結論

AIでアンケートの自由回答を分析して失敗する人の多くは、AIがまとめた「多かった意見」だけを読んで、少数でも大切な声や、具体的な不満の中身を見落としてしまう人です。AIを使えば、何百件もの自由回答を、数分で分類して要約してもらえます。けれど、AIのまとめは「多い意見」を目立たせる一方で、数は少なくても見逃してはいけない声を「その他」にまとめてしまうことがあります。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、AIでアンケートの自由回答を分析して失敗した理由と、声を取りこぼさない読み方を解説します。

1失敗ストーリー

「好評でした」の報告のあとに、同じ不満がくり返された

印刷したアンケートの回答を広げ、蛍光ペンで印をつけた3枚を見つめて額を押さえるまなぶのイラスト

今年の6月、まなぶの部署では、取引先の担当者向けにオンラインのセミナーを開きました。終わったあとのアンケートには、120件ほどの回答が集まり、そのうち半分ほどに自由回答の欄の書き込みがありました。セミナーの振り返りの資料を作る担当になったまなぶは、自由回答をすべてAIに渡して、「意見を分類して、主な傾向をまとめて」と頼みました。

AIのまとめは、とても分かりやすいものでした。「全体として満足の声が多く、特に事例紹介のパートが好評」「一部に、時間がやや長いという意見」「その他、少数の意見」。まなぶは、このまとめをそのまま振り返り資料に載せて、部署の会議で報告しました。「事例紹介が好評だったので、次回も同じ形で進めましょう」。報告はすんなり通り、まなぶはほっとしていました。自由回答を一件ずつ読んでいたら半日はかかったはずの作業が、30分ほどで終わったことにも、まなぶは満足していました。

9月、2回目のセミナーが終わった数日後のことです。営業担当の先輩から、まなぶに連絡がありました。「大事な取引先の担当の方から、『前回のアンケートにも書いたけど、資料の数字が去年のままでしたよ』と言われたんだけど、知ってた?」。慌てて6月の自由回答を読み返すと、資料の数字が古いという指摘が、3件書かれていました。120件の中の3件だったため、AIのまとめでは「その他、少数の意見」の中に入っていて、中身は書かれていなかったのです。

数は少なくても、それは資料の中身の誤りを知らせる、とても大切な声でした。2回目のセミナーでも同じ資料を使ってしまったため、同じ指摘をされることになりました。先輩と一緒に取引先におわびの連絡を入れ、資料を直して送り直しました。「好評でした」と報告していたぶん、気まずさも大きかったと、まなぶは振り返ります。

あとから考えると、まなぶは自由回答を一件も自分で読まないまま、報告をしていました。AIのまとめは間違っていたわけではありません。満足の声が多かったのは本当でした。けれど、アンケートで本当に拾うべきだったのは、数の多い声ではなく、次に直すべきことを教えてくれる声だったのです。

2原因分析

AIでアンケートの自由回答を分析して失敗した理由

1

自由回答を、一件も自分で読まなかった

AIに分析を任せると、自由回答をまったく読まずに済んでしまいます。けれど、一度も原文を読まないままでは、AIのまとめが何を拾い、何を省いたのかを判断できません。件数が多いときでも、ざっと目を通すだけで、気になる声に気づけることがあります。AIのまとめを読む前か後に、原文を一度は流し読みするようにしましょう。すべてを丁寧に読む必要はなく、「気になる言葉が出てこないか」を探すつもりで読むだけでも十分です。

2

「少数の意見」の中身を確かめなかった

AIは、多くの人が書いている意見ほど、大きく取り上げる傾向があります。そのため、数が少ない意見は「その他」「一部の意見」とひとまとめにされがちです。数が少ないことと、大切ではないことは別の話です。AIに「少数の意見も、ひとつずつ中身を書き出して」と頼むか、「その他」に入った回答を自分で読んで確かめましょう。「その他」は、見落としが起きやすい場所だと覚えておくと安心です。

3

「直すべきこと」を探す目で読まなかった

アンケートを取る目的は、うまくいったことを確かめるだけでなく、次に直すべきことを見つけることにもあります。「どんな意見が多かったか」だけを聞くと、AIのまとめも「良かった点」が中心になりやすいのです。AIに頼むときは、「間違いの指摘」「不満」「要望」を、件数に関係なくすべて書き出してもらうように頼みましょう。

