結論

チャットやメールの伝え方で失敗する人の多くは、顔を合わせて話すときと同じ感覚で、短すぎる文や、結論の見えない長い文を送ってしまう人です。文字だけのやりとりでは、声の調子や表情が伝わりません。自分では普通に書いたつもりの一言が、相手には冷たく、急かされているように感じられることもあります。文字のやりとりは「読む人が、ひとりで読んでも誤解しないか」を基準に書くのが基本です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、チャットやメールの伝え方で失敗しない方法を解説します。

1失敗ストーリー

「これ、今日中で」の一言で、部下が落ち込んでいたAさんの話

日曜朝の公園の清掃ボランティアのあと、Aさんからチャットの伝え方の失敗談を聞いて驚くまなぶのイラスト

日曜日の朝、まなぶは地域の清掃ボランティアに参加しました。そこで顔なじみになったAさん(40代女性)は、不動産の管理会社でチームリーダーをしています。ごみ袋を運び終えて休んでいるとき、Aさんは「チャットのせいで、部下とぎくしゃくしたことがあるの」と話してくれました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

Aさんのチームは、出社する人と在宅で働く人がまざっています。やりとりの中心は、社内のチャットです。忙しいAさんは、部下への依頼をいつも短く送っていました。「これ、今日中で」「確認して」「なんでこうなってる?」。Aさんにとっては、手早く用件を伝えているだけのつもりでした。1日に何十件ものやりとりをこなす中で、少しでも早く返すことが、チームのためだと思っていたのです。

ある日、在宅で働く若手の部下から、1対1の面談のときに思いきったように言われました。「チャットを見るたびに、怒られているのかなと思って、なかなか質問できませんでした」。さらに、別の部下からは「『確認して』だけだと、何を確認すればいいのか分からなくて、聞き返すのも気が引けました」と言われました。

思い返すと、Aさんのチームでは、依頼のやり直しや、締め切りの勘違いが何度か続いていました。原因は、Aさんの短すぎるチャットで、依頼の中身も、気持ちも、正しく伝わっていなかったことにあったのです。一方で、Aさんが上司に送る報告のメールは、経緯から長々と書いてしまい、「結局どうしてほしいの?」と聞き返されることもありました。

「短すぎても、長すぎても、伝わらないんだよね。相手がどう読むかを、まったく考えていなかった」。Aさんは、軍手を外しながら苦笑いしました。

2原因分析

チャットやメールの伝え方で失敗する5つの原因

1

文字では、声の調子が伝わらないことを忘れていた

顔を合わせて「これ、今日中でお願いね」と言えば、笑顔や声の調子で、急かしているわけではないことが伝わります。けれども、チャットの「これ、今日中で」は、文字だけが相手に届きます。受け取る人は、書かれていない部分を、自分の不安で埋めてしまうものです。とくに立場が上の人からの短い文は、厳しく受け取られがちです。「ありがとう」「助かります」の一言を添えるだけで、印象は大きく変わります。絵文字やスタンプを使うかどうかはチームの文化にもよりますが、少なくとも、言葉で気持ちを補うことは意識しておきたいところです。

2

依頼の中身が、具体的でなかった

「確認して」だけでは、何を、どこまで、いつまでに確認すればよいのかが分かりません。受け取った人は、聞き返すか、自分なりに解釈して動くしかなくなります。依頼は「何を」「どこまで」「いつまでに」「何のために」の4つをそろえて書くのが基本です。「来週の入居者説明会の資料について、日付と会場の表記に誤りがないか、明日の12時までに確認をお願いします」と書けば、やり直しはぐっと減ります。

3

長い文で、結論が埋もれていた

反対に、伝えたいことが多いと、経緯から順番に長く書いてしまいがちです。読む人は、どこに大事なことが書いてあるのかを探しながら読むことになります。メールやチャットでは、最初の1〜2行に「結論」と「お願いしたいこと」を書き、経緯や詳しい説明はそのあとに回すと、忙しい相手にも伝わりやすくなります。件名にも、用件と期限を入れておくと親切です。たとえば「【11/5締切】説明会資料の確認のお願い」のようにしておけば、受け取った人は件名だけで優先順位をつけられます。

4

文字で伝えるべきか、話すべきかを考えなかった

込み入った話や、相手の気持ちに関わる話は、チャットよりも、短い電話やオンライン会議、顔を合わせて話すほうが伝わることがあります。注意や指摘を文字だけで送ると、意図以上に重く受け取られることもあります。「文字で済ませる話」と「声で話す話」を分けると、すれ違いを防げます。迷ったら、「5分だけ話せますか」と声をかけてみましょう。

