プレイングマネージャーで後悔する理由
プレイングマネージャーで後悔する人の多くは、チームをまとめる役目を任されたあとも、「自分が数字を出すのがいちばん早い」と考えて、プレイヤーとしての仕事を手放さず、メンバーを育てる時間や、チーム全体を見る時間を後回しにしてしまう人です。はじめは自分の成績でチームを支えられても、仕事が増えるほど手が回らなくなり、チームの成長も止まってしまいます。プレイングマネージャーの仕事は「いちばん稼ぐプレイヤー」ではなく、「チームで成果を出す仕組みをつくること」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、プレイングマネージャーで後悔する理由と、自分の仕事とチームの仕事の分け方を解説します。
自分の成績は1位、チームの数字は最下位だったAさんの話
10月の週末、まなぶは大学時代の友人の結婚式の二次会に出かけました。会場のレストランで、同じテーブルになったのが、大学のゼミの同級生のAさん(30代女性)でした。Aさんは、法人向けの保険の代理店で営業をしていて、2年前から5人の営業チームの係長をしています。乾杯のあと、近況を話しているうちに、Aさんは「係長になって最初の1年は、本当に失敗ばかりだったの」と話し始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)
Aさんは、もともと営業の成績がいつも上位でした。係長になったときも、自分の担当の取引先をそのまま持ち続け、「メンバーの手本になるように、私がいちばん数字を出そう」と考えていました。朝から取引先を回り、夕方に会社へ戻ってから、メンバーの報告を聞いたり、書類を確かめたりする毎日でした。メンバーから相談があっても、「今日はちょっと時間がないから、明日でもいい?」と答えることが増えていきました。
1年がたったとき、Aさんの個人の成績は、支店の中で1位でした。ところが、チーム全体の成績は、支店の中で最下位だったのです。入ったばかりのメンバーは、取引先とのやりとりで困っても相談できず、2人が大きな契約を逃していました。さらに、メンバーの一人からは、「係長は自分の仕事で忙しそうで、声をかけにくかったです」と言われました。自分の数字を守ることに必死で、チームの数字を育てることを後回しにしていたのです。
支店長との面談で、Aさんは言われました。「きみの営業の力は誰もが認めている。でも、係長に期待していたのは、きみのような営業を、チームにもう2人育てることだったんだ」。Aさんは、その言葉で、自分が任された役目を取り違えていたことに気づきました。「一人で走るのは得意だったけれど、みんなで走るやり方を知らなかったんだと思う」。Aさんは、グラスを手にしたまま、少しさびしそうに笑いました。
プレイングマネージャーで後悔する理由
自分の役目を、上司と確かめていなかった
プレイングマネージャーは、プレイヤーとしての仕事と、チームをまとめる仕事の両方を持っています。どちらにどれくらい力を入れるべきかは、会社やチームによって違います。Aさんは、自分の成績で手本を示すことが役目だと思いこんでいました。役目を任されたら、上司に「プレイヤーとしての仕事と、チームの仕事、どちらをどれくらい期待していますか」と確かめることが大切です。期待がはっきりすれば、時間の使い方も決めやすくなります。
自分の担当の仕事を、減らさなかった
チームをまとめる仕事には、思っている以上に時間がかかります。メンバーの相談にのる、報告を聞く、仕事を割り振る、困りごとを解決する。こうした仕事を、プレイヤーとしての仕事をそのまま続けながらこなすのは、難しいことです。係長やリーダーになったら、自分の担当の一部をメンバーに渡し、チームのための時間をつくることを考えましょう。担当を渡すことは、メンバーが経験を積む機会にもなります。
メンバーの相談を、後回しにしていた
「今日は時間がないから、明日でもいい?」が続くと、メンバーはだんだん相談しなくなります。小さな困りごとが、大きな失敗になってから見つかることもあります。毎日15分でもよいので、メンバーの相談を受ける時間を決めておくと、相談しやすい空気が生まれます。Aさんのチームのように、新しいメンバーがいるときは、特に大切です。相談の時間は、自分の予定の中でいちばん後回しにしてはいけない時間です。
