結論

退職日の決め方で失敗する人の多くは、「有給を使い切った日」や「キリのいい日」など、なんとなくの基準で退職日を決めてしまう人です。社会保険は日割りではなく月単位で切り替わるため、退職日が数日違うだけで、国民健康保険や国民年金の手続きが必要になることがあります。住民税や最終の給与、賞与の条件も、退職日によって変わります。退職日は、転職先の入社日と並べて「すき間ができないか」で決めるのが基本です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、退職日の決め方で失敗する人の特徴と、決める前に確かめたいことを解説します。

1失敗ストーリー

有給を使い切った「3月15日」に退職したAさんの話

ジムの休憩スペースで、顔なじみのAさんから退職日の決め方の失敗談を聞いて驚くまなぶのイラスト

平日の夜、まなぶが通うトレーニングジムの休憩スペースで、顔なじみのAさん(30代男性)がスポーツドリンクを片手に話しかけてきました。Aさんは食品卸の会社で営業をしていましたが、この春に同業の会社へ転職したばかりです。「退職日って、適当に決めちゃだめなんだね。ちょっと痛い目を見たよ」。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

Aさんが転職先から内定をもらったのは、1月のことでした。入社日は4月1日。退職日については、上司と相談して「残っている有給を全部使い切った日」にすることにしました。計算すると、最終出社日のあとに有給を消化して、退職日は3月15日。「4月1日まで少し休めるし、ちょうどいい」と、Aさんは深く考えずに決めました。

ところが、退職してから問題が次々に出てきました。まず、最後の給料の明細を見て驚きました。いつもより手取りがずいぶん少なかったのです。理由は、5月分までの住民税の残りが、まとめて引かれていたからでした。

さらに5月の連休明け、市役所から国民健康保険の保険料の通知と、国民年金の納付書が届きました。3月16日から31日までの半月、Aさんはどこの会社の健康保険にも入っていなかったのです。社会保険は月単位で切り替わるため、3月は丸ごと1か月分、国民健康保険と国民年金の対象になっていました。本来は退職してから14日以内に、市役所で手続きをしておく必要がありました。

「3月31日を退職日にしていれば、こんな手続きはいらなかったんだよね。有給の日数も、上司と相談すれば調整できたはずなのに」。Aさんは汗をぬぐいながら、「日付を1つ決めるだけなのに、調べることがこんなにあるとは思わなかった」と苦笑いしました。

2原因分析

退職日の決め方で失敗する人の特徴5選

1

有給の残りだけで、退職日を決めている

有給休暇をきちんと消化するのは大切なことです。けれども、「有給を使い切った日=退職日」と機械的に決めると、その日が月の途中になり、転職先の入社日とのあいだにすき間ができることがあります。有給の日数は、最終出社日の決め方で調整できる場合も多いものです。まずは転職先の入社日から逆算して退職日を決め、そのうえで最終出社日と有給の使い方を上司と相談しましょう。

2

社会保険が月単位で切り替わることを知らない

健康保険や厚生年金は、退職日の翌日に資格を失います。そして保険料は日割りではなく、月単位で計算されます。たとえば月末(31日)に退職すれば、その月は会社の保険に入ったまま、翌月1日から転職先の保険に切り替わります。一方、月の途中で退職すると、その月の残りの日数が短くても、国民健康保険と国民年金の手続きと保険料の支払いが必要になります。退職日が数日違うだけで、手続きの手間もお金も変わるのです。

3

転職先の入社日と、並べて考えていない

退職日と入社日を別々に決めてしまうと、Aさんのように半月のすき間ができたり、逆に退職日より前に入社日が来てしまったりすることがあります。理想は「月末に退職して、翌月1日に入社する」形です。すき間をあえてつくって休みたい場合も、その期間の健康保険・年金・住民税をどうするかを、あらかじめ決めておきましょう。入社日の調整のしかたは、入社日の調整で失敗する人の特徴5選でも紹介しています。

4

最後の給料が少なくなることを、見込んでいない

会社員の住民税は、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から引かれます。1月から4月に退職すると、原則として5月分までの残りが、最後の給料からまとめて引かれます。6月から12月の退職でも、残りを一括で引くか、自分で納めるかを選ぶことになります。最後の給料は「いつもの手取り」より少なくなるかもしれないと考え、引っ越しなどの出費と重ならないよう資金を準備しておきましょう。

