結論

民間資格を取って失敗する人の多くは、「資格」という名前がついているから、どれも仕事で通用するはずと考えて、国家資格との違いや、職場や業界でどれだけ知られているかを確かめないまま、名前の似た民間資格を取ってしまう人です。民間資格には、仕事に役立つものもたくさんあります。けれども、同じような名前でも、国家資格と民間資格では、名乗れる範囲や、求人や職場での扱いが大きく違うことがあります。民間資格は「名前」で選ぶのではなく、「職場や業界で、どう扱われているか」を確かめてから選ぶものです。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、民間資格を取って失敗した原因と、資格の中身の確かめ方を解説します。

1失敗ストーリー

名前の似た民間資格を取ったAさんの話

郊外の釣り堀で、隣で釣りをするAさんから、名前の似た民間資格を取って失敗した話を聞くまなぶのイラスト

土曜日の朝、まなぶは、郊外の釣り堀で、のんびり糸を垂らしていました。隣で同じように釣りをしていたのが、ときどきこの釣り堀で顔を合わせるAさん(30代男性)でした。Aさんは、食品の卸の会社の人事部で、社員の採用や研修を担当しています。なかなか魚がかからない時間に、資格の話になると、Aさんは「ぼくは、資格の名前にだまされたというか、自分で勘違いしていたんだよね」と話し始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

2年前、Aさんの会社では、社員の悩みやこれからの働き方の相談にのる面談を、人事部で始めることになりました。担当に手をあげたAさんは、「相談にのる仕事なら、キャリアの相談の資格を取ろう」と考えました。ネットで調べると、「キャリア」や「カウンセラー」という言葉がついた資格が、たくさん出てきました。Aさんは、その中から、通信の講座で2か月ほどで取れる民間の資格を選び、修了の証明を受け取りました。「これで、面談の担当として胸を張れる」。Aさんは、そう思っていたそうです。

ところが、面談の仕組みを作る会議で、上司から「この面談の担当には、国家資格のキャリアコンサルタントを持っている人を考えている」と言われました。国家資格のキャリアコンサルタントは、決められた講習の修了や実務の経験などの条件を満たしたうえで試験に合格し、登録した人だけが名乗れる資格です。Aさんの取った資格は、名前は似ていても、国家資格とは別の民間資格でした。「キャリア」という名前だけを見て、国家資格との違いや、職場での扱いを確かめていなかったのです。

結局、Aさんは、もう一度、国家資格を目指して勉強を始めることになりました。「最初に上司に、どの資格を考えているか聞いておけば、2か月と受講料を使わずにすんだんだよね」。Aさんは、浮きを見つめたまま、苦笑いしてそう話してくれました。修了の証明は、今も机の引き出しにしまったままだそうです。

2原因分析

民間資格を取って失敗した原因

1

国家資格と民間資格の違いを、知らなかった

国家資格は、法律にもとづいて国や国から任された団体が試験を行う資格です。中には、その資格を持っている人だけが、決まった仕事をしたり、決まった名前を名乗ったりできるものもあります。民間資格は、民間の団体や会社が、独自の基準で認める資格です。資格を選ぶ前に、それが国家資格か、公的な資格か、民間資格かを、公式の案内で確かめることが大切です。名前が似ていても、資格の種類が違えば、仕事での扱いも変わります。

2

職場や業界での扱いを、確かめていなかった

民間資格の中には、業界で広く知られていて、仕事で高く評価されるものもあります。一方で、ほとんど知られていない資格もあります。取る前に、上司や同じ仕事をしている人に、「この仕事では、どの資格が求められているか」を聞いておくようにしましょう。求人の情報で、その資格が「歓迎」「必須」として書かれているかを調べるのも、扱いを知るよい方法です。職場で求められている資格が分かれば、遠回りをせずにすみます。

3

取りやすさで、選んでいた

短い期間で取れる資格は、すぐに結果が出るので、魅力的に見えます。けれども、取りやすい資格ほど、仕事の場では、その資格だけで力を示すのが難しいこともあります。「どれだけ早く取れるか」ではなく、「取ったあと、仕事で何ができるようになるか」で比べるようにしましょう。時間がかかっても、仕事で求められている資格を目指すほうが、結局は近道になることがあります。取りやすさは、比べる材料の一つにすぎません。

