上司への反論で後悔する理由
上司への反論で後悔する人の多くは、自分の案を直されたり、意見を否定されたりしたときに、その場の気持ちのまま「それはおかしいと思います」と言い返し、上司の考えの理由を聞かないまま、話し合いを言い争いにしてしまう人です。意見を言うこと自体は、悪いことではありません。けれども、伝え方とタイミングをまちがえると、言いたかった中身ではなく、「感情的な人」という印象だけが残ってしまいます。上司への反論は「言い負かすこと」ではなく、「同じゴールに向けて、別の道を示すこと」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、上司への反論で後悔する理由と、意見が伝わる話し方を解説します。
みんなの前で「それでは意味がない」と言ってしまった話
今年の4月、まなぶのチームでは、新しい年度の販促の計画を決める会議が開かれました。まなぶは、春から温めてきた、取引先と一緒に開く体験型のイベントの案を出していました。準備に2か月をかけ、自分では自信のある案でした。会議には、上司と、チームのメンバー6人が参加していました。
ところが、上司はまなぶの案の資料を見ながら言いました。「イベントの考え方はいいね。ただ、今年は予算が限られているから、規模を半分にして、まずは1か所で試してみよう」。その瞬間、まなぶは顔が熱くなるのを感じました。2か月かけた案が、あっさり小さくされた気がしたのです。気づいたときには、口が動いていました。「半分にしたら、それでは意味がないと思います。前から準備してきたのに、話を聞いてもらえていない気がします」。
会議室は、一瞬静まり返りました。上司は少し間をおいてから、「そうか。じゃあ、この件はあとで話そう」とだけ言い、次の議題に移りました。そのあとの会議のあいだ、まなぶは、メンバーの視線が気になって、ほとんど話の内容が頭に入りませんでした。言いたかったのは案のよさだったのに、残ったのは、みんなの前で上司に言い返したという気まずさだけだったのです。
会議のあと、上司と二人で話すと、上司は落ち着いた声で説明してくれました。「予算のことだけじゃないんだ。取引先も、初めての形のイベントには慎重なんだよ。まず小さく成功させて、来年に広げたほうが、きみの案は通りやすくなると思ったんだ」。まなぶは、上司が自分の案を小さくしたのではなく、通すための道を考えてくれていたことに気づきました。「理由を聞く前に、言い返していたんだ」。まなぶは、上司の席から戻る足どりが、いつもより重く感じました。
上司への反論で後悔する理由
上司の考えの理由を、聞く前に言い返した
上司が案を直したり、違う意見を出したりするときには、たいてい理由があります。予算、取引先の事情、会社の方針など、部下からは見えていないこともあります。反論したくなったら、まず「そう考えられた理由を、教えていただけますか」と聞くことから始めましょう。理由を聞いてみると、思っていたより考えが近かったり、別の案を出すための手がかりが見つかったりします。聞くことは、反論の前の大切な準備です。
気持ちのままに、その場で話してしまった
自分の案を否定されたと感じると、誰でも気持ちが高ぶります。その状態で話すと、言葉が強くなり、「意味がない」「聞いてもらえていない」のように、相手を責める言い方になりがちです。顔が熱くなったと感じたら、ひと呼吸おいて、「少し考えを整理してから、改めてご相談させてください」と伝えるのも一つの方法です。時間をおけば、落ち着いて、伝えたい中身を言葉にできます。
みんなの前で、上司に言い返した
大勢の前で反論されると、上司も立場上、引きにくくなります。会議の空気も気まずくなり、ほかのメンバーも発言しにくくなります。意見が大きく食い違うときは、会議のあとに、二人で話す時間をお願いすると、お互いに落ち着いて話し合えます。会議の場では、「別の考え方もあるので、あとでご相談させてください」と一言だけ伝えておけば十分です。そのほうが、ほかのメンバーにとっても話しやすい会議になります。
「反対」だけで、代わりの案を出さなかった
「それでは意味がない」と言うだけでは、上司は何を考えればよいのか分かりません。反論は、代わりの案と一緒に出して初めて、話し合いの材料になります。「規模を半分にするなら、来場者の数を測れる形にして、来年広げる判断材料にしたいです」のように、相手の考えを受けとめたうえで、別の道を示すと、上司も前向きに考えやすくなります。同じゴールを目指していることが伝われば、意見の違いは対立ではなくなります。
自分の準備の苦労を、理由にしてしまった
まなぶは、「前から準備してきたのに」と、自分がかけた時間を理由に反論してしまいました。けれども、上司や会社が判断するのは、準備の大変さではなく、案が目的に合っているかどうかです。苦労を理由にすると、相手には「わがまま」と受け取られてしまうこともあります。反論するときは、自分の気持ちではなく、取引先やお客様にとってどうか、数字や事実ではどうかを理由にしましょう。気持ちは、信頼できる同僚に聞いてもらうなど、別の場で整理すると楽になります。
言い返してしまう人と、意見が伝わる人の違い
上司への反論で後悔しないためのチェックリスト
上司の意見に納得できないと感じたときは、話し始める前に、次の項目を思い出してみてください。意見を言うことは、チームにとって大切なことです。だからこそ、伝わる形で出すことを心がけましょう。
- 反論する前に、上司がそう考えた理由を聞いた
- 気持ちが高ぶったときは、ひと呼吸おいてから話している
- 大きく食い違うときは、二人で話す時間をお願いしている
- 相手を責める言葉ではなく、自分の考えとして伝えている
- 反対だけでなく、代わりの案を一緒に出している
- 自分の苦労ではなく、事実や相手にとってのよさを理由にしている
まなぶは、上司と話したあと、イベントを1か所で開く案に作り直しました。来場者の数や、取引先のお客様の声を集める形にして、「来年に広げるかどうかを判断できる材料をつくります」と書き添えました。会議で強く言い返してしまったことは、翌日、上司に改めておわびしました。6月に開いたイベントは、取引先からも好評で、来年は3か所に広げる話が進んでいます。今は、意見が違うときは、まず「理由を教えていただけますか」と聞くようにしています。会議で意見を言うことについては、会議で発言できずに失敗した話でも紹介しています。「反論は、言い負かすためじゃなくて、同じゴールに向けて道を足すためのものなんだな」。まなぶは、そう感じています。
仕事の失敗を減らすために
上司と落ち着いて話し合うには、自分の考えや強みを客観的に整理しておくことと、話し合いたいことを前もって書き出しておくことが役立ちます。
タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】
上司に相談したいことや、話し合いの前に整理しておきたいことを、期限つきで一覧にできるタイプです。その場の気持ちで話すのではなく、伝えたいことを前もって書き出しておくと、落ち着いて話し合えます。
市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】
第三者視点で、自分の強みや考え方のくせを整理するのを手伝ってもらえるタイプです。自分がどんな場面で気持ちが動きやすいかを知っておくと、意見が食い違ったときにも、落ち着いて伝え方を選べるようになります。
まなぶ
みらい
まなぶ上司への反論で後悔する原因は、案を直されたときに、その場の気持ちのまま、理由を聞かずに、みんなの前で言い返してしまうことです。まず理由を聞き、ひと呼吸おき、大きな食い違いは二人で話し、事実と代わりの案を示す。それだけで、意見は対立ではなく、チームを前に進める話し合いになります。報連相とコミュニケーションで失敗しないための考え方は、報連相とコミュニケーションの失敗から学ぶでまとめています。
報連相・コミュニケーションについては、オンライン会議で失敗した話や仕事の頼み方で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

