結論

仕事の相談をためらって後悔する人の多くは、「こんなことを聞いたら迷惑だ」「自分で調べれば分かるはず」と考えて、分からないことや困っていることを一人で抱え込んでしまう人です。相談を先延ばしにしているあいだにも、締め切りは近づき、取り返すための手間は大きくなっていきます。相談は、相手の時間を奪うことではなく、あとで相手が使うはずだった時間を減らすことです。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、仕事の相談をためらって後悔する理由と、相談しやすくなる工夫を解説します。

1失敗ストーリー

新しいシステムの準備を、一人で抱え込んだAさんの話

体育館のロビーで、フットサル仲間のAさんから相談をためらった失敗談を聞き、驚くまなぶのイラスト

平日の夜、まなぶは学生時代のフットサル仲間のAさん(30代男性)と、練習のあとに体育館のロビーで話していました。Aさんは物流会社の配送センターで、スタッフのシフト管理などの事務を担当しています。スポーツドリンクを飲みながら、Aさんは「この夏、相談しなかったせいで、職場に迷惑をかけちゃってさ」と話し始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

春、Aさんの職場では、シフト管理の新しいシステムを入れることになりました。設定の担当はAさん一人です。センター長からは「8月の初めから使えるように」と言われていました。システムの説明書を読みながら設定を進めていましたが、スタッフの勤務の決まりをどう入力すればよいのか、分からないところがいくつも出てきました。

「センター長は忙しそうだし、こんな細かいことを聞くのは悪い。説明書をもっと読めば分かるはず」。Aさんはそう考えて、夜遅くまで一人で調べ続けました。インターネットで同じシステムの使い方を探したり、説明書を最初から読み直したりして、気づけば2週間がたっていました。システムの会社の問い合わせ窓口に聞くことも、「自分の理解が足りないだけかもしれない」と思って、ためらっていました。

7月の終わり、センター長から「来週から使えそう?」と聞かれたとき、Aさんは初めて、設定がまだ半分しか終わっていないことを打ち明けました。センター長は驚き、すぐにシステムの会社に連絡して、担当者に来てもらうことになりました。担当者は、Aさんが2週間悩んでいたところを、30分ほどで説明してくれました。

結局、新しいシステムの使い始めは1か月遅れ、そのあいだスタッフは古いやり方と新しいやり方の両方に付き合うことになりました。「2週間ひとりで悩むより、最初の日に5分聞けばよかった。センター長にも『もっと早く言ってくれれば』って言われたよ」。Aさんは、汗をタオルでぬぐいながら苦笑いしました。

2原因分析

仕事の相談をためらって後悔する理由

1

相談すると、迷惑をかけると思い込んでいた

忙しそうな上司に声をかけるのは、勇気がいるものです。けれども、上司にとっていちばん困るのは、相談されることではなく、締め切りの直前になって「間に合いません」と知らされることです。早めの相談は、上司があとで取り返すために使う時間を、前もって減らすことだと考えましょう。Aさんの場合も、最初に聞いていれば、センター長がシステムの会社に連絡するだけで済んでいました。

2

自分で調べれば分かるはず、と考え続けた

自分で調べることは大切です。けれども、調べても分からないことを調べ続けるのは、仕事の時間を少しずつ失っていくことでもあります。「30分調べて分からなければ聞く」のように、相談する目安の時間を決めておくと、抱え込みを防げます。分からないことは、知っている人に聞けば数分で解決することも少なくありません。聞いた内容をメモに残しておけば、次からは自分で解決できるようになります。

3

相談の中身を、まとめられていなかった

相談をためらう理由の一つに、「何をどう聞けばいいか分からない」ということがあります。Aさんも、分からないことがいくつも重なり、何から聞けばいいのか整理できていませんでした。「やりたいこと」「試したこと」「分からないところ」の3つを短く書き出してから相談すると、相手も答えやすく、相談する側の気持ちも楽になります。

4

相談できる相手を、上司だけだと思っていた

相談先は、上司だけではありません。同じ仕事をしたことがある先輩や、ほかの部署の詳しい人、道具やシステムの会社の窓口など、聞ける相手はいろいろあります。「誰に聞けばいちばん早く分かるか」を考えて相談先を選ぶと、相談のハードルも下がります。外部の窓口は、問い合わせを受けるためにあるので、遠慮する必要はありません。

