結論

未経験転職の自己PRで失敗する人の多くは、「未経験なのだから、伝えられるのはやる気だけ」と考えて、前の仕事でしてきたことを「関係ない」と切り捨て、熱意の言葉だけで自分を売りこもうとしてしまう人です。けれども、企業が知りたいのは、やる気の大きさだけではありません。「この人は、新しい仕事のどんな場面で力を発揮してくれるのか」です。未経験転職の自己PRは「やる気を伝える場」ではなく、「これまでの経験と新しい仕事の橋をかける場」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、未経験転職の自己PRで失敗しない方法を解説します。

1失敗ストーリー

「学ぶ意欲は、誰にも負けません」としか言えなかった話

夏の夜、部屋の床で前の会社の資料を見返し、自己PRに使える経験に気づくまなぶのイラスト

2年前の転職活動を始めたばかりのころ、まなぶは、未経験のマーケティング職ばかりに応募していました。職務経歴書の自己PRの欄には、毎回同じ言葉を書いていました。「マーケティングは未経験ですが、学ぶ意欲は誰にも負けません。入社後は一日も早く戦力になれるよう、全力で努力します」。前の会社で取引先の担当として働いてきたことは、「マーケティングとは関係ない」と考えて、ほとんど書いていませんでした。

ある会社の一次面接で、面接官は職務経歴書を見ながら、静かに聞きました。「意欲があるのは分かりました。では、これまでのお仕事の中で、マーケティングにつながりそうな経験はありますか」。まなぶは、すぐに答えられませんでした。「ええと、特には……。でも、勉強はしています」。面接官は少しうなずいて、次の質問に移りました。

結果は、不採用でした。同じような面接が、何社も続きました。どの会社でも、まなぶの話は「やる気があります」「頑張ります」で終わってしまい、面接官の表情はなかなか動きませんでした。まなぶは、自分の経験の中にある強みを、自分で見えないものにしていたのです。

ある夜、まなぶは、不採用の通知が届いたスマートフォンを机に置き、前の会社で作った資料のファイルを何気なく開きました。そこには、取引先の要望を聞き取り、売り場の改善案をまとめた資料が何十枚も残っていました。「これって、お客様の声を聞いて、売り方を考える仕事だったんじゃないか」。まなぶは、自分が「関係ない」と思っていた経験の中に、伝えるべきことがあったと、やっと気づきました。

2原因分析

未経験転職の自己PRで失敗する5つの原因

1

やる気だけを、伝えていた

「学ぶ意欲は誰にも負けません」という言葉は、未経験の応募者の多くが書く言葉です。どの応募者も同じことを書いているため、それだけでは印象に残りません。意欲を伝えるなら、「何を、どのように学んでいるか」を具体的に添えることが大切です。「マーケティングの基本の本を5冊読み、身近な商品の売れ方を自分なりに分析している」と書けば、意欲が行動として伝わります。言葉の強さより、行動の跡のほうが、相手の心に届きます。

2

前の仕事の経験を、関係ないと切り捨てていた

未経験の職種でも、前の仕事でしてきたことの中には、新しい仕事にもつながる力が必ずあります。人の話を聞く力、数字を見る力、計画を立てて進める力などです。前の仕事でしてきたことを、「何を」「誰のために」「どう工夫したか」に分けて書き出すと、職種が違っても使える力が見えてきます。まなぶの場合は、取引先の要望を聞き取り、売り場の改善案をまとめてきたことが、マーケティングの仕事に直接つながる経験でした。

3

経験と新しい仕事を、つなげて話していなかった

経験を書き出しても、それが新しい仕事のどこで生きるのかを話さなければ、相手には伝わりません。「前の仕事でこうしてきた。だから、新しい仕事のこの場面でこう生かせる」と、経験と仕事を一本の線でつなげて話すようにしましょう。「取引先の声を聞いて売り場の改善を提案してきた経験は、お客様の声をもとに販促を考える仕事で生かせると考えています」と話せば、面接官は入社後の姿を思い浮かべやすくなります。

4

応募する会社に合わせて、話を変えていなかった

同じ自己PRをすべての会社に使い回すと、どの会社にも「なんとなく合いそう」な話しかできません。応募する会社の事業や、求人に書かれている仕事内容を読み、自分の経験のどの部分が特に生きるかを選んで話すことが大切です。会社ごとに強調する経験を変えるだけで、自己PRの説得力は大きく変わります。求人票に書かれている言葉と、自分の経験の言葉をそろえることも効果的です。志望動機を使い回してしまう失敗については、志望動機の使い回しで失敗する人の特徴5選でも紹介しています。

