結論

営業企画職のAI活用で失敗する人の多くは、営業の現場の声を聞かないまま、AIで提案書のひな形やトーク集を大量に作り、「これを使ってください」と配って終わりにしてしまう人です。AIを使えば、業界別の提案書の型や、商談で使えるトーク例を、短い時間でたくさんそろえられます。けれど、営業企画の仕事は、資料を作ることではなく、営業が売れるように支えることです。使われない資料は、どれだけ数があっても成果にはつながりません。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、営業企画職のAI活用で失敗する人の特徴と、現場に使われる支え方を解説します。

1失敗ストーリー

AIで作った30種類の提案書の型が、ほとんど開かれなかった

提案書の型がほとんど開かれていなかったと知り、パソコンの前で頭を抱えるまなぶのイラスト

今年の1月、まなぶは、営業部のために「業界別の提案書のひな形集」を作ることになりました。営業の人たちが毎回ゼロから提案書を作るのは大変だから、型を用意して楽にしてほしい、という部長からの依頼でした。営業企画の仕事として、腕の見せどころだと思ったまなぶは、AIに「製造業向け」「小売業向け」「医療機関向け」など、業界ごとの提案書の型とトーク例を作ってもらいました。

AIを使うと、作業は驚くほど速く進みました。2週間で、30業界分の提案書の型と、それぞれのトーク集ができあがりました。まなぶは共有フォルダにすべてを置き、営業部の全員に「ぜひ使ってください」と案内を送りました。部長からも「すごい量だね」と言われ、まなぶは手応えを感じていました。営業の人たちがこの型を使って、提案書づくりの時間を半分にできたら、営業企画として大きな成果になる。そう考えると、まなぶは配った日から反応が楽しみでなりませんでした。

ところが、1か月後に共有フォルダの利用状況を見て、まなぶはがく然としました。30業界分の型のうち、一度でも開かれたのは5つだけ。営業の先輩に理由を聞くと、率直な答えが返ってきました。「型が長すぎて、どこを直せばいいか分からないんだよね。それに、うちのお客さんがよく気にすることが入っていないから、結局いつもの資料を使っちゃう」。

さらに、別の先輩からは、もっと困った話を聞きました。型の一つにAIが書いた「導入実績300社以上」という一文があり、それをそのまま使った提案書を、お客さまに出してしまったというのです。実際の会社の導入実績は、その半分にも届いていませんでした。お客さまから「300社の内訳を教えてほしい」と聞かれて、先輩は答えに困り、訂正のおわびをすることになりました。先輩は「確かめなかった自分も悪い」と言ってくれましたが、まなぶは申し訳なさでいっぱいでした。

まなぶは、作った型を一つずつ見直しながら考えました。営業の人がどんな場面で、何に困って資料を作っているのかを、一度も聞いていなかった。AIで「たくさん作れる」ことに夢中になって、「使われるか」を考えていなかったのです。営業企画という仕事の名前に「企画」とついていても、主役はいつも営業の人たちだということを、まなぶは忘れていました。

2原因分析

営業企画職のAI活用で失敗する人の特徴5選

1

営業の現場の声を聞かずに作っている

営業企画が作る資料の「お客さま」は、営業の人たちです。営業がどんな場面で困っていて、何があれば助かるのかを聞かないまま作った資料は、どれだけ整っていても使われません。作り始める前に、営業の人2〜3人に「提案書を作るとき、どこに一番時間がかかっていますか」と聞いてみましょう。答えの中に、本当に作るべきものが見えてきます。商談に同行させてもらい、お客さまとのやりとりを自分の目で見るのも、現場の困りごとを知る近道です。

2

数の多さを成果だと思っている

AIを使うと、資料の数はいくらでも増やせます。けれど、30種類の型より、本当に使われる3種類の型のほうが、営業の役に立ちます。まずは、営業がよく訪問する業界や、よく出会う場面に絞って作り、実際に使ってもらいながら改良していきましょう。数を増やすのは、使われる型ができてからで十分です。型の長さも、営業が5分で自分の提案に直せるくらいを目安にすると、使われやすくなります。

3

AIが書いた数字や実績を、確かめていない

AIは、提案書らしく見せるために、それらしい数字や実績を書き足すことがあります。会社の実績や数字は、必ず社内の正しい資料と照らし合わせ、確かめられないものは書かないと決めておきましょう。営業が使う型の数字が間違っていると、お客さまの前で恥をかくのは営業の人です。型の中で数字を入れる場所は、空欄にして「最新の数字を入れる」と注意書きするのも一つの方法です。数字の出どころを型の中に書いておけば、営業も安心して使えます。

