結論

AIで仕事のスケジュールを組んで後悔する人の多くは、作業の一覧と締め切りだけをAIに渡し、休みの日やメンバーの忙しさ、確認を待つ時間を考えないまま、きれいな工程表をそのまま使ってしまう人です。AIに頼めば、作業を順番に並べた工程表が、あっという間にできあがります。けれど、AIは、渡されていない「職場の事情」を知りません。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、AIで仕事のスケジュールを組んで後悔する理由と、無理のない工程表の作り方を解説します。

1失敗ストーリー

きれいな工程表どおりには、一日も進まなかった

週末のオフィスで作業するチームのメンバーに、申し訳なさそうに差し入れを配るまなぶのイラスト

今年の9月、まなぶは、取引先に出す提案書づくりのとりまとめを任されました。営業企画のまなぶに加えて、営業担当、技術部門のメンバーなど、5人で一か月かけて作る、大きめの提案書です。締め切りは10月の第2週。まなぶは、作業の一覧と締め切りの日付をAIに渡して、「この作業を、締め切りに間に合うように工程表にして」と頼みました。

AIが作った工程表は、とても見やすいものでした。作業ごとに担当者と開始日・終了日が入り、色分けされた横棒が、締め切りの日まできれいに並んでいました。まなぶは「これなら大丈夫そうだ」と思い、そのままチームに共有しました。ところが、共有した翌日から、メンバーの反応は厳しいものでした。技術部門のメンバーからは「この週は別の案件の納品があって、ほとんど手が空かないんだけど」。営業担当の先輩からは「部長の確認、いつも3日はかかるよ」。

見直してみると、工程表は、9月の連休を平日と同じように数え、メンバーそれぞれの予定も、上司の確認を待つ時間も、まったく入っていなかったのです。AIには、そうした情報を一つも渡していなかったので、当然のことでした。それでも、まなぶは工程表の大きな作り直しはせず、「少しずつ取り戻せば大丈夫」と考えて、そのまま進めてしまいました。工程表を一から作り直すと、AIで時間を短くできた意味がなくなってしまう気がしたのです。今思えば、この判断がいちばんの分かれ道でした。

結果は、遅れが積み重なる一方でした。技術部門の作業は一週間遅れ、部長の確認も予定より長くかかりました。締め切りの前の週末は、チーム全員が休日に出て作業をすることになり、夏休みを後ろにずらして休む予定だったメンバーには、予定を変えてもらうことになりました。提案書はなんとか間に合いましたが、「最初の工程表で、みんなに無理をさせてしまった」という申し訳なさが、まなぶの中に残りました。

振り返りの場で、上司はこう言いました。「工程表は、作業を並べたものじゃなくて、チームの約束なんだよ。だから、一緒に作る人の事情が入っていないと、守れないんだ」。AIが作ったのは「作業の並び」で、「チームが守れる計画」ではなかった。まなぶは、その違いに、ようやく気づきました。

2原因分析

AIで仕事のスケジュールを組んで後悔する理由

1

休みの日や、会社の予定が入っていない

AIは、指示がなければ、カレンダー上の日付を同じように扱うことがあります。連休や会社の休業日、決算や大きな行事など、その職場ならではの予定は、伝えなければ工程表に入りません。AIに頼むときは、休みの日と、会社全体の大きな予定を、先に書き出して渡しましょう。でき上がった工程表も、カレンダーと見比べて確かめることが大切です。

2

メンバーの忙しさを、聞いていない

工程表の作業は、人が動かなければ進みません。けれど、一緒に作業する人には、それぞれ別の仕事や予定があります。メンバーの事情を聞かずに作った工程表は、最初から無理を抱えています。工程表を作る前に、メンバーに「この期間で、手が空かない時期はありますか」と一言聞いておきましょう。それだけで、計画の現実味は大きく変わります。聞いた予定は、そのままAIに渡して「この人はこの週は作業できない」と伝えれば、工程表に反映してもらえます。

3

確認や承認を待つ時間を、入れていない

仕事の多くは、上司や他の部署の確認を受けながら進みます。この「待つ時間」は、作業の一覧には出てこないため、見落としがちです。確認にかかる日数を入れていない工程表は、ほぼ必ず遅れます。これまでの経験から、確認にどれくらいかかるかを周りに聞き、その日数を工程表に入れておきましょう。確認する側の人にも、「この日に資料をお送りします」と先に伝えておくと、待つ時間を短くできることがあります。

