結論

スキルを売る副業でつまずく人は、「自分に何ができるか」ばかりを並べて、「誰の、どんな困りごとを解決できるのか」を伝えていないことが少なくありません。できることをたくさん並べるほど、かえって何を頼めばよいのかが伝わらなくなります。スキルを売るとは、作業を売ることではなく「相手が得られる結果」を約束すること。自分が役に立てた場面から強みを見つけ、相手と結果を一文で言える形にする。それが、スキルを副業として選ばれる力に変えるための出発点です。

1失敗ストーリー

「なんでもできます」と書いたプロフィールに、2か月問い合わせが来なかった話

昼休みの会議室で、先輩にノートPCの画面を見せてもらい、はっと気づくまなぶのイラスト

この1年、まなぶは自分のスキルを生かした副業に、いくつも挑戦してきました。知人の整体院のホームページづくりは、修正が終わらず予約も増えませんでした。Excelの相談を500円で出品したときは、時給200円以下になりました。オンライン秘書では、お客さまの書類を取り違えてしまいました。簿記の講師では、受講生の試験日も聞かずに教え、3回でレッスンが終わりました。

「どれも中途半端だったから、今度は自分のスキルを全部まとめて、しっかりアピールしよう」。まなぶは、仕事を探すためのプロフィールページを作り直しました。Webデザイン、Excel、資料作成、事務代行、簿記の指導。これまでに身につけたスキルを一つずつ並べ、最後にこう書きました。「お困りのことがあれば、なんでもご相談ください」。

ところが、2か月たっても、問い合わせは1件も来ませんでした。「スキルの数は人より多いはずなのに、どうしてだろう」。まなぶには理由が分かりませんでした。そこで、さらに新しいスキルを身につけようと、動画編集の講座を調べ始めていました。

そんなある日の昼休み、まなぶは副業で仕事を続けている先輩に相談しました。先輩は少し考えてから、自分のプロフィールページをノートPCで開き、まなぶの方へ画面を向けてくれました。そこには、たった一行の紹介文が大きく書かれていました。「中小企業の請求と入金の管理を、月5時間の仕組みに整えます」。その下には、これまで手伝った会社の事例が3つ、短く並んでいるだけでした。

「スキルの数で選ぶ人はいないんだよね。お客さんが知りたいのは、自分の困りごとを、この人なら解決してくれそうかどうかだから」。先輩のもとには、毎月のように新しい相談が届いているそうです。

まなぶは、自分のプロフィールを思い返しました。そこにあったのは、作業の名前の羅列だけでした。自分は「何ができるか」ばかりを伝えて、「誰の、どんな役に立てるのか」を一度も言葉にしていなかったのだと、ようやく気づいたのです。

2原因分析

スキルを売る副業でつまずく原因

1

できることを全部並べて、「誰向けか」がぼやけている

スキルをたくさん並べれば、たくさんの人の目にとまるように思えます。けれど、読む側からすると「結局、何を頼めばいい人なのか」が分からなくなってしまいます。まずは「誰の役に立ちたいのか」を一つに決めることで、伝えるべきスキルも自然と絞られます。一つに絞ることは、ほかの可能性を捨てることではなく、最初の入口をはっきりさせることです。

2

スキルを作業の名前で伝えて、相手が得られる結果を伝えていない

「Excelができます」「資料が作れます」は、作業の名前です。お客さまがお金を払うのは、作業そのものではなく、その作業によって得られる結果です。毎月の集計が半分の時間で終わる、商談で伝わる資料になる、といった結果を言葉にすることで、相手は自分ごととして考えられるようになります。「〇〇な人の、〇〇を、〇〇にします」と一文で書いてみると、伝えるべきことが整理されます。

3

実績や事例を、具体的に示していない

先輩のプロフィールには、手伝った会社の事例が短く並んでいました。事例があると、読む人は「自分の場合も、こうなるかもしれない」と想像しやすくなります。まなぶにも、これまでの副業で役に立てた場面はありました。うまくいかなかった仕事の中にも、喜ばれた部分は必ずあります。小さくても具体的な事例を3つ書き出すことが、スキルを信頼に変える近道です。

