結論

スキルシェアサービスへの出品で後悔する人は、「まずは安くして実績を作ろう」と、価格も仕事の範囲もあいまいなまま出品してしまうことが少なくありません。安さにつられて依頼は集まっても、作業量に見合わない報酬と、断りにくい追加の依頼に追われることになります。出品ページは、自分の仕事のルールを決める「契約の入り口」。何を、どこまで、いくらで引き受けるのかを先に決めておくことが、スキルを売る副業で後悔しないための第一歩です。

1失敗ストーリー

「Excelのお悩み、なんでも500円」で出品した結果

深夜1時、自宅のダイニングテーブルでノートPCを前に頭を抱えるまなぶのイラスト

まなぶは仕事で毎日のようにExcelを使っていて、関数や集計表を作るのが得意でした。職場でも「Excelのことはまなぶさんに聞けばいい」と言われるほどです。「この得意を副業にできないだろうか」。そう考えたまなぶは、スキルを売り買いできるスキルシェアサービスに出品してみることにしました。

ほかの出品者のページを見ると、同じようなサービスがたくさん並んでいます。「最初は実績がないから、とにかく安くしてレビューを集めよう」。まなぶは、タイトルを「Excelのお悩み、なんでも解決します」とし、価格をサービスで設定できる最低に近い500円にしました。

出品から数日で、依頼が届き始めました。「関数のエラーを直してほしい」という簡単な相談もあれば、数時間かかる集計表づくりもあります。どれも料金は同じ500円です。サービスの手数料が差し引かれると、手元に残るのはさらに少なくなりました。

ある日届いた依頼は、毎月の売上データを自動でまとめる仕組みを作ってほしいというものでした。どう考えても、500円で引き受けられる作業ではありません。けれど、ページには「なんでも解決します」と書いてあります。「追加料金をお願いしたら、低い評価をつけられるかもしれない」。そう思うと言い出せず、まなぶは平日の夜と週末をつぶして作業を続けました。

その間、ほかの依頼への返信が遅れがちになり、ある購入者からは星2つのレビューとともに「返事が遅く、不安になりました」と書かれてしまいました。1か月を振り返ってみると、受けた依頼は15件、手元に残った金額は6,000円ほど。かかった時間から計算すると、時給は200円にも届いていませんでした。

深夜1時、売上データの仕組みづくりの続きを前に、まなぶは頭を抱えました。安さとあいまいさで依頼を集めた結果、自分の首をしめていたのだと、ようやく気づいたのです。

2原因分析

スキルシェアサービスへの出品で後悔する理由

1

「なんでも対応」と、サービスの範囲をあいまいにしている

「なんでも解決します」という言葉は、依頼する側にとっては頼もしく見えます。けれど、出品する側にとっては、どんな依頼でも同じ料金で受けなければならない約束になってしまいます。「関数のエラー修正1件」「集計表1枚の作成」のように、何をどこまで引き受けるのかを具体的に書くことで、作業量と料金のずれを防ぐことができます。範囲を絞ることは、依頼する人にとっても、頼みやすさにつながります。

2

実績づくりのために、価格を下げすぎている

最初は安くして実績を作るという考え方は、間違いではありません。けれど、作業量に見合わない価格のまま依頼が増えていくと、時間ばかりがなくなり、続けることが苦しくなります。しかも、一度安い価格で集まったお客さまに対して、あとから値上げをするのは簡単ではありません。実績づくりの価格にするなら、件数や期間を決めて「最初の5件だけ」のように区切るなど、抜け出す道を最初から用意しておきましょう。

3

手数料や作業時間を計算せずに、価格を決めている

スキルシェアサービスでは、売上から手数料が差し引かれます。さらに、依頼内容の確認や質問への返信、納品後の修正など、実際の作業以外にも時間がかかります。まなぶは、こうした時間をまったく計算に入れていませんでした。「手数料を引いた手取り」と「やり取りを含めた作業時間」から、時給に換算してみると、その価格で続けられるかどうかがはっきり見えてきます。同じ分野のほかの出品者が、どんな範囲をいくらで引き受けているのかを調べておくことも、価格を決めるときの大切な手がかりになります。

4

追加料金や対応範囲のルールを決めていない

依頼の中には、出品ページの想定を大きく超えるものも届きます。そのときに、追加料金はどうするのか、範囲外の依頼はお断りするのかを決めていないと、まなぶのように言い出せないまま抱え込むことになります。ほとんどのスキルシェアサービスには、購入前に相談や見積もりをやり取りできる仕組みがあります。大きな依頼は、購入前のやり取りで内容と料金をすり合わせてから受ける。このルールを出品ページにも書いておくと、お互いに安心して取引ができます。

