結論

投資や資産形成で失敗する人の多くは、そのお金を「何のために」「いつ使うのか」を決めないまま、目の前の値動きや、まわりの人の言葉で、買う・売る・やめるを決めてしまう人です。人気の商品への乗り換え、値下がりでの積立の停止、窓口で勧められるままの契約、使う直前まで値動きのある商品に預けたままの教育資金。一つひとつは別の失敗に見えますが、根っこにあるのは、お金の目的と時期を決めず、自分の投資のルールを持っていないことです。この記事では、まなぶ自身と、まなぶが聞いた人たちの失敗を振り返りながら、その共通点と「自分の投資ルール」の作り方を紹介します。

1失敗ストーリー

どの失敗も、「自分で決めたルール」がなかった

秋の喫茶店の窓ぎわの席で、これまでの投資の失敗を振り返り、ノートに自分の投資ルールを書き始めるまなぶのイラスト

10月のある日曜日、まなぶは、近所の喫茶店の窓ぎわの席で、ノートを広げていました。投資を始めてから数年。その間の失敗を、一度きちんと振り返ってみようと思ったのです。夏に実家で作ったライフイベント表のおかげで、これからのお金の流れは少し見えるようになっていました。けれど、増やすためのお金については、まだ自分のやり方が定まっていませんでした。

最初の失敗は、SNSで見かけた「今買わないと一生後悔する」という言葉を信じて、よく調べないまま個別の株を買ったことでした。その後、投資信託の積立を始めてからも、相場が大きく下がったときに怖くなって積立を止め、「落ち着いたら」と1年も再開できませんでした。さらに、ランキングで値上がりしている商品を見つけるたびに乗り換え、1年半で4回も商品を替えていました。

まわりの人の話も思い出しました。理容室のAさんは、お店の改装のために貯めたお金を、銀行の窓口で勧められた商品に預け、2年後に必要なお金がそろいませんでした。料理教室のAさんは、大学のためのお金を投資にまわしたまま、受験の前の年に値下がりにあいました。

書き出してみて、まなぶは気づきました。どの失敗も、そのお金を何のために、いつ使うのかを決めないまま、その場の値動きや、人の言葉で動いていたのです。SNSの発信者の言葉、ランキングの順位、毎日の評価額、窓口の担当者の勧め。判断の基準が、いつも自分の外にありました。「自分で決めたルールが一つもなかったから、何かが起きるたびに、振り回されていたんだ」。まなぶは、ノートの新しいページに、「自分の投資ルール」と書きました。

2原因分析

投資・資産形成で失敗する5つの原因

1

お金の目的と、使う時期を決めていない

同じ投資でも、老後のために20年以上続けるお金と、数年後に使うお金とでは、選ぶべき商品も、値下がりへの向き合い方もまったく違います。お金ごとに「何のために」「いつ使うのか」を決めることが、すべての判断の出発点になります。使う時期の近いお金を値動きのある商品に預けると、教育資金やお店の改装資金のように、必要なときにお金がそろわないことがあります。教育資金の考え方は、子どもの教育資金を投資で準備するときに失敗しない方法で紹介しています。

2

値動きや、人の言葉で判断している

毎日の評価額やランキング、SNSの強い言葉は、気持ちを大きく揺さぶります。それに合わせて買ったり売ったりしていると、値上がりしたあとに買い、値下がりしたあとに売る、という動きになりがちです。判断の基準を、自分の外ではなく、自分で決めたルールに置くことが大切です。SNSの投資情報との付き合い方は、SNSの投資情報を信じて失敗した話で紹介しています。

3

仕組みと手数料を、知らないまま選んでいる

商品の名前や、勧められた言葉だけで選ぶと、何に投資しているのか、どんな費用がかかるのかを知らないまま、お金を預けることになります。自分の言葉で説明できない商品には、お金を預けないと決めておくだけでも、多くの失敗を防げます。手数料は、値上がりと違って必ずかかる費用です。長く続けるほど、その差は大きくなります。勧められたときほど、仕組みと費用を確かめる時間をとりましょう。