4

誰が書いた声かを考えなかった

自由回答の中には、大事な取引先や、長くつきあいのある相手の声が入っていることもあります。AIは、どの声が誰のものかを考えずに、同じ一件として数えます。回答した人の立場によって、声の重みが変わることもあると知っておきましょう。名前や会社名を入力してよいかは会社のルールを確かめつつ、気になる声は、担当の人に共有することが大切です。まなぶの場合も、営業担当の先輩に一言伝えていれば、2回目のセミナーの前に資料を直せていたはずでした。

5

AIのまとめを、そのまま報告に使った

AIのまとめは読みやすいため、そのまま資料に載せたくなります。けれど、まとめをそのまま使うと、報告する本人も中身を分かっていないまま話すことになります。AIのまとめは「下書き」、報告は自分で読んで確かめた中身でと決めておきましょう。質問されたときに、原文を示しながら答えられる状態にしておくと安心です。報告資料に、印象に残った回答を2〜3件そのまま載せておくのもおすすめです。

3図解

AIでアンケートを分析して失敗する人と、声を拾える人の違い

⚠ AIでアンケートの自由回答を分析して失敗する人のパターン
自由回答をすべてAIに渡し、主な傾向だけをまとめてもらう
↓
原文を読まないまま、「好評でした」と報告する
↓
「その他」に入った少数の声を、確かめずに終わらせる
↓
直すべき点に気づけず、同じ不満をくり返させてしまう
◎ AIを使って大切な声を拾える人のパターン
原文を一度は流し読みしてから、AIに分類を頼む
↓
不満・間違いの指摘・要望は、件数に関係なく書き出してもらう
↓
気になる声は担当の人に共有し、次の改善につなげる
↓
数は少なくても大切な声を、次の仕事に生かせる
4解決策

AIでアンケートの自由回答を分析する前のチェックリスト

AIは、たくさんの自由回答を整理するときの心強い道具です。大切な声を取りこぼさないために、次の項目を確かめてみてください。

  • 自由回答の原文を、一度は自分で流し読みした
  • 「その他」「少数の意見」に入った回答の中身を確かめた
  • 不満・間違いの指摘・要望を、件数に関係なく書き出してもらった
  • 大切な相手からの声が入っていないかを確かめた
  • 報告に使う内容は、原文と照らし合わせて確かめた
  • アンケートの内容をAIに入力してよいか、会社のルールを確認した

まなぶは今、アンケートを分析するときは、まずAIに頼む前に原文を10分だけ流し読みし、気になった回答に印をつけています。そのうえで、AIには「多かった意見」と「件数に関係なく直すべき点」を分けてまとめてもらっています。AIには整理を任せて、声を聞くのは自分。そう決めてから、振り返りの資料に「次回直すこと」の欄が必ず入るようになりました。

※アンケートの回答には、回答者の名前や会社名など、個人や取引先の情報が含まれることがあります。AIに入力する前に、会社のルールを確認し、必要に応じて名前などを消してから使いましょう。
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AIのまとめだけを読んで「好評でした」と報告したら、「その他」に入っていた大事な指摘を見落としていました…。
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数が少ないことと、大切ではないことは別の話です。原文を一度は読んで、直すべき点は件数に関係なく書き出してもらいましょう。
まなぶまなぶ
AIには整理を任せて、声を聞くのは自分なんですね。

AIでアンケートの自由回答を分析して失敗する原因は、原文を読まないまま、AIがまとめた「多かった意見」だけで判断し、「その他」に入った大切な声を確かめないことです。原文を一度は流し読みし、直すべき点を件数に関係なく書き出してもらい、報告は自分で確かめた中身でする。それだけで、アンケートは次の仕事を良くする材料になります。仕事でAIを使うときに失敗しないための考え方は、業務でのAI活用の失敗から学ぶでまとめています。

仕事でのAI活用については、AIで週報を書いて失敗する人の特徴5選やAIで仕事のスケジュールを組んで後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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