結論

IT企業のビジネス職への転職で失敗する人の多くは、「IT企業は意思決定が速くて、自由で、新しいことに挑戦できる」というイメージだけで会社を選び、その会社の規模やビジネスの仕組み、仕事の進め方を確かめないまま入社してしまう人です。エンジニアでなくても、営業やカスタマーサクセス、企画など、IT企業で活躍できるビジネス職はたくさんあります。けれど、「IT企業」とひとくくりにせず、一社ずつ中身を確かめなければ、入社後に「思っていた会社と違う」と感じることになります。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、IT企業のビジネス職への転職で失敗しないためのポイントを解説します。

1失敗ストーリー

「IT企業なら、速くて自由」だと思っていた

IT企業に入社した12月の夜、ひとり暮らしの部屋で、会議で分からなかったIT用語をノートPCで一つずつ調べるまなぶのイラスト

2年前の秋、まなぶが転職先に選んだのは、企業向けのシステムを扱うIT企業の営業企画の仕事でした。前の会社では、どんな小さな提案も何人もの上司のはんこが必要で、資料を作っては直す毎日でした。「IT企業なら、意思決定が速くて、若手でもどんどん企画を任せてもらえるはず」。ニュースで見るIT企業の自由な働き方に憧れ、まなぶは会社の規模も、どんなビジネスをしている会社なのかも、くわしく調べないまま入社を決めました。

12月に入社して、まなぶはすぐに戸惑いました。その会社は社員が千人を超える大きな会社で、新しい施策を一つ通すにも、部長、事業部長、関係する部署へと、いくつもの承認が必要でした。しかも、会社の売上の多くは、ほかの会社から頼まれてシステムを作る受託の仕事です。自社のサービスを自由に育てていくような仕事は、ほとんどありませんでした。まなぶの役割は、営業部のための提案資料を作り、承認を待つことでした。

会議では、聞いたことのない言葉が当たり前のように飛び交いました。「今期のKPIは」「このSaaSの解約率が」「API連携の要件は」。まなぶは、メモを取るだけで精一杯で、議論に加わることができませんでした。お客さまに提案するシステムの仕組みも、よく分からないまま資料を作っていたのです。夜、家に帰ってから用語を一つずつ調べる日が、何週間も続きました。

「IT企業」という言葉に期待していた働き方は、会社の規模や、ビジネスの仕組みによってまったく違うものでした。自分が見ていたのは「IT企業」というイメージで、入ろうとしていた一つの会社の中身ではなかった。まなぶは、入社して数か月たってから、ようやくそのことに気づきました。今は、製品の勉強を続けながら、少しずつ企画の会議にも呼ばれるようになっています。

2原因分析

IT企業のビジネス職への転職で失敗しないための5つのポイント

1

「IT企業」ではなく、会社の規模と段階で見る

IT企業と一口にいっても、社員が数十人の立ち上げ期の会社から、千人を超える大きな会社までさまざまです。意思決定の速さや、任される仕事の広さは、業界よりも会社の規模と成長の段階で大きく変わります。小さな会社では一人が幅広い仕事を担う一方、仕組みが整っていないこともあります。大きな会社では役割が細かく分かれ、承認の手順もしっかりしています。自分がどんな環境で働きたいのかを先に決め、そのうえで会社を選びましょう。

2

ビジネスの仕組みを確かめる

IT企業の稼ぎ方には、自社のサービスを月額などで提供する会社、ほかの会社から頼まれてシステムを作る会社、他社の製品を販売する会社などがあります。ビジネスの仕組みが違えば、ビジネス職に求められる役割も、毎日の仕事もまったく変わります。会社のホームページや決算の資料で、売上の多くがどこから来ているのかを確かめておくと、入社後の仕事が想像しやすくなります。

3

ビジネス職の種類と役割を知る

IT企業のビジネス職には、新しいお客さまを開拓する営業、契約したお客さまがサービスを使いこなせるよう支えるカスタマーサクセス、営業の戦略や資料を担う営業企画、マーケティングなど、さまざまな種類があります。同じ「営業企画」でも、戦略を考える仕事なのか、資料を作る仕事なのかは会社によって違います。面接では、入社後1年で任される仕事を具体的に聞いておきましょう。職種名だけで選ぶ失敗については、企画・マーケティング職への転職で後悔する理由でもくわしく紹介しています。

4

製品とIT用語の基本を、入社前に学ぶ

ビジネス職でも、自社の製品の仕組みや、IT業界でよく使われる言葉を知らなければ、お客さまへの提案も社内の議論もむずかしくなります。KPI、SaaS、解約率、API連携など、よく出てくる言葉の意味を押さえておくだけでも、入社直後の負担は大きく減ります。応募する会社の製品を実際に試してみたり、紹介の動画を見たりするのもおすすめです。面接で製品への理解を話せれば、それ自体がアピールにもなります。

