結論

他部署との調整で後悔する人の多くは、「自分の部署で決めたことだから」「決まってから伝えれば十分」と考えて、関わる部署に早めに相談せず、決まったことだけを後から知らせてしまう人です。ほかの部署には、ほかの部署の事情や予定があります。それを知らないまま進めると、最後の段階で「それはできません」と言われ、やり直しや遅れにつながります。他部署との調整は「決まったことを伝える作業」ではなく、「決める前に一緒に考えてもらう作業」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、他部署との調整で後悔する理由と、早めに巻きこむコツを解説します。

1失敗ストーリー

工場に伝えたのが、最後だったAさんの話

料理教室の片づけの時間に、同じ班のAさんから他部署との調整の失敗談を聞いて驚くまなぶのイラスト

まなぶは、月に2回、駅前の料理教室に通っています。同じ班でいつも一緒になるのが、Aさん(30代女性)です。Aさんは、食品メーカーの商品企画の部署で、お菓子の新商品やパッケージを考える仕事をしています。ある晩、作った料理の片づけをしながら、Aさんは「部署の外の人を、最後まで置き去りにしてしまったことがあって」と話し始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

2年前、Aさんは、人気のクッキーのパッケージを新しくする企画を任されました。お客様の声を集め、デザイン会社と何度も打ち合わせを重ねて、持ち運びやすい小分けの袋に変える案をまとめました。部署の会議で案が通ったとき、Aさんは「これで決まりだ」とほっとしました。工場や営業の部署には、デザインが固まってから知らせればいいと考えていたのです。途中の案を見せて、あれこれ意見を言われるのも面倒だと感じていました。

ところが、決まった案を工場の担当者に送ると、すぐに電話がかかってきました。「この小分けの袋だと、今の包装の機械では作れません。機械を調整するには、少なくとも数か月かかります」。さらに営業の部署からも、「小分けにすると、お店の棚に置ける数が変わる。春の売り場の提案は、もう今のパッケージで進めているよ」と言われました。Aさんの部署で決めた案は、ほかの部署の事情を何も知らないまま作られていたのです。

結局、新しいパッケージの発売は半年延びることになり、デザイン会社にも修正をお願いすることになりました。工場の担当者からは、「最初に一言、相談してもらえていたら、作れる形を一緒に考えられたのに」と言われました。「自分たちだけで決めて、決まったことを伝えるのが調整だと思っていたんです」。Aさんは、洗い終わったお皿をふきながら、少し苦笑いしてそう話してくれました。

2原因分析

他部署との調整で後悔する理由

1

決まってから伝えれば十分、と思っていた

自分の部署で案を固めてからほかの部署に伝えると、相手は「もう決まったこと」として受け取ります。そこで問題が見つかっても、変えるのに大きな手間がかかります。案がまだやわらかいうちに、「こういう方向で考えているのですが、そちらで困ることはありますか」と聞いておくことが大切です。早めに聞いておけば、問題が見つかっても、小さな直しですみます。相手も、「一緒に考えてもらえた」と感じて、協力しやすくなります。

2

関わる部署を、最初に洗い出していなかった

仕事を任されたとき、自分の部署の中だけを見ていると、ほかにどの部署が関わるのかを見落としがちです。仕事を始める前に、「この仕事で影響を受けるのはどの部署か」を書き出してみると、相談すべき相手が見えてきます。Aさんの場合なら、作る工場、売る営業、お客様の声を受ける窓口などです。関わる部署が分かれば、それぞれにいつ相談すればよいかも決めやすくなります。

3

相手の部署の事情や予定を、知らなかった

ほかの部署には、それぞれの仕事の流れや、動かせない予定があります。工場には機械の都合があり、営業には売り場の提案の時期があります。相手の部署が、いつ、どんな準備をしているのかを、先に聞いておくと、無理のない進め方を考えられます。ふだんから、ほかの部署の人と話す機会をつくっておくと、こうした事情を自然に知ることができます。相手の事情を知ろうとする姿勢は、それだけで信頼につながります。社内の行事や勉強会で、ほかの部署の人と顔を合わせておくだけでも、相談のしやすさは変わります。

4

自分の部署の言葉で、話していた

同じ会社の中でも、部署によって、使う言葉や大切にしていることは違います。Aさんが「お客様に喜ばれるデザイン」と考えていたことも、工場にとっては「作れるかどうか」、営業にとっては「棚にどう置くか」が大事な点でした。相手の部署にとって何が変わるのかを、相手の言葉で伝えるようにしましょう。「袋の大きさが変わるので、機械の調整が必要か確かめたい」のように、相手が判断しやすい形で伝えることが大切です。

