結論

役に立たない資格を取って後悔する人の多くは、「資格は持っていて損はない」「取れば何かの役に立つはず」と考えて、その資格が仕事や生活のどこで使えるのかを確かめないまま、取りやすいものから次々に取ってしまう人です。合格の証書は増えても、仕事の中身も、評価も変わらない。かけた時間とお金だけが積み重なっていきます。資格は「集めるもの」ではなく、「使う場面から逆に選ぶもの」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、役に立たない資格を取って後悔する理由と、使える資格の見つけ方を解説します。

1失敗ストーリー

3年で4つの資格を取っても、何も変わらなかったAさんの話

ビルの防災訓練の待ち時間に、同じビルで働くAさんから、役に立たない資格を取った失敗談を聞くまなぶのイラスト

10月のある平日、まなぶの会社が入っているビルで、防災訓練が行われました。非常階段で外に出て、ビルの前の広場で待っていると、隣に並んだのが、同じビルの別の会社で働くAさん(30代女性)でした。Aさんは、物流会社の事務の仕事をしています。訓練の終わりを待つあいだ、資格の話になると、Aさんは「私、資格だけはたくさん持っているの。でも、どれも使えていなくて」と苦笑いしました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

Aさんは、20代の終わりごろから、「このままでいいのかな」という不安を感じるようになりました。何か形に残るものがほしい。そう思って、雑誌やネットで「取っておくと安心な資格」を調べ、色彩の検定、秘書の検定、医療事務の資格、整理収納の資格と、3年で4つの資格を取りました。どれも、数か月の勉強で取れるものばかりでした。合格するたびに、少しだけ自信がついた気がしたそうです。部屋の壁には、合格の証書が並んでいきました。

けれども、今の事務の仕事で、その資格を使う場面はほとんどありませんでした。会社の資格手当の対象にもなっておらず、評価の面談で話しても、上司は「勉強熱心だね」と言うだけでした。医療事務の資格を生かして病院で働くことも考えましたが、求人を見ると、多くが経験者を求めていて、今の給料より条件の下がるものばかりでした。4つの資格のどれも、「どこで使うか」を考えずに取っていたのです。

受講料や受験料、テキスト代を合わせると、3年でかなりのお金を使っていました。休日の多くも、勉強に使っていました。「資格を取ることが、目的になっていたんだと思う。不安を、合格の証書でうめようとしていたのかもしれない」。訓練の終わりを知らせる放送が流れる中、Aさんは、ビルを見上げながら、そう話してくれました。

2原因分析

役に立たない資格を取って後悔する理由

1

取ること自体が、目的になっていた

将来への不安から資格を取り始めると、「何か形に残るもの」を手に入れることが目的になりがちです。合格すれば一時的に安心できますが、不安の元になっている「これからどう働きたいか」は、何も解決していません。資格を選ぶ前に、「この資格を取って、何ができるようになりたいのか」を一行で書き出すことが大切です。書き出せない資格は、今の自分にとっては、取らなくてもよい資格なのかもしれません。目的が先に決まれば、必要な資格は自然としぼられていきます。

2

今の仕事や会社の中での使い道を、調べていなかった

会社によっては、資格に手当がついたり、評価の項目に入っていたりします。反対に、どれだけ資格を取っても、仕事や評価には関係しない会社もあります。資格を取る前に、会社の資格手当や評価の決まりを確かめ、上司に「この資格は、今の仕事で生かせますか」と聞いてみると、使い道がはっきりします。上司から「それなら、こんな資格のほうが役に立つ」と教えてもらえることもあります。社内で同じ資格を持っている人がいれば、どう使っているかを聞いてみるのも効果的です。

3

資格だけで、仕事ができると思っていた

資格は、その分野の基本の知識を持っていることの証です。けれども、多くの仕事では、資格よりも、実際に仕事をした経験が重く見られます。仕事を変えるために資格を取るなら、その仕事の求人を見て、資格と経験のどちらがどのくらい求められているかを先に確かめることが大切です。資格を取るだけでなく、今の職場で近い仕事を経験できないかも、あわせて考えてみましょう。資格と経験がそろってはじめて、新しい仕事への道が開けることも多いのです。

4

取りやすさで、資格を選んでいた

数か月で取れる資格は、始めやすく、合格の達成感も得られます。けれども、取りやすい資格は、多くの人が持っていて、それだけでは強みになりにくいこともあります。「取りやすいかどうか」ではなく、「自分の目的にどれだけ近づけるか」で資格を比べるようにしましょう。目的に合うなら、少し時間がかかる資格に挑戦するほうが、結果として近道になることもあります。反対に、目的に合う取りやすい資格があれば、それは最初の一歩として、とてもよい選び方です。