自分の成績で、チームを支えようとした
自分が数字を出せば、チームの足りない分を補えると考えるのは自然なことです。けれども、一人で補える量には限りがあり、自分が倒れればチームも止まってしまいます。プレイングマネージャーの成果は、自分の数字ではなく、チーム全体の数字で見るようにしましょう。自分の得意なやり方をメンバーに伝え、同行して教えることは、自分で契約を取るより時間がかかっても、チームの力を長く伸ばすことにつながります。
チームの状態を、見る時間をとっていなかった
自分の仕事で毎日が埋まっていると、チームの誰が何に困っているのか、どの取引先が危ないのかが見えなくなります。週に一度、チーム全体の進み具合を一覧にして見る時間をとりましょう。メンバーと一人ずつ短く話す時間をつくるのも効果的です。チームの状態が見えていれば、手を貸すべきところに早く気づけます。全体を見る時間は、プレイヤーの仕事の合間ではなく、予定として先に確保しておくことが大切です。そうすることで、自分の仕事に追われて、チームのことが後回しになるのを防げます。
一人で走るリーダーと、チームで走るリーダーの違い
プレイングマネージャーで後悔しないためのチェックリスト
チームをまとめる役目を任されたら、次の項目を確かめてみてください。一人で抱えるのではなく、チームで成果を出すための準備です。
- 上司に、プレイヤーとチームの仕事の期待の割合を確かめた
- 自分の担当のうち、メンバーに渡せるものを書き出した
- メンバーの相談を受ける時間を、毎日の予定に入れた
- 自分の数字ではなく、チーム全体の数字で成果を見ている
- 週に一度、チーム全体の進み具合を一覧で確かめている
- 自分のやり方を、同行や見本でメンバーに伝えている
Aさんは、支店長との面談のあと、担当していた取引先のうち半分を、経験のあるメンバー2人に引き継ぎました。最初の1か月は一緒に取引先を回り、自分がどんなことに気をつけているかを、その場で伝えるようにしました。毎日夕方の30分は「相談の時間」として予定に入れ、メンバーが気軽に声をかけられるようにしました。2年目、Aさんの個人の成績は少し下がりましたが、チームの成績は支店の中で2位まで上がりました。「自分の数字が下がったのに、去年よりずっとうれしかったの」。Aさんは、新郎新婦に拍手を送りながら、晴れやかな顔でそう話してくれました。
仕事の失敗を減らすために
プレイヤーとチームの仕事を両立するには、自分とチームの仕事を見える化して時間を分けることと、チームの仕事の流れを整えることが役立ちます。
タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】
自分の仕事と、チームのための仕事を分けて、期限つきで一覧にできるタイプです。相談の時間や、チーム全体を見る時間をやることとして先に入れておけば、プレイヤーの仕事に追われて後回しになるのを防げます。
業務プロセス整理・DX相談サービス【Chatwork DX相談窓口】
チームの仕事の流れや、報告・相談のしかたを整理することから支援してくれるタイプです。メンバーの進み具合がチームで見えるようになれば、リーダーが一人で抱えこまずに、早めに手を貸せるようになります。
まなぶ
みらい
まなぶプレイングマネージャーで後悔する原因は、チームをまとめる役目を任されたあとも、プレイヤーの仕事を手放さず、メンバーを育てる時間やチームを見る時間を後回しにしてしまうことです。期待を確かめ、担当を渡し、相談の時間を決め、チーム全体の数字で成果を見る。それだけで、チームで成果を出せるリーダーに近づけます。評価・昇進・管理職で失敗しないための考え方は、評価・昇進・管理職の失敗から学ぶでまとめています。
評価・昇進・管理職については、上司に評価されない人の特徴5選や部下の評価で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

