販売・接客職のAI活用で失敗する人の特徴5選
販売・接客職のAI活用で失敗する人の多くは、AIが作った商品の説明や接客の台本を、実物や現場のスタッフの声で確かめないまま、お客さまの前で使ってしまう人です。AIに頼めば、売り場のPOPや接客のトーク例、問い合わせへの返事の下書きまで、すぐにそろえてもらえます。けれど、販売・接客の仕事で一番大切なのは、目の前のお客さまに、正しい情報を、その人に合わせて伝えることです。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、販売・接客職のAI活用で失敗する人の特徴と、売り場でAIを上手に使うコツを解説します。
AIが書いたPOPと台本で、売り場がぎこちなくなった
この話は、まなぶが大学時代に入っていた軽音楽サークルの後輩、Aさんから聞いたものです。久しぶりに開かれたサークルのOB会で、ライブハウスの片隅で近況を話していたとき、まなぶが「仕事でAIを使うことが増えてきた」と話すと、Aさんは「お店でAIを使ってみたら、お客さまに怒られちゃって」と、苦笑いしながら話してくれました。
Aさんは、衣料品店の店長をしています。去年の秋、新しい商品が一度に30点ほど入ってきたとき、Aさんは売り場に置くPOPの文章をAIに作ってもらうことにしました。商品名と、メーカーから届いた短い説明をAIに渡すと、「ふんわり軽い着心地」「お手入れ簡単で毎日使える」といった、魅力的な言葉が並んだPOPの文章がすぐにできあがりました。さらにAさんは、AIに接客のトーク例も作ってもらい、アルバイトのスタッフに「この言い方で案内してね」と配りました。
ところが、2週間ほどたったころ、一人のお客さまから厳しい声を受けました。「POPに『洗濯機で洗える』と書いてあったから買ったのに、タグを見たら手洗いと書いてある」。調べてみると、メーカーの説明には洗い方が書かれていなかったため、AIがよくある商品の説明から、それらしい内容を書き足していたのです。素材の書き方が実物と違うPOPも、ほかに3枚見つかりました。POPの文章がどれも読みやすく、言い切る書き方だったため、Aさんもスタッフも、間違いがあるとは思ってもいなかったのです。
接客のトークにも、問題がありました。スタッフが台本どおりに話すため、どのお客さまにも同じ言葉で同じ商品をすすめるようになり、常連のお客さまから「最近、なんだか声のかけ方が機械みたい」と言われてしまったのです。スタッフの一人は「台本と違うことを言ったら怒られると思って」と打ち明けました。「AIで楽をしたつもりが、売り場から人らしさを抜いてしまっていた」と、Aさんは振り返っていました。
Aさんは、POPをすべて実物のタグと見比べて作り直し、お客さまにはおわびをして返品を受けました。台本は「例」に戻し、スタッフが自分の言葉で話すことを大事にするよう伝え直したそうです。話を聞きながら、まなぶは、AIが一番苦手なのは「目の前のお客さまを見ること」なのかもしれない、と感じていました。
販売・接客職のAI活用で失敗する人の特徴5選
商品の説明を、実物で確かめていない
AIは、渡された情報が少ないと、よくある商品の説明でそのすき間を埋めようとします。素材や洗い方、サイズ、使える期間など、商品の大事な情報は、AIの文章ではなく、実物のタグや取扱説明書で確かめることが欠かせません。POPを作ったら、売り場に出す前に、実物を手に取りながら一行ずつ読み合わせましょう。AIに渡す段階で、タグに書かれた情報をそのまま書き写して添えておくと、書き足しによる間違いも減らせます。
接客の台本を「正解」として配っている
AIが作ったトーク例は、言葉の選び方の参考になります。けれど、それを「この通りに話して」と配ると、スタッフはお客さまを見ずに台本を読むようになります。接客の言葉は、お客さまの様子に合わせて変えるものです。トーク例は「こんな言い方もある」という引き出しとして渡し、自分の言葉で話してよいことをはっきり伝えましょう。
