結論

本業と同じスキルで副業をして後悔する人の多くは、「本業で毎日やっていることだから、副業でもすぐに役立てられる」と考えて、依頼主が本業の取引先やライバル会社と重なっていないか、本業の情報や型を持ち出していないかを確かめないまま、仕事を引き受けてしまう人です。本業と同じスキルを売る副業は、始めやすく、評価もされやすいものです。けれど、本業に近い副業ほど、本業とぶつかる場面も生まれやすいのです。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、本業と同じスキルで副業をして後悔する理由と、本業とぶつからないための線の引き方を解説します。

1失敗ストーリー

副業で作っていた提案資料の相手は、自分の会社のライバルだった

副業の打ち合わせ中に、依頼主の競う相手が自分の会社だと気づき、画面の前で固まるまなぶのイラスト

今年の春、まなぶは、スキルを売れるサービス経由で、ある小さなシステム開発会社から依頼を受けました。「地方の食品メーカーのコンペに出す提案資料を、見やすく整えてほしい」。まなぶの本業は、IT企業の営業企画です。提案資料づくりは、毎日のようにしている仕事でした。会社には副業の申請を出していて、内容は「資料作成の手伝い」と書いていました。「本業の経験がそのまま生かせる、ぴったりの仕事だ」と、まなぶはうれしくなりました。

まなぶは、本業で身につけた資料の組み立て方をそのまま使い、1週間ほどで最初の案を仕上げました。依頼主はとても喜んでくれて、2回目のオンラインの打ち合わせでは、より細かい話になりました。「今回のコンペは、うちを含めて3社で競うんです。ほかの2社は、どちらも大きな会社で…」。依頼主が名前を挙げた会社の一つを聞いて、まなぶは画面の前で固まりました。それは、まなぶが勤めている会社だったのです。

思い返すと、たしかに、同じ部署の先輩が「食品メーカーのコンペの資料を作っている」と話していました。まなぶは、自分の会社と競う相手の提案資料を、副業で作っていたのです。本業の情報を何かに使ったわけではありませんでした。けれど、もしこのまま続ければ、会社からも依頼主からも、疑われかねない立場でした。もし自分の会社がコンペに負け、副業で手伝った会社が選ばれたら、どう説明すればよいのか。まなぶは、考えるだけで胸が苦しくなりました。

まなぶは打ち合わせのあと、悩んだ末に、依頼主に事情を説明し、仕事を途中でお断りしました。受け取っていた報酬は全額お返ししました。コンペの締め切りまで2週間しかなく、依頼主はほかの人を急いで探すことになり、とても困った様子でした。翌日、まなぶは上司にも正直に報告しました。上司は「話してくれてよかった」と言いつつ、こう続けました。「副業の申請に『資料作成』としか書いていなかったから、こういう重なりは、こちらでも気づけなかったんだよ」。

その夜、まなぶは、自分の副業の受け方を一から見直しました。本業と同じスキルだからこそ、本業とぶつかる場所を、先に確かめておくべきだった。まなぶは、依頼主の背景を一度も聞かずに、仕事の中身だけを見て引き受けていたことに気づいたのです。

2原因分析

本業と同じスキルで副業をして後悔する理由

1

依頼主が、本業の取引先やライバルと重なる

本業と同じスキルを売ると、依頼主も、本業と同じ業界の会社になりやすいものです。依頼主が本業の取引先やライバル会社と重なると、たとえ情報を使っていなくても、疑われる立場になってしまいます。依頼を受ける前に、依頼主の会社名や業界、資料の使い道を確かめ、本業と重ならないかを見ておきましょう。相手の会社名が出せない依頼の場合は、業界だけでも教えてもらうようにすると安心です。

2

副業の申請の内容が、あいまいになっている

「資料作成」「デザイン」など、ざっくりした内容で副業を申請すると、会社も、どんな仕事が問題になるのかを判断できません。申請するときは、受ける仕事の種類や、受けない相手(本業の取引先や同じ業界の会社など)まで書いておくと、会社と同じ基準で判断できるようになります。気になる依頼が来たときに、相談しやすくもなります。仕事の内容が変わったときは、申請もあわせて見直しましょう。

3

本業で使っている型や資料を、持ち出してしまう

本業で使っている資料のひな形や、社内でまとめた事例は、会社の大切な財産です。自分が作ったものでも、本業の仕事として作ったものを副業で使うと、会社とのトラブルになるおそれがあります。副業で使う型や素材は、副業のために一から用意するようにしましょう。身につけた考え方を生かすことと、資料そのものを持ち出すことは別のものです。

