結論

上司との1on1で後悔する人の多くは、1on1を「仕事の進み具合を報告する場」だと思いこみ、自分がこれから挑戦したいことや、困っていること、キャリアの希望を話さないまま、毎回の時間を終わらせてしまう人です。上司は、部下が何を考えているのかを、言われなければ知ることができません。話さないままでいると、チャンスがめぐってきても、上司はあなたを思い浮かべることができません。1on1は「報告の場」ではなく、「上司に自分の考えを知ってもらい、一緒にこれからを考える場」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、上司との1on1で後悔する理由と、1on1を生かすための準備のしかたを解説します。

1失敗ストーリー

「1on1で言ってくれれば、推薦したのに」と言われた話

8月の夜の駅のホームで、1on1で話さなかったためにチャンスを逃したことを思い返すまなぶのイラスト

今年の1月から、まなぶのチームでは、上司と部下が月に一度、30分ずつ話す「1on1」が始まりました。上司からは、「仕事のことでも、それ以外のことでも、何でも話していい時間だよ」と言われていました。けれども、まなぶは、何を話せばよいのか分からず、毎回、担当している資料の進み具合を順番に報告していました。15分ほどで話すことがなくなり、「ほかには特にありません」と言って、早めに終わることもよくありました。

実は、まなぶには、前から興味のあることがありました。会社が新しく始めようとしている、取引先向けのデータ分析のサービスです。販促の企画の仕事をしながら、「数字から取引先の課題を見つける仕事に、もっと関わってみたい」と思っていました。けれども、「まだ今の仕事も一人前ではないのに、そんなことを言うのは早い」と考えて、上司には話していませんでした。

今年の8月、そのデータ分析のサービスを立ち上げるプロジェクトのメンバーが発表されました。まなぶのチームからは、同じ年ごろの同僚が選ばれていました。あとで聞くと、各チームの上司が、関心のありそうな部下を推薦したのだそうです。まなぶが思いきって上司にそのことを話すと、上司は驚いた顔で言いました。「えっ、まなぶくん、そういうことに興味があったの? 1on1で一言言ってくれれば、推薦したのに」。チャンスは、自分が話さなかったことで、静かに通りすぎていたのです。

まなぶは、その夜、帰りの駅のホームで電車を待ちながら、1月から8回あった1on1のことを思い返しました。上司は毎回、「ほかに話したいことはある?」と聞いてくれていました。そのたびに「特にありません」と答えていたのは、自分のほうでした。「報告だけなら、メールでもよかったんだ」。まなぶは、ホームに入ってきた電車の明かりを見つめながら、小さくつぶやきました。

2原因分析

上司との1on1で後悔する理由

1

1on1を、報告の場だと思いこんでいた

仕事の進み具合は、ふだんの報告や定例の打ち合わせでも伝えられます。1on1の時間を報告だけで使ってしまうと、ほかの場では話しにくいことを話す機会がなくなります。進み具合の話は最初の5分までにして、残りの時間は「これからのこと」と「困っていること」に使うと決めておきましょう。1on1は、上司と部下が、ふだんの仕事の外側にあることを話せる、数少ない時間です。

2

挑戦したいことを、話していなかった

上司は、部下に新しい仕事を任せたり、プロジェクトに推薦したりするとき、「誰が何に興味を持っているか」を手がかりにします。話していなければ、上司はあなたを思い浮かべることができません。「まだ早い」と思うことでも、「いつかこんな仕事に関わってみたい」と一言伝えておくことが大切です。すぐにかなわなくても、上司が覚えていてくれれば、チャンスが来たときに声をかけてもらえます。今の仕事とのつながりも一緒に話すと、上司も応援しやすくなります。

3

話すことを、前もって準備していなかった

1on1の時間になってから話すことを考えると、すぐに思いつくのは、目の前の仕事のことだけになりがちです。1on1の前の日に、「最近うまくいったこと」「困っていること」「これから挑戦したいこと」を1つずつメモしておくと、話したいことを落ち着いて伝えられます。メモを上司と一緒に見ながら話すと、話がそれても戻りやすくなります。準備は5分で十分です。

4

「特にありません」で、終わらせていた

上司が「ほかに話したいことはある?」と聞くのは、部下の考えを知りたいからです。そこで「特にありません」と答え続けると、上司は「この部下は、今の仕事に満足しているのだろう」と受け取ってしまいます。話すことが思いつかないときは、「今の仕事で、私に期待していることは何ですか」と、上司に質問してみるのも一つの方法です。上司の考えを聞くことで、自分が話したいことも見えてきます。