4

お金を、目的ごとに分けていない

生活を守るお金、近いうちに使うお金、長く増やすお金がまざっていると、値下がりしたときに慌てて売ったり、積立を止めたりしやすくなります。急な出費に備えるお金を別に用意したうえで、長く使わないお金だけを投資にまわすと、値下がりの時期にも落ち着いて続けられます。老後のためのお金の準備については、iDeCoで後悔する理由も参考にしてください。

5

見直しのルールを、決めていない

見直すタイミングを決めていないと、不安になるたびに、あるいは気になる商品を見つけるたびに、判断を変えたくなります。「見直すのは年に一度」「目的が変わったときだけ」と決めておくと、日々の値動きに振り回されにくくなります。年に一度の見直しでは、目的や時期が変わっていないか、お金の分け方が今の暮らしに合っているかを確かめましょう。転職や結婚など、暮らしが大きく変わったときも、見直しのきっかけになります。

3図解

投資で振り回される人と、自分のルールで続けられる人の違い

⚠ 投資・資産形成で失敗する人のパターン
お金の目的と使う時期を決めないまま投資を始める
↓
値動き、ランキング、人の勧めで、買う・売る・やめるを決める
↓
仕組みも手数料も知らないまま、判断を繰り返す
↓
必要なときにお金がそろわず、資産も思うように育たない
◎ 自分のルールで投資を続けられる人のパターン
お金ごとに目的と使う時期を決め、生活を守るお金を分ける
↓
仕組みと手数料を理解した商品を、目的に合わせて選ぶ
↓
見る回数と見直しの時期を決め、ルールどおりに続ける
↓
値動きに振り回されず、必要な時期にお金を用意できる
4解決策

「自分の投資ルール」を作るチェックリスト

まなぶが喫茶店で作ったのが、次の「自分の投資ルール」です。紙1枚でかまいません。上から順に書き込んでみてください。

  • 【目的】そのお金を、何のために使うのかを書いた
  • 【時期】いつごろ使う予定かを書き、近いお金は投資にまわさないと決めた
  • 【分け方】生活を守るお金・近く使うお金・長く増やすお金を分けた
  • 【金額】値下がりしても続けられる、毎月の積立の金額を決めた
  • 【商品】仕組みと手数料を、自分の言葉で説明できる商品だけを選んだ
  • 【見る回数】評価額を確かめるのは、月に一度と決めた
  • 【見直し】見直すのは年に一度と、目的が変わったときだけと決めた

まなぶは、作った「自分の投資ルール」を、ノートの最初のページに貼りました。老後のためのお金は、世界中の株に広く投資する商品で、少なくとも20年は積み立てを続ける。数年以内に使う予定のある住み替えのためのお金は、投資にまわさず預金に置く。評価額は月に一度だけ確かめ、見直しは年に一度。迷ったときは、このページを開いてから考えることにしました。SNSやランキングで気になる情報を見つけても、まずはルールと照らし合わせてから動きます。

投資の失敗の多くは、何を買うかよりも、どう決めるかで起きている。喫茶店で作った1枚のルールは、まなぶにとって、値動きに揺れたときに立ち返る場所になりました。ルールは完璧でなくてかまいません。書き出して、年に一度、少しずつ直していくことに意味があります。

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自分の投資ルールは、投資の基本的な考え方を知り、家計全体の計画と合わせて見直すことで、より自分に合ったものになります。

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まなぶまなぶ
乗り換えも、積立の停止も、どれもその場の値動きや人の言葉で決めていました。自分で決めたルールが、一つもなかったんです…。
みらいみらい
投資の失敗の多くは、何を買うかよりも、どう決めるかで起きています。お金ごとに目的と時期を決めて、自分の投資ルールを1枚にまとめましょう。
まなぶまなぶ
迷ったときに立ち返るルールがあれば、値動きにも振り回されないんですね。

投資と資産形成の失敗は、一つひとつは別の出来事に見えても、根っこには「お金の目的と時期を決めず、自分の外にある基準で判断している」という共通点があります。お金ごとに目的と時期を決め、生活を守るお金を分け、仕組みと手数料を理解した商品を選び、見る回数と見直しの時期を決める。それだけで、投資は値動きに振り回されるものではなく、自分のルールで育てていけるものになります。投資と資産形成でつまずきやすい場面については、次の記事も参考にしてください。

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