5

送る前に、読み手として読み返さなかった

急いでいると、書いた文をそのまま送ってしまいがちです。けれども、送る前に一度、受け取る人になったつもりで読み返すだけで、言葉足らずや、きつい言い方に気づけます。とくに在宅で働く人は、すぐに聞き返しにくいこともあります。慣れないうちは、送る前に一度声に出して読んでみるのもおすすめです。読み返すときは、「この文だけを読んで、相手は迷わず動けるか」を確かめてみてください。

3図解

思いつくまま送る人と、読み手を考えて書く人の違い

⚠ チャットやメールの伝え方で失敗する人のパターン
「確認して」「今日中で」と、短い言葉だけで依頼する
↓
上司への報告は、経緯から長々と書く
↓
込み入った話や注意も、文字だけで済ませる
↓
依頼のやり直しや誤解が続き、チームの雰囲気もぎくしゃくする
◎ チャットやメールで上手に伝える人のパターン
依頼は「何を・どこまで・いつまでに・何のために」をそろえる
↓
最初の1〜2行に、結論とお願いしたいことを書く
↓
込み入った話は、短い電話や対面に切り替える
↓
一度で伝わるやりとりが増え、相手も安心して動ける
4解決策

チャットやメールの伝え方で失敗しないためのチェックリスト

文字のやりとりは、少しの工夫で伝わり方が大きく変わります。送信ボタンを押す前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 依頼に「何を・どこまで・いつまでに・何のために」が入っている
  • 最初の1〜2行で、結論とお願いしたいことが分かる
  • メールの件名に、用件と期限を入れている
  • 「ありがとう」「助かります」など、気持ちの一言を添えている
  • 注意や込み入った話は、文字ではなく話して伝えるようにしている
  • 送る前に、受け取る人のつもりで一度読み返している

Aさんは今、部下に依頼を送るときは、「何を・どこまで・いつまでに・何のために」の4つを入れ、最後に「分からないところがあれば、いつでも聞いてね」と添えるようにしています。注意をするときは、チャットで「5分話せる?」とだけ送り、オンライン会議で直接話すことにしました。チームのやり直しが減っただけでなく、在宅の部下からの質問も、前よりずっと増えたそうです。

「チャットは便利だけど、便利なぶん、雑になりやすいんだよね」とAさん。まなぶも、自分が取引先に送るメールの1行目を、帰ってから読み返してみようと思いました。

※チャットやメールの書き方のルールは、会社やチームによって異なることがあります。チームで使う言葉づかいや返信の目安などは、一度みんなで話し合って決めておくと、すれ違いを防ぎやすくなります。
5おすすめサービス

仕事の失敗を減らすために

文字のやりとりですれ違わないためには、チームでの連絡の仕方そのものを整えることと、やりとりの抜けを減らす道具が役立ちます。

B
業務プロセスから見直したい人向け

業務プロセス整理・DX相談サービス【Chatwork DX相談窓口】

仕事の流れや、チームでの情報共有のしかたを整理することから支援してくれるタイプです。チャットとメールの使い分けや、依頼の書き方のルールなど、出社と在宅がまざったチームのやりとりを見直すきっかけになります。

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A
時間管理を効率化したい人向け

タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】

依頼したことや頼まれたことを、期限つきで一覧にできるタイプです。チャットで流れてしまいがちな依頼をやることとして残しておけば、伝え忘れや確認もれを防げます。

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まなぶまなぶ
「これ、今日中で」の一言が、部下には怒られているように感じられていたなんて…。
みらいみらい
文字だけのやりとりでは、声の調子が伝わりません。依頼は「何を・どこまで・いつまでに・何のために」をそろえ、最初の1〜2行に結論を書きましょう。込み入った話は、声で伝えるのがおすすめです。
まなぶまなぶ
送る前に、受け取る人になって読み返すだけで、ずいぶん変わりそうですね。

チャットやメールの伝え方で失敗する原因は、声の調子が伝わらないことを忘れ、短すぎる文や結論の埋もれた長い文を、読み手のことを考えずに送ってしまうことです。依頼の中身をそろえ、結論を先に書き、込み入った話は声で伝え、送る前に読み返す。それだけで、文字のやりとりはずっと伝わるものになります。報連相とコミュニケーションで失敗しないための考え方は、報連相とコミュニケーションの失敗から学ぶでまとめています。

報連相・コミュニケーションについては、仕事の相談をためらって後悔する理由や会議で発言できずに失敗した話もあわせて読んでみてください。

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