5

賞与や退職金の条件を、確かめていない

賞与は「支給日に在籍していること」が条件になっている会社が多く、退職日が支給日の前か後かで受け取れるかどうかが変わることがあります。退職金も、勤続年数が1年違うだけで金額が変わる会社があります。ボーナスと退職の時期で失敗した例は、ボーナスをもらってから辞めようとして失敗した話で紹介しています。退職日を決める前に、就業規則の賞与と退職金の欄を読んでおくことが大切です。

3図解

なんとなく決める人と、入社日から逆算する人の違い

⚠ 退職日の決め方で失敗する人のパターン
有給を使い切った日を、そのまま退職日にする
↓
月の途中で退職し、入社日までにすき間ができる
↓
国民健康保険と国民年金の手続きを忘れる
↓
最後の給料が少なく、通知や納付書があとから届く
↓
手続きと出費に追われ、新しい職場のスタートで慌てる
◎ 退職日を上手に決める人のパターン
転職先の入社日を先に確かめる
↓
入社日の前日か月末を、退職日の候補にする
↓
有給・賞与・退職金・住民税の条件を確かめる
↓
最終出社日と有給の使い方を、上司と相談して決める
↓
すき間なく切り替わり、余計な手続きや出費が出ない
4解決策

退職日の決め方で失敗しないためのチェックリスト

退職日は、会社と相談して決める大切な日付です。上司に希望を伝える前に、次の項目を確かめておきましょう。

  • 転職先の入社日を確かめ、退職日をその前日か月末にできるか考えた
  • 月の途中で退職すると、国民健康保険・国民年金の手続きが必要になると知っている
  • すき間ができる場合は、退職後14日以内に市区町村で手続きをすると決めた
  • 有給の残りの日数を確かめ、最終出社日と合わせて上司と相談した
  • 就業規則で、賞与の支給日在籍の条件と退職金の勤続年数の区切りを読んだ
  • 最後の給料から住民税などがまとめて引かれる場合に備えて、資金を準備した
  • 決まった退職日を、メールなど記録の残る形で会社と確認した

Aさんは、市役所で国民健康保険と国民年金の手続きをして、3月分の保険料を納めました。そのあと、会社の後輩に転職の相談をされたときには、「退職日は、入社日のカレンダーと並べてから決めたほうがいい」と真っ先に伝えたそうです。今のAさんの手帳には、次に転職するときのために「入社日→退職日→最終出社日→有給」の順に決める、というメモが残っています。退職したあとの健康保険の選び方で迷ったときは、退職後の健康保険の選び方で後悔する理由もあわせて確認しておくと安心です。

※社会保険や住民税の扱いは、2026年10月時点の一般的な内容です。勤務先や加入している健康保険、お住まいの市区町村によって手続きが異なる場合があります。詳しくは勤務先の人事担当や市区町村、年金事務所で確認してください。
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まなぶまなぶ
退職日を半月ずらしただけで、国民健康保険や国民年金の手続きが必要になるなんて…。日付ひとつで、こんなに変わるんですね。
みらいみらい
社会保険は月単位で切り替わります。退職日は、転職先の入社日と並べて、すき間ができないように決めましょう。有給や賞与、住民税の条件も、決める前に確かめておくと安心です。
まなぶまなぶ
退職日は「辞める日」じゃなくて、「次につなぐ日」なんですね。

退職日の決め方で失敗する原因は、有給の残りやキリのよさだけで日付を決め、社会保険の切り替えや転職先の入社日、最後の給料や賞与の条件を確かめないことです。入社日から逆算し、月末や入社日の前日を候補にして、条件を確かめてから上司と相談する。それだけで、余計な手続きや出費のない転職ができます。内定から退職までの流れで失敗しないための考え方は、内定から退職までの失敗から学ぶでまとめています。

内定・退職手続きについては、退職するときに転職先を話して後悔する理由や退職時の誓約書にサインして失敗した話もあわせて読んでみてください。

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