4

依頼の背景を、聞かずに引き受ける

仕事の中身だけを見て引き受けると、その資料が誰に向けて、何のために使われるのかが分かりません。「どこに出す資料なのか」「競う相手はいるのか」を最初に聞くだけで、本業とぶつかる仕事を早めに避けられます。依頼の背景を聞くことは、良い資料を作るためにも欠かせないことです。相手が誰に何を伝えたいのかが分かれば、資料の質も上がります。

5

断る基準を、決めていない

本業と近い仕事ほど、「自分ならできる」と引き受けたくなります。けれど、断る基準を決めていないと、途中で気づいたときに、依頼主にも会社にも迷惑をかけてしまいます。「本業の取引先・同じ業界のライバル会社からの依頼は受けない」など、断る基準を先に決めておくと、迷わずに判断できます。最初に断るほうが、途中で断るよりも、相手の負担はずっと小さくなります。断るときは、理由を短く伝え、できればほかの探し方も添えましょう。

3図解

本業と同じスキルの副業で後悔する人と、上手に線を引ける人の違い

⚠ 本業と同じスキルの副業で後悔する人のパターン
「本業の経験が生かせる」と、背景を聞かずに引き受ける
↓
本業で身につけた型をそのまま使って、仕事を進める
↓
途中で、依頼主が本業のライバルだと気づく
↓
途中で断ることになり、依頼主にも会社にも迷惑をかける
◎ 本業と同じスキルの副業で上手に線を引ける人のパターン
受けない相手を決め、副業の申請にもくわしく書く
↓
依頼主の業界と資料の使い道を、最初に確かめる
↓
副業で使う型や素材は、一から用意する
↓
本業とぶつからずに、安心して経験を生かせる
4解決策

本業と同じスキルで副業をする前のチェックリスト

本業の経験は、副業の大きな強みになります。その強みを安心して生かすために、次の項目を確かめてみてください。

  • 受けない相手(本業の取引先・同じ業界の会社)を決めた
  • 副業の申請に、仕事の種類と受けない相手を書いた
  • 依頼主の会社名と業界を確かめた
  • 資料の使い道と、競う相手の有無を聞いた
  • 副業で使う型や素材を、副業のために用意した
  • 迷う依頼が来たら、会社に相談すると決めた

まなぶは、上司と相談して、副業の申請内容を書き直しました。「中小企業や個人の営業資料・説明資料の作成。本業の取引先と、同じIT業界の会社からの依頼は受けない」。依頼を受けるときは、最初のメッセージで、会社名と業界、資料の使い道を必ず聞くようにしています。「本業に近い副業ほど、先に線を引いておくことが、自分の経験を守ることにつながるんだ」。まなぶは、書き直した申請書の控えを、副業用のファイルにしまいました。

※副業のルールは会社によって異なります。同じ業界の会社の仕事を受けることや、本業と競合する仕事を禁止している会社もあります。就業規則や副業の申請のルールを確認し、迷うときは会社の担当部署に相談しましょう。
5おすすめサービス

スキルを売る副業を始めるなら

本業と同じスキルを副業で生かすには、受ける仕事を自分で選べる場を使うことと、受け方や線の引き方を相談できる先を持っておくことが大切です。

A
受ける仕事を選びたい人向け

日本最大級のクラウドソーシング【ランサーズ】

さまざまな業界の案件を探せるタイプです。依頼主の業界や仕事の内容を見てから応募できるため、本業と重ならない仕事を選びやすくなります。

案件を探してみる

B
働き方を整理してから動きたい人向け

フリーランス・キャリア相談サービス【ポテパンフリーランス】

自分のスキルの生かし方や、仕事の受け方について相談できるタイプです。本業の経験をどう副業に生かすか、どこに線を引くかを、客観的な視点で整理したい人に向いています。

相談してみる

まなぶまなぶ
副業で作っていた提案資料が、自分の会社とコンペで競う相手のものだったんです…。途中でお断りすることになってしまいました。
みらいみらい
本業と同じスキルの副業ほど、本業とぶつかりやすいものです。受けない相手を決めて、依頼の背景を最初に確かめましょう。
まなぶまなぶ
先に線を引いておくことが、自分の経験を守ることにつながるんですね。

本業と同じスキルで副業をして後悔する原因は、依頼主が本業の取引先やライバルと重ならないかを確かめず、あいまいな申請のまま、背景を聞かずに仕事を引き受けてしまうことです。受けない相手を決め、申請にくわしく書き、依頼の背景を最初に聞く。それだけで、本業の経験を、安心して副業に生かせるようになります。スキルを売る副業で失敗しないための考え方は、スキルを売る副業の失敗から学ぶでまとめています。

スキルを売る副業については、イラストの副業で失敗する人の特徴5選や副業の仕事を外注して後悔する理由もあわせて読んでみてください。

ABOUT ME
アバター
みらい
みんなの失敗談を共有して、たくさんの学びや共感をお届けするメディア「https://SHIPPAI.JP」を運営しています