賃貸の退去費用で失敗した話
賃貸の退去費用で失敗する人の多くは、「部屋をきれいに戻すお金は、全部借りた人が払うもの」と思い込み、立ち会いで言われるままに精算に応じてしまう人です。実は、普通に暮らしていてできる汚れや傷み、時間がたって自然に古くなった分は、原則として借りた人が負担するものではありません。ルールを知らないまま署名すると、払わなくてよかったお金まで払うことになりかねません。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、退去費用で失敗した原因と、入居から退去までにやっておきたい準備を解説します。
立ち会いの場で、言われるままに署名した
2年前の11月、まなぶは転職に合わせて、新卒のころから7年ほど住んだ部屋を引き払うことになりました。荷物を運び出したあと、がらんとした部屋で、管理会社の担当者による退去の立ち会いが始まりました。
担当者は、部屋を一つずつ見ながらメモを取っていきます。「壁紙が日焼けしていますね。冷蔵庫の後ろの壁も黒くなっています。画びょうの穴もあるので、壁紙は全面張り替えになります」「床のこの傷と、エアコンの洗浄、ハウスクリーニングもかかります」。まなぶは、7年も住んだのだから仕方ないと思い、うなずくばかりでした。
最後に渡された書類には、敷金を差し引いても、さらに十数万円を支払うと書かれていました。「こちらにご確認のサインをお願いします」。新しい部屋の初期費用や引っ越し代で頭がいっぱいだったまなぶは、内訳をよく見ないまま署名し、翌週には振り込みを済ませました。
それから少したったある日、近所のファストフード店で、何気なくスマホで退去費用のことを調べていたまなぶは、手を止めました。国のガイドラインでは、日焼けや冷蔵庫の後ろの黒ずみ、画びょうの穴といった、普通に暮らしていてできるものは、原則として貸す側の負担とされていたのです。しかも、壁紙のように時間がたつと価値が下がるものは、住んだ年数に応じて借りた人の負担が小さくなる考え方がありました。7年住んだ部屋の壁紙を、全部自分のお金で張り替えていた。まなぶは、自分が何も知らないまま署名していたことに気づきました。
まなぶは消費生活センターに相談し、ガイドラインをもとに管理会社と話し合いました。何度かのやり取りのあと、一部は返してもらえましたが、入居したときの部屋の写真が一枚もなかったため、傷がいつできたものかを説明できず、すべてが戻ることはありませんでした。
退去費用で失敗した5つの原因
原状回復のルールを知らなかった
「原状回復」は、借りたときとまったく同じ状態に戻すことではありません。法律でも、普通に使っていてできた傷みや、時間がたって自然に古くなった分は、借りた人が直す必要はないとされています。たとえば、家具を置いた床のへこみ、日焼けによる壁紙の色の変化、冷蔵庫の後ろの壁の黒ずみなどは、多くの場合こちらにあたります。一方で、たばこのヤニや、不注意でつけた傷、掃除を怠ったことによる汚れなどは、借りた人の負担になることがあります。
入居のときに部屋の状態を記録していなかった
退去のときに傷や汚れを指摘されても、それが入居する前からあったものだと証明できなければ、話し合いは難しくなります。入居した日に、壁・床・水回り・建具などの写真を日付つきで撮っておくだけで、あとから説明する材料になります。気になる傷があれば、管理会社にも入居のときに伝えておきましょう。メールなど記録に残る形で伝えておくと、あとから確かめやすくなります。写真は、部屋全体が分かる引きの写真と、傷や汚れに近づいた写真の両方を撮っておくと安心です。
契約書の特約を確かめていなかった
賃貸の契約書には、「退去のときのハウスクリーニング代は借りた人が負担する」といった特約が書かれていることがあります。特約は、内容がはっきり書かれていて、借りる人がそれを理解して合意していることなどが前提になります。契約のときに特約の内容を確かめ、退去の前にもう一度読み返しておくことで、何を払う必要があるのかが見えてきます。特約に書かれていない費用を請求された場合は、その根拠を確かめることも大切です。
立ち会いの場で、すぐに署名してしまった
退去の立ち会いでは、その場で精算の書類に署名を求められることがあります。しかし、内容に納得できないまま署名すると、あとから話し合うのが難しくなります。分からない項目があれば、その場で署名せず、「内訳を確認してから返事をします」と伝えてかまいません。見積もりの書類をもらって、落ち着いて確かめる時間を取りましょう。立ち会いには、入居のときの写真と契約書を持っていくと話がしやすくなります。
住んだ年数と内訳を確かめなかった
壁紙や床などは、時間がたつほど価値が下がると考えられています。そのため、借りた人に負担がある場合でも、長く住んだほど、負担する割合は小さくなるのが基本的な考え方です。請求の内訳に、どの部分を、どのくらいの範囲で、いくらで直すのかが書かれているかを確かめましょう。納得できない場合は、消費生活センター(消費者ホットライン「188」)などに相談できます。
退去費用で損をする人と、納得して精算できる人の違い
入居から退去までのチェックリスト
退去費用のトラブルは、入居した日の準備から始まっています。今住んでいる部屋でも、これから借りる部屋でも、次の項目を確認してみてください。
- 入居した日に、壁・床・水回り・建具の写真を撮って保存した
- 入居のときにあった傷や汚れを、管理会社に伝えた
- 契約書の原状回復とクリーニングに関する特約を確認した
- 普通に暮らしてできる傷みは、原則として貸す側の負担だと知っている
- 立ち会いでは、内訳の書類を受け取ってから署名すると決めている
- 納得できないときの相談先(消費生活センターなど)を知っている
まなぶは今の部屋に入居したとき、部屋じゅうの写真を撮ってクラウドに保存しました。小さな床の傷も、入居した日のうちに管理会社にメールで伝えています。契約書の特約にも目を通し、クリーニング代の扱いを確かめました。
退去の精算は、出ていく日ではなく、入居した日から準備が始まっている。まなぶは、7年分の壁紙代を払った経験から、そのことを学びました。引っ越しの費用全体で気をつけたいことは引っ越しの費用で失敗する人の特徴5選で、賃貸の火災保険の注意点は賃貸の火災保険で失敗する人の特徴5選で紹介しています。
住み替えのお金を落ち着いて管理するために
退去の精算を含め、住み替えにかかるお金は、記録と見通しがあるだけで、落ち着いて判断できるようになります。
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支出をカテゴリごとに記録し、一覧で確認できるタイプです。敷金や退去の精算、引っ越しの費用など、住み替えにかかったお金をまとめて記録しておけば、次の住み替えの予算づくりにも役立ちます。
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将来のライフイベントを踏まえた資金計画を相談できるタイプです。住み替えや住宅の購入など、住まいにかかるお金の見通しを、第三者の視点で整理できます。具体的なイベントを踏まえたアドバイスをもらえることもあります。
まなぶ
みらい
まなぶ賃貸の退去費用で失敗する原因は、原状回復のルールを知らず、入居のときの記録もないまま、立ち会いの場で言われるままに署名してしまうことです。入居した日に写真を残し、特約を確かめ、内訳を受け取って納得してから署名する。それだけで、退去の精算は必要な分だけで済ませられます。住まいやライフイベントのお金で失敗しないための考え方は、住まいとライフイベントのお金の失敗から学ぶでまとめています。
お金の増やし方で失敗しないためのポイントは、NISAで失敗する人の特徴もあわせて読んでみてください。

