結論

オンライン講師・家庭教師の副業で失敗する人は、「自分が教えられること」を中心に授業を組み立て、受講生が何のために、いつまでに、どこまでできるようになりたいのかを確かめていないことが少なくありません。どれだけ丁寧に説明しても、受講生のゴールとずれていれば、満足してもらうことはできません。教える副業で一番大切なのは、知識の量よりも「受講生のゴールから逆算した授業づくり」。最初にゴールとレベルを確かめ、毎回の計画と振り返りを共有し、延長やキャンセルのルールを決めておく。その準備が、選ばれ続ける講師への近道です。

1失敗ストーリー

3回目の授業で「試験は来週なんです」と言われた話

週末の書店の資格試験コーナーで、問題集を手に取り後悔の表情を浮かべるまなぶのイラスト

まなぶは学生時代に簿記2級を取り、会社でも経理の知識を生かして働いています。「この知識を、誰かに教える副業にできないだろうか」。そう考えたまなぶは、オンラインで個人レッスンを受けられるサービスに講師として登録し、社会人向けに「簿記3級のマンツーマン講座」を始めました。料金は1回60分で3,000円です。

最初の受講生は、事務職への転職を考えている20代後半の社会人でした。初回の授業で、まなぶは自分がいちばん得意な「仕訳の考え方」を、例をたくさん使って熱心に説明しました。受講生は「なるほど」とうなずいてくれていて、まなぶは手応えを感じていました。受講生がどんな目的で講座を申し込んだのかは、「簿記3級の勉強をしたい」という申し込み時の一言しか知りませんでしたが、それで十分だと思っていました。

2回目も、まなぶはその場で思いついた問題を出しながら、仕訳の説明を続けました。授業の準備は特にせず、受講生の反応を見ながら話を進めるやり方です。説明に熱が入り、気づけば毎回30分ほど延長していましたが、追加の料金はもらっていませんでした。

3回目の授業の終わりに、受講生が遠慮がちに口を開きました。「実は、試験が来週なんです。過去問を解くと、決算のところがまったく分からなくて……」。まなぶは言葉を失いました。受講生がつまずいていたのは、まなぶが一度も扱っていなかった範囲だったのです。試験日も、苦手な分野も、最初に聞いていませんでした。

翌日、受講生からはレッスンの終了の連絡が届き、サービスのレビューには星2つとともに、こう書かれていました。「説明は丁寧でしたが、何を目指した授業なのか分かりませんでした」。

週末、まなぶは書店の資格試験コーナーで、受講生が使っていたのと同じ問題集を手に取りました。自分は「教えたいこと」を教えていただけで、受講生が「できるようになりたいこと」を一度も聞いていなかったのだと、ようやく気づいたのです。

2原因分析

オンライン講師・家庭教師の副業で失敗する原因

1

初回で、受講生のゴールとレベルを確かめていない

受講生が講師を頼むのは、試験に合格したい、仕事で使えるようになりたい、苦手を克服したいなど、はっきりした目的があるからです。まなぶは、試験日も、今の実力も、苦手な分野も聞かないまま授業を始めてしまいました。初回の最初の15分は、ゴール・期限・今のレベル・苦手なところを聞く時間にすると決めておくだけで、授業の方向は大きく変わります。必要なら、簡単な確認テストを用意しておくのも効果的です。

2

毎回の授業計画を立てず、その場の流れで進めている

その場で思いついた問題を出しながら進める授業は、一見すると柔軟に見えます。けれど、試験日から逆算した計画がなければ、大事な範囲が抜け落ちてしまいます。ゴールまでの回数を決め、毎回の授業で扱う範囲を事前に組み立てることで、受講生も「今どこまで来ているのか」が分かり、安心して学び続けられます。計画は、受講生の理解度に合わせて途中で見直してかまいません。

3

授業の振り返りと次回の予定を、受講生と共有していない

まなぶの授業では、毎回どこまで進んだのか、次は何をするのかが、受講生に伝わっていませんでした。授業の最後に、今日できるようになったこと、まだ不安なところ、次回までにやってほしい宿題を一言でまとめて伝えるだけで、受講生は自分の進み具合を実感できます。短いメッセージで振り返りを送る習慣は、「この講師に任せて大丈夫」という信頼にもつながります。

4

延長やキャンセルのルールを決めていない

まなぶは、説明に熱が入るたびに30分ほど延長していましたが、追加の料金はもらっていませんでした。一見サービスのようですが、時間を守らない授業は、受講生の予定を乱すことにもなります。また、ルールがないと、直前のキャンセルや無償の延長が当たり前になり、続けるほど負担が大きくなっていきます。授業時間、延長の扱い、キャンセルの期限を最初に伝えておくことが、お互いに気持ちよく続けるための土台です。

