住まいとライフイベントのお金の失敗から学ぶ
住まいやライフイベントのお金で失敗する人の多くは、引っ越し、結婚、親の介護、住宅の購入といった出来事を「いつか考えればいいこと」と後回しにし、起きてから慌ててお金を工面している人です。ライフイベントは、予定どおりに一つずつやってくるとは限りません。突然始まったり、いくつも重なったりします。失敗の根っこにあるのは、これから先に起こりそうな出来事と、そのお金を、前もって並べて見ていないことです。この記事では、まなぶがこれまでに経験した住まいとライフイベントのお金の失敗を振り返りながら、その共通点と「ライフイベント表」の作り方を紹介します。
どの出来事も「起きてから」考えていた
夏のお盆休み、まなぶは地方の実家に帰省していました。春に足の骨を折った父は、介護のサービスを使いながら、少しずつ歩けるようになっていました。夜、家族が寝静まった居間で、まなぶはちゃぶ台にノートを広げ、この数年のお金のことを振り返ってみました。
2年前の転職のときは、引っ越しの初期費用、二重の家賃、家具の買い直しが重なり、貯金が半分ほどになりました。前の部屋の退去では、ルールを知らないまま、払わなくてよかった壁紙代まで払いました。同じ部署のAさんからは、結婚式と新生活で2人の貯金がほとんどなくなった話を聞きました。そして今年の春、父が倒れたときには、親のお金のありかも介護保険のことも知らず、自分の貯金で抱え込もうとしました。
書き出してみて、まなぶは気づきました。どの出来事も、起きる前に一度も「いくらかかるか」を考えていなかったのです。引っ越しは転職と重なり、父の介護は突然始まりました。どれも「そのうち」「まだ先」と思っていたことばかりでした。出来事そのものは避けられなくても、お金の準備は前もってできたはずだった。
翌朝、まなぶは妹にも声をかけて、居間のちゃぶ台で、これから10年のあいだに起こりそうな出来事を書き出してみることにしました。自分の住み替え、もしかしたら結婚、父と母のこれから、実家の家の修理。並べてみると、思っていたよりもずっと多くの出来事が、思っていたよりも近くにありました。
住まいとライフイベントのお金で失敗する5つの原因
「いつか」のことだと思い、見積もっていない
引っ越しや結婚、介護、住宅の購入は、どれも大きなお金が動く出来事です。それなのに、「まだ先のこと」と考えて、いくらかかるのかを調べないまま過ごしてしまいがちです。おおよその金額と時期を書き出すだけでも、準備の必要性がはっきり見えてきます。正確な金額でなくてかまいません。「このくらいかかりそう」という見当をつけておくことが、準備の出発点になります。調べるときは、身近な人の経験を聞いたり、公的な機関の資料を見たりするだけでも、だいたいの見当はつけられます。
一つの出来事だけを見て、重なりを考えていない
ライフイベントは、一つずつ順番に来るとは限りません。転職と引っ越し、結婚と住み替え、親の介護と自分の仕事の繁忙期。出来事が重なると、出費が集中するうえに、収入が減る時期とも重なりやすくなります。出来事を一つずつではなく、時間の流れの上に並べて見ることで、お金が苦しくなりそうな時期に前もって気づけます。重なりそうな年が分かれば、その前の年から少し多めに貯めておく、出来事の時期をずらせるものはずらす、といった手が打てます。
自分のことだけで、家族の出来事を入れていない
ライフイベントのお金を考えるとき、自分のことだけを書き出してしまいがちです。しかし、親の介護や実家の修理、パートナーの転職、きょうだいの結婚など、家族の出来事も、自分のお金と時間に関わってきます。家族と話しながら書き出すことで、自分一人では気づかなかった出来事が見えてきます。親の介護に備えるポイントは、親の介護のお金で失敗しない方法で紹介しています。
備えのお金を、ほかの目的と分けていない