5

レビューを気にしすぎて、無理な依頼を断れない

スキルシェアサービスでは、レビューが次の依頼につながる大切な評価になります。だからこそ、低い評価を恐れて、無理な依頼でも断れなくなってしまう人は少なくありません。けれど、無理を重ねれば、返信が遅れたり品質が下がったりして、かえって評価を落とすことになります。丁寧に理由を伝えてお断りすることや、対応できる範囲を正直に伝えることも、信頼につながる大切な仕事です。

3図解

後悔する出品と、続けられる出品の違い

⚠ 後悔する人の出品
「なんでも対応」で、最低に近い価格で出品する
↓
手数料や作業時間を計算せず、依頼を次々に受ける
↓
範囲外の依頼も、評価が怖くて断れずに抱え込む
↓
時給が下がり、返信も遅れて評価まで落ちる
◎ 続けられる人の出品
何をどこまで引き受けるのかを、具体的に書く
↓
手取りと作業時間から、続けられる価格を決める
↓
大きな依頼は、購入前に内容と料金をすり合わせる
↓
無理なく続けられ、満足したお客さまからの評価も増える

2つの出品の違いは、スキルの高さではありません。出品ページを「とりあえずの紹介文」と考えるか、「仕事のルールを決める約束」と考えるかの違いです。

スキルシェアサービスで長く活動している人の出品ページには、できることだけでなく、できないことや追加料金の条件まで丁寧に書かれていることが多くあります。それは、お客さまを遠ざけるためではなく、お互いが気持ちよく取引をするための工夫です。ルールがはっきりしているからこそ、依頼する人も安心して申し込めるのです。

4解決策

スキルシェアサービスに出品する前にチェックしたいこと

  • サービスの内容を「何を・どこまで・何回まで」の形で具体的に書く
  • 手数料を引いた手取りと、やり取りを含めた作業時間から時給を計算する
  • 実績づくりの安い価格にするなら、件数や期間の区切りを決めておく
  • 範囲外の依頼や追加料金の扱いを、出品ページに明記する
  • 大きな依頼は、購入前の相談・見積もりで内容と料金をすり合わせる
  • 返信できる時間帯と、納品までの目安を正直に書いておく

まずは「出品ページに『対応できないこと』を3つ書き出す」ことから始めてみてください。できないことがはっきりすると、できることの価値も伝わりやすくなり、依頼する人とのすれ違いもぐっと減ります。

スキルシェアサービスは、会社員が自分の得意を気軽に試せる、とても便利な場所です。だからこそ、出品ページを丁寧に作り込むことが大切です。価格と範囲とルールを先に決めておく。その準備が、自分の時間を守り、お客さまの満足も高める、長く続けられる副業につながります。

5おすすめサービス

スキルを上手に売りたい人へ

A
出品の相場を確かめたい人向け

自分のスキルや得意が売れる【ココナラ】

実際の需要がある案件を探し、相場感を掴みながら出品できるタイプ。市場のニーズを直接確認できます。出品する前に、同じ分野の出品者がどんな範囲と価格でサービスを提供しているのかを調べておきたい人に向いています。

出品されているサービスを見てみる

B
価格の決め方を相談したい人向け

フリーランス・キャリア相談サービス【ポテパンフリーランス】

自分のスキルの適正な価格帯や、単価交渉の進め方について相談できるタイプです。一人で悩まず、客観的な視点を取り入れられます。自分のスキルにどれくらいの価値があるのか分からず、価格設定に迷っている人に役立ちます。

相談してみる

まなぶまなぶ
得意なExcelで役に立てると思って500円で出品したら、1か月で時給200円以下でした…。大きな依頼も断れなくて、評価まで下がっちゃいました。
みらいみらい
15件も依頼が届いたのは、まなぶさんのスキルが求められている証拠ですよ。次は「何を・どこまで・いくらで」を先に決めて、出品ページを作り直してみましょう。ルールがあれば、もっと安心して得意を生かせます。

スキルシェアサービスへの出品で後悔する人は、実績づくりを急ぐあまり、価格を下げすぎ、サービスの範囲をあいまいにしたまま出品してしまいがちです。何をどこまで引き受けるのかを具体的に書き、手数料と作業時間から続けられる価格を決め、追加料金や範囲外の依頼のルールを先に示しておく。その準備が、得意を生かして長く続けられる副業への近道になります。

副業を始める前に知っておきたい、失敗する人に共通するポイントについては、副業で失敗する人の共通点でもまとめています。あわせて読んでみてください。

自分のスキルを「誰の、何を、どう変えるか」という選ばれる形に変えていく考え方は、スキルを売る副業の失敗から学ぶでまとめています。

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