5

できないことを、正直に伝えていなかった

未経験の職種では、できないことがあるのは当たり前です。それを隠そうとして話をふくらませると、深く質問されたときに答えに詰まってしまいます。できないことは正直に伝え、そのうえで「それを埋めるために、今こんなことをしている」と話しましょう。正直さと前向きな行動の両方が伝われば、面接官は安心して、入社後の成長を思い描けます。未経験であることを弱みとしてではなく、学びの途中にいることとして話せば、印象は大きく変わります。完璧な応募者よりも、自分のことをよく分かっている応募者のほうが、信頼されるものです。

3図解

やる気だけを伝える人と、経験との橋をかける人の違い

⚠ 未経験転職の自己PRで失敗する人のパターン
「学ぶ意欲は誰にも負けません」と、やる気だけを書く
↓
前の仕事の経験を、「関係ない」と書かない
↓
どの会社にも、同じ自己PRを使い回す
↓
面接官の印象に残らず、不採用が続いてしまう
◎ 未経験転職の自己PRが上手な人のパターン
前の仕事を「何を・誰のために・どう工夫したか」で書き出す
↓
経験と新しい仕事の場面を、一本の線でつなげて話す
↓
会社ごとに強調する経験を選び、学んでいることも具体的に伝える
↓
入社後の姿が伝わり、未経験でも「会ってみたい」と思われる
4解決策

未経験転職の自己PRで失敗しないためのチェックリスト

未経験の職種に応募する前に、次の項目を確かめてみてください。自己PRは、書き方を少し変えるだけで、伝わり方が大きく変わります。

  • 前の仕事を、「何を・誰のために・どう工夫したか」で書き出した
  • 書き出した経験から、新しい仕事につながる力を選んだ
  • 経験と新しい仕事の場面を、一本の線でつなげて話せるようにした
  • 意欲を伝えるときに、何をどう学んでいるかを具体的に添えた
  • 応募する会社ごとに、強調する経験を選び直した
  • できないことと、それを埋めるための行動を正直に話せるようにした

まなぶは、その夜から自己PRを書き直しました。前の会社で取引先の要望を聞き取り、売り場の改善案をまとめてきたことを、「お客様の声を聞いて、売り方を考えてきた経験」として書き出しました。応募する会社ごとに、どの経験が生きるかを考え、マーケティングの本で学んでいることも具体的に添えました。マーケティング職の内定にはつながりませんでしたが、取引先の声を企画に生かしてほしいという営業企画の求人では、面接官が身を乗り出して話を聞いてくれました。その会社が、今の職場です。「未経験だからこそ、これまでの経験との橋をかけなきゃいけなかったんだな」。まなぶは、書き直した職務経歴書を見返しながら、そう思っています。

5おすすめサービス

キャリアチェンジで後悔しないために

未経験転職の自己PRを磨くには、これまでの経験を第三者と一緒に言葉にすることと、実際の面接に近い形で練習することが役立ちます。

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これまでの経験や実績を、第三者と一緒に言語化していけるタイプです。自分では「関係ない」と思っていた経験の中から、新しい職種で生かせる強みを引き出してもらえることがあります。

相談してみる

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実際の面接に近い形式で練習でき、客観的なフィードバックがもらえるタイプです。経験と新しい仕事をつなげる話し方が伝わっているかを、第三者の目で確かめられます。

対策してみる

まなぶまなぶ
「学ぶ意欲は誰にも負けません」としか言えなくて、自分の経験を何も伝えていませんでした…。
みらいみらい
未経験転職の自己PRは、やる気を伝える場ではなく、これまでの経験と新しい仕事の橋をかける場です。前の仕事を書き出して、新しい仕事のどの場面で生かせるかを一本の線でつなげましょう。会社ごとに強調する経験を選ぶことも大切です。
まなぶまなぶ
関係ないと思っていた経験の中に、伝えるべき強みがあったんですね。

未経験転職の自己PRで失敗する原因は、未経験だからとやる気だけを伝え、前の仕事の経験を関係ないと切り捨ててしまうことです。経験を書き出し、新しい仕事の場面とつなげ、学んでいることを具体的に添え、会社ごとに話を選ぶ。それだけで、未経験でも「会ってみたい」と思われる自己PRになります。未経験からのキャリアチェンジで後悔しないための考え方は、未経験からのキャリアチェンジの失敗から学ぶでまとめています。

未経験・キャリアチェンジについては、「未経験OK」の求人で後悔する理由やキャリアチェンジで年収が下がって失敗した話もあわせて読んでみてください。

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