大企業への転職で後悔する理由
大企業への転職で後悔する人の多くは、「大きな会社なら安定していて、もっと大きな仕事ができる」と考え、分業の仕組みや物事の決まり方、異動や転勤のルールを確かめないまま転職してしまう人です。大企業には、安定した経営や充実した制度、規模の大きな仕事など、たくさんの魅力があります。けれど、小さな会社で身につけた働き方のまま入ると、仕事の範囲の狭さや決定の遅さに戸惑い、「前の会社のほうがよかった」と感じることになります。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、大企業への転職で後悔する理由と、転職の前に確かめたいことを解説します。
「大きな仕事」のはずが、担当は仕事の一部だけだった
ある平日の夜、まなぶは、通っている英会話教室で知り合ったAさん(30代男性)と、レッスンのあとに駅ビルのカフェでお茶を飲みました。Aさんは、社員30人ほどのスタートアップで5年間、新しいサービスの立ち上げに関わったあと、去年、誰もが名前を知る大企業に転職していました。「家族のことも考えて安定を選んだんだけど、正直、まだ慣れなくてね」。Aさんは、カップを両手で包みながら話し始めました。
スタートアップでは、Aさんは企画から営業、お客さまの声の取りまとめまで、一人で何役もこなしていました。忙しくても、自分のアイデアが翌週にはサービスに反映される手ごたえがありました。「大企業なら、もっと多くの人に届く大きな仕事ができるはず」。面接では、これまでの幅広い経験が高く評価され、年収も上がる条件で内定をもらいました。仕事の進め方について、くわしく質問することはありませんでした。「規模が大きくなれば、できることも増えるはず」と思い込んでいたのです。
ところが、入社して任されたのは、大きなサービスのうち、ごく一部の機能の改善でした。企画は企画部、営業は営業部と、仕事は細かく分かれていて、Aさんがお客さまと直接話す機会はほとんどありません。小さな変更一つにも、何度も会議を開き、いくつもの部署の承認が必要でした。スタートアップで当たり前だったスピードは、ここでは通用しませんでした。会議の資料づくりに追われ、本来の改善の仕事が進まない週もありました。さらに入社半年後には、数年ごとに部署の異動があり、転勤の可能性もあることを知りました。
「大企業が悪いんじゃない。自分が、仕事の範囲や決まり方の違いを何も確かめずに入ったのが失敗だった」。今は、関係する部署の人と少しずつ顔なじみになり、自分の提案を通すための進め方を覚え始めたそうです。「大きな会社」という言葉に、大きな裁量まで重ねていた。まなぶは、Aさんの話を聞きながら、会社の規模が変わる転職の難しさを感じていました。
大企業への転職で後悔する5つの理由
仕事の範囲が細かく分かれていることを知らなかった
大企業では、仕事が部署ごとに細かく分かれ、一人が担当する範囲は小さな会社よりも狭くなりがちです。小さな会社で何でもこなしてきた人ほど、「自分の仕事が全体のどこにつながっているのか見えにくい」と感じることがあります。面接では、入社後に担当する仕事の範囲と、ほかの部署との関わり方を具体的に確かめておきましょう。担当の範囲が分かれば、入社後の働き方を落ち着いて想像できます。全体の中での自分の役割が分かれば、狭い範囲の仕事にも意味を見つけやすくなります。
物事が決まるまでの流れを確かめなかった
大企業では、多くの人やお金が関わるため、物事を決めるまでに会議や承認の手順を重ねるのが一般的です。それは慎重に進めるための仕組みでもありますが、スピードを大切にしてきた人には、遅く感じられることがあります。選考の段階で、「新しい提案は、どんな流れで決まりますか」と聞いておきましょう。決まり方を知っていれば、入社後に提案を通すための準備もできます。誰に、どの順番で相談すればよいかを早く覚えることが、大企業で力を発揮する近道です。
