結論

内定から退職までの期間に失敗する人の多くは、内定をゴールだと思い、そこから入社までの道のりを「退職日から逆算して」組み立てていない人です。入社日の即答、引き止めへの即答、最終出社日までの気の緩み、退職後の手続きの後回し。どれもばらばらの失敗に見えますが、根っこにあるのは「内定のあとにやることの全体像を見ていなかった」という一つの原因です。この記事では、まなぶが内定から退職までに経験した失敗を振り返りながら、この期間を落ち着いて乗り切るための考え方と、時系列のチェックリストを紹介します。

1失敗ストーリー

後輩の相談に、紙ナプキンで答えた日

駅前のカフェで、内定をもらった後輩に紙ナプキンへ入社までの線を描いて説明しながら、自分の失敗の共通点に気づくまなぶのイラスト

ある土曜日の午後、まなぶは後輩に呼び出されて、駅前のカフェにいました。「まなぶさん、転職先から内定をもらったんです。でも、ここから何をすればいいのか分からなくて」。うれしそうな顔の奥に、不安がのぞいていました。

まなぶは、自分のこれまでを思い出しました。初めて転職を考えたときは、引き止めに流されて内定を辞退し、1年後に後悔したこと。改めて内定をもらったときは、うれしさのあまり入社日を即答して、あとから延期をお願いしたこと。最後の2週間は気が緩み、資料の持ち出しや挨拶の不足で、気まずい辞め方をしたこと。そして退職後は、源泉徴収票の受け取りや確定拠出年金の手続きを後回しにして、半年以上たってから慌てたこと。

「ちょっと待って」。まなぶはテーブルの紙ナプキンを1枚取り、ペンで横に1本の線を引きました。右端に「入社日」、少し左に「退職日」、そこからさらに左へ「有給休暇」「引き継ぎ」「退職の申し出」、左端に「内定」。線の下には、それぞれの時期にやることを書き込んでいきます。

書き終えて、まなぶは手を止めました。自分の失敗は全部、この線のどこかで起きていた。しかもどれも、この線を最初に一度でも描いていれば防げたものばかりでした。「内定って、ゴールじゃなくて、ここからがスタートなんだよ」。後輩に向けて言いながら、それは過去の自分に一番言いたかった言葉だと、まなぶは気づきました。内定の連絡をもらったあの日に、この線を一本引いていれば、どれだけ落ち着いて動けただろう、と。

後輩は、紙ナプキンをスマホで撮って「これ、家に貼っておきます」と笑いました。内定から退職までは、思っているよりずっとやることが多く、順番が大切な期間。まなぶは、自分の失敗がようやく誰かの役に立ったような気がしました。

2原因分析

内定から退職までに失敗する5つの原因

1

内定をゴールだと思っている

長い転職活動の末に内定をもらうと、どうしても「やっと終わった」という気持ちになります。しかし、内定のあとには、入社日の調整、退職の申し出、引き継ぎ、有給休暇の消化、退職後の手続きと、やることがたくさん待っています。内定は、新しい職場へ移るための準備期間のスタートだと考えると、その後の動き方が大きく変わります。一般的に、内定から入社までは1〜3か月ほどかかることが多く、その間に今の会社と転職先の両方とやり取りを続けることになります。

2

スケジュールを退職日から逆算していない

入社日を決めるにも、退職を切り出すにも、まず必要なのは「いつ辞められるか」の見通しです。就業規則の申し出期限、引き継ぎの期間、有給休暇の残りを確かめ、退職日から逆算してはじめて、無理のない入社日が見えてきます。逆算せずに決めた日程は、どこかで必ず無理が出ます。まなぶが入社日の延期をお願いすることになったのも、この逆算をしていなかったからでした。

3

言いにくいことほど、その場で答えるか先延ばしにする

引き止めの条件、入社日の変更、取引先への挨拶。この期間には、言いにくいことや決めにくいことが次々と出てきます。気まずさから、その場で答えてしまったり、逆に連絡を先延ばしにしたりすると、あとで大きな問題になります。「持ち帰って考える」「気づいた時点ですぐに連絡する」という2つの原則を決めておくだけで、多くの失敗は防げます。まなぶの場合、引き止めには即答して後悔し、入社日の変更は言い出しにくくて連絡が遅れました。どちらも、この原則を知っていれば避けられた失敗でした。

