結論

相場が下がったときに積立をやめて失敗する人の多くは、「これ以上減るのは怖い」「落ち着いたら再開すればいい」と考えて、積立を止めたまま、再開する時期もルールも決めずに過ごしてしまう人です。積立投資は、値段が高いときも安いときも、決まった金額を買い続ける方法です。値段が下がっているときは、同じ金額で多くの量を買える時期でもあります。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、相場が下がったときに積立をやめて失敗した原因と、値下がりの時期との付き合い方を解説します。

1失敗ストーリー

「落ち着いたら再開しよう」が、1年続いた

昼休みの公園のベンチで、積立の評価額が大きく減っているのを見て青ざめるまなぶのイラスト

投資信託の積立を始めて3年目のころ、まなぶは、ある朝のニュースに目を奪われました。世界の株の値段が、大きく下がっているというのです。昼休みに積立の画面を開くと、まなぶの資産の評価額は、2割近く減っていました。「3年かけて積み立てたお金が、こんなにあっという間に減るなんて」。その日から、まなぶは毎日、何度も評価額を確かめるようになりました。通勤電車の中でも、仕事の合間にも、寝る前にも。数字が少しでも減っていると、その日は一日中、気持ちが晴れませんでした。

値下がりは、そのあともしばらく、数週間にわたって続きました。評価額が減るたびに、まなぶの不安は大きくなっていきました。そしてある夜、まなぶは、積立の設定を開き、「停止」のボタンを押しました。「これ以上お金を入れても、減るだけだ。落ち着いたら再開すればいい」。持っていた投資信託は売らずに残しましたが、毎月の積立に使っていたお金は、普通預金に置いておくことにしました。ボタンを押したあと、まなぶは少しほっとしていました。「これで、もう減るのを見なくてすむ」と思ったのです。

ところが、「落ち着いたら」がいつなのかを、まなぶは決めていませんでした。相場は、しばらく上がったり下がったりを繰り返し、そのたびに「まだ早い」「もう少し様子を見よう」と、再開を先延ばしにしました。普通預金に置いていたお金も、いつの間にか、旅行や買い物に少しずつ使ってしまっていました。積立に回すはずだったお金は、「どうせ投資には使わないから」と、気づけばふだんのお金と区別がつかなくなっていたのです。

積立を止めてから1年がたったころ、まなぶは、相場が少しずつ戻っていたことに気づきました。同じ時期に、何もせずに積立を続けていた同僚は、値段が下がっていた時期にも同じ金額を買い続けたことで、まなぶよりもずっと多くの量を持っていました。「下がっているときは、安く買えるから、むしろありがたいと思って続けていたよ」と、同僚は笑っていました。まなぶは、いちばん多く買えたはずの時期に、自分から買うのをやめていたのです。「怖くて止めたのに、結果的には、いちばん大事な時期を逃していたんだ」。まなぶは、1年ぶりに積立の設定を開きながら、ため息をつきました。

2原因分析

相場が下がったときに積立をやめて失敗した原因

1

値下がりすることを、前提にしていなかった

投資の商品の値段は、上がったり下がったりを繰り返します。長く続けていれば、大きな値下がりの時期は、何度も訪れるものです。値下がりを「起きてはいけないこと」と考えていると、実際に起きたときに慌ててしまいます。投資を始める前に、「自分の資産が2割、3割減ることもある」と考え、それでも続けられる金額かどうかを確かめておきましょう。過去にどのくらいの値下がりがあったのかを知っておくだけでも、心の準備になります。

2

評価額を、毎日のように見ていた

不安なときほど、評価額を何度も確かめたくなります。けれど、毎日の値動きを見るほど、気持ちは揺さぶられ、冷静な判断が難しくなります。長く続ける積立投資では、毎日の値動きを見る必要はありません。確かめるのは月に一度など、見る回数を決めておくと、気持ちを落ち着けやすくなります。スマートフォンの通知を切っておくのも、一つの方法です。

3

積立の仕組みを、理解していなかった

決まった金額で買い続ける積立投資では、値段が下がっているときに、同じ金額でより多くの量を買えます。値下がりの時期に積立を止めると、多く買えるはずの時期を自分から手放すことになります。積立がどのように働くのかを理解しておくと、値下がりの時期にも、続ける意味が見えてきます。値下がりの時期に買った分は、値段が戻ったときに、資産を押し上げる力になります。