5

仕事の進め方を、働いている人に聞く

求人票や会社のホームページには、「スピード感」「挑戦できる環境」といった言葉が並びがちです。けれど、実際にどれくらいの速さで物事が決まるのか、新しい提案はどんな手順で通るのかは、働いている人に聞かなければ分かりません。面接の逆質問や、社員との面談の機会を使って、「最近通った企画は、どんな流れで決まりましたか」と聞いてみましょう。口コミサイトで、実際に働いた人の声を確かめておくのも役に立ちます。

3図解

IT企業への転職で失敗する人と、納得して働ける人の違い

⚠ IT企業のビジネス職への転職で失敗する人のパターン
「IT企業は速くて自由」というイメージで会社を選ぶ
↓
会社の規模やビジネスの仕組みを確かめずに入社する
↓
製品の仕組みやIT用語を知らないまま働き始める
↓
承認の多さや仕事の中身に戸惑い、議論にも加われない
◎ IT企業のビジネス職で納得して働ける人のパターン
会社の規模と成長の段階から、働き方を想像する
↓
ビジネスの仕組みと、ビジネス職の役割を確かめる
↓
製品とIT用語の基本を学び、仕事の進め方を社員に聞く
↓
入社前の想像と実際の仕事が近く、早くなじんで力を発揮できる
4解決策

IT企業のビジネス職に応募する前のチェックリスト

IT企業のビジネス職は、エンジニアでなくても力を発揮できる仕事です。応募する前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 応募する会社の社員数と、成長の段階を調べた
  • 会社の売上の多くがどこから来ているのかを確かめた
  • 応募する職種が、営業・カスタマーサクセス・企画などのどれにあたるのかを確かめた
  • 入社後1年で任される仕事を、面接で具体的に聞いた
  • 応募する会社の製品を試したり、紹介の動画を見たりした
  • よく使われるIT用語の意味を、ひと通り調べた
  • 新しい提案がどんな流れで決まるのかを、社員や口コミで確かめた

まなぶは今、会社の製品を自分でも使いながら、お客さまがどんな場面で困っているのかを資料に書き添えるようにしています。「IT企業」という言葉に期待するのではなく、その会社の中身を知ることが、IT企業で力を発揮する近道になる。まなぶは、2年前の戸惑いから、そのことを学びました。

※IT業界の用語や職種の名前は、会社によって意味する範囲が違うことがあります。分からない言葉は、面接や面談の場で、その会社での意味を確かめておくと安心です。
5おすすめサービス

IT企業の中身を、入社前に確かめるために

IT企業への転職では、会社ごとの違いを知ることが何より大切です。実際に働く人の声と、求人をよく知る専門家の情報を組み合わせて確かめるのがおすすめです。

B
社風や雰囲気まで調べたい人向け

企業口コミ・評判サービス【エン カイシャ】

実際に働いた人の声から、事業内容や社風、仕事の進め方の実態を確認できるタイプです。「スピード感がある」と書かれた会社でも、本当に意思決定が速いのかを、働いた人の言葉で確かめられます。気になった点は、面接の逆質問の材料にもなります。

口コミを見てみる

A
幅広い業界を見たい人向け

転職成功実績1万【リクルートエージェント】

求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプ。IT企業のビジネス職の求人も多く、会社の規模やビジネスの仕組みの違いを比べながら探せます。まず全体像を把握したい人に向いています。

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まなぶまなぶ
「IT企業なら速くて自由」と思って入ったら、承認の多い大きな会社で、会議の言葉も分からなくて…。
みらいみらい
IT企業の働き方は、会社の規模やビジネスの仕組みで大きく変わります。イメージではなく、一社ずつ中身を確かめましょう。
まなぶまなぶ
「IT企業」じゃなく、「その会社」を見るんですね。

IT企業のビジネス職への転職で失敗する原因は、「IT企業」というイメージだけで会社を選び、規模やビジネスの仕組み、仕事の進め方を確かめないまま入社してしまうことです。会社の規模と段階を見て、ビジネスの仕組みと職種の役割を確かめ、製品と用語を学び、仕事の進め方を働く人に聞く。それだけで、入社後のギャップは大きく減らせます。業界や職種を変える転職で失敗しないための考え方は、公務員から民間転職の失敗から学ぶでまとめています。

業界・職種を変える転職については、企画・マーケティング職への転職で後悔する理由や銀行からの転職で後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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