キャリアチェンジで年収が下がって失敗した話
キャリアチェンジで年収が下がって失敗する人の多くは、「やりたい仕事ができるなら、年収が下がっても大丈夫」と考えて、下がったあとの家計の見通しも、収入を戻すまでの道筋も確かめないまま、新しい仕事に飛びこんでしまう人です。気持ちのうえでは納得していても、毎月の生活は待ってくれません。貯金が少しずつ減っていくと、せっかく選んだ仕事を続けることそのものが苦しくなってしまいます。年収が下がるキャリアチェンジは「気持ちで乗り切るもの」ではなく、「家計と収入の道筋を先に設計してから選ぶもの」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、キャリアチェンジで年収が下がって失敗した原因と、事前に確かめておきたいことを解説します。
1年で、貯金が半分になったAさんの話
まなぶは、週末に近所の図書館の自習室で、仕事の本を読むことがあります。そこでよく見かけるのが、Aさん(20代後半の女性)です。ある日、ロビーの自動販売機の前で声をかけられ、二人で少し話すようになりました。Aさんは、地方銀行の窓口で8年働いたあと、去年、未経験からWebデザインの制作会社に転職したそうです。「やりたい仕事に就けたのはうれしいけど、お金のことでは失敗したの」と、Aさんは苦笑いしました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)
Aさんは、銀行で働きながら、夜にWebデザインの講座に通い、作品をいくつも作りました。そして、念願の制作会社から内定をもらいました。ただ、提示された年収は、銀行のときより3割ほど低いものでした。「最初は下がっても、やりたい仕事なんだから大丈夫。経験を積めば、すぐに上がるはず」。Aさんは迷わず内定を受けました。家計を見直すことも、昇給の仕組みを確かめることもしませんでした。
入社してみると、手取りは思っていた以上に少なくなっていました。銀行のときにあった住宅手当もなくなり、家賃の負担が重くのしかかりました。それでも、生活のしかたは銀行のころのまま。毎月の足りない分を貯金から少しずつ補っているうちに、1年で貯金は半分になっていました。さらに、会社の昇給は年に一度、評価しだいで、すぐに大きく上がるわけではないことも分かりました。「すぐに上がるはず」は、確かめたことではなく、ただの思いこみだったのです。
通帳の残高を見て、Aさんは初めて不安になりました。「この仕事を続けたいのに、お金のことが心配で、仕事に集中できなくなってきたの。好きな仕事を選んだことは後悔していない。でも、選ぶ前にお金の準備をしておけばよかった」。Aさんは、自動販売機で買った温かいお茶を両手で包みながら、そう話してくれました。
キャリアチェンジで年収が下がって失敗した5つの原因
年収ではなく、手取りで考えていなかった
提示された年収を見て「3割減なら、なんとかなる」と思っても、実際に毎月入ってくるお金は、税金や社会保険料を引いた手取りです。手当がなくなれば、その差はさらに大きくなります。内定の条件を受け取ったら、月々の手取りの目安と、なくなる手当を計算して、今の手取りと比べることが大切です。年収の数字だけで判断すると、入社してから「思っていたより少ない」と驚くことになります。
家計を、先に見直していなかった
収入が下がるのに、生活のしかたが前のままだと、足りない分は貯金で補うしかありません。転職を決める前に、家賃や通信費、保険料など、毎月決まって出ていくお金を書き出し、新しい手取りで暮らせるかを確かめるようにしましょう。暮らせない場合は、家賃の安い部屋への引っ越しや、固定費の見直しを、転職の前に済ませておくと安心です。家計を先に整えておけば、新しい仕事に集中できます。
昇給の仕組みを、確かめていなかった
「経験を積めば、すぐに上がる」と考えていても、会社によって昇給の仕組みは大きく違います。年に一度の評価で少しずつ上がる会社もあれば、役割が変わったときに大きく上がる会社もあります。内定の段階で、昇給の時期と決まり方、同じ職種の人が数年でどのくらいの年収になっているかを確かめると、収入を戻すまでの見通しが立てられます。分からないことは、遠慮せずに人事担当や転職エージェントに聞いておきましょう。
