結論

副業でアルバイトを掛け持ちして後悔する人は、「アルバイトなら、給料をもらうだけだから手続きはいらない」と思い込んでいます。実際には、副業先から受け取る給与は年末調整されないため、年20万円を超えると原則として確定申告が必要です。給与の住民税は、本業の給与と合わせて会社から天引きされることが多く、会社に届けていなければ思わぬ形で知られます。働く時間も、本業と合わせて見る必要があります。始める前に、会社への届け出・税金・時間の3つを確かめましょう。

1失敗ストーリー

住民税の通知で、会社に知られたAさんの話

日曜日のマンションの集会所で、自治会の役員仲間Aさんから副業のアルバイトの失敗談を聞き、手を止めるまなぶのイラスト

まなぶの住むマンションでは、今年、自治会の役員が回ってきました。同じ役員になったのが、上の階に住むAさん(40代男性)です。物流会社で倉庫の管理を担当している正社員で、中学生と高校生の子どもがいます。ある日曜日、集会所での打ち合わせのあと、折りたたみの机を片付けながら、Aさんは「実は去年の副業で、会社にも税務署にも迷惑をかけちゃってね」と話し始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

Aさんがアルバイトを始めたのは、一昨年の春でした。上の子の進学に向けて、少しでも貯金を増やしたい。駅前の居酒屋で、平日の夜に2回、週末に1回、ホールと仕込みの手伝いをするようになりました。月の給料は8万円ほど。「アルバイトだし、給料から税金も引かれている。何もしなくていいだろう」と考え、本業の会社には何も伝えていませんでした。

ところが、翌年の初夏。会社の総務の担当者から、「住民税の金額が去年より大きく増えているのですが、ほかにお勤め先がありますか」と声をかけられました。Aさんの会社は就業規則で副業を届け出制にしていて、届け出のないまま続けていたことについて注意を受けました。あらためて届け出を出し、勤務の時間や内容を説明して、ようやく認めてもらえたそうです。

さらに、総務の担当者に言われて調べてみると、アルバイトの給与は年に90万円を超えていて、本来は確定申告が必要だったことが分かりました。Aさんは期限を過ぎてから申告をし、追加で税金を納めることになりました。

「いちばん反省しているのは、時間のこと」とAさんは言います。繁忙期の本業の残業と、夜のアルバイトが重なった月は、睡眠が5時間を切る日が続きました。倉庫での検品のミスが増え、上司から「最近、疲れていないか」と心配されたこともあったそうです。「お金のために始めたのに、本業も体も削っていたんだよね」。Aさんは片付けた机を壁に立てかけながら、苦笑いしました。

2原因分析

副業でアルバイトを掛け持ちして後悔する5つの理由

1

本業の会社に届け出なかった

副業を認める会社でも、就業規則で届け出や許可の手続きを決めていることがよくあります。会社が副業を把握したいのは、働きすぎを防いだり、仕事の内容がぶつからないかを確かめたりするためでもあります。「アルバイトくらいなら」と黙って始めると、内容に問題がなくても、届け出のルールを破ったこと自体が問題になることがあります。始める前に就業規則を読み、手続きをすませておきましょう。

2

アルバイトの給与なら、確定申告はいらないと思った

本業の会社で年末調整を受けている人でも、副業先の給与は年末調整されません。この年末調整されない給与が年20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。業務委託の副業は「収入から経費を引いた所得」で20万円を判断しますが、アルバイトの給与は受け取った給与の額で判断する点も違います。副業先の給与から天引きされる税金は、本業の会社に出す書類と違う税額表で計算されるため、確定申告で精算すると、追加で納める場合も戻る場合もあります。

3

住民税で会社に知られると思っていなかった

会社員の住民税は、多くの場合、本業の給与から天引きされます(特別徴収)。副業の所得の分を自分で納める「普通徴収」を選べることもありますが、アルバイトのような給与の所得は、自治体によって普通徴収への切り替えが認められないことがあるため、事前に市区町村への確認が必要です。住民税で知られる前に、会社に届け出ておくのが一番確実です。住民税と会社の関係については、副業がバレて後悔する理由でも詳しく紹介しています。

4

本業と合わせた働く時間を数えていなかった

雇われて働く場合、本業と副業の労働時間は、合わせて考えるのが今のルールの基本です。残業代の計算に関わるため、副業先から本業の勤務時間を聞かれることもあります。この通算の考え方は見直しの議論も続いていますが、どちらにしても、働きすぎて体を壊せば、本業も副業も続けられません。1週間の合計時間と、睡眠や休みの時間を、始める前に書き出しておきましょう。