売り場のスタッフの声を聞いていない
売り場に立つスタッフは、お客さまがどんなことを聞くのか、何に迷うのかを一番よく知っています。スタッフの声を聞かずにAIで作ったPOPや台本は、売り場の実感とずれやすくなります。AIに頼む前に、スタッフに「お客さまによく聞かれること」を集めてもらい、それをAIに渡すと、現場で本当に役立つものができます。朝礼で一言ずつ聞くだけでも、十分な材料が集まります。
どのお客さまにも同じ言葉を使っている
AIが作る言葉は、多くの人に当てはまるように書かれています。そのため、初めてのお客さまにも、常連のお客さまにも、同じ言い方になりがちです。販売・接客の強みは、一人ひとりに合わせられることです。常連のお客さまの好みや、前回のやりとりを覚えていることは、AIにはまねできない大切な力です。AIは準備に使い、目の前の会話は人がするものと考えましょう。お客さまとのやりとりで気づいたことをスタッフどうしで共有する時間は、AIでは代わりのきかない、売り場を強くする時間です。
お客さまへの約束になる言葉を、確かめていない
POPや案内に書いた言葉は、お客さまにとっては「お店の約束」です。「洗濯機で洗える」「必ず似合う」のような言葉は、外れたときにお客さまの信頼を大きく損ねます。約束になる言葉、言い切る言葉は、根拠を確かめてから使うと決めておきましょう。分からないことは、無理に書かないことも大切です。「詳しくはスタッフにお声がけください」と添えるだけでも、お客さまとの会話のきっかけになります。
販売・接客職でAI活用に失敗する人と、上手に使える人の違い
売り場でAIを使う前のチェックリスト
AIは、売り場の準備を手伝ってくれる心強い道具です。お客さまの前で使う前に、次の項目を確かめてみてください。
- POPの素材・洗い方・サイズを、実物のタグで確かめた
- 「必ず」「洗える」など、約束になる言葉の根拠を確かめた
- スタッフから「お客さまによく聞かれること」を集めた
- トーク例は「例」として渡し、自分の言葉で話してよいと伝えた
- 常連のお客さまへの接し方を、AIの言葉で置きかえていない
- お客さまの情報をAIに入力してよいか、会社のルールを確認した
Aさんは今も、AIをPOPの下書きに使っています。ただ、下書きを作ったら、スタッフと一緒に実物を手に取りながら読み合わせ、お客さまによく聞かれることを書き足すようにしているそうです。「AIは準備の相棒、お客さまの前に立つのは私たち」。Aさんのその言葉に、まなぶも深くうなずきました。
仕事でのAIの使い方を身につけるなら
AIを仕事に上手に取り入れるには、自分の職種のどこでAIを使い、どこを人が受け持つのかを分けて考えることが大切です。
ChatGPTなどの生成AIを学び仕事に活かす!「DMM 生成AI CAMP」
業務フローの見直し方や、指示の出し方(プロンプト)のコツまで含めて体系的に学べるタイプ。売り場の準備のように、AIに任せる部分と人が受け持つ部分を分ける考え方を身につけられます。
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プロンプトの基本の型や、業務別の活用シーンを体系的に学べるタイプ。独学で行き詰まった人に向いています。自分の仕事に合わせたAIの使い方を、講師に相談しながら学べます。
まなぶ
みらい
まなぶ販売・接客職のAI活用で失敗する原因は、AIが作った商品の説明や接客の台本を、実物やスタッフの声で確かめないまま、お客さまの前で使ってしまうことです。商品の情報は実物で確かめ、スタッフの声を集めてAIに渡し、トーク例は引き出しとして使う。それだけで、AIは売り場の頼れる相棒になります。職種ごとにAIを使うときに失敗しないための考え方は、職種別のAI活用失敗から学ぶでまとめています。
職種別のAI活用については、マーケティング職のAI活用で後悔する理由や教員のAI活用で失敗した話もあわせて読んでみてください。