急な出費に備えるお金と、ライフイベントのために貯めるお金、増やすために投資するお金がまざっていると、いざというときに使えるお金が分からなくなります。「生活を守るお金」「近いうちに使うお金」「将来のために増やすお金」を分けておくことが大切です。急な出費に備えるお金の考え方は、生活防衛資金を用意せずに後悔する理由で紹介しています。
制度や相談先を、必要になってから調べる
住み替えのときの原状回復のルール、介護保険の申請、介護休業の制度など、ライフイベントには知っておくと助かる制度や相談先がたくさんあります。しかし、必要になってから調べ始めると、手続きが間に合わなかったり、知らないまま損をしたりします。出来事を書き出したら、それぞれに関わる制度と相談先も一行ずつメモしておくと、いざというときに慌てずに済みます。困ったときに「どこに電話すればいいか」が分かっているだけで、気持ちの負担もずいぶん軽くなります。
起きてから慌てる人と、前もって備えられる人の違い
「ライフイベント表」を作るチェックリスト
まなぶが実家の居間で作ったのが、次の「ライフイベント表」です。紙1枚でかまいません。年ごとに、上から順に書き込んでみてください。
- 【出来事】これから10年に起こりそうな出来事を、自分と家族の分まで書き出した
- 【時期】それぞれの出来事が起こりそうな時期を、年ごとに並べた
- 【金額】出来事ごとに、おおよその金額の見当をつけた
- 【重なり】出費が集中しそうな年と、収入が変わりそうな年を確かめた
- 【お金の分け方】生活を守るお金・近く使うお金・増やすお金を分けた
- 【制度と相談先】出来事ごとに、関わる制度と相談先をメモした
- 【見直し】年に一度と、家族の状況が変わったときに見直す予定を入れた
まなぶは、作ったライフイベント表をもとに、毎月の貯金を「生活を守るお金」と「近いうちに使うお金」に分けて積み立てることにしました。次の住み替えに向けた予算や、帰省と介護にかかる交通費も、表の中に書き込みました。妹とは、父と母のことでお金と役割をどう分けるかも、少しずつ話し合っていくことにしました。
ライフイベントは避けられなくても、お金の準備は前もってできる。実家の居間で作った1枚の表は、まなぶにとって、これからの暮らしの地図になりました。表は完璧でなくてかまいません。書き出して、毎年少しずつ直していくことに意味があります。住宅の購入で気をつけたいことは住宅ローンで失敗した話で、お金の土台の作り方はお金の土台づくりの失敗から学ぶで紹介しています。
これからの出来事とお金を一緒に考えるために
ライフイベント表は、日々のお金の流れと組み合わせ、ときどき第三者の目を入れることで、より現実的な計画になります。
サブスク管理・家計簿アプリ【マネーフォワードME (ミー)】
支出をカテゴリごとに記録し、一覧で確認できるタイプです。毎月の支出と貯金の流れを見える形にしておけば、ライフイベントに向けて毎月いくら積み立てられるのかを考えやすくなります。見落としがちな支出に気づく助けにもなります。
ライフプランニング相談・FP相談サービス【マネードクター】
将来のライフイベントを踏まえた資金計画を相談できるタイプです。住み替え、結婚、親の介護、住宅の購入など、これからの出来事とお金の流れを、第三者の視点で一緒に整理できます。自分で作ったライフイベント表を持って相談すると、話がより具体的になります。
まなぶ
みらい
まなぶ住まいとライフイベントのお金の失敗は、一つひとつは別の出来事に見えても、根っこには「起きてから考える」という姿勢があります。これからの出来事を家族の分まで書き出し、時期と金額の見当をつけ、重なりに気づき、備えのお金を分け、制度と相談先を知っておく。それだけで、人生の節目は不安ではなく、前もって準備できるものになります。住まいやライフイベントでつまずきやすい場面については、次の記事も参考にしてください。
お金の増やし方で失敗しないためのポイントは、NISAで失敗する人の特徴もあわせて読んでみてください。