4

一つに絞るのが怖くて、強みが伝わらない

まなぶが「なんでもご相談ください」と書いたのは、一つに絞ると仕事が減るのではないかと不安だったからです。けれど、実際にはその逆で、何でもできる人ほど、何を頼めばよいか分からない人になってしまいます。まず一つの分野で頼られる存在になれば、そこから「ほかのこともお願いできますか」と仕事は自然に広がっていきます。絞ることは、広げるための第一歩なのです。

5

これまでの失敗から、「価値を出せた場面」を拾っていない

まなぶは、これまでの副業をすべて「失敗」として片づけていました。けれど、振り返ってみると、Excelの相談では集計の仕組みを作って感謝されたこと、オンライン秘書では請求書の管理を整えて喜ばれたことがありました。失敗の中にある「うまくいった部分」を拾い出すと、自分が本当に価値を出せる分野が見えてきます。失敗は、強みを見つけるための材料にもなるのです。

3図解

選ばれないスキルの売り方と、選ばれるスキルの売り方の違い

⚠ 選ばれない人の売り方
身につけたスキルを、作業の名前で全部並べる
↓
「なんでもご相談ください」と、相手を絞らずに待つ
↓
問い合わせが来ず、スキルをさらに増やそうとする
↓
何を頼めばいい人なのか伝わらず、選ばれない
◎ 選ばれる人の売り方
これまでの経験から、価値を出せた場面を拾い出す
↓
「誰の、何を、どう変えるか」を一文で伝える
↓
具体的な事例を添えて、まず一つの分野で頼られる
↓
信頼が積み重なり、相談と仕事が広がっていく

2つの売り方の違いは、スキルの数や腕前ではありません。スキルを「自分ができること」として伝えるか、「相手が得られる結果」として伝えるかの違いです。

スキルを売る副業で長く選ばれている人は、自分の得意を、相手の困りごとの言葉に置き換えて伝えています。Webデザインでも、事務代行でも、講師でも同じです。相手の目的を知り、結果を約束し、その約束を守る。その積み重ねが、スキルを信頼に変え、次の仕事を呼び込んでいくのです。

4解決策

スキルを選ばれる形に変えるためのチェックリスト

  • これまでの仕事や副業で、人から感謝された場面を書き出す
  • その中から、もっとも価値を出せた分野を一つ選ぶ
  • 「〇〇な人の、〇〇を、〇〇にします」と一文で書いてみる
  • 小さくても具体的な事例を、3つ用意する
  • プロフィールや出品ページから、作業名だけの羅列を減らす
  • 一つの分野で頼られてから、少しずつ仕事の幅を広げる

まずは「これまでに感謝された場面を3つ書き出す」ことから始めてみてください。そこには、自分が気づいていなかった強みが隠れています。その強みを「誰の、何を、どう変えるか」という一文にできたとき、スキルははじめて、相手に選ばれる形になります。

スキルを売る副業は、本業や日々の経験で身につけた力を、誰かの役に立てられる仕事です。だからこそ、スキルの数を増やすことより、自分が役に立てる相手と結果をはっきりさせることが大切です。その一文が、副業の入口を開き、信頼を積み重ねるための土台になります。

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まなぶまなぶ
スキルを全部並べて「なんでもご相談ください」って書いたのに、2か月で問い合わせゼロでした…。何がいけなかったんでしょう。
みらいみらい
たくさんのスキルを身につけてきたのは、まなぶさんの大きな財産ですよ。次は、これまでに感謝された場面を振り返って、「誰の、何を、どう変えるか」を一文にしてみましょう。そこから、まなぶさんの本当の強みが見えてきます。

スキルを売る副業でつまずくと、できることを増やせば選ばれると考えがちです。けれど本当に大切なのは、自分のスキルを、相手の困りごとと得られる結果の言葉に置き換えることです。これまでの経験から価値を出せた場面を拾い出し、一つの分野に絞って、具体的な事例とともに伝える。その積み重ねが、スキルを選ばれる力に変えていきます。

スキルを売る副業では、次のような失敗も起こりやすくなります。具体的なケースは、それぞれの記事で詳しく紹介しています。

副業を始める前に知っておきたい、失敗する人に共通するポイントについては、副業で失敗する人の共通点でもまとめています。あわせて読んでみてください。

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