結論

AIにExcelの関数を作らせて後悔する人の多くは、AIが作った長い関数を、中身を理解しないまま表に貼り付け、計算結果が合っているかを確かめずに使い続けてしまう人です。AIに頼めば、自分では思いつかないような複雑な関数も、すぐに作ってもらえます。けれど、関数がどう計算しているのかを分かっていないと、数字が間違っていても気づけず、直すこともできません。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、AIにExcelの関数を作らせて後悔する理由と、関数を安心して使うためのコツを解説します。

1失敗ストーリー

AIが作った関数で、3か月分の集計がずれていた

マンションの集会室で、役員会のあとに椅子を片付けながら、Aさんの失敗の話を聞くまなぶのイラスト

この話は、まなぶが住んでいるマンションの管理組合で、一緒に役員をしているAさんから聞いたものです。役員会のあとの片付けをしながら、まなぶが「最近、仕事でAIを使う場面が増えてきて」と話すと、Aさんは「私、それでちょっと痛い目にあったんですよ」と苦笑いしながら教えてくれました。

Aさんは、食品メーカーの営業事務として働いています。毎月、各営業所から届く売上の表をまとめて、商品ごと、営業所ごとの集計表を作るのがAさんの仕事でした。これまでは手作業で数字を拾っていたため、毎月半日ほどかかっていました。そこでAさんは、AIに「この表から、営業所ごと・商品ごとの売上を自動で集計する関数を作って」と頼んでみました。AIはすぐに、何行にもわたる長い関数を作ってくれました。表に貼り付けると、一瞬で集計表が埋まりました。半日かかっていた作業が、10分で終わるようになったのです。

ところが、3か月後。営業部の課長から「この商品の売上、先月より大きく減っているけど、営業所に聞いたら増えているって言うんだよね」と問い合わせがありました。調べてみると、ある営業所が途中から表の列の並びを少し変えていて、AIが作った関数は、その営業所の一部の商品を数えずに集計していたのです。エラーの表示は出ていなかったため、Aさんは3か月間、そのずれに気づきませんでした。

Aさんは、関数を直そうとしましたが、長い関数のどこが何をしているのか、まったく分かりませんでした。結局、AIにもう一度頼んで作り直してもらい、3か月分の集計表をすべて作り直すことになりました。課長に提出していた資料も差し替えになり、会議で使われた数字を訂正する連絡もしなければなりませんでした。「自分で説明できない関数を、毎月の大事な数字に使っていたのが怖かった」と、Aさんは振り返っていました。

話を聞きながら、まなぶも思い当たることがありました。まなぶ自身も、副業の資料作成でAIに関数を作ってもらい、そのまま使っていたことがあったからです。そのときはたまたま問題が起きなかっただけで、中身を確かめていなかったのは同じでした。Aさんは「今は、AIに作ってもらった関数を、必ず一度は分解して、何をしているかを確かめてから使うようにしています」と話してくれました。

2原因分析

AIにExcelの関数を作らせて後悔する理由

1

関数の中身を理解しないまま使ってしまう

AIは、頼めば長くて複雑な関数もすぐに作ってくれます。けれど、中身を理解しないまま使うと、間違いに気づくことも、自分で直すこともできません。AIに関数を作ってもらったら、「この関数がしていることを、ひとつずつ説明して」と続けて頼んでみましょう。説明を読んで分からないところがあれば、そこが自分の理解が足りていないところです。

2

計算結果を、手計算で確かめていない

関数を使うと、表は一瞬で数字で埋まります。そのため、「数字が出ている=合っている」と思い込みがちです。エラーの表示が出ないまま、間違った数字が出ることもあります。関数を使い始めるときは、いくつかの数字を手計算や電卓で確かめましょう。合計や件数など、ひとつでも答え合わせできる数字を決めておくと安心です。毎月の集計なら、元の表の合計と、関数で集計した合計が一致するかを見るだけでも、大きなずれにはすぐ気づけます。