5

進み具合を、途中で伝えていなかった

Aさんは、設定の進み具合を、センター長に一度も伝えていませんでした。そのため、センター長は遅れに気づくことができませんでした。相談するほどではないと思っても、「今ここまで進んでいて、ここで少し迷っています」と途中で伝えておくだけで、周りが早く手を差し伸べられます。小さな途中経過の共有が、大きな遅れを防ぎます。

3図解

一人で抱え込む人と、早めに相談する人の違い

⚠ 仕事の相談をためらって後悔する人のパターン
分からないことがあっても、迷惑だと思って聞かない
↓
自分で調べれば分かるはずと、何日も悩み続ける
↓
進み具合を誰にも伝えないまま、締め切りが近づく
↓
直前に打ち明けることになり、周りに大きな迷惑がかかる
◎ 上手に相談できる人のパターン
相談する目安の時間を決めておく
↓
「やりたいこと・試したこと・分からないところ」を書き出す
↓
いちばん早く分かる相手を選んで、早めに聞く
↓
数分で解決することが増え、仕事が止まらずに進む
4解決策

仕事の相談をためらわないためのチェックリスト

相談は、慣れれば仕事を早く進めるための当たり前の手段になります。次の項目を、相談をためらいそうになったときに思い出してみてください。

  • 「30分調べて分からなければ聞く」など、相談の目安を決めている
  • 相談する前に、やりたいこと・試したこと・分からないところを書き出している
  • 上司だけでなく、詳しい先輩や外部の窓口も相談先にしている
  • 相手の都合を聞いてから、「5分だけいいですか」と声をかけている
  • 相談するほどでなくても、途中の進み具合を伝えている
  • 締め切りに間に合わないかもしれないと思ったら、その日のうちに伝えている

Aさんは今、分からないことが出てきたら、まずメモに3行で書き出し、30分調べても分からなければ、センター長かシステムの会社に聞くようにしています。週に一度は、センター長に「今週の進み具合」を一言で伝えることも習慣にしました。「聞くのが早くなってから、残業がずいぶん減ったんだ」とAさん。聞く前に3行で書き出すと、自分で答えに気づくこともあるそうです。相談をためらっていたころより、周りから頼りにされることも増えたそうです。

まなぶも話を聞きながら、自分が資料づくりで行き詰まったとき、先輩に聞くのをためらって夜遅くまで残っていたことを思い出しました。「聞けばすぐに終わることを、ひとりで長引かせていたのかもしれない」。帰り道、まなぶはそう考えていました。

※相談のしかたや、相談先として使える窓口は、職場によって異なります。困ったときに誰に相談すればよいか分からない場合は、まず上司や先輩に「こういうときは誰に聞けばいいですか」と聞いてみてください。
5おすすめサービス

仕事の失敗を減らすために

相談のタイミングを逃さないためには、仕事の進み具合を見える化し、チームで困りごとを共有しやすい仕組みをつくることが役立ちます。

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時間管理を効率化したい人向け

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やることと期限を一覧にできるタイプです。「ここまで調べて分からなければ相談する」という目安の日時を書き込んでおけば、抱え込みに気づきやすくなります。進み具合を見える化することで、途中経過の共有もしやすくなります。

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業務プロセスから見直したい人向け

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仕事の流れや、チームでの情報共有のしかたを整理することから支援してくれるタイプです。新しい道具やシステムを入れるときの進め方や、困りごとを気軽に相談できる仕組みづくりを考えるきっかけになります。

相談してみる

まなぶまなぶ
迷惑だと思って相談しなかったら、2週間悩んだことが30分で解決するものだったなんて…。
みらいみらい
相談は、相手の時間を奪うことではなく、あとで相手が使う時間を減らすことです。相談の目安の時間を決めて、聞きたいことを3行で書き出してから、早めに声をかけましょう。
まなぶまなぶ
ひとりで悩む時間より、5分の相談のほうが、ずっと仕事を前に進めるんですね。

仕事の相談をためらって後悔する原因は、迷惑をかけると思い込み、自分で調べ続けて、相談の中身も相談先も整理できないまま抱え込んでしまうことです。相談の目安を決め、聞きたいことを書き出し、いちばん早く分かる相手に早めに聞く。それだけで、仕事はぐっと前に進みます。報連相とコミュニケーションで失敗しないための考え方は、報連相とコミュニケーションの失敗から学ぶでまとめています。

報連相・コミュニケーションについては、上司への報告で失敗する人の特徴5選やチャットやメールの伝え方で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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