結論

イラストの副業で失敗する人の多くは、「描くことが好きだから」「喜んでもらえればいい」と考えて、描いたイラストを相手がどこで、どのくらいの期間、どんな形で使うのかを決めないまま、引き受けてしまう人です。イラストは、一度渡すと、看板や商品、広告など、思ってもみない場所で使われることがあります。イラストの値段は、描く手間だけでなく、「どう使われるか」によっても変わるものです。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、イラストの副業で失敗する人の特徴と、依頼を受ける前に決めておきたいことを解説します。

1失敗ストーリー

1万円で描いたキャラクターが、マグカップになって売られていた

英会話教室のロビーのソファで、同じクラスのAさんからイラストの副業の失敗談を聞くまなぶのイラスト

この話は、まなぶが通っている英会話教室で、同じクラスのAさんから聞いたものです。レッスンが終わり、ロビーのソファで次の予約を入れていたとき、まなぶが「Aさんの描くイラスト、いつもすてきですね」と声をかけると、Aさんは少し困ったように笑って、「実は、副業でイラストを描いて、ちょっと痛い目にあったんです」と話してくれました。

Aさんは、保険会社で事務の仕事をしている20代後半です。学生のころから絵を描くのが好きで、SNSに趣味のイラストを投稿していました。2年前のある日、そのSNSに、近所の小さなカフェの店長からメッセージが届きました。「お店のキャラクターを描いてもらえませんか。お礼は1万円でどうでしょう」。Aさんは、自分の絵を気に入ってもらえたことがうれしくて、すぐに引き受けました。どこに使うのか、何回まで直すのか、細かいことは何も聞きませんでした。「近所のお店の役に立てるなら」という気持ちのほうが、ずっと大きかったのです。

Aさんが描いたのは、丸い耳の小さなリスのキャラクターでした。店長はとても喜び、お店のメニュー表や看板に使ってくれました。ところが、それから半年ほどたつと、「笑っている顔も描いてほしい」「季節ごとの服を着せてほしい」と、追加の頼みごとが次々と届くようになりました。最初の1万円のお礼の中に含まれているのか分からないまま、Aさんは、結局20種類以上のポーズを描くことになりました。

そして、1年ほどたったころ、Aさんは、お店の前を通りかかって驚きました。自分の描いたリスのキャラクターが、マグカップやトートバッグになって、店頭で販売されていたのです。さらに、お店が2号店を出したときには、駅に貼られた広告のポスターにも、そのキャラクターが大きく使われていました。Aさんは店長に相談しましたが、「1万円で描いてもらったものだから、うちのものだと思っていた」と言われ、話はかみ合いませんでした。最初に何も決めていなかったため、どちらが正しいとも言えなかったのです。

「好きな絵を描いてお金をもらえるだけでうれしくて、自分の絵がどう使われるかなんて、考えたこともなかったんです」。Aさんは、描くことには自信があったけれど、売ることについては何も知らなかったと気づいたそうです。ロビーの窓の外では、夜の街の明かりが灯り始めていました。

2原因分析

イラストの副業で失敗する人の特徴5選

1

イラストの使い道を、聞かずに引き受ける

同じイラストでも、SNSのアイコンに使うのか、お店の看板に使うのか、商品にして販売するのかで、相手が得るものは大きく変わります。使い道を聞かずに値段を決めると、あとから思ってもみない使われ方をして、もやもやが残ります。依頼を受けるときは、「どこで」「どのくらいの期間」「どんな形で」使うのかを、最初に確かめましょう。使い道によって値段を変えるのは、決してわがままではありません。

2

権利の扱いを、決めていない

描いたイラストを、相手に「使ってよい」と許すのか、権利そのものを渡すのかによって、あとからできることが変わります。何も決めていないと、どちらの考えが正しいのかが分からず、話し合いがこじれやすくなります。商品にしたり、ほかの人が手を加えたりしてよいかどうかも含めて、事前に文章で確かめておきましょう。判断に迷うときは、専門家に相談するのも一つの方法です。

3

追加のポーズや修正の範囲を、決めていない

キャラクターのイラストは、使われるほど、表情や季節の服などの追加の頼みごとが増えていきます。最初の値段に何が含まれているのかを決めていないと、追加の仕事を断りにくくなります。「ポーズは3種類まで」「修正は2回まで」など、含まれる範囲を先に決め、それを超える分は追加料金にすると伝えておきましょう。範囲を決めておくことは、相手にとっても「どこまで頼めるのか」が分かる安心材料になります。

