結論

副業の著作権や利用規約で失敗しないためには、「自分が作ったものだから自由に使える」「ネットで無料で手に入るものは使ってよい」という思い込みを捨て、作る前と公開する前に、権利とルールを確かめることが大切です。納品した成果物をどこまで実績として見せてよいか、使っている素材やフォントが仕事で使ってよいものか。確認を後回しにすると、取引先の信頼を失ったり、作り直しや削除に追われたりします。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、副業の権利とルールでつまずく原因と、失敗しないための確認の方法を解説します。

1失敗ストーリー

「実績」として載せた資料に届いた削除依頼

日曜の朝、自宅のベランダで取引先から資料の削除依頼のメールを受け取り、マグカップを置きかけたまま青ざめるまなぶのイラスト

資料作成の副業が軌道に乗ってきたころ、まなぶは新しいお客さまを増やそうと、これまでの仕事をまとめたポートフォリオを作ることにしました。取引先のために作った営業資料や図解の中から、出来のいいものを10点ほど選び、ポートフォリオのサイトとSNSに「制作実績」として載せました。資料の中には、取引先の社名や商品名、売上のグラフもそのまま入っていました。

数日後の日曜日の朝。自宅のベランダでコーヒーを飲みながらスマホを開くと、取引先の担当者から1通のメールが届いていました。「SNSに当社の資料が掲載されているのを社内の者が見つけました。社外に出していない数字も含まれています。至急、削除をお願いします」。まなぶはコーヒーを置き、その場で固まりました。

慌ててすべての投稿を消し、謝罪のメールを送りましたが、問題はそれだけではありませんでした。見直していくうちに、資料に使っていた人物のイラストが、個人利用は無料でも、仕事での利用には別の条件がある素材だったことに気づいたのです。見出しに使っていたおしゃれなフォントも、無料版は商用利用ができないものでした。

まなぶは週末を使って、納品済みの資料のイラストとフォントを差し替え、取引先に事情を説明して送り直しました。取引先の担当者は対応してくれましたが、その後、新しい仕事の依頼は少しずつ減っていきました。自分が作ったものでも、自由に使っていいとは限らない。無料で手に入るものでも、仕事で使っていいとは限らない。まなぶは、作る前と公開する前に確かめるべきことを、何ひとつ確かめていなかったのです。

2原因分析

副業の権利とルールでつまずく原因

1

納品物の権利と公開の範囲を取り決めていない

副業で作った成果物は、契約の内容によって、著作権が取引先に移ったり、使い方が限られたりすることがあります。何も取り決めないまま「自分が作ったから」と自由に使うと、取引先とのトラブルにつながりかねません。仕事を受けるときに、成果物の権利がどちらにあるのか、自分の実績として紹介してよいのかを、あらかじめ確認しておくことが大切です。業務委託の契約の確認でつまずいた話は、業務委託契約で失敗した話で紹介しています。

2

実績として公開する前に許可を取っていない

取引先の資料には、社名や商品名、社外に出していない数字など、公開されては困る情報が含まれていることがあります。実績として載せたい場合は、必ず事前に取引先の許可を取り、社名や数字を伏せるなどの加工をするのが基本です。預かった情報の扱いについては、オンライン秘書の副業で失敗した話でも紹介しています。

3

無料素材の利用規約を読んでいない

イラストや写真の無料素材サイトには、それぞれ利用規約があります。商用利用ができるか、クレジット表記が必要か、加工してよいか、使える点数に制限があるかなど、条件はサイトによってさまざまです。「無料」は「どう使ってもよい」という意味ではありません。素材を使う前に規約を確認し、どのサイトの素材をどの仕事で使ったかを記録しておくと安心です。規約はあとから変わることもあるため、使った時点の条件を控えておくと、問い合わせがあったときにも落ち着いて説明できます。

4

フォントやソフトのライセンスを確認していない

フォントやデザインソフトにも、個人利用だけのものや、商用利用には有料のライセンスが必要なものがあります。また、会社から貸与されたパソコンやソフトを副業に使うのは、会社のルールに反するおそれがあります。副業で使う道具は、仕事で使ってよい条件になっているかを一つずつ確かめることが大切です。副業を始めたばかりのころに個人用として入れたフォントやソフトを、そのまま仕事に使い続けているケースは意外と多いものです。

5

利用しているサービスの規約を読んでいない

クラウドソーシングやスキルシェアのサービスには、サービスの外で直接取引することを禁止するなど、独自の規約があります。知らずに違反すると、アカウントが使えなくなることもあります。仕事を得る場のルールも、副業を続けるための大切な前提です。スキルシェアサービスで出品するときの注意点は、スキルシェアサービスへの出品で後悔する理由で紹介しています。

