結論

即戦力として期待されて失敗する人の多くは、「早く結果を出さなければ」と焦り、頼まれた仕事を何でも引き受け、新しい会社のやり方を知らないまま一人で突っ走ってしまう人です。中途入社の人には、確かに経験を生かした活躍が期待されています。けれど、「即戦力」に求められているのは、入社した日から何でもこなすことではなく、新しい環境に合わせて経験を生かすことです。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、即戦力として期待されたときに失敗しないためのポイントを解説します。

1失敗ストーリー

「できます」と言い続けて、数字を間違えた

提案資料の数字を取り違え、お客さまのところから戻った営業の先輩に、オフィスの通路で深く頭を下げるまなぶのイラスト

2年前の年明け、入社して1か月がたったまなぶは、焦っていました。最初の2週間は、誰にも質問できずに過ごしてしまいました。「経験者として採用されたのだから、早く役に立つところを見せないと」。そう考えたまなぶは、それから、頼まれた仕事を一つも断らないと決めました。営業の先輩から資料を頼まれれば、「できます。明日までに作ります」。会議で誰かが困っていれば、「私がやります」と手を挙げました。気づけば、机の上には締め切りの近い仕事がいくつも重なり、毎晩遅くまで会社に残るようになっていました。

さらにまなぶは、チームで使っている資料のひな形が古く見えたので、上司に相談しないまま、前の会社で使っていた形に作り直して共有フォルダに置きました。「これで、みんなの仕事が楽になるはず」。ところが、そのひな形には、この会社の資料に必ず入れることになっている項目が抜けていました。先輩たちは戸惑い、結局、元のひな形に戻すことになりました。先輩の一人からは、「変える前に、一言相談してほしかったな」と言われてしまいました。

そして2月の終わり、事件が起きました。いくつもの仕事を同時に抱えていたまなぶは、お客さまに出す提案資料の数字を、別の案件の数字と取り違えてしまったのです。営業の先輩がお客さまに謝りに行くことになり、まなぶは深く頭を下げるしかありませんでした。その日の夕方、上司はまなぶを呼んで言いました。「即戦力として期待しているのは確かだよ。でも、最初の3か月で全部できなくていい。まずはこの会社のやり方を覚えて、一つずつ確実に仕上げてほしいんだ」。

まなぶは、期待に応えようとするあまり、何を期待されているのかを確かめずに走り回っていたことに気づきました。「即戦力」という言葉を、自分で勝手に大きくしていた。最初の2週間に何もできなかった焦りが、今度は反対の方向に空回りしていたのです。その日から、まなぶは仕事を引き受ける前に、締め切りと前提を確かめるようにしました。抱えている仕事の一覧を作り、上司と共有することも始めました。

2原因分析

即戦力として期待されて失敗しないための5つのポイント

1

「即戦力」の中身を、上司に確かめる

「即戦力」という言葉は便利ですが、何を、いつまでに、どれくらいできることを期待されているのかは、人や会社によってまったく違います。「入社して3か月で、どんな状態になっていてほしいですか」と、上司に具体的に聞いておくことが大切です。期待の中身が分かれば、焦って何でも引き受けることもなくなります。思っていたより、最初の期待は小さいことも少なくありません。聞いた内容はメモに残し、ときどき見返すようにしましょう。

2

最初は「覚える」と「小さな成果」を分けて考える

入社して最初の数か月は、仕事の進め方や社内のルール、関わる人の顔と名前など、覚えることがたくさんあります。覚える時間を取らずに成果だけを急ぐと、思わぬところでつまずきます。最初の3か月は、「覚えること」と「小さくても確実に出す成果」の両方を目標にしましょう。小さな成果を一つずつ積み重ねるほうが、周りからの信頼は早く得られます。信頼が積み重なれば、大きな仕事は自然と任されるようになります。

3

「できます」の前に、締め切りと前提を確かめる

頼まれた仕事をすぐに引き受けたくなる気持ちは分かります。けれど、今抱えている仕事の量を考えずに引き受け続けると、どれも中途半端になり、ミスの原因になります。「いつまでに必要ですか」「ほかの仕事とどちらを先にしますか」と確かめてから引き受けることは、わがままではなく、仕事を確実に仕上げるための大切な手順です。断るのではなく、順番を相談するという考え方で伝えれば、相手も受け止めやすくなります。