3

元の表が変わったときのことを考えていない

AIは、そのときに渡された表の形に合わせて関数を作ります。表の列の並びや、項目の名前が変わると、関数が正しく動かなくなることがあります。元の表の形を誰かが変えても、関数は何も言わずに計算を続けてしまうのです。表を作る人たちと、列の並びや項目名を変えないルールを決めておくか、変わったときに必ず確かめる手順を作っておきましょう。

4

作った本人しか分からない関数になっている

長い関数を一人で作って使っていると、その人が休んだり異動したりしたときに、誰も直せなくなります。関数が何をしているのかを、簡単なメモに残しておくだけで、まわりの人も安心して使えるようになります。「どの列を使っているか」「何を集計しているか」を、表の横や別のシートに書いておきましょう。AIに「この関数の説明を、Excelに詳しくない人にも分かる言葉で3行にまとめて」と頼めば、メモ作りもすぐに終わります。

5

短い関数で済むところまで、長い関数にしている

AIに一度で全部を頼むと、ひとつの長い関数ができあがりがちです。けれど、作業を小さく分けて、短い関数をいくつか組み合わせたほうが、確かめやすく、直しやすくなります。「一つの関数で全部やる」よりも、「途中の計算を見えるようにする」ことを意識しましょう。AIにも「途中の計算を別の列に分けて、短い関数で作って」と頼むことができます。途中の数字が見えていれば、どこで計算がずれたのかも、すぐに見つけられます。

3図解

AIにExcelの関数を作らせて後悔する人と、上手に使える人の違い

⚠ AIにExcelの関数を作らせて後悔する人のパターン
AIに、長い関数を一度に作ってもらう
↓
中身を理解しないまま、表に貼り付けて使う
↓
元の表の形が変わっても、気づかずに使い続ける
↓
間違った数字に気づけず、直すこともできない
◎ AIにExcelの関数を上手に作ってもらえる人のパターン
作業を小さく分けて、短い関数で作ってもらう
↓
関数の中身をAIに説明してもらい、理解してから使う
↓
手計算で答え合わせをし、関数のメモを残す
↓
数字が合っているかを自分で確かめ、自分で直せる
4解決策

AIに作ってもらった関数を使う前のチェックリスト

AIは、Excelの作業を大きく楽にしてくれる心強い道具です。作ってもらった関数を安心して使うために、次の項目を確かめてみてください。

  • 関数がしていることを、ひとつずつ説明できる
  • いくつかの数字を、手計算や電卓で確かめた
  • 合計や件数など、答え合わせに使う数字を決めた
  • 元の表の形が変わったときに、確かめる手順を決めた
  • 関数が何をしているかのメモを、表の横に残した
  • 長すぎる関数は、短い関数に分けられないか考えた

まなぶも、Aさんの話を聞いてから、副業の資料で使っている表を見直しました。AIに関数の説明を頼んでみると、自分が思っていたのとは違う範囲を計算していたところが一つ見つかりました。今は、関数を使う前に必ず説明を読み、答え合わせの数字を一つ決めてから使っています。関数は、作ってもらうよりも、確かめるほうに時間をかける。それが、AIとExcelを一緒に使うときのいちばんのコツだと感じています。

※会社の売上や顧客の情報が入った表を、そのままAIに入力してよいかは、会社のルールによって異なります。関数を作ってもらうときは、項目名だけを伝えるなど、入力する情報に注意しましょう。
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Aさんは、AIが作った関数の中身が分からないまま、3か月間ずれた数字を使っていたそうです…。
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関数は、作ってもらうより確かめるほうが大切です。中身を説明してもらって、手計算で答え合わせをしてから使いましょう。
まなぶまなぶ
自分で説明できる関数だけを、使うようにするんですね。

AIにExcelの関数を作らせて後悔する原因は、中身を理解しないまま使い、計算結果を確かめず、元の表が変わったときのことを考えていないことです。関数の中身を説明してもらい、手計算で答え合わせをし、メモを残しておく。それだけで、AIが作った関数を安心して使えるようになります。仕事でAIを使うときに失敗しないための考え方は、業務でのAI活用の失敗から学ぶでまとめています。

仕事でのAI活用については、AIで週報を書いて失敗する人の特徴5選やAIで業務マニュアルを作るときに失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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