結論

家事代行の副業で失敗する人の多くは、「家事なら毎日やっているから、すぐにできる」と考えて、作業の範囲や、物を壊してしまったときの対応、移動にかかる時間などを決めないまま、お客さまの家に向かってしまう人です。家事代行は、特別な資格がなくても始めやすい副業です。けれど、他人の家で、他人の大切な物にふれる仕事だからこそ、自分の家の家事とはまったく違う準備が必要になります。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、家事代行の副業で失敗しない方法を解説します。

1失敗ストーリー

「ついでに」を引き受け続けて、大切な花瓶を割ってしまった

河川敷の清掃ボランティアのあと、土手の階段でAさんから家事代行の副業の失敗談を聞くまなぶのイラスト

この話は、まなぶが月に一度参加している、河川敷の清掃ボランティアで知り合ったAさんから聞いたものです。日曜日の朝、ごみ拾いを終えて、土手の階段に並んで休んでいたとき、まなぶが「Aさん、片付けるのが本当に手際がいいですね」と言うと、Aさんは軍手を外しながら、「実は家事代行の副業をしていて、手痛い失敗をしたことがあるのよ」と話してくれました。

Aさんは、食品会社で経理の仕事をしている40代です。子どもが大きくなり、週末に時間ができたことから、去年の春、家事代行のマッチングサービスに登録しました。「掃除や片付けなら、毎日やっているから自信がある」。最初のうちは、お客さまからの評判も上々でした。「家がこんなにきれいになるなんて」と喜ばれるたびに、Aさんは、始めてよかったと感じていたそうです。

ところが、あるお客さまの家に通うようになってから、少しずつ様子が変わっていきました。依頼は「2時間の水回りの掃除」でしたが、行くたびに「ついでに窓も」「ついでにクローゼットの中も」と、頼みごとが増えていきます。Aさんは、断るのが悪い気がして、時間内に終わらせようと、急いで作業するようになっていたのです。追加の料金の話も、言い出せないままでした。いつもより早く家を出て、少しでも多く片付けようとする日が続いていました。

そして、ある日のこと。急いでリビングの棚をふいていたAさんは、手をすべらせて、ガラスの花瓶を落として割ってしまいました。それは、お客さまが亡くなったお母さまから受け継いだ、大切な花瓶でした。Aさんは何度も謝りましたが、壊したときにどうするのかを、何も確かめていませんでした。マッチングサービスの補償の仕組みも、よく読んでいなかったのです。結局、お客さまとの話し合いは長引き、その家への訪問は、それきりになりました。Aさんは、その日の帰り道、悔しさと申し訳なさで涙が止まらなかったそうです。

さらに、そのころのAさんは、家と家の間の移動に毎回1時間近くかかっていたことにも気づきました。移動の時間まで入れると、時給はずいぶん低くなっていました。週明けの本業では、疲れから仕訳の入力ミスが続いていたそうです。「家事が得意なことと、家事を仕事にすることは、まったく別のことだったのよね」。Aさんはそう言って、川面を見つめていました。

2解決策

家事代行の副業で失敗しない方法

1

作業の範囲を、最初に決めておく

家事代行では、お客さまからの「ついでに」が、どうしても増えがちです。依頼の時間内にできる作業を、最初の訪問で一緒に確かめ、それ以外は追加の依頼として受けると決めておきましょう。範囲を決めておけば、急いで作業する必要もなくなり、ていねいな仕事ができます。追加の頼みごとには、「次回の時間を延ばしてお受けしますね」と伝えると、角が立ちにくくなります。決めた範囲は、メモにしてお客さまと共有しておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。

2

物を壊したときの対応を、確かめておく

他人の家で作業をする以上、物を壊してしまう可能性はゼロにはできません。マッチングサービスの補償の仕組みや、自分で入れる保険があるかを、仕事を始める前に確かめておくことが大切です。また、高価な物や思い出の品がある場所は、最初の訪問で「ふれないほうがよい物」をお客さまに教えてもらいましょう。万が一壊してしまったときは、すぐにお客さまとサービスの窓口に正直に伝えることが、信頼を守る一番の近道です。

3

移動の時間も、仕事の時間として計算する

家事代行は、お客さまの家までの移動が欠かせません。移動の時間を入れずに受けると、思っていたよりずっと時給が低くなります。受けるエリアを、自宅から無理なく通える範囲に絞ると、移動の負担も減り、一日に受けられる件数も増やせます。交通費の扱いも、事前に確かめておきましょう。同じ地域のお客さまを同じ日にまとめて受けるなど、回る順番を工夫するのも効果的です。

