結論

フルリモートの会社への転職で失敗する人の多くは、「通勤がなくなる」「好きな場所で自由に働ける」という良い面だけを見て、仕事の進め方や人との関わり方、自宅で働くための準備を確かめないまま転職してしまう人です。フルリモートの働き方には、通勤の負担がなく、住む場所を選びやすいなど、大きな魅力があります。けれど、職場が自宅に変わると、人との関わり方も、仕事と生活の区切り方も、自分で作っていく必要があります。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、フルリモートの会社へ転職して失敗した原因と、転職の前に準備したいことを解説します。

1失敗ストーリー

「自由な働き方」のはずが、ひとりで抱え込んでいた

土曜日の午後、コワーキングスペースのラウンジで、フルリモートの会社で働く副業のクライアントのAさんの話を聞くまなぶのイラスト

ある土曜日の午後、まなぶは、副業の資料作成の仕事を頼んでくれているAさん(30代女性)と、街なかのコワーキングスペースのラウンジで初めて直接会いました。いつもはチャットとオンライン会議だけのやり取りです。Aさんが近くに来る用事があり、会うことになったのです。Aさんは、全員が自宅などで働くフルリモートの会社で、マーケティングの仕事をしています。「実は私、この会社に入って最初の1年は、かなりつらかったんだよね」。Aさんは、コーヒーを手に話し始めました。

前の会社で総務を7年していたAさんは、片道1時間半の通勤に疲れていました。「通勤がなくなれば、その時間を自分のために使える」。フルリモートの求人を見つけたとき、Aさんの心は決まりました。面接もすべてオンラインで進み、内定はすぐに出ました。仕事の進め方や、社員どうしのやり取りの仕方について、くわしく聞くことはなかったそうです。「家で働けるなら、それだけで十分」と思っていたのです。

ところが、働き始めると、思っていた「自由」とは違う毎日が待っていました。仕事のやり取りはほとんどがチャットの文字で、ちょっとした質問をするのにも、「忙しいところに邪魔をしないかな」とためらってしまいます。分からないことを一人で抱え込み、夜遅くまで調べ続ける日もありました。リビングの机がそのまま仕事場になり、仕事と生活の区切りがなくなっていったのです。成果が目に見えないと評価されないのではという不安から、休むべき時間にもチャットを確かめるようになっていました。

今は、仕事用の部屋を整え、毎朝の始まりと終わりの時間を決め、週に2日はこのコワーキングスペースで働いているそうです。チームの中に、気軽に話せる短いオンラインの時間も作ってもらいました。「通勤がなくなることばかり考えて、その代わりに何が必要になるのかを考えてなかった」。フルリモートの自由は、自分で働き方の仕組みを作ってはじめて手に入るものだった。まなぶは、いつも画面越しに見ていたAさんの、知らなかった苦労に驚きました。

2原因分析

フルリモートの会社へ転職して失敗した5つの原因

1

「通勤がない」ことだけで選んだ

通勤がなくなることは、フルリモートの大きな魅力です。けれど、それだけを理由に選ぶと、仕事の中身や会社の雰囲気が自分に合っているかを確かめないまま決めてしまいがちです。働く場所の条件は、仕事選びの条件の一つにすぎません。仕事の中身、評価のされ方、一緒に働く人など、ほかの条件もあわせて比べることが大切です。通勤がなくても、仕事そのものが合わなければ、満足して働き続けることはできません。

2

文字のやり取りが中心になることを想定していなかった

フルリモートの会社では、仕事のやり取りの多くがチャットなどの文字で行われます。顔を合わせて話すときのように、相手の表情や雰囲気で伝わることが少ないため、質問のしかたや、伝え方そのものに工夫が必要になります。選考の段階で、「質問や相談は、どんな方法でしていますか」「チームで話す機会はどれくらいありますか」と聞いておきましょう。文字で簡潔に伝える練習をしておくのもおすすめです。質問をためらわずにできる雰囲気があるかどうかは、働きやすさを大きく左右します。

3

仕事と生活の区切りを考えていなかった

自宅で働くと、仕事の始まりと終わりがあいまいになりやすく、気づけば夜まで働いていた、ということも起こりがちです。通勤がない分、自分で区切りを作らなければ、休む時間がどんどん削られていきます。始業と終業の時間を決める、仕事の道具を片づける、仕事用の場所を分けるなど、区切りを作る工夫を考えておきましょう。会社に、終業後の連絡についての決まりがあるかを確かめておくのも大切です。

