銀行の窓口で勧められた投資で後悔する理由
銀行の窓口で勧められた投資で後悔する人の多くは、「銀行の人が勧めるのだから安心だろう」と考えて、そのお金をいつ使うのか、商品の仕組みや手数料はどうなっているのかを確かめないまま、その場で契約してしまう人です。銀行の窓口は、身近で相談しやすい場所です。けれど、窓口で勧められる商品が、あなたの目的にいちばん合っているとは限りません。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、銀行の窓口で勧められた投資で後悔する理由と、契約する前に確かめたいことを解説します。
お店の改装のために貯めたお金が、2年後に足りなくなっていた
この話は、まなぶが月に一度通っている、近所の理容室の店主のAさんから聞いたものです。髪を切ってもらいながら、まなぶが「最近、投資を始める人が増えていますよね」と話すと、Aさんははさみを動かす手を少しゆるめて、「投資ねえ。わたしは、銀行で勧められたもので痛い目にあったんですよ」と話してくれました。
Aさんは、20年以上この店を一人で切り盛りしてきた50代の男性です。数年後には、古くなった店の椅子や鏡を入れ替える改装をしようと、少しずつお金を貯めていました。3年前、その貯金の定期預金が満期を迎え、手続きのために銀行へ行ったときのことです。窓口の担当者に、こう声をかけられました。「定期預金に置いておいても、ほとんど増えませんよ。こちらの商品なら、毎月お金を受け取りながら、増やすことも期待できます」。
担当者は、外国の通貨で運用する商品と、毎月お金が受け取れる投資信託を、資料を見せながら丁寧に説明してくれました。「銀行の人が勧めてくれるのだから、悪いものではないだろう」。Aさんは、その日のうちに、改装のために貯めていたお金の半分以上を、その商品に預けることにしました。そのお金を2年後には使う予定であることは、担当者に詳しく伝えていませんでした。聞かれたのは「当面使う予定はありますか」という一言だけで、Aさんは「まあ、すぐではないですね」と答えていたのです。
2年後、いよいよ改装の見積もりを取ったAさんは、商品の今の価値を確かめて驚きました。為替の動きで、預けたお金の価値は、元の金額を下回っていたのです。毎月受け取っていたお金も、あとで調べると、その一部は自分が預けたお金から払い戻されていたものでした。さらに、買うときにも、持っている間にも、思っていた以上の手数料がかかっていました。改装に必要なお金がそろわず、Aさんは、改装の計画を先に延ばすしかなかったのです。古い椅子は、今も修理しながら使い続けているそうです。
「勧められたものが悪かったんじゃなくて、2年後に使うお金を、値動きのあるものに預けたのが間違いだったんですよね」。Aさんは、鏡越しにまなぶを見ながら、苦笑いしました。使う時期の決まったお金を、仕組みもよく分からないまま預けてしまったことを、Aさんは今も悔やんでいるそうです。
銀行の窓口で勧められた投資で後悔する理由
使う時期の近いお金を、投資にまわしている
投資の商品は、値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。数年以内に使うことが決まっているお金を値動きのある商品に預けると、使いたいときに値下がりしているかもしれません。近いうちに使うお金は、値動きのない形で置いておき、投資にまわすのは、長く使う予定のないお金にすることが大切です。目安として、「何年先まで使わないお金か」を、お金ごとに書き出しておくと分けやすくなります。
その場で、契約を決めてしまう
窓口で丁寧に説明されると、「せっかく時間をとってもらったのだから」と、その日のうちに決めたくなります。大きなお金を預けるときほど、資料を持ち帰って、一晩以上考えてから決めるようにしましょう。家族に相談したり、ほかの商品と比べたりする時間をとることが大切です。「今日だけ」「今月中に」と急がせる話には、とくに慎重になりましょう。
仕組みと手数料を、理解していない
外国の通貨で運用する商品では、為替の動きで、預けたお金の価値が変わります。毎月お金を受け取れる商品では、受け取るお金の一部が、預けたお金の払い戻しであることもあります。商品の仕組みと、買うとき・持っている間・売るときにかかる手数料を、自分で説明できるまで確かめるようにしましょう。分からないことは、遠慮せずに何度でも聞いて大丈夫です。説明を聞いたら、要点をメモに残しておきましょう。
使い道と時期を、相手に伝えていない
窓口の担当者は、聞いた情報をもとに商品を選んでくれます。けれど、お金の使い道や時期を伝えていなければ、それに合った提案はできません。「何のためのお金か」「いつ使う予定か」を、最初にはっきり伝えることが大切です。伝えたうえで、それでも勧められる理由を聞いてみましょう。説明に納得できなければ、断ってもかまいません。
ほかの選択肢と、比べていない
一つの窓口で勧められた商品だけを見ていると、ほかにどんな選択肢があるのかが分かりません。同じ目的のために、ほかにどんな方法があるのかを、自分で調べたり、中立的な立場の人に相談したりして比べてみましょう。比べてみることで、勧められた商品の特徴も、よりはっきり見えてきます。比べる時間は、自分のお金を守るための大切な時間です。
窓口で勧められた投資で後悔する人と、納得して選べる人の違い
窓口で投資を勧められたときのチェックリスト
窓口で投資を勧められたときは、その場で決めず、次の項目を確かめてみてください。
- そのお金を、いつ、何に使う予定かを確かめた
- 使い道と時期を、担当者に伝えた
- 商品の仕組みを、自分の言葉で説明できる
- 買うとき・持っている間・売るときの手数料を確かめた
- 資料を持ち帰り、一晩以上考えた
- ほかの選択肢と比べた
Aさんは今、改装のためのお金は、値動きのない形で貯め直しているそうです。そのうえで、すぐに使う予定のないお金だけを、自分で仕組みを確かめた商品で、少しずつ積み立てるようにしました。金額は、店の売上が少ない月でも無理なく続けられる額にしています。「銀行の人も、使う時期を伝えていれば、別の提案をしてくれたかもしれないね」。「お金の行き先を決めるのは、勧める人じゃなくて、自分なんですよ」。Aさんは、仕上げのはさみを入れながら、そう言って笑いました。
投資を長く続けるために
窓口で勧められた投資で後悔しないためには、投資の基本的な考え方を知ることと、特定の金融機関に属さない人に相談できる先を持っておくことが大切です。
役立つ投資がわかる3分投資診断【マネイロ】
長期・積立・分散といった考え方を、基本から学べるタイプです。勧められた商品が自分の目的に合っているのかを判断するために、まず投資の基本を知っておきたい人に向いています。
独立系FP相談サービス【ガーデン】
特定の金融機関に属さない立場から、家計全体を踏まえた相談ができるタイプです。窓口で勧められた商品をどう考えればよいか、第三者の視点で確かめてから決めたい人に向いています。
まなぶ
みらい
まなぶ銀行の窓口で勧められた投資で後悔する原因は、使う時期の近いお金を、仕組みや手数料を確かめないまま、その場で値動きのある商品に預けてしまうことです。使い道と時期を伝え、仕組みと手数料を確かめ、持ち帰ってほかの選択肢と比べる。それだけで、勧められた商品にも、納得して向き合えるようになります。投資と資産形成で失敗しないための考え方は、投資・資産形成の失敗から学ぶでまとめています。
投資・資産形成については、投資信託の乗り換えで失敗する人の特徴5選や子どもの教育資金を投資で準備するときに失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

