼みごとを具体的にし、全員で進み具合を確かめる。それだけで、メンバーが自分から動けるプロジェクトになります。評価・昇進・管理職で失敗しないための考え方は、評価・昇進・管理職の失敗から学ぶでまとめています。

評価・昇進・管理職については、上司に評価されない人の特徴5選や上司との1on1で後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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