3図解

権利とルールで失敗する人と、安心して続けられる人の違い

⚠ 権利とルールで失敗する人のパターン
成果物の権利や公開範囲を決めないまま仕事を受ける
↓
無料素材やフォントの規約を読まずに使う
↓
取引先の許可を取らずに、実績としてSNSに載せる
↓
削除や作り直しに追われ、取引先の信頼を失う
◎ 権利とルールを守って続けられる人のパターン
仕事を受けるときに、権利と実績公開の可否を確認する
↓
素材・フォント・ソフトは、商用利用の条件を確かめて使う
↓
実績は許可を取り、社名や数字を伏せて公開する
↓
安心して実績を見せられ、取引先との信頼も積み上がる
4解決策

副業の著作権・利用規約で失敗しないためのチェックリスト

権利やルールの確認は、慣れてしまえば数分でできることばかりです。仕事を受けるとき、作るとき、公開するときの3つの場面で、次の項目を確認しましょう。

  • 【受けるとき】成果物の権利がどちらにあるか、実績として紹介してよいかを確認した
  • 【受けるとき】秘密にすべき情報の範囲と扱い方を確認した
  • 【作るとき】使う素材の商用利用・クレジット表記・加工の条件を確認した
  • 【作るとき】フォントやソフトが仕事で使えるライセンスになっているか確かめた
  • 【公開するとき】取引先の許可を取り、社名や数字を伏せる加工をした
  • 利用しているサービスの規約(直接取引の禁止など)を読んだ

実績を見せたいけれど許可が取れない場合は、架空の会社を想定して作った見本の資料を用意する方法もあります。実際の仕事を見せられなくても、「どんな資料が作れるか」は十分に伝えられます。まなぶはその後、取引先の許可が取れたものだけを、社名と数字を伏せて掲載し、それ以外は自分で作った見本の資料でポートフォリオを作り直しました。

契約や権利のことで判断に迷う場合や、すでにトラブルになってしまった場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することも考えましょう。早めに相談するほど、解決の選択肢は多く残ります。まずは謝罪と削除など、自分にできる対応をすぐに行うことが大切です。

※著作権の扱いや利用規約の内容は、契約や素材・サービスごとに異なります。この記事は一般的な注意点の紹介であり、具体的な判断は契約書や各サービスの規約を確認したうえで、必要に応じて弁護士などの専門家に相談してください。
5おすすめサービス

契約や権利の不安を減らすために

権利やルールの確認は、取引の仕組みが整った場を使うことと、いざというときの相談先を知っておくことで、ぐっと安心になります。

A
案件を探したい人向け

日本最大級のクラウドソーシング【ランサーズ】

さまざまな副業の案件を探せるタイプです。契約条件のテンプレートが用意されている場合もあり、成果物の扱いや納期の取り決めがしやすくなります。トラブルが起きた際のサポート窓口があることも、安心材料の一つです。初めての案件ほど、こうした仕組みが整ったプラットフォームを選ぶと安心です。

案件を探してみる

B
トラブルに巻き込まれた人向け

フリーランス向け弁護士相談サービス【中小企業法律支援センター|東京弁護士会】

すでにトラブルが起きている場合、専門的な視点から対応を相談できるタイプです。成果物の権利や、取引先との取り決めをめぐって困ったときに、一人で抱え込まず相談できます。初回相談が無料のサービスも多く、気軽に利用しやすいのも利点です。

相談してみる

まなぶまなぶ
自分が作った資料だから、実績として載せても問題ないと思ってたんです…。素材もフォントも、無料なら大丈夫だと。
みらいみらい
自分が作ったものでも、取引先の情報が入っていれば許可が必要です。無料の素材やフォントも、仕事で使える条件かを確かめておきましょう。
まなぶまなぶ
受けるとき・作るとき・公開するときに、それぞれ確認するようにします!

副業の著作権や利用規約で失敗しないために大切なのは、「自分のもの」「無料のもの」という思い込みで判断しないことです。仕事を受けるときに権利と公開の範囲を確かめ、作るときに素材やフォントの条件を確かめ、公開するときに許可を取る。その積み重ねが、取引先からの信頼にもつながります。副業の税金・契約・ルールで失敗しないための考え方は、副業の税金・契約・ルールの失敗から学ぶでまとめています。

副業そのもので失敗しないためのポイントは、副業で失敗する人の共通点もあわせて読んでみてください。

ABOUT ME
アバター
みらい
みんなの失敗談を共有して、たくさんの学びや共感をお届けするメディア「https://SHIPPAI.JP」を運営しています