昇進を断って後悔する理由
昇進を断って後悔する人の多くは、「自信がない」「今の仕事で手いっぱい」という気持ちだけで、昇進したら何が変わるのかを確かめないまま、その場で断ってしまう人です。昇進を断ること自体が悪いわけではありません。けれども、仕事の中身や働き方、支えてもらえることを知らずに断ると、あとで「思っていたより、できたかもしれない」と気づいても、同じ機会がもう一度来るとは限りません。昇進の打診は、すぐに答える場ではなく、確かめてから決める場です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、昇進を断って後悔する理由と、返事をする前に確かめたいことを解説します。
係長への打診を、その場で断ったAさんの話
まなぶは、週末に陶芸教室に通っています。同じクラスのAさん(30代女性)は、食品メーカーの品質管理の部署で10年近く働いています。ろくろの前で土をこねながら、Aさんは「2年前、昇進の話を断ったことを、今でも少し後悔しているの」と話してくれました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)
ある日の夕方、Aさんは部長に会議室へ呼ばれました。「来年の4月から、係長をお願いしたいと考えている」。突然の話に、Aさんは頭が真っ白になりました。係長になれば、4人のメンバーをまとめることになります。「人をまとめた経験もないし、残業が増えたら家のこともできなくなる」。そう思ったAさんは、その場で「今の私には、まだ早いと思います」と答えてしまいました。部長からは、どんな仕事を任せたいのかも、何を期待しているのかも、まだ何も聞いていませんでした。
部長は「そうか、分かった」とだけ言い、話はそこで終わりました。翌年の春、係長になったのは、Aさんより3年後に入社した後輩でした。後輩は、上司や先輩に相談しながら、少しずつチームをまとめていきました。Aさんが心配していた残業も、係長だからといって大きく増えたわけではなかったようでした。
Aさんは、係長の仕事の中身も、働き方がどう変わるのかも、何ひとつ確かめずに断っていたのです。さらに、品質管理の手順の見直しなど、Aさんがずっとやりたいと思っていた仕事は、係長が決める範囲のことでした。それから2年、Aさんに昇進の話は来ていません。
「断ったことより、何も聞かずに断ったことを後悔しているんだよね。せめて『少し考えさせてください』と言えばよかった」。Aさんは、ろくろを止めて、形の崩れかけた器を見つめながら苦笑いしました。
昇進を断って後悔する理由
その場で、答えを出してしまった
昇進の話は、突然やってくることが多いものです。驚いたまま答えると、不安な気持ちだけで判断してしまいがちです。けれども、昇進の打診に、その場で答えなければならない決まりはありません。「ありがとうございます。少し考えて、○日までにお返事してもよいですか」と、返事の時期を自分から決めて持ち帰るのが基本です。持ち帰るだけで、冷静に考える時間が生まれます。家族と相談したいことがあれば、それも持ち帰る理由として正直に伝えてかまいません。
昇進したら何が変わるのかを、確かめなかった
「人をまとめるのは大変そう」「残業が増えそう」というイメージだけで判断すると、実際とずれていることがあります。仕事の範囲、働く時間、評価のされ方、給与や手当がどう変わるのか、困ったときに誰が支えてくれるのか。打診してくれた上司に、具体的に聞いてみることが大切です。聞くことは、昇進に前向きでないと受け取られることではなく、真剣に考えている姿勢として伝わります。
自分がやりたいこととのつながりを、考えなかった
Aさんは、品質管理の手順を見直したいとずっと思っていました。けれども、その仕事を進めるには、係長としての立場や決める力が必要でした。昇進は、責任が増えるだけでなく、自分のやりたい仕事を、自分の手で進められる範囲が広がることでもあります。返事をする前に、「この立場になったら、どんなことができるようになるか」を書き出してみましょう。
不安を、ひとりで抱えこんだ
人をまとめた経験がない、家庭との両立が心配。そうした不安は、多くの人が昇進のときに感じるものです。けれども、不安を口に出さずに断ると、上司はその理由を知ることができません。不安な点を正直に伝えれば、研修を受けられる、先輩の係長に相談できる、働き方を調整できるなど、支え方を一緒に考えてもらえることもあります。不安は、断る理由にする前に、相談の材料にしてみることが大切です。
断ったあとの関係を、考えていなかった
昇進を断ったこと自体で評価が下がるとは限りません。けれども、理由を伝えずに断ると、「今後も責任のある仕事は望んでいない」と受け取られることがあります。もし断るなら、「今回は○○の理由で見送りたいのですが、○○の経験を積んで、また挑戦したいと考えています」と、今の気持ちと、これからの考えを伝えておきましょう。それだけで、次の機会につながる可能性は大きく変わります。上司にとっても、次にどんな機会を用意すればよいかが分かりやすくなります。
その場で断る人と、確かめてから決める人の違い
昇進を断って後悔しないためのチェックリスト
昇進の話をもらったら、返事をする前に、次の項目を確かめてみてください。受けるにしても断るにしても、納得して決めることが何より大切です。
- その場で答えず、返事の時期を決めて持ち帰った
- 昇進したら、仕事の範囲がどう変わるかを聞いた
- 働く時間や、評価・給与・手当の変わり方を確かめた
- 困ったときに、誰に相談できるか、研修などの支えがあるかを聞いた
- その立場になったら、自分のやりたいことがどう進められるかを書き出した
- 不安な点を、断る理由ではなく相談として上司に伝えた
- 断る場合は、今の気持ちとこれからの考えを伝えることにした
Aさんは、昨年の面談で、部長に思いきって「品質管理の手順の見直しを、自分の手で進めたい」と伝えました。部長は「まずはプロジェクトのリーダーからやってみないか」と言ってくれ、Aさんは今、3人のメンバーと一緒に、手順書の作り直しを進めています。「次に昇進の話が来たら、まずは聞くことから始めるつもり」とAさん。陶芸の器も、最近は形が崩れなくなってきたそうです。
まなぶも話を聞きながら、もし自分に同じ話が来たら、と考えました。きっと自分も、驚いてその場で答えてしまっていたかもしれません。
仕事の失敗を減らすために
昇進を受けるかどうかを考えるときは、自分の強みやキャリアの方向性を、第三者の目で整理しておくと判断しやすくなります。
市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】
第三者視点で、自分の強みや適性、これまでのキャリアの棚卸しを手伝ってもらえるタイプです。人をまとめる仕事に向いているかどうか、自分では気づきにくい強みを言葉にすることで、昇進を考えるときの材料になります。
年収1000万円以上の転職なら【プロフェッショナル転職サービス/ランスタッド】
これまでの経験や実績を、第三者と一緒に言語化していけるタイプです。今の会社で昇進を目指すかどうかを含め、これからのキャリアの方向性を整理したいときに相談できます。転職を考え始める前の段階から利用できるサービスもあります。
まなぶ
みらい
まなぶ昇進を断って後悔する原因は、驚きと不安のままその場で答え、昇進したら何が変わるのか、自分のやりたいこととどうつながるのかを確かめないことです。返事の時期を決めて持ち帰り、仕事の中身と支えを聞き、不安を相談として伝える。それだけで、受けるにしても断るにしても、納得のいく決断ができます。評価・昇進・管理職で失敗しないための考え方は、評価・昇進・管理職の失敗から学ぶでまとめています。
評価・昇進・管理職については、仕事の目標設定で失敗する人の特徴5選や初めての管理職で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

