軸ずらし転職で失敗しない方法
軸ずらし転職で失敗する人の多くは、「どうせ変えるなら、思いきって全部変えたい」と考えて、業界も職種も一度に変えようとし、これまでの経験が生きる「残す軸」を決めないまま、転職活動を進めてしまう人です。業界と職種の両方を一度に変えると、これまでの経験をほとんど使えず、未経験の応募者として、ほかの人と比べられることになります。軸ずらし転職は「全部を変えること」ではなく、「一つの軸を残して、もう一つを少しずらすこと」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、軸ずらし転職で失敗しない方法と、残す軸の決め方を解説します。
業界も職種も、両方変えようとしていた話
2年前の転職活動のはじめ、まなぶは、「せっかく転職するなら、ぜんぶ新しくしたい」と考えていました。目指したのは、前の会社とはまったく違う業界の、マーケティング職です。業界も、職種も、一度に変えようとしていたのです。応募した会社は、食品、化粧品、旅行、教育と、ばらばらでした。
けれども、どの会社の面接でも、話がかみ合いませんでした。「この業界のことは、どのくらいご存じですか」「マーケティングの経験はありますか」。どちらの質問にも、まなぶは「これから勉強します」としか答えられませんでした。前の会社で取引先と向き合ってきた経験も、業界がまったく違うため、面接官にはうまく伝わりませんでした。気づけば、応募した会社からは、不採用の通知ばかりが届いていました。
そんなとき、相談していた転職エージェントの担当者から、こう言われました。「まなぶさんは、業界と職種を一度に両方変えようとしているから、これまでの経験が何も使えない状態になっているんです。どちらか一つを残してみませんか。たとえば、取引先と向き合ってきた経験は生かしつつ、業界を変えて企画寄りの仕事に移る、という道もありますよ」。まなぶは、変えることばかりを考えて、残すことを一度も考えていなかったのです。
その夜、まなぶは、ノートに「業界」と「職種」の2つの欄を書き、それぞれに「変える」「残す」を書きこんでみました。すると、自分が強みを持っているのは、業界の知識ではなく、取引先の声を聞いて形にする仕事のほうだと分かってきました。「全部変えようとしたから、全部が未経験になっていたんだ」。まなぶは、ノートの2つの欄を見比べながら、ため息をつきました。
軸ずらし転職で失敗する5つの原因
業界と職種を、一度に両方変えようとしていた
業界と職種の両方を一度に変えると、これまでの経験を使える場面がほとんどなくなります。面接では、業界の知識も、職種の経験もない応募者として見られてしまいます。業界か職種か、どちらか一つを残して、もう一つだけを変えると、これまでの経験を強みとして伝えやすくなります。同じ業界で別の職種に移る、同じ職種で別の業界に移る、という二つの道があります。一つずつずらしていけば、何年かかけて、目指す仕事にたどり着くこともできます。
自分の強みが、どちらの軸にあるかを考えていなかった
どちらの軸を残すかは、自分の強みがどこにあるかで決まります。業界の知識や人脈が強みなら業界を残し、仕事のやり方や技術が強みなら職種を残すのが基本です。これまでの仕事で評価されたことを書き出し、それが「業界の知識」によるものか、「仕事のやり方」によるものかを分けてみると、残す軸が見えてきます。まなぶの場合は、評価されてきたのが「取引先の声を聞いて形にする仕事のやり方」だったため、職種に近い部分を残すのが合っていました。
ずらす先を、隣り合う仕事から探していなかった
軸をずらすときは、今の仕事のすぐ隣にある仕事から探すのがコツです。いきなり遠くの仕事を目指すