結論

AIで文章を校正して失敗する人の多くは、AIが直した箇所を一つずつ確かめず、「全部直してくれたはず」と思い込んで、そのまま外に出してしまう人です。AIに頼めば、誤字や言い回しのぎこちなさを、短い時間で見つけて直してもらえます。けれど、AIは「一般的に正しい書き方」に直そうとするため、会社の決まった表記や人の名前、言葉の細かな意味まで変えてしまうことがあります。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、AIで文章を校正して失敗する人の特徴と、校正にAIを上手に使うコツを解説します。

1失敗ストーリー

AIが「正しく」直した文章で、500部を刷り直した

定食屋のカウンターで、顔なじみのAさんから冊子を刷り直した失敗の話を聞くまなぶのイラスト

この話は、まなぶが以前住んでいた街の定食屋で、常連どうし顔なじみだったAさんから聞いたものです。久しぶりにその店に寄ったとき、カウンターでAさんと再会し、近況を話しているうちに、話題が仕事でのAIの使い方になりました。Aさんは「AIの校正で、取引先に配る冊子を刷り直したことがあるんです」と、苦笑いしながら話してくれました。

Aさんは、住宅設備メーカーで広報の仕事をしています。毎年春に、取引先向けに新しい商品を紹介する冊子を作っていて、その年は原稿の量がいつもの倍近くありました。締め切りに追われたAさんは、書き上げた原稿をAIに渡して、「誤字脱字と、分かりにくい表現を直して」と頼みました。AIは、たくさんの箇所を直した文章を返してくれました。読みやすくなった原稿を見て、Aさんは安心し、直された箇所を一つずつ見比べることはせずに、そのまま印刷に回しました。

冊子が取引先に届いて数日後、営業部から連絡が入りました。「社長のあいさつ文で、社長の名前の漢字が違っている」。さらに、商品名のカタカナ表記が、会社で決めている表記から一般的な書き方に変わっていたことも分かりました。調べてみると、AIが「より一般的な表記」に直したところが、会社の正式な表記や、人の名前の漢字まで変えていたのです。ある商品の説明では「最大で」が「約」に変わり、性能の伝え方まで変わっていました。元の原稿を見返すと、どれもAさんが正しく書いていた箇所でした。

冊子は500部。Aさんは上司と一緒に関係する部署に謝り、正しい表記に直した冊子を刷り直して、取引先に送り直すことになりました。「AIが直してくれたから大丈夫、と思った瞬間に、自分の確認が止まっていた」と、Aさんは振り返っていました。誤字を見つけてもらうために頼んだはずのAIが、元の原稿にはなかった間違いを生んでいたのです。刷り直しの費用だけでなく、取引先へのおわびの連絡や、営業部への説明にも、何日もかかってしまいました。

まなぶにも、思い当たることがありました。副業で資料作りを請け負うとき、まなぶもAIに文章の手直しを頼むことがあります。言われてみれば、直された箇所をすべて見比べたことはありませんでした。Aさんは今、AIに校正を頼むときは、必ず「直した箇所と、その理由を一覧にして」と伝えているそうです。

2原因分析

AIで文章を校正して失敗する人の特徴5選

1

直された箇所を、元の文章と見比べない

AIは、頼めばたくさんの箇所を一度に直してくれます。けれど、直したあとの文章だけを読むと、どこがどう変わったのかは分かりません。直された箇所を元の文章と見比べないと、AIが生んだ新しい間違いに気づけません。AIに「直した箇所を、元の文と直した文を並べて一覧にして」と頼めば、確認の手間は大きく減ります。一覧があれば、直してほしくなかった箇所だけを元に戻すこともすぐにできます。

2

会社の決まった表記を伝えていない

会社には、商品名や部署名、サービス名など、決まった書き方があります。AIはそれを知らないため、「一般的に正しい書き方」に直そうとします。会社の正式な表記は、AIにとっては「表記ゆれ」に見えることがあるのです。校正を頼む前に、変えてはいけない言葉の一覧を渡しておきましょう。毎回使う一覧を一つ作っておくと、次からはそれを貼るだけで済みます。新しい商品やサービスが増えたら、そのつど一覧に書き足しておきましょう。

3

人の名前や数字を、自分で確かめていない

人の名前の漢字や、数字、日付は、一文字違うだけで大きな問題になります。AIは、珍しい漢字をよく使われる漢字に直したり、数字の表現を整えたりすることがあります。名前・数字・日付は、AIに任せず、元の資料と照らし合わせて自分で確かめると決めておきましょう。名簿や商品の資料など、正しい情報がある場所を先に用意しておくと確認が早くなります。とくに、社外の人の名前や会社名は、相手に失礼のないよう丁寧に確かめましょう。

4

言葉の意味が変わっていないかを見ていない

AIは、文章を読みやすくするために、言い回しを変えることがあります。けれど、「最大で」と「約」、「必ず」と「多くの場合」のように、似ているようで意味が違う言葉もあります。読みやすさと引きかえに、伝えたい内容が変わってしまうことがあるのです。商品の性能や約束ごとにかかわる文は、直された前と後で意味が変わっていないかを、特に注意して読みましょう。

5

AIに頼んだ時点で、校正が終わったと思っている

AIに校正を頼むと、「これで確認は済んだ」という気持ちになりがちです。けれど、AIの校正は、人が確認するための下準備です。最後に読んで、外に出してよいと決めるのは自分だと考えましょう。大事な文章ほど、印刷や送信の前に、もう一人に読んでもらう時間を取ることも大切です。締め切りが近いときほど確認を省きたくなりますが、刷り直しや送り直しにかかる時間を考えれば、数十分の確認はずっと安い手間です。

3図解

AIで校正して失敗する人と、上手に使える人の違い

⚠ AIで文章を校正して失敗する人のパターン
原稿をAIに渡し、「誤字と表現を直して」とだけ頼む
↓
読みやすくなった文章を見て、そのまま完成にする
↓
会社の表記・名前・言葉の意味が変わったことに気づかない
↓
元の原稿になかった間違いを、外に出してしまう
◎ AIを使って安心して校正できる人のパターン
変えてはいけない言葉の一覧を添えて、校正を頼む
↓
直した箇所と理由を、一覧にしてもらう
↓
名前・数字・意味の変わる言葉は、自分で確かめる
↓
AIの速さを生かしながら、間違いのない文章を出せる
4解決策

AIに校正を頼むときのチェックリスト

AIは、文章の見直しを手伝ってくれる心強い道具です。安心して使うために、次の項目を確かめてみてください。

  • 変えてはいけない言葉(商品名・部署名など)の一覧を渡した
  • 直した箇所と理由を、一覧にしてもらった
  • 直された箇所を、元の文章と見比べた
  • 人の名前・数字・日付を、元の資料と照らし合わせた
  • 意味が変わる言い換えがないかを確かめた
  • 大事な文章は、外に出す前にもう一人に読んでもらった

まなぶも、Aさんの話を聞いてから、副業の資料でAIに文章の手直しを頼むときは、直した箇所の一覧を出してもらうようにしました。一覧を見てみると、お客さまの会社名の表記が一か所変わっていたことに気づき、ひやりとしました。AIの校正は「見つけてもらう」まで、「直してよいか決める」のは自分。そう決めてから、安心して文章を仕上げられるようになりました。

※社外に出す前の原稿や、取引先の情報が入った文章をAIに入力してよいかは、会社のルールによって異なります。校正に使う前に、会社で認められているツールと使い方を確認しましょう。
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Aさんは、AIが「正しく」直した表記のせいで、500部の冊子を刷り直すことになったそうです…。
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AIは一般的な書き方に直そうとします。変えてはいけない言葉を先に伝えて、直した箇所は一つずつ見比べましょう。
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見つけてもらうのはAIで、直してよいか決めるのは自分なんですね。

AIで文章を校正して失敗する原因は、直された箇所を確かめず、会社の表記や名前、言葉の意味が変わったことに気づかないまま、外に出してしまうことです。変えてはいけない言葉を伝え、直した箇所の一覧を出してもらい、名前と数字は自分で確かめる。それだけで、AIは頼れる校正の相棒になります。仕事でAIを使うときに失敗しないための考え方は、業務でのAI活用の失敗から学ぶでまとめています。

仕事でのAI活用については、AIで稟議書を書いて後悔する理由やAIにタスクの優先順位を決めさせて失敗した話もあわせて読んでみてください。

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