4

再開する時期とルールを、決めていなかった

「落ち着いたら再開する」という決め方では、いつまでたっても再開できないことがあります。相場が落ち着いたかどうかは、そのときには分からないからです。もし止めるのであれば、「3か月後に必ず再開する」など、再開の時期を先に決めておくことが大切です。できれば、止める前に一度、誰かに相談しましょう。一人で不安を抱えていると、判断はどうしても悲観的になりがちです。

5

無理のない金額で、積み立てていなかった

毎月の積立の金額が、家計にとって大きすぎると、値下がりしたときの不安も大きくなります。生活を守るお金を別に用意したうえで、値下がりしても続けられる金額で積み立てるようにしましょう。不安が大きいときは、止めるのではなく、金額を少し減らして続けるという方法もあります。続けているという事実そのものが、気持ちの支えにもなります。

3図解

値下がりで積立をやめて失敗する流れと、続けられる流れの違い

⚠ 相場が下がったときに積立をやめて失敗するパターン
値下がりのニュースを見て、評価額を毎日確かめる
↓
不安になり、再開の時期を決めずに積立を止める
↓
「まだ早い」と先延ばしにし、預金のお金も使ってしまう
↓
多く買えた時期を逃し、資産が育たない
◎ 値下がりの時期も積立を続けられるパターン
値下がりは起きるものと考え、続けられる金額で始める
↓
評価額を見るのは月に一度と決め、値動きに振り回されない
↓
不安なときは、止めずに金額を調整して続ける
↓
値下がりの時期にも多くを買い、長く資産を育てられる
4解決策

積立を止めたくなったときのチェックリスト

値下がりで不安になったときこそ、すぐに手を動かさず、次の項目を確かめてみてください。

  • 投資の目的と期間が、変わっていないか確かめた
  • 生活を守るお金が、別に用意できているか確かめた
  • 評価額を見る回数を、月に一度に減らした
  • 積立が値下がりの時期にどう働くかを確かめた
  • 止める代わりに、金額を減らせないか考えた
  • 止めるなら、再開する時期を先に決めた

まなぶは、積立を再開するときに、金額を以前より少し減らしました。そのぶん、値下がりしても気持ちが揺れにくくなりました。評価額を確かめるのは、毎月の給料日のあとの一度だけにしています。「もしまた大きく下がっても、続ける」と、積立を始めた理由と一緒に、ノートの最初のページに書きました。「値下がりの時期は、怖い時期じゃなくて、多く買える時期なんだ」。まなぶは、今はそう考えるようにしています。積立を止めていた1年は戻ってきませんが、そこから学んだことは、これからの何十年に生かせるはずです。

※この記事は、特定の商品の購入や売却、積立の継続をすすめるものではありません。投資の商品は値動きがあり、元本が保証されたものではありません。過去の値動きが、これからも同じように続くとは限りません。積立の金額や続け方は、ご自身の家計や目的に合わせて判断してください。
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投資を長く続けるために

値下がりの時期にも積立を続けるには、積立投資の考え方を理解しておくことと、家計全体の中で無理のない金額を相談できる先を持っておくことが大切です。

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まなぶまなぶ
相場が大きく下がったときに怖くなって積立を止めたら、「落ち着いたら再開しよう」が1年も続いてしまいました…。
みらいみらい
積立投資では、値下がりの時期は多く買える時期でもあります。値下がりは起きるものと考え、続けられる金額で積み立てましょう。
まなぶまなぶ
値下がりの時期は、怖い時期じゃなくて、多く買える時期なんですね。

相場が下がったときに積立をやめて失敗する原因は、値下がりを前提にせず、評価額を毎日見て不安になり、再開の時期も決めないまま積立を止めてしまうことです。値下がりは起きるものと考え、見る回数を減らし、不安なときは金額を調整して続ける。それだけで、値下がりの時期にも、落ち着いて資産を育てられるようになります。投資と資産形成で失敗しないための考え方は、投資・資産形成の失敗から学ぶでまとめています。

投資・資産形成については、投資信託の乗り換えで失敗する人の特徴5選や子どもの教育資金を投資で準備するときに失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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