4

鍵や個人情報の扱いを、決めておく

家事代行では、お客さまの留守中に作業をすることや、鍵を預かることもあります。家の中で、郵便物や書類など、個人の情報を目にすることもあります。鍵の受け渡しの方法や、見てしまった情報を外に出さないことを、事前にお客さまと確かめておくと、おたがいに安心できます。預かった鍵は、作業が終わったらすぐに決めた方法で返すようにしましょう。

5

体力と、本業とのバランスを考えて受ける

家事代行は、思っている以上に体を使う仕事です。週末に何件も詰め込むと、本業に疲れが残ってしまいます。週末に受ける件数の上限を決め、疲れが出たら件数から減らすようにしましょう。本業の繁忙期には、あらかじめ受ける件数を少なくしておくと安心です。腰や手首など、体を痛めやすい作業の前には、軽く体をほぐしておきましょう。

3図解

家事代行の副業で失敗する流れと、安心して続けられる流れの違い

⚠ 家事代行の副業で失敗するパターン
作業の範囲を決めず、「ついでに」を引き受け続ける
↓
時間内に終わらせようと、急いで作業する
↓
大切な物を壊し、補償の仕組みも分からない
↓
お客さまの信頼を失い、本業にも疲れが残る
◎ 家事代行の副業を安心して続けられるパターン
作業の範囲と、ふれないほうがよい物を最初に確かめる
↓
補償の仕組みと、鍵や情報の扱いを確かめておく
↓
通える範囲と、週末の件数の上限を決める
↓
ていねいな仕事で信頼され、無理なく続けられる
4チェックリスト

家事代行の副業を始める前のチェックリスト

家事代行は、始める前の準備で、続けやすさが大きく変わります。登録する前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 依頼の時間内にできる作業の範囲を決めた
  • 追加の頼みごとへの答え方を決めた
  • サービスの補償の仕組みや、保険を確かめた
  • 鍵の受け渡しと、個人情報の扱いを確かめた
  • 移動の時間を入れて、時給を計算した
  • 週末に受ける件数の上限を決めた

あの失敗から半年ほど休んだあと、Aさんは家事代行を再開しました。今は、自宅から30分以内で通える家だけを受けているそうです。最初の訪問では、お客さまと一緒に家の中を回り、作業する場所と、ふれないほうがよい物を確かめています。週末に受けるのは2件まで。「急がなくていい仕事のほうが、お客さまにも喜ばれるし、自分も楽しく続けられるの」。そう言うと、Aさんは「さあ、もうひと頑張り」と立ち上がり、ごみ袋を手に土手を下りていきました。

※家事代行のマッチングサービスによって、補償の仕組みや、お客さまとのやりとりのルールは異なります。登録する前に、利用規約を必ず確認しましょう。また、勤め先の就業規則で副業が認められているか、副業の収入による確定申告が必要かどうかも確認しておきましょう。
5おすすめサービス

スキルを売る副業を始めるなら

家事代行の副業を無理なく続けるには、移動も含めた予定を見える形にすることと、困ったときの相談先を知っておくことが大切です。

A
時間の使い方を見える化したい人向け

タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】

本業と副業の予定を、移動の時間も含めて見える形にできるタイプです。週末に詰め込みすぎていないか、本業の繁忙期と重なっていないかに気づくきっかけになります。

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B
トラブルに巻き込まれた人向け

フリーランス向け弁護士相談サービス【中小企業法律支援センター|東京弁護士会】

すでにトラブルが起きている場合、専門的な視点から対応を相談できるタイプです。作業中に物を壊してしまったときなど、お客さまとの話し合いがこじれたときに、一人で抱え込まず相談できます。

相談してみる

まなぶまなぶ
Aさんは、「ついでに」を引き受け続けて急いで作業するうちに、お客さまの大切な花瓶を割ってしまったそうです…。
みらいみらい
家事代行は、他人の家で大切な物にふれる仕事です。作業の範囲と、壊したときの対応を、始める前に確かめておきましょう。
まなぶまなぶ
家事が得意なことと、家事を仕事にすることは、別のことなんですね。

家事代行の副業で失敗する原因は、自分の家の家事と同じ感覚で、作業の範囲や壊したときの対応、移動の時間を決めないまま始めてしまうことです。作業の範囲を決め、補償の仕組みと鍵や情報の扱いを確かめ、通える範囲と件数の上限を決める。それだけで、家事代行は、お客さまに信頼され、無理なく続けられる副業になります。スキルを売る副業で失敗しないための考え方は、スキルを売る副業の失敗から学ぶでまとめています。

スキルを売る副業については、副業の無料相談を受けすぎて失敗した話や副業の仕事を外注して後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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