5

「教えられること」と「求められていること」のずれに気づいていない

得意な分野ほど、つい熱心に説明したくなるものです。けれど、受講生にとって大切なのは、講師が得意なことではなく、自分ができるようになりたいことです。授業の途中で「今の説明は、目指していることに役立っていますか」と確かめる、受講生に問題を解いてもらって理解度を見るなど、一方通行にならない工夫をすることで、ずれに早く気づけるようになります。説明する時間と、受講生が手を動かす時間を半分ずつにするくらいの意識でちょうどよいでしょう。

3図解

選ばれない講師と、選ばれ続ける講師の違い

⚠ 選ばれない講師の進め方
ゴールや期限を聞かずに、得意な分野から教え始める
↓
授業計画を立てず、その場の流れで進める
↓
延長や振り返りのルールがないまま続ける
↓
受講生の目的とずれたまま、途中で離れていく
◎ 選ばれ続ける講師の進め方
初回でゴール・期限・レベル・苦手を確かめる
↓
ゴールから逆算して、毎回の授業計画を立てる
↓
授業ごとに振り返りを共有し、時間のルールを守る
↓
受講生が成果を実感し、紹介や継続につながる

2つの進め方の違いは、知識の量や説明のうまさではありません。授業を「自分が教える時間」と考えるか、「受講生がゴールに近づく時間」と考えるかの違いです。

オンライン講師や家庭教師として長く選ばれている人は、教えることと同じくらい、聞くことと計画することに時間を使っています。受講生のゴールを知り、そこまでの道のりを一緒に描き、毎回の進み具合を確かめ合う。その積み重ねが、受講生の成果と講師への信頼を育てていくのです。

4解決策

オンライン講師・家庭教師の副業で失敗しないためのチェックリスト

  • 初回で、ゴール・期限・今のレベル・苦手な分野を聞き取る
  • ゴールまでの回数を決め、毎回扱う範囲を事前に組み立てる
  • 授業の最後に、できたこと・課題・宿題を一言で共有する
  • 授業時間・延長の扱い・キャンセルの期限を最初に伝える
  • 授業の途中で、受講生に解いてもらい理解度を確かめる
  • 定期的に、計画どおり進んでいるかを受講生と一緒に見直す

まずは「初回の授業で聞くことリスト」を作ることから始めてみてください。ゴール、期限、今のレベル、苦手なところ、授業に使える時間。この5つを聞くだけで、受講生に合った授業の形がはっきり見えてきます。聞いた内容はメモに残し、2回目以降の授業の前に見返す習慣をつけると、計画のずれにも気づきやすくなります。

教える副業は、本業や学生時代に身につけた知識を、誰かの役に立てられるやりがいのある仕事です。だからこそ、自分の知識を披露する場ではなく、受講生の目標をかなえる場として授業を組み立てることが大切です。その意識が、受講生の成果と、講師としての長い信頼につながります。

5おすすめサービス

教える副業を長く続けたい人へ

A
自分の講座を形にしたい人向け

オンライン講座販売プラットフォーム【MOSH】

講座の作成から販売、決済までを一括で行えるタイプです。集客サポート機能がついているサービスもあり、届け方の後押しになります。授業の内容や回数、ルールを整理して、自分の講座として形にしたい人に向いています。

詳細を見てみる

B
受講生の集め方を学びたい人向け

マーケティング・集客学習サービス【ストアカ】

需要調査の方法や発信の仕方を体系的に学べるタイプです。作ることは得意でも、届け方に不安がある人に向いています。どんな人が、どんな目的で学びたいと思っているのかを知る視点は、授業づくりにも役立ちます。

詳細を見てみる

まなぶまなぶ
得意な仕訳を一生懸命教えたのに、受講生の試験が来週だなんて知らなくて…。3回で終わってしまいました。
みらいみらい
熱心に教えたいという気持ちは、講師としての大きな強みですよ。次は最初に、ゴールと期限と苦手なところを聞いてみましょう。受講生の目標から逆算すれば、まなぶさんの知識はもっと役に立ちます。

オンライン講師・家庭教師の副業で失敗する人は、自分が教えられることを中心に授業を組み立て、受講生のゴールや期限、苦手な分野を確かめないまま進めてしまいがちです。初回でゴールとレベルを聞き取り、そこから逆算して授業計画を立て、毎回の振り返りを共有し、時間とキャンセルのルールを決めておく。その準備が、受講生の成果を生み、選ばれ続ける講師への近道になります。

副業を始める前に知っておきたい、失敗する人に共通するポイントについては、副業で失敗する人の共通点でもまとめています。あわせて読んでみてください。

自分のスキルを「誰の、何を、どう変えるか」という選ばれる形に変えていく考え方は、スキルを売る副業の失敗から学ぶでまとめています。

ABOUT ME
アバター
みらい
みんなの失敗談を共有して、たくさんの学びや共感をお届けするメディア「https://SHIPPAI.JP」を運営しています