5

話したことを、次につなげていなかった

1on1で話したことが、その場だけで終わってしまうと、次の1on1でまた同じ話をくり返すことになります。話したことや、上司からもらった助言、次までにやってみることを、簡単にメモに残しておきましょう。次の1on1の最初に、「前回話したことを、こうやってみました」と伝えると、上司も成長の様子を感じ取れます。積み重ねていけば、1on1は、自分のこれからを上司と一緒に考える、大切な時間になっていきます。評価の面談の前に、1on1の記録を見返せば、半年分の自分の考えの変化も振り返れます。

3図解

報告だけで終わる人と、1on1を生かす人の違い

⚠ 上司との1on1で後悔する人のパターン
準備をせず、仕事の進み具合だけを順番に報告する
↓
挑戦したいことや困りごとは、「まだ早い」と話さない
↓
「ほかには特にありません」と言って、早めに終わる
↓
上司が部下の考えを知らず、チャンスが通りすぎてしまう
◎ 1on1を上手に生かす人のパターン
前の日に、話したいことを3つメモしておく
↓
報告は短くし、これからのことと困りごとを話す
↓
話したことを記録し、次の1on1で続きを話す
↓
上司が部下の考えを知り、チャンスのときに声がかかる
4解決策

上司との1on1で後悔しないためのチェックリスト

1on1の前の日に、次の項目を確かめてみてください。少しの準備で、30分の使い方は大きく変わります。

  • 最近うまくいったこと、困っていること、挑戦したいことを1つずつメモした
  • 進み具合の報告は、最初の5分までにすると決めた
  • 「まだ早い」と思うことでも、興味のあることを伝えた
  • 話すことがないときは、上司に期待していることを聞いた
  • 話したことや助言を、メモに残している
  • 次の1on1の最初に、前回の続きを話している

まなぶは、9月の1on1から話し方を変えました。前の日に3つのことをメモし、最初の5分で進み具合を伝えたあと、「数字から取引先の課題を見つける仕事に、関わってみたいです」と正直に話しました。上司は、「それなら、今の販促の企画でも、まずは取引先のデータを使った提案を一つやってみよう」と言い、10月からは、データ分析のプロジェクトの勉強会にも参加できるようになりました。今は、1on1のたびに、前回話したことの続きを報告しています。「1on1は、自分のこれからを、上司と一緒に考える時間だったんだな」。まなぶは、次の1on1に向けたメモを書きながら、そう感じています。

5おすすめサービス

仕事の失敗を減らすために

1on1を生かすには、自分の強みやこれからの方向を客観的に整理しておくことと、話したいことを前もってまとめておくことが役立ちます。

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自分の市場価値やキャリアの方向性を客観視したい人向け

市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】

第三者視点で、自分の強みや適性を整理するのを手伝ってもらえるタイプです。自分がどんな仕事に向いていそうかが分かると、1on1で「これから挑戦したいこと」を話すときの手がかりになります。

診断してみる

A
時間管理を効率化したい人向け

タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】

1on1で話したいことや、上司からもらった助言、次までにやってみることを、期限つきで残しておけるタイプです。前回の続きを話す準備がしやすくなり、1on1を積み重ねていくことができます。

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まなぶまなぶ
1on1で報告ばかりしていたら、挑戦したかったプロジェクトのチャンスが通りすぎていました…。
みらいみらい
1on1は、報告の場ではなく、上司に自分の考えを知ってもらい、一緒にこれからを考える場です。前の日に話したいことを3つメモして、報告は短くしましょう。「まだ早い」と思う希望も、一言伝えておくことが大切です。
まなぶまなぶ
話さなければ、上司も思い浮かべようがないんですね。

上司との1on1で後悔する原因は、1on1を報告の場だと思いこみ、挑戦したいことや困っていることを話さないまま、毎回の時間を終わらせてしまうことです。前もって話したいことを準備し、報告は短くし、興味のあることを伝え、話したことを次につなげる。それだけで、1on1は自分のこれからを広げる時間になります。評価・昇進・管理職で失敗しないための考え方は、評価・昇進・管理職の失敗から学ぶでまとめています。

評価・昇進・管理職については、プロジェクトリーダーを任されて失敗した話や部下の評価で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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