4

資格を出している団体を、調べていなかった

民間資格は、資格を出している団体によって、試験のしくみや、更新の決まり、費用などが大きく違います。中には、講座の受講だけで取れるものや、毎年の更新に費用がかかるものもあります。資格を出している団体のホームページで、試験の内容、合格の基準、更新の決まり、これまでに取った人の数などを確かめるようにしましょう。分からないことは、団体に問い合わせてみるのも一つの方法です。中身を知ったうえで選べば、取ったあとに後悔することが減ります。

5

民間資格の生かし方を、考えていなかった

民間資格がすべて役に立たないわけではありません。仕事に直結する知識を体系的に学べるものや、その分野の入門として役立つものもあります。大切なのは、その資格で何を学び、仕事でどう使うかを考えておくことです。Aさんの場合も、民間資格の講座で学んだ話の聞き方は、面談の練習には役立ったそうです。学んだことの価値は、資格の種類だけでは決まりません。民間資格を取るなら、「これは入門として学ぶ」「これは職場で求められているから取る」と、自分の中で位置づけをはっきりさせておくと、資格の生かし方を見失いません。

3図解

名前で選ぶ人と、扱いを確かめて選ぶ人の違い

⚠ 民間資格を取って失敗する人のパターン
名前に仕事の言葉が入った資格を、取りやすさで選ぶ
↓
国家資格との違いや、職場での扱いを確かめない
↓
取ったあとに、職場が求める資格は別だと知る
↓
時間と費用を使い、もう一度資格を取り直すことになる
◎ 資格の中身を確かめて選ぶ人のパターン
国家資格か民間資格かを、公式の案内で確かめる
↓
上司や求人の情報で、職場や業界での扱いを調べる
↓
資格を出す団体の試験や更新の決まりを確かめて選ぶ
↓
仕事で求められる資格を、遠回りせずに取れる
4解決策

民間資格で失敗しないためのチェックリスト

名前の似た資格がいくつもあって迷ったときは、申し込む前に、次の項目を確かめてみてください。資格の種類と扱いを知るだけで、選び方は大きく変わります。

  • 国家資格か、公的な資格か、民間資格かを確かめた
  • 名前の似た資格がほかにないかを調べた
  • 上司や同じ仕事の人に、求められている資格を聞いた
  • 求人の情報で、その資格がどう扱われているかを調べた
  • 資格を出す団体の試験の内容と、更新の決まりを確かめた
  • その資格を、入門として学ぶのか、職場のために取るのかを決めた

Aさんは今、国家資格のキャリアコンサルタントを目指して、講習を受けています。今回は、申し込む前に上司と話し、職場で求められている資格であることを確かめました。講習の費用が国の給付の対象になるかも、ハローワークで調べたそうです。「最初の資格で学んだ話の聞き方も、無駄にはなっていないんだ。ただ、順番を間違えたんだよね」。Aさんがそう言ったとき、ようやく浮きが小さく沈みました。

5おすすめサービス

資格と学び直しで後悔しないために

資格を選ぶときは、国家資格か民間資格か、職場で求められているかを確かめたうえで、講座の中身や受講の条件を比べることが大切です。

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幅広い資格から比べて選びたい人向け

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まなぶまなぶ
名前が似ていたから同じだと思ったら、職場が求めていたのは国家資格だったなんて…。
みらいみらい
民間資格は、名前で選ぶのではなく、職場や業界でどう扱われているかを確かめてから選ぶものです。国家資格か民間資格かを公式の案内で確かめ、上司に求められている資格を聞いておきましょう。
まなぶまなぶ
取る前に、資格の種類と扱いを確かめるんですね。

民間資格を取って失敗する原因は、資格という名前がついていればどれも通用すると考えて、国家資格との違いや職場での扱いを確かめないまま選んでしまうことです。資格の種類を確かめ、職場に聞き、求人の情報を調べ、団体の決まりを確かめ、入門か職場のためかを決める。それだけで、遠回りせずに資格を選べます。資格選びで失敗しないための考え方は、資格選びの失敗から学ぶでまとめています。

資格選びについては、英語の資格選びで失敗する人の特徴5選や40代からの資格選びで後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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