異動や転勤のルールを確かめなかった
大企業では、数年ごとに部署の異動がある会社や、全国に転勤の可能性がある会社も少なくありません。入社したときの仕事や勤務地が、ずっと続くとは限らないのです。家族の事情がある人は特に、異動の頻度や転勤の有無、希望を伝える仕組みがあるかどうかを、内定を受ける前に確かめておきましょう。求人票に書かれていないことも多いため、面接や転職エージェントを通して聞くのが確実です。
評価のされ方の違いを想定していなかった
小さな会社では、成果がすぐに目に見え、評価にも早く反映されることがあります。社長が直接声をかけてくれることもあるでしょう。一方、大企業では、評価の仕組みがしっかり決まっていて、昇進や昇給までに一定の年数がかかることもあります。「頑張ればすぐに認められる」と期待していると、物足りなさを感じるかもしれません。評価の基準と、昇進までのおおよその年数を確かめておくと安心です。中途で入った人がどのように評価されているかを聞いてみるのも参考になります。
「安定」の中身を考えていなかった
大企業を選ぶ理由として、「安定」を挙げる人は多いでしょう。けれど、会社が安定していることと、自分がその中で満足して働き続けられることは別の話です。「何が安定していれば、自分は安心して働けるのか」を、収入、勤務地、仕事の中身、働く時間などに分けて考えておきましょう。安定の中身がはっきりすれば、大企業の中でも自分に合う会社を選びやすくなります。安定を求める気持ちは大切ですが、その中身まで考えておくことが後悔を防ぎます。
大企業への転職で後悔する人と、納得して働ける人の違い
大企業への転職を決める前のチェックリスト
大企業には、小さな会社にはない魅力がたくさんあります。転職を決める前に、次の項目を確かめてみてください。
- 入社後に担当する仕事の範囲を、具体的に確かめた
- 新しい提案が決まるまでの流れを聞いた
- 異動の頻度と、転勤の有無を確かめた
- 評価の基準と、昇進までのおおよその年数を確かめた
- 自分にとっての「安定」の中身を書き出した
- 実際に働いた人の声で、働き方の実態を確かめた
カフェを出るとき、Aさんは「スタートアップで鍛えた、自分から動く力は、ここでもきっと生きると思う」と笑いました。まなぶは、会社の規模が変わる転職では、仕事の大きさよりも、仕事の進め方の違いを先に知ることが大切なのだと感じました。
大企業の働き方を、入社の前に確かめるために
大企業への転職では、求人票には書かれにくい仕事の進め方や異動の実態を、入社の前に確かめておくことが大切です。
企業口コミ・評判サービス【エン カイシャ】
実際に働いた人の声から、事業内容や社風、働き方の実態を確認できるタイプです。物事の決まり方や、異動・転勤の実態など、求人票だけでは分からない情報を確かめる材料になります。気になった点は、面接の逆質問にも生かせます。
年収以外にもこだわるハイクラス転職【LHH転職エージェント】
これまでの専門性や実績を評価してくれる求人を紹介してくれるタイプです。小さな会社で積んだ幅広い経験を、大企業のどんな仕事で生かせるのかを、市場の目線で教えてもらえます。年収以外の条件も含めて相談できるのも利点です。
まなぶ
みらい
まなぶ大企業への転職で後悔する原因は、「大きな会社なら大きな仕事ができる」と期待し、仕事の範囲や物事の決まり方、異動のルール、評価のされ方を確かめないまま入社してしまうことです。「安定」の中身を考え、担当の範囲と決まり方を確かめ、異動と評価のルールを知っておく。それだけで、大企業での働き方は納得できるものになります。会社のタイプが変わる転職で失敗しないための考え方は、ベンチャー転職の失敗から学ぶでまとめています。
企業タイプが変わる転職については、グループ会社への転職で失敗する人の特徴5選やフルリモートの会社へ転職して失敗した話もあわせて読んでみてください。