4

「辞める会社」「入る会社」「自分」の手続きを分けて把握していない

内定から退職までの手続きには、今の会社とのやり取り、転職先とのやり取り、そして自分で役所や金融機関などに行う手続きの3種類があります。これを混ぜて考えると、「どちらかがやってくれるだろう」という思い込みが生まれ、抜けが出ます。特に確定拠出年金の移換や、空白期間の健康保険・年金の切り替えは、自分で動かなければ誰もやってくれない手続きです。

5

気持ちの切り替えが早すぎる

転職先が決まると、気持ちは一気に新しい職場に向かいます。しかし、退職日までは今の会社の一員です。気持ちだけ先に辞めてしまうと、仕事の質が落ち、最後の印象を悪くしてしまいます。体は今の会社に、準備は次の会社にという意識で、最後の日まで両方を丁寧に進めることが大切です。退職日までの働き方は、前の職場の人たちとのこれからの関係にもつながっていきます。

3図解

内定から退職までに失敗する人と、落ち着いて乗り切る人の違い

⚠ 内定から退職までに失敗する人のパターン
内定をゴールだと思い、気持ちが一気に次の職場へ向かう
↓
入社日や引き止めへの答えを、その場の勢いで決める
↓
退職後の手続きは「誰かがやってくれる」と後回しにする
↓
延期のお願い、気まずい辞め方、手続きの抜けが次々に起きる
◎ 内定から退職までを落ち着いて乗り切る人のパターン
内定が出たら、入社日までの線を引き、やることを書き出す
↓
退職日から逆算して入社日を決め、言いにくいことは早めに伝える
↓
今の会社・転職先・自分の手続きを分けて一つずつ終わらせる
↓
前の職場とも良い関係のまま、安心して新しい職場に移れる
4解決策

内定から入社までの時系列チェックリスト

まなぶが紙ナプキンに描いた線を、チェックリストにまとめました。内定が出たら、まずこの順番で全体を確認してみてください。

  • 【内定〜承諾】回答期限を確認し、条件を書面で確かめてから承諾する
  • 【承諾前】就業規則の退職の申し出期限、引き継ぎの期間、有給休暇の残りを確認する
  • 【承諾時】退職日から逆算し、少し余裕を持たせた入社日を伝える
  • 【退職の申し出】辞めたい理由を書き出してから伝え、引き止めには即答しない
  • 【引き継ぎ〜最終出社日】情報を持ち出さず、取引先や関係者に直接挨拶する
  • 【最終出社日】返すものを返し、受け取る書類と届く時期を確認する
  • 【退職後〜入社】確定拠出年金の移換、空白期間の保険・年金・住民税の手続きを済ませる

このチェックリストは、一つひとつは難しいものではありません。大切なのは、内定が出たその日に、入社日までの全体を一度見渡すことです。全体が見えていれば、どこに時間がかかりそうか、何を先に確かめるべきかが自然と分かります。内定の承諾や辞退そのものの判断で迷う人は、複数内定から選べず後悔する理由や、内定辞退で失敗する人の特徴5選も参考にしてください。退職の切り出し方は、退職交渉で後悔する理由で紹介しています。

5おすすめサービス

内定から入社までを一人で抱え込まないために

内定から入社までの期間は、転職先との調整とお金の手続きが同時に進みます。それぞれに頼れる先があると、ぐっと落ち着いて進められます。

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求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプ。内定後の条件や入社日のすり合わせも担当者が間に入って進めてくれる場合があり、退職日から逆算した無理のないスケジュールを組みやすくなります。まず全体像を把握したい人に向いています。

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将来のライフイベントを踏まえた資金計画を相談できるタイプです。転職にともなう収入の変化や、空白期間の保険・年金、確定拠出年金の扱いなど、お金の手続きを第三者の視点で整理できます。転職や住宅購入など、具体的なイベントを踏まえたアドバイスをもらえることもあります。

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まなぶまなぶ
自分の失敗を紙に並べてみたら、全部「内定のあと」の一本の線の上で起きていたんです。
みらいみらい
内定はゴールではなく、新しい職場へ移るためのスタートです。最初に全体の線を引いておけば、落ち着いて一つずつ進められますよ。
まなぶまなぶ
後輩にも、自分の次の転職にも、この線を最初に引くようにします!

内定から退職までの失敗は、一つひとつは小さな判断ミスでも、全体像を見ていないことでつながって起きていきます。内定が出たら入社日までの線を引き、退職日から逆算し、言いにくいことは早めに伝え、手続きは自分で一つずつ終わらせる。それだけで、この期間はずっと落ち着いたものになります。内定から退職までの流れの中でつまずきやすい場面については、次の記事も参考にしてください。

転職そのもので後悔しないためのポイントは、転職して後悔した人の特徴7選もあわせて読んでみてください。

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