生活費の備えを、用意していなかった
年収が下がるキャリアチェンジでは、仕事に慣れるまでの間、思わぬ出費が重なることもあります。転職の前に、少なくとも数か月分の生活費を、すぐに使える貯金として別に分けておくと、気持ちに余裕が生まれます。備えがあれば、一時的に家計が苦しくなっても、慌てて別の仕事を探す必要はありません。備えは、新しい仕事を続けるための土台です。
収入を戻すまでの道筋を、描いていなかった
年収が下がっても、何年でどこまで戻すかの道筋があれば、今の我慢に意味が生まれます。Aさんは、その道筋を考えないまま、「なんとかなる」と思っていました。新しい仕事で、どんな力をつければ収入が上がるのか、資格や経験の積み方、社内での役割の変わり方などを、入社前から考えておきましょう。道筋が見えていれば、日々の仕事の中で何に力を入れればよいかも分かります。1年ごとに家計と収入を見直す時期を決めておくと、計画からずれたときにも早めに手を打てます。お金と仕事の見通しは、ひとりで抱えずに、家族や専門家にも相談してみましょう。
気持ちで飛びこむ人と、家計を設計してから選ぶ人の違い
キャリアチェンジで年収が下がって失敗しないためのチェックリスト
年収が下がるキャリアチェンジを考えているときは、内定を受ける前に、次の項目を確かめてみてください。お金の準備ができていれば、好きな仕事を安心して続けられます。
- 新しい仕事の月々の手取りの目安を計算した
- なくなる手当(住宅手当など)を確かめた
- 毎月決まって出ていくお金を書き出し、新しい手取りで暮らせるか確かめた
- 必要なら、転職の前に固定費を見直した
- 数か月分の生活費を、すぐに使える貯金として分けておいた
- 昇給の時期と決まり方を、人事担当やエージェントに確かめた
- 何年でどこまで収入を戻すか、道筋を書き出した
Aさんは、通帳を見て不安になったあと、まず家計を一から見直しました。家賃の安い部屋に引っ越し、スマートフォンの料金や保険も見直して、毎月の出費を減らしました。会社の上司には、どんな力をつければ評価が上がるのかを聞き、2年後にディレクターの役割を目指す計画を立てました。今は、生活費の備えを少しずつ戻しながら、仕事に集中できるようになったそうです。「好きな仕事を続けるためにも、お金の設計は先にしておくものなんだね」。Aさんは、図書館のロビーで、借りたばかりのデザインの本を胸に抱えて笑っていました。
キャリアチェンジで後悔しないために
年収が下がるキャリアチェンジでは、家計の見通しを立てることと、収入を戻せる道筋のある求人を選ぶことが大切です。
ライフプランニング相談・FP相談サービス【マネードクター】
お金の専門家と一緒に、家計や将来のお金の流れを整理できるタイプです。年収が下がったあとの暮らし方や、生活費の備えをどのくらい持てばよいかを、転職の前に相談しておくと安心です。
転職成功実績1万【リクルートエージェント】
求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプです。未経験の職種の年収の相場や、入社後の昇給の見通しを担当者に聞くことで、条件を冷静に比べやすくなります。
まなぶ
みらい
まなぶキャリアチェンジで年収が下がって失敗する原因は、やりたい仕事なら大丈夫と考えて、手取りや家計の見通し、収入を戻す道筋を確かめないまま飛びこんでしまうことです。手取りで比べ、家計を見直し、生活費の備えを分け、昇給の仕組みと道筋を確かめる。それだけで、年収が下がっても、安心して新しい仕事を続けられます。未経験からのキャリアチェンジで後悔しないための考え方は、未経験からのキャリアチェンジの失敗から学ぶでまとめています。
未経験・キャリアチェンジについては、30代の未経験転職で失敗する人の特徴5選や未経験転職の自己PRで失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