4

使われ方を確かめていない

資料を配って終わりにすると、使われているのか、どこが使いにくいのかが分かりません。配ったあとに、どの型が使われ、どこが直されているかを確かめることが、営業企画の大切な仕事です。月に一度、営業の人に「使いにくかったところ」「足りなかったところ」を聞く時間を作りましょう。直された箇所は、次の改良のヒントになります。よく使われている型と、使われていない型の違いを比べるだけでも、多くのことが分かります。

5

誰が、いつ直すのかを決めていない

会社のサービスや実績、お客さまの関心は、少しずつ変わっていきます。型を作ったまま放っておくと、すぐに古くなり、使われなくなります。型ごとに、直す担当と見直す時期を決めておくと、資料はいつでも使える状態に保てます。AIは、見直しのときに「最新の情報に合わせて直す」手伝いにも使えます。古くなった型は、思い切って片づけることも大切です。

3図解

営業企画職でAI活用に失敗する人と、上手に使える人の違い

⚠ 営業企画職のAI活用で失敗する人のパターン
営業の声を聞かずに、AIで型やトーク集を大量に作る
↓
AIが書いた数字や実績を確かめずに配る
↓
配ったまま、使われ方を確かめない
↓
使われない資料が増え、間違いで営業が恥をかく
◎ 営業企画職でAIを上手に使える人のパターン
営業に困りごとを聞き、作るものを絞る
↓
AIで型を作り、数字は社内の資料で確かめる
↓
使われ方を確かめ、担当と時期を決めて直し続ける
↓
営業が本当に使い、成果につながる資料になる
4解決策

営業向けの資料をAIで作る前のチェックリスト

AIは、営業を支える資料づくりの心強い道具です。作り始める前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 営業の人に、資料づくりで困っていることを聞いた
  • よく使う業界や場面に、作るものを絞った
  • 会社の実績や数字を、社内の正しい資料で確かめた
  • 確かめられない数字は書かず、空欄と注意書きにした
  • 配ったあとに使われ方を確かめる時期を決めた
  • 型ごとに、直す担当と見直す時期を決めた

まなぶは、30業界分の型をいったん引き上げ、営業の先輩たちに話を聞いて、よく使う3つの業界に絞って作り直しました。数字の部分は空欄にして、最新の実績を入れる場所を分かりやすくしました。AIで作るのは「たたき台」、使える形にするのは営業と一緒に。作り直した型は、翌月には営業部のほとんどの人に使われるようになりました。

※お客さまの会社名や商談の内容をAIに入力してよいかは、会社のルールによって異なります。営業の資料づくりにAIを使う前に、会社で認められているツールと使い方を確認しましょう。
5おすすめサービス

仕事でのAIの使い方を身につけるなら

AIを仕事に上手に取り入れるには、自分の職種のどこでAIを使い、どこを人が受け持つのかを分けて考えることが大切です。

B
業務での使い方を体系的に知りたい人向け

ChatGPTなどの生成AIを学び仕事に活かす!「DMM 生成AI CAMP」

業務フローの見直し方や、指示の出し方(プロンプト)のコツまで含めて体系的に学べるタイプ。営業を支える資料づくりのように、使う人の困りごとから考えるAIの使い方を身につけられます。

詳細を見てみる

A
基礎から学びたい人向け

資格と仕事に強い!個人レッスンのプログラミングスクール【Winスクール】

プロンプトの基本の型や、業務別の活用シーンを体系的に学べるタイプ。独学で行き詰まった人に向いています。自分の仕事に合わせたAIの使い方を、講師に相談しながら学べます。

講座を見てみる

まなぶまなぶ
AIで30業界分の提案書の型を作ったのに、ほとんど開かれず、AIが書いた実績の数字で先輩に恥をかかせてしまいました…。
みらいみらい
営業企画の資料を使うのは営業の人です。困りごとを聞いて作るものを絞り、数字は社内の資料で確かめましょう。
まなぶまなぶ
AIで作るのはたたき台で、使える形にするのは営業と一緒になんですね。

営業企画職のAI活用で失敗する原因は、営業の声を聞かずにAIで資料を大量に作り、数字を確かめないまま配って、使われ方も確かめないことです。営業の困りごとを聞いて作るものを絞り、数字は社内の資料で確かめ、使われ方を見ながら直し続ける。それだけで、AIは営業を支える頼れる道具になります。職種ごとにAIを使うときに失敗しないための考え方は、職種別のAI活用失敗から学ぶでまとめています。

職種別のAI活用については、医療事務のAI活用で後悔する理由や社内講師のAI活用で失敗した話もあわせて読んでみてください。

ABOUT ME
アバター
みらい
みんなの失敗談を共有して、たくさんの学びや共感をお届けするメディア「https://SHIPPAI.JP」を運営しています