4

SNSのメッセージだけで、口約束をする

SNSで声をかけられると、そのままメッセージのやりとりだけで仕事が始まりがちです。けれど、気軽なやりとりの中では、大切な条件が抜け落ちてしまいます。使い道・権利・修正の範囲・納期・料金を、一つの文章にまとめて、相手に確認してもらうようにしましょう。取り決めの整ったサービスを通して仕事を受けるのも、一つの方法です。

5

「喜んでもらえればいい」と、値段を低くしすぎる

好きなことを仕事にすると、「お金をもらうのは申し訳ない」と、値段を低くしがちです。けれど、低い値段で引き受けると、相手にもイラストの価値が伝わらず、「安く描いてもらったものだから、自由に使っていい」と思われやすくなります。自分の作品の価値を、自分で低く見積もらないことが大切です。ほかの人がどのくらいの値段で受けているのか、相場を調べてから決めるようにしましょう。

3図解

イラストの副業で失敗する人と、安心して続けられる人の違い

⚠ イラストの副業で失敗する人のパターン
SNSで声をかけられ、使い道を聞かずに引き受ける
↓
追加のポーズや修正を、断れずに描き続ける
↓
知らないうちに、商品や広告に使われる
↓
権利の話がかみ合わず、相手との関係もこじれる
◎ イラストの副業を安心して続けられる人のパターン
使い道・期間・形を、最初に確かめる
↓
権利と修正の範囲を決め、文章で確認する
↓
使い道に合わせて、値段を決める
↓
相手と気持ちよく、長く仕事を続けられる
4解決策

イラストの依頼を受ける前のチェックリスト

イラストの依頼は、描き始める前の確認で、その後の関係が大きく変わります。依頼を受けるときは、次の項目を確かめてみてください。

  • イラストを使う場所と期間を確かめた
  • 商品にして販売するかどうかを確かめた
  • 権利を渡すのか、使うことを許すのかを決めた
  • 修正の回数と、追加のポーズの料金を決めた
  • 条件を一つの文章にまとめ、相手に確認してもらった
  • 使い道に見合った値段になっているか見直した

Aさんは、カフェの店長ともう一度話し合い、これからの商品化について、あらためて条件を決め直したそうです。今は、依頼を受けるときに、使い道や権利、修正の範囲をまとめた「ご依頼前の確認シート」を必ず送っています。「確認シートを送ると、かえって信頼してもらえるようになりました」。そう言って、Aさんはかばんからスケッチブックを取り出し、新しく描いたキャラクターを見せてくれました。

※イラストの権利の扱いは、契約の内容によって変わります。この記事は一般的な考え方を紹介したものです。具体的な契約や、すでに起きているトラブルについては、専門家や相談窓口に確認してください。また、勤め先の就業規則で副業が認められているかも確認しておきましょう。
5おすすめサービス

スキルを売る副業を始めるなら

イラストの副業を安心して続けるには、条件を決めて仕事を受けられる場を選ぶことと、困ったときの相談先を知っておくことが大切です。

A
取り決めの整った場で仕事を受けたい人向け

日本最大級のクラウドソーシング【ランサーズ】

イラストの案件を探せるタイプです。仕事の範囲や納期、料金を事前に決めて受けられるため、使い道や修正の回数についても、最初に確かめながら進めやすくなります。

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B
トラブルに巻き込まれた人向け

フリーランス向け弁護士相談サービス【中小企業法律支援センター|東京弁護士会】

すでにトラブルが起きている場合、専門的な視点から対応を相談できるタイプです。描いたイラストの使われ方をめぐって相手と話がかみ合わないときに、一人で抱え込まず相談できます。

相談してみる

まなぶまなぶ
Aさんは、1万円で描いたキャラクターが、知らないうちにマグカップや広告に使われていたそうです…。
みらいみらい
イラストの値段は、どう使われるかでも変わります。使い道・権利・修正の範囲を、描き始める前に文章で確かめましょう。
まなぶまなぶ
描く前の確認が、自分の絵と相手との関係を守るんですね。

イラストの副業で失敗する人の特徴は、使い道を聞かずに引き受け、権利や修正の範囲を決めず、SNSのやりとりだけで、低い値段のまま描き始めてしまうことです。使い道・期間・形を確かめ、権利と修正の範囲を文章で決め、使い道に見合った値段をつける。それだけで、好きな絵を描く副業を、安心して続けられるようになります。スキルを売る副業で失敗しないための考え方は、スキルを売る副業の失敗から学ぶでまとめています。

スキルを売る副業については、本業と同じスキルで副業をして後悔する理由や副業の無料相談を受けすぎて失敗した話もあわせて読んでみてください。

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