5

かけた時間とお金を、合わせて考えていなかった

一つひとつの資格の費用は大きくなくても、いくつも重ねると、受講料・受験料・テキスト代・更新の費用などが積み重なります。休日の時間も、勉強に使われていきます。次の資格を取る前に、これまでにかけた時間とお金を書き出してみましょう。そのうえで、次に使う時間とお金を、どの目的に向けるのがいちばんよいかを考えると、資格を集めるのではなく、選んで取る考え方に変わっていきます。かけられる時間とお金には限りがあるからこそ、一つの目的に集めることが大切です。

3図解

資格を集める人と、使う場面から選ぶ人の違い

⚠ 役に立たない資格を取って後悔する人のパターン
不安から、「持っていて損はない」資格を探す
↓
取りやすい資格を、使い道を調べずに次々と取る
↓
会社の決まりや求人を確かめず、資格だけで変わると思う
↓
合格の証書は増えても、仕事も評価も変わらない
◎ 使える資格を選べる人のパターン
資格を取って、何ができるようになりたいかを書き出す
↓
会社の決まりや求人で、使い道と求められ方を確かめる
↓
目的に近づける資格を一つ選び、経験もあわせて積む
↓
取った資格が仕事に生かされ、次の一歩につながる
4解決策

役に立たない資格を取って後悔しないためのチェックリスト

次の資格を取ろうと思ったら、申し込む前に、次の項目を確かめてみてください。少し立ち止まるだけで、資格選びはぐっと的確になります。

  • この資格を取って、何ができるようになりたいかを書き出した
  • 会社の資格手当や評価の決まりを確かめた
  • 上司に、今の仕事で生かせるかを聞いた
  • 仕事を変えるなら、求人で資格と経験の求められ方を確かめた
  • 取りやすさではなく、目的に近づけるかで比べた
  • これまでにかけた時間とお金を、書き出してみた

Aさんは、防災訓練の少し前から、資格の選び方を変えたそうです。まず、「これからどう働きたいか」を考え、物流の事務の経験を生かして、会社の中でお金や数字を扱う仕事に関わりたいと書き出しました。上司に相談すると、「それなら、経理の仕事を少し手伝ってみる?」と声をかけてもらえ、今は週に何回か、請求書の確認の仕事を任されています。次に取る資格は、その仕事で使えるものにしぼると決めたそうです。「取ってから使い道を探すんじゃなくて、使う場面から資格を選べばよかったんだね」。Aさんは、そう言って、ビルの中へ戻っていきました。

5おすすめサービス

資格と学び直しで後悔しないために

使える資格を選ぶには、自分の強みを客観的に整理しておくことと、目的に合う資格と講座を比べて選ぶことが役立ちます。

A
自分の市場価値やキャリアの方向性を客観視したい人向け

市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】

第三者視点で、自分の強みや適性、これまでのキャリアの棚卸しを手伝ってもらえるタイプです。自分の強みが分かると、その強みを伸ばす資格はどれかを考えやすくなり、資格を集めるだけの状態から抜け出すきっかけになります。

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B
幅広い資格から比べて選びたい人向け

資格取得・キャリアアップの【ヒューマンアカデミー】

いろいろな分野の資格講座がそろっていて、目的に合うものを比べて選べるタイプです。「持っていて損はない」で選ぶのではなく、無料の相談で「取って何をしたいか」を話し、使い道のある資格にしぼるきっかけにできます。

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まなぶまなぶ
3年で4つも資格を取ったのに、どれも使えていなかったなんて…。
みらいみらい
資格は、集めるものではなく、使う場面から逆に選ぶものです。取って何ができるようになりたいかを書き出して、会社の決まりや求人で使い道を確かめましょう。取りやすさではなく、目的に近づけるかで選ぶことが大切です。
まなぶまなぶ
使う場面が先にあってこそ、資格が生きるんですね。

役に立たない資格を取って後悔する原因は、持っていて損はないと考えて、使い道を確かめないまま、取りやすい資格を次々に取ってしまうことです。目的を書き出し、会社や求人で使い道を確かめ、目的に近づける資格を選び、かけた時間とお金を見直す。それだけで、取った資格がきちんと生きるようになります。資格選びで失敗しないための考え方は、資格選びの失敗から学ぶでまとめています。

資格選びについては、人気ランキングで資格を選んで失敗した話や資格の選び方で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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