4

評価のされ方を確かめなかった

フルリモートの会社では、働いている姿が見えないため、成果や仕事の進み具合で評価されることが多くなります。評価の基準が分からないままだと、「頑張りが伝わっていないのでは」と不安になり、必要以上に働いてしまうこともあります。何を、どのように報告すれば評価されるのかを、入社の前に確かめておきましょう。上司と定期的に話す機会があるかどうかも、大切な確認点です。話す機会があれば、不安を一人で抱え込まずに済みます。

5

自宅の環境と費用を確かめなかった

フルリモートで働くには、集中できる机や椅子、安定した通信環境が欠かせません。電気代や通信費が増えることもあります。会社から在宅勤務のための手当や道具の支給があるのかを確かめ、自宅に仕事の場所を作れるかを考えておきましょう。自宅で集中しにくい場合は、コワーキングスペースを使えるかどうかや、その費用の扱いも確かめておくと安心です。環境が整えば、フルリモートの良さを存分に生かせます。

3図解

フルリモートの会社で失敗する人と、心地よく働ける人の違い

⚠ フルリモートの会社への転職で失敗する人のパターン
「通勤がなくなる」ことだけを理由に転職を決める
↓
やり取りの方法や評価のされ方を確かめずに入社する
↓
質問をためらい、仕事と生活の区切りもなくなる
↓
ひとりで抱え込み、自由なはずの働き方がつらくなる
◎ フルリモートの会社で心地よく働ける人のパターン
仕事の中身や評価のされ方も含めて、会社を比べる
↓
やり取りの方法と、チームで話す機会を確かめる
↓
仕事の場所と時間の区切りを、入社前から準備する
↓
自由な働き方を、自分に合う形で続けられる
4解決策

フルリモートの会社への転職を考えたときのチェックリスト

フルリモートの働き方は、準備しだいで暮らしを大きく豊かにしてくれます。転職を考えたら、次の項目を確かめてみてください。

  • 働く場所以外の条件(仕事の中身・評価・人)も比べた
  • 質問や相談の方法と、チームで話す機会を確かめた
  • 何をどう報告すれば評価されるのかを確かめた
  • 終業後の連絡についての決まりがあるかを確かめた
  • 在宅勤務の手当や、道具の支給があるかを確かめた
  • 自宅に仕事の場所を作れるか、ほかに働ける場所があるかを考えた

ラウンジを出るとき、Aさんは「今は、この働き方を選んでよかったと思えてるよ」と笑いました。まなぶは、働く場所が自由になるほど、働き方の仕組みは自分で作らなければならないのだと感じました。

※フルリモートの会社でも、定期的な出社日がある会社や、住む場所に条件がある会社もあります。在宅勤務の手当や費用の扱いも会社によって異なるため、応募する会社ごとに確かめましょう。
5おすすめサービス

フルリモートの会社の働き方を確かめるなら

フルリモートの会社への転職では、求人票の「フルリモート」という言葉だけでなく、実際のやり取りの仕方や働き方の実態を確かめておくことが大切です。

B
社風や雰囲気まで調べたい人向け

企業口コミ・評判サービス【エン カイシャ】

実際に働いた人の声から、事業内容や社風、働き方の実態を確認できるタイプです。チームのやり取りの仕方や、評価のされ方、仕事と生活の区切りの実態など、求人票だけでは分からない情報を確かめる材料になります。

口コミを見てみる

C
自分の市場価値やキャリアの方向性を客観視したい人向け

市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】

第三者視点で自分の強みや適性、これまでのキャリアの棚卸しを手伝ってもらえるタイプです。自分がどんな働き方に向いているのかを客観的に知ることで、働く場所だけでなく、働き方全体で会社を選ぶ手がかりになります。

診断してみる

まなぶまなぶ
副業でお世話になっているAさん、通勤がなくなるからとフルリモートの会社に入ったら、ひとりで抱え込んでつらかったそうです…。
みらいみらい
フルリモートは、人との関わり方も仕事の区切り方も、自分で作っていく働き方です。やり取りの方法と評価のされ方を確かめ、働く準備を整えておきましょう。
まなぶまなぶ
自由な働き方には、自分で作る仕組みが必要なんですね。

フルリモートの会社への転職で失敗する原因は、「通勤がなくなる」という良い面だけを見て、やり取りの方法や評価のされ方、仕事と生活の区切り、自宅の環境を確かめないまま転職してしまうことです。ほかの条件も比べ、やり取りと評価の仕方を確かめ、区切りと仕事の場所を準備する。それだけで、フルリモートは心地よく続けられる働き方になります。会社のタイプが変わる転職で失敗しないための考え方は、ベンチャー転職の失敗から学ぶでまとめています。

企業タイプが変わる転職については、大企業への転職で後悔する理由や外資系から日系企業への転職で後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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