4

会社のやり方を変える前に、理由を聞く

前の会社で身につけたやり方のほうが良いと感じる場面もあるでしょう。けれど、今の会社のやり方には、外からは見えない理由があることも多いものです。変えたいと思ったら、まず「このやり方には、どんな理由があるんですか」と聞いてみましょう。理由を理解したうえで提案すれば、あなたの経験は、周りに受け入れられる形で生きてきます。入社してしばらくは、まず今のやり方で仕事をしてみて、良さと課題の両方を知ってから提案するのがおすすめです。

5

一人で抱え込まず、途中で見せる

即戦力として期待されていると、「全部自分でやらなければ」と思いがちです。けれど、完成してから見せて大きな直しが入るより、途中で見せて方向を確かめるほうが、ずっと早く確実に仕上がります。資料なら、骨組みができた段階で一度見てもらうくらいがちょうどいいのです。途中で見せることは、ミスを早く見つける仕組みにもなります。数字などの大切な部分は、提出前にもう一度確かめる習慣をつけましょう。

3図解

即戦力として期待されて失敗する人と、着実に信頼を得る人の違い

⚠ 即戦力として期待されて失敗する人のパターン
「早く結果を出さなければ」と焦る
↓
頼まれた仕事を何でも引き受け、会社のやり方も勝手に変える
↓
仕事を抱え込み、確かめないまま仕上げる
↓
大事な場面でミスをして、かえって信頼を失う
◎ 即戦力として着実に信頼を得る人のパターン
「即戦力」に期待されている中身を上司に確かめる
↓
締め切りと前提を確かめてから仕事を引き受ける
↓
会社のやり方の理由を聞き、途中で見せながら仕上げる
↓
小さな成果を積み重ね、経験を生かせる場面が増えていく
4解決策

即戦力として入社したときのチェックリスト

即戦力として期待されるのは、それだけ経験が評価されている証拠です。その期待を、焦りではなく力に変えていきましょう。焦らずに力を発揮するために、次の項目を確かめてみてください。

  • 入社して3か月で期待されている状態を、上司に確かめた
  • 最初の目標を、「覚えること」と「小さな成果」に分けて立てた
  • 仕事を引き受ける前に、締め切りと優先順位を確かめている
  • 今の会社のやり方を変える前に、その理由を聞いている
  • 資料などは、途中の段階で一度見てもらっている
  • 抱えている仕事の量を、上司と共有している

まなぶは今、新しく仕事を頼まれたとき、「いつまでに、何のために必要ですか」と一言確かめるようにしています。即戦力とは、何でも引き受けることではなく、確実に役に立つこと。2年前の冬の失敗は、まなぶにとって、新しい職場での信頼の積み上げ方を教えてくれる経験になりました。

※中途入社の人に期待される役割や、最初の数か月の過ごし方は、会社や職種によって異なります。入社前の面談や入社直後に、上司と期待の中身を話し合っておきましょう。
5おすすめサービス

期待される役割を、入社前に確かめるために

即戦力として入社するときは、入社前の段階で、どんな役割を期待されているのかを確かめておくことが大切です。経験の生かし方を一緒に考えてくれるサービスを活用するのがおすすめです。

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これまでの専門性や実績を評価してくれる求人を紹介してくれるタイプです。応募する会社が、中途入社の人にどんな役割を、どれくらいの期間で期待しているのかを、担当者を通して確かめられる場合があります。

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これまでの経験や実績を、第三者と一緒に言語化していけるタイプです。自分の経験のどこが新しい会社で生きるのかを整理しておくと、入社後に焦らず、力を発揮する場面を選べます。

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まなぶまなぶ
即戦力にならなきゃと思って、何でも「できます」と引き受けていたら、お客さまに出す資料の数字を間違えてしまいました…。
みらいみらい
即戦力に求められているのは、何でもこなすことではありません。期待の中身を確かめて、締め切りと前提を確認してから、一つずつ確実に仕上げましょう。
まなぶまなぶ
何でも引き受けるより、確実に役に立つことが大切なんですね。

即戦力として期待されて失敗する原因は、焦って何でも引き受け、会社のやり方を知らないまま一人で突っ走ってしまうことです。期待の中身を確かめ、覚えることと小さな成果を分け、締め切りと前提を確かめ、やり方の理由を聞き、途中で見せる。それだけで、あなたの経験は新しい職場で確かな力になります。転職後の職場になじむための考え方は、転職後の人間関係トラブルの失敗から学ぶでまとめています。

入社後のミスマッチについては、入社後の配属が希望と違って後悔する理由や入社直後に上司が変わって後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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