4

余裕の時間をまったく取っていない

AIに「締め切りに間に合うように」と頼むと、作業をすき間なく並べた工程表ができやすくなります。けれど、仕事には、思わぬ手直しや急な用事がつきものです。余裕のない計画は、一つ遅れただけで全体が崩れてしまいます。締め切りの数日前を「予備の日」として空けておくなど、余裕を持たせた工程表にしましょう。AIにも「予備の日を入れて」と頼むことができます。予備の日が使われずに済めば、その分だけ早く仕上げて、見直しに時間をかけることもできます。

5

AIの工程表を、チームと話し合わずに配っている

AIが作った工程表は見た目が整っているため、そのまま「決まったもの」として配りたくなります。けれど、工程表は、一緒に作業する人が納得して初めて守れるものです。AIの工程表は「たたき台」として共有し、メンバーの意見を聞いてから決めるようにしましょう。最初に話し合っておくほうが、あとで作り直すよりもずっと早く進みます。メンバーに意見を聞くことで、自分では気づけなかった作業や心配ごとが見つかることもあります。

3図解

AIでスケジュールを組んで後悔する人と、上手に使える人の違い

⚠ AIで仕事のスケジュールを組んで後悔する人のパターン
作業の一覧と締め切りだけを、AIに渡す
↓
きれいな工程表を、そのままチームに配る
↓
休み・メンバーの予定・確認の時間が入っていないまま進める
↓
遅れが積み重なり、最後にチームに無理をさせてしまう
◎ AIを使って無理のないスケジュールを組める人のパターン
休みの日・メンバーの予定・確認にかかる日数を先に集める
↓
それらをAIに渡し、予備の日を入れた工程表を作ってもらう
↓
「たたき台」としてチームに共有し、意見を聞いて直す
↓
チーム全員が納得して守れる計画になる
4解決策

AIで工程表を作る前のチェックリスト

AIは、作業を整理して工程表の形にするときの心強い道具です。無理のない計画を立てるために、次の項目を確かめてみてください。

  • 休みの日と、会社全体の大きな予定を書き出した
  • メンバーに、手が空かない時期を聞いた
  • 上司や他の部署の確認にかかる日数を、入れた
  • 締め切りの前に、予備の日を空けた
  • AIの工程表を「たたき台」として、チームの意見を聞いた
  • 社内の予定や情報をAIに入力してよいか、会社のルールを確認した

まなぶは今、工程表を作るときは、まずメンバー一人ひとりに予定を聞き、確認にかかる日数を先輩に教えてもらってから、AIに渡しています。できあがった工程表は、必ず「たたき台です」と書いてチームに共有し、意見を聞いてから決めています。AIには「並べる」作業を任せて、「守れるかどうか」はチームで決める。そう決めてから、計画が大きく崩れることはなくなりました。

※メンバーの予定や、取引先の名前・案件の内容などをAIに入力してよいかは、会社のルールによって異なります。工程表を作る前に、会社で認められているツールと使い方を確認しましょう。
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AIの工程表をそのまま配ったら、休みもメンバーの予定も入っていなくて、最後にみんなに無理をさせてしまいました…。
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AIは、伝えていない職場の事情を知りません。予定や確認の時間を先に集めて、工程表は「たたき台」としてチームで決めましょう。
まなぶまなぶ
工程表は、作業の並びじゃなくて、チームの約束なんですね。

AIで仕事のスケジュールを組んで後悔する原因は、休みの日やメンバーの予定、確認を待つ時間を伝えないまま、きれいな工程表をそのまま配ってしまうことです。職場の事情を先に集めてAIに渡し、予備の日を入れ、チームと話し合ってから決める。それだけで、工程表は全員が守れる計画になります。仕事でAIを使うときに失敗しないための考え方は、業務でのAI活用の失敗から学ぶでまとめています。

仕事でのAI活用については、AIでアンケートの自由回答を分析して失敗した話やAIで業務マニュアルを作るときに失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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