5

手取りがいくら増えるかを確かめなかった

アルバイトの給料がそのまま手元に残るわけではありません。副業先での天引き、確定申告での精算、翌年の住民税の増加を合わせると、思っていたより手取りが少なく感じることがあります。働く時間や勤め先の規模によっては、副業先で社会保険の加入対象になる場合もあります。「月8万円の給料」ではなく「1年で手元にいくら残るか」で考えると、無理のない働き方が見えてきます。

3図解

黙って掛け持ちする人と、手続きをそろえて始める人の違い

⚠ 後悔する人のパターン
アルバイトなら手続きはいらないと思い込む
↓
本業の会社に届けず、夜と週末に働き始める
↓
給与が年20万円を超えても、確定申告をしない
↓
本業の残業と重なり、睡眠時間が削られていく
↓
住民税で会社に知られ、期限後の申告と注意を受ける
◎ 後悔しない人のパターン
就業規則を読み、会社に副業の届け出を出す
↓
1週間の働く時間の合計と、休みの時間を決める
↓
給与明細を保管し、1年分の副業の給与を記録する
↓
確定申告と住民税の手続きを、年明けに必ず行う
↓
会社の理解を得て、体も家計も無理なく続けられる
4解決策

副業でアルバイトを掛け持ちする前のチェックリスト

アルバイトの掛け持ちは、ルールを知っていれば、家計を助ける心強い手段になります。始める前と始めたあとに、次の項目を確かめておきましょう。

  • 本業の就業規則で、副業の届け出や許可の手続きを確かめた
  • 会社に届け出を出し、勤務先・仕事の内容・時間を伝えた
  • 本業と副業を合わせた1週間の働く時間を書き出した
  • 睡眠や休みの時間を確保できるシフトにした
  • 副業先の給与明細と源泉徴収票を保管している
  • 年末調整されない給与が年20万円を超えたら、確定申告をすると決めた
  • 住民税の納め方について、市区町村に確認した
  • 1年で手元にいくら残るかを、税金と保険料を含めて計算した

Aさんは会社に届け出を出したあと、アルバイトを週2回に減らし、本業の繁忙期の月はシフトを入れないことにしました。給料は少し減りましたが、検品のミスはなくなり、上司とも副業の話を気軽にできるようになったそうです。「会社に話してみたら、思っていたよりずっと協力的だった。最初から言えばよかった」とAさん。副業と本業の両立の考え方は、本業とのバランスで失敗しない方法でも紹介しています。また、所得税の申告がいらない場合でも住民税の申告が別に必要になる点は、副業の「20万円以下は申告不要」を誤解して失敗した話もあわせて確認しておくと安心です。

※税金・住民税・労働時間・社会保険のルールは、2026年10月時点の一般的な内容です。働き方や勤め先、お住まいの自治体によって扱いが異なることがあります。詳しくは、勤務先や税務署、市区町村、年金事務所などで確認してください。
5おすすめサービス

副業の税金とルールで困らないために

A
時間管理を効率化したい人向け

タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】

本業とアルバイトの予定を一か所にまとめ、1週間の働く時間を見える化できるタイプです。残業の多い週にシフトが重なっていないか、休みの時間が取れているかを確かめやすくなります。無理な詰め込みに気づくきっかけとして、掛け持ちを始める前から使っておくと安心です。

詳細を見てみる

B
確定申告や税務が不安な人向け

副業向け確定申告・税務相談サービス【リベ大税理士法人】

給与を2か所から受け取っている場合の確定申告や、期限を過ぎてしまった申告への対応について相談できるタイプです。副業先の天引きや住民税の扱いなど、自分では判断しにくいポイントを確認できます。申告もれに気づいたら、早めに相談するほど負担を小さくできます。

相談してみる

まなぶまなぶ
アルバイトの給料も、確定申告がいることがあるんだ…。会社に黙っていても、住民税で分かっちゃうんだね。
みらいみらい
そうなんです。副業先の給与は年末調整されないので、年20万円を超えたら原則として確定申告が必要です。始める前に、会社への届け出・税金・働く時間の3つをそろえておきましょう。
まなぶまなぶ
掛け持ちは、給料だけじゃなく時間と手続きも足し算なんだ。先に会社に話しておけば、Aさんももっと楽に続けられたんだね。

副業でアルバイトを掛け持ちして後悔しないために大切なのは、会社に届け出てから始めること、給与の確定申告と住民税の手続きを忘れないこと、そして本業と合わせた働く時間を管理することです。手続きと時間をそろえれば、アルバイトは家計を支える力強い味方になります。副業の税金・契約・ルールで失敗しないための考え方は、副業の税金・契約・ルールの失敗から学ぶでまとめています。

副業の税金・契約・ルールについては、副業で開業届を出して後悔する理由や、副業の報酬が支払われずに失敗した話もあわせて読んでみてください。

ABOUT ME
アバター
みらい
みんなの失敗談を共有して、たくさんの学びや共感をお届けするメディア「https://SHIPPAI.JP」を運営しています