5

一度伝えたら、それで終わりにしていた

他部署との調整は、一度話して終わりではありません。案が変わるたび、予定が変わるたびに、関わる部署へ知らせる必要があります。途中の変更を伝えないままにしておくと、相手は古い情報のまま準備を進めてしまいます。大事な節目ごとに、関わる部署へ短い連絡を入れるようにしましょう。誰に、いつ、何を伝えたかを簡単に記録しておくと、伝えもれも防げます。こまめな連絡は、相手の準備の手間を減らすことにもつながります。

3図解

決まってから伝える人と、決める前に巻きこむ人の違い

⚠ 他部署との調整で後悔する人のパターン
自分の部署の中だけで、案を固める
↓
決まったことを、最後にほかの部署へ知らせる
↓
相手の事情を知らないまま、進めてしまう
↓
最後の段階で問題が見つかり、やり直しや遅れが起きる
◎ 他部署と上手に調整する人のパターン
仕事を始める前に、関わる部署を書き出す
↓
案がやわらかいうちに、困ることはないか聞いておく
↓
相手の言葉で伝え、節目ごとに連絡を入れる
↓
問題が早く見つかり、ほかの部署とも協力して進められる
4解決策

他部署との調整で後悔しないためのチェックリスト

ほかの部署と関わる仕事を任されたら、次の項目を確かめてみてください。調整は、早ければ早いほど、自分も相手も楽になります。最初は少し手間に感じても、最後のやり直しに比べれば、ずっと小さな手間ですみます。

  • この仕事で影響を受ける部署を、すべて書き出した
  • 案が固まる前に、関わる部署に困ることがないか聞いた
  • 相手の部署の予定や、動かせない事情を確かめた
  • 相手にとって何が変わるのかを、相手の言葉で伝えた
  • 案や予定が変わったら、関わる部署へすぐに知らせている
  • 誰に、いつ、何を伝えたかを記録している

Aさんは今、新しい企画を任されると、最初に「関わる部署の一覧」を作るようにしています。デザインの案が2〜3個出た段階で、工場と営業の担当者を呼んで、30分だけの打ち合わせを開きます。「この形なら作れる」「この大きさなら棚に置きやすい」と、早い段階で意見をもらえるので、最後になって大きく変えることがなくなりました。翌年に出した新しいパッケージは、予定どおりの時期に発売できたそうです。「早めに声をかけるのは、相手の時間をもらうことだと思っていたけれど、結局はお互いの時間を守ることだったんですね」。Aさんは、エプロンをたたみながら、そう話していました。

5おすすめサービス

仕事の失敗を減らすために

ほかの部署と上手に調整するには、部署をまたいだ情報の共有のしかたを整えることと、関わる部署への連絡を予定として見える化しておくことが役立ちます。

B
業務プロセスから見直したい人向け

業務プロセス整理・DX相談サービス【Chatwork DX相談窓口】

部署をまたいだ仕事の流れや、情報の共有のしかたを整理することから支援してくれるタイプです。関わる部署が同じ情報を見られるようにしておけば、伝えもれや、古い情報のまま準備が進むことを防げます。

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A
時間管理を効率化したい人向け

タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】

仕事の節目ごとの「誰に何を伝えるか」を、期限つきで一覧にできるタイプです。ほかの部署への相談や連絡をやることとして書いておけば、伝えるタイミングを逃さずにすみます。

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まなぶまなぶ
自分の部署で決めてから工場に伝えたら、作れない形だったなんて…。
みらいみらい
他部署との調整は、決まったことを伝える作業ではなく、決める前に一緒に考えてもらう作業です。関わる部署を書き出して、案がやわらかいうちに困ることがないか聞いてみましょう。変わったときの連絡も忘れずに。
まなぶまなぶ
早めに声をかけることが、お互いの時間を守ることになるんですね。

他部署との調整で後悔する原因は、決まってから伝えれば十分と考えて、関わる部署に早めに相談せず、相手の事情を知らないまま進めてしまうことです。関わる部署を書き出し、案がやわらかいうちに聞き、相手の言葉で伝え、節目ごとに連絡を入れる。それだけで、ほかの部署と協力しながら、仕事をなめらかに進められます。報連相とコミュニケーションで失敗しないための考え方は、報連相とコミュニケーションの失敗から学ぶでまとめています。

報連相・コミュニケーションについては、雑談が苦手で失敗する人の特徴5選や仕事の頼み方で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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