副業の「20万円以下は申告不要」を誤解して失敗した話
副業の「20万円ルール」で失敗する人の多くは、「副業が20万円以下なら、税金の手続きは何もしなくていい」と、言葉の一部だけを覚えている人です。会社員の場合、副業などの所得が年20万円以下なら所得税の確定申告をしなくてよいことがありますが、住民税の申告は別に必要ですし、医療費控除などで確定申告をするなら副業の所得も含めて申告しなければなりません。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、20万円ルールを誤解して失敗した原因と、正しい理解のポイントを解説します。
「20万円以下だから関係ない」のはずだった
まなぶが副業を始めて最初の年のことです。Web記事の校正や資料の手直しを少しずつ引き受け、1年間の副業の収入は16万円ほどでした。ネットで調べると、「副業が20万円以下なら確定申告は不要」という言葉がたくさん出てきます。「なんだ、じゃあ何もしなくていいんだ」。まなぶは安心して、それ以上調べませんでした。
翌年の2月、まなぶは社員食堂で同僚から「医療費控除で税金が戻ってきた」という話を聞き、歯医者や耳鼻科に通い詰めた前の年の分を申告することにしました。マイナポータルと連携して医療費を取り込み、画面の案内に沿って会社の源泉徴収票の金額を入力。副業の収入の欄は、「20万円以下だから関係ない」と空欄のまま提出しました。数千円の還付が決まり、まなぶは満足していました。
その年の夏の昼休み。会社の屋上でひと息ついていたまなぶのスマホに、知り合いの税理士をしている大学時代の友人から返信が届きました。何気なく「医療費控除で税金が戻ってきたよ」と送っていたのです。「副業の分もちゃんと入れた? 確定申告をするなら、20万円以下でも副業の所得は全部入れないといけないよ。それと、住民税の申告はした?」。
まなぶは屋上の柵にもたれたまま、頭を抱えました。調べ直すと、友人の言うとおりでした。20万円以下で確定申告がいらないのは、ほかに確定申告をしない場合の話。医療費控除のために確定申告をした時点で、副業の所得も含めて申告する必要があったのです。しかも、住民税には20万円以下の例外がなく、住んでいる市区町村への申告も必要でした。
まなぶは税務署に相談して、副業の所得を加えた申告をやり直すことになりました。追加で納める税金は大きな額ではありませんでしたが、1年分の副業の収入と経費を、記憶とメールの履歴をたどって集め直すのに、週末がまるごとつぶれました。「何もしなくていい」という思い込みが、いちばん手間のかかる結果を招いたのです。住民税の申告も、市役所の窓口で教えてもらいながら、あらためて手続きをしました。
20万円ルールを誤解して失敗した原因
「申告不要」を「何もしなくていい」と思い込んだ
会社員で年末調整を受けている人は、給与以外の所得が年20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよいとされています。ただし、これはあくまで所得税の話です。住民税には20万円以下の例外がないため、確定申告をしない場合は、住んでいる市区町村に住民税の申告をする必要があります。「申告不要」という言葉だけを覚えていると、住民税の手続きがすっぽり抜け落ちてしまいます。市区町村が住民税を計算するときに会社から届くのは給与の情報だけなので、副業の分は自分で申告しない限り反映されません。
確定申告をするときは副業も含める必要があると知らなかった
医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などで確定申告をすると、20万円以下でも副業の所得をすべて含めて申告する必要があります。20万円ルールは「確定申告をしない場合」の話であって、「副業の所得を書かなくてよい」という意味ではないのです。医療費控除で確定申告をするときの注意点は、医療費控除を申告せずに後悔する理由でも紹介しています。
売上と所得の違いをあいまいにしていた
20万円の基準は、副業の売上ではなく、売上から経費を引いた「所得」で考えます。売上が20万円を超えていても、経費を引いた所得が20万円以下なら確定申告がいらない場合もあれば、逆に、経費がほとんどなく所得がそのまま20万円を超える場合もあります。売上と経費を記録して、所得をきちんと計算しておかないと、自分がどちらに当てはまるのかすら判断できません。経費の考え方は、副業の経費で失敗する人の特徴5選で紹介しています。
自分の状況に当てはまるかを確かめなかった
20万円ルールは、会社員なら誰にでも当てはまるわけではありません。給与を2か所から受け取っている場合や、年末調整を受けていない場合などは、扱いが変わることがあります。ネットの一言だけで判断せず、自分の状況に当てはめて確かめることが大切です。申告が必要になる所得のラインについては、副業の確定申告で失敗した話でも触れています。
少額だからと記録をつけていなかった
「20万円以下だから関係ない」と思っていると、収入や経費の記録もつけなくなりがちです。しかし、申告が必要になったときや、税務署から確認があったときに説明できるのは、記録があるときだけです。少額のうちから記録をつけておくことが、結果的にいちばん手間を減らします。まなぶが週末をまるごと使うことになったのも、記録がなかったからでした。
20万円ルールを誤解する人と、正しく使える人の違い
20万円ルールで失敗しないためのチェックリスト
20万円ルールは、正しく理解していれば、手続きの手間を減らせる便利な仕組みです。自分がどのケースに当てはまるか、次の項目で確認してみてください。
- 副業の売上と経費を記録し、「所得」がいくらかを計算している
- 20万円ルールは「所得税の確定申告」の話で、住民税は別だと理解している
- 医療費控除などで確定申告をするときは、副業の所得も含めると決めている
- 確定申告をしない年は、市区町村への住民税の申告を忘れずにしている
- 給与を2か所から受けているなど、自分が例外に当たらないか確かめた
- 迷ったときは、税務署や市区町村の窓口に確認している
住民税の申告は、確定申告に比べて知られていませんが、住んでいる市区町村の窓口や、自治体によっては郵送やオンラインで手続きできます。申告の時期は確定申告とほぼ同じ時期です。「所得税は確定申告、住民税は市区町村」と、2つの税金を分けて覚えておくと、手続きの抜けを防げます。住民税の通知が会社に届くしくみと、副業が会社に知られる関係については、副業がバレて後悔する理由で紹介しています。
副業の税金の判断で迷ったときは
少額の副業でも、記録をつけておくことと、迷ったときに相談できる先を持っておくことが、手続きの失敗を防ぎます。
副業向け確定申告・税務相談サービス【リベ大税理士法人】
利益が出た場合の確定申告や、経費計上について相談できるタイプです。自分が20万円ルールに当てはまるのか、住民税の申告が必要なのかなど、少額の副業でも迷いやすい部分を確認できます。自己流で処理して後から慌てるより、早めに相談しておく方が安心です。
サブスク管理・家計簿アプリ【マネーフォワードME (ミー)】
収入と支出を一覧で記録できるタイプです。副業の報酬や経費を少額のうちから記録しておけば、1年分の所得をすぐに計算でき、申告が必要かどうかの判断にも役立ちます。見落としがちな支出を可視化する助けにもなります。
まなぶ
みらい
まなぶ20万円ルールで失敗する原因は、制度そのものの難しさよりも、言葉の一部だけを覚えてしまうことにあります。所得で考えること、住民税は別であること、確定申告をするなら副業も含めること。この3つを押さえておけば、少額の副業でも安心して続けられます。副業の税金・契約・ルールで失敗しないための考え方は、副業の税金・契約・ルールの失敗から学ぶでまとめています。
副業そのもので失敗しないためのポイントは、副業で失敗する人の共通点もあわせて読んでみてください。

