退職するときに転職先を話して後悔する理由
退職するときに転職先を話して後悔する人の多くは、同僚に聞かれるまま、退職日より前に転職先の社名を話してしまう人です。話した相手に悪気がなくても、社名はあっという間に広まり、取引先に伝わったり、上司を困らせたり、転職先に迷惑をかけたりすることがあります。転職先を前の会社に伝える義務は、通常ありません。「聞かれたら答えるもの」ではなく、「いつ、誰に、どこまで話すか」を自分で決めるものです。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、退職するときに転職先を話して後悔する理由と、上手な答え方を解説します。
給湯室のひとことが、取引先にまで広まっていた話
2年前の夏、まなぶは前の会社に退職を伝えました。退職日は9月末で、12月から新しい会社で働くことが決まっていました。上司に退職を伝えた翌日、給湯室でコーヒーを入れていると、同じフロアの先輩が声をかけてきました。「聞いたよ、辞めるんだって? 次はどこに行くの?」。
隠すのも気が引けたまなぶは、「実は○○社なんです」と、転職先の社名をそのまま答えました。先輩は「いいところじゃん」と喜んでくれて、まなぶもなんだかうれしくなりました。その日から、何人かに聞かれるたびに、同じように社名を話しました。
1か月ほどたったある日、まなぶは上司と一緒に、担当していた取引先へ引き継ぎのあいさつに行きました。応接室で名刺を交換した直後、取引先の担当者が笑顔で言いました。「○○社に行かれるんですってね。あちらとは、うちもお付き合いがあるんですよ」。隣に座っていた上司の顔が、一瞬こわばったのを、まなぶは見逃しませんでした。
帰り道、上司は静かに言いました。「転職先のことは、本人が決めることだから責めはしない。でも、取引先に先に知られると、引き継ぎの話がしにくくなるんだ。辞めるまでは、社名は控えてほしかったな」。さらに、まなぶの転職先は、前の会社の取引先の一つと競合する会社でした。担当者のひとことは、前の会社の営業にとって気まずい話題になっていたのです。
入社前には、転職先の人事からも「入社前のSNSなどへの投稿は控えていただけると助かります」と念を押されました。まなぶは、すでに友人限定のSNSで「12月から新しい会社です」と書いていたことを思い出し、あわてて投稿を消しました。「うれしい話だからと、話しすぎていた」。まなぶは、退職の日まで、転職先の話を自分からはしないと決めました。
退職するときに転職先を話して後悔する理由
転職先を話す必要があると思い込んでいた
退職するときに、前の会社へ転職先を伝える義務は、通常ありません。上司や人事に聞かれても、「まだお伝えできる段階ではないので」「同じ業界の会社です」のように、答えをぼかしてかまいません。ただし、就業規則で同業他社への転職について届け出を決めている会社や、退職時の誓約書で確認される場合もあります。まずは会社のルールを確かめ、そのうえで、話すかどうかを自分で決めることが大切です。
社内で話した情報が、外に広まると考えなかった
同僚に話した転職先の社名は、悪気のない雑談の中で、別の部署や取引先にまで広まることがあります。とくに取引先と付き合いの深い仕事では、担当者の転職は相手にとっても関心ごとです。社内で話したことは、社外に伝わるかもしれないと考えておきましょう。取引先へのあいさつのしかたや伝える内容は、上司と相談して会社の方針に合わせるのが基本です。後任の紹介を先にするなど、取引先に安心してもらえる順番を考えましょう。
退職日までの人間関係への影響を考えなかった
転職先によっては、前の会社の人にとって複雑な気持ちになることもあります。競合する会社や、取引先と関わりのある会社であればなおさらです。まだ数か月一緒に働く職場で、余計な気まずさをつくってしまうと、引き継ぎや最後の仕事の進め方にも影響します。転職先の評判や待遇を話題にすると、比べられているように感じる人もいるかもしれません。退職日までは「今の会社の一員」として過ごす意識が、円満な退職につながります。
転職先の立場を考えていなかった
転職先の会社にとって、入社前の社員の情報が広まることは、必ずしもうれしいことではありません。採用の計画や配属を社外に知られたくない場合もありますし、前の会社との関係に配慮していることもあります。入社前にSNSで社名を出すのは、転職先から「控えてほしい」と言われる前に、自分で控えておくのが安心です。
引き止めや詮索のきっかけを、自分でつくってしまった
転職先の社名を話すと、「あそこは大変らしいよ」「その条件ならうちでも出せる」と、引き止めや詮索のきっかけになることがあります。気持ちが揺れて、決めたはずの転職に迷いが生まれることもあります。引き止めに応じて残った場合に起きやすいことは、引き止めに応じて残留し後悔する理由でも紹介しています。退職の話し合いをすっきり進めるためにも、転職先の情報は必要な範囲にとどめましょう。
聞かれるまま話す人と、話す範囲を決めておく人の違い
転職先を話して後悔しないためのチェックリスト
転職先の話は、聞かれてから考えると、つい答えてしまうものです。退職を伝える前に、次の項目を決めておきましょう。
- 就業規則や誓約書で、転職先の届け出についての決まりがあるか確かめた
- 転職先を誰に、いつ伝えるか(伝えないか)を決めた
- 聞かれたときの答え方(「同じ業界です」「落ち着いたらお知らせします」など)を用意した
- 取引先へのあいさつのしかたと伝える内容を、上司と相談した
- 入社前に、SNSで転職先の社名を出さないことにした
- 転職先から、入社前の情報の扱いについて希望がないか確かめた
- 退職日までは、今の会社の一員として仕事を締めくくることを意識した
まなぶは今、後輩から転職の相談を受けると、「次の会社の名前は、入社してから話せば十分だよ」と伝えています。聞かれたときは「同じような仕事を続けます。落ち着いたら連絡しますね」と答えればいい、と自分の失敗を交えて話すそうです。入社してしばらくたってから、お世話になった前の会社の先輩たちには、あらためて新しい会社のことを報告しました。「落ち着いてから聞いたほうが、こっちも素直に応援できるよ」と言ってもらえたのが、うれしかったそうです。最終出社日までの過ごし方は、最終出社日までの過ごし方で失敗しない方法で、退職の切り出し方は、退職交渉で後悔する理由でも紹介しています。
転職を最後まで丁寧に進めるために
退職の伝え方や、前の会社との関係で迷ったときは、退職までの流れに詳しい相談相手がいると安心です。
転職エージェント【ワークポート】
退職の伝え方や引き止めへの対応まで、事前にアドバイスをもらえるタイプです。転職先のことを聞かれたときの答え方や、取引先へのあいさつの進め方など、退職日までの過ごし方も相談できます。
転職成功実績1万【リクルートエージェント】
求人の紹介から内定後のフォローまで相談できるタイプです。入社前に気をつけたいことや、前の会社との関係で迷ったときの考え方など、転職を最後まで進めるためのアドバイスをもらえます。
まなぶ
みらい
まなぶ退職するときに転職先を話して後悔する原因は、聞かれるまま社名を答え、社内や取引先への広まり方や、上司・転職先の立場を考えないことです。会社のルールを確かめ、話す範囲と答え方を決め、取引先へのあいさつは上司と相談する。それだけで、退職日まで落ち着いて働き、気持ちよく次の職場へ移れます。内定から退職までの流れで失敗しないための考え方は、内定から退職までの失敗から学ぶでまとめています。
内定・退職手続きについては、退職日の決め方で失敗する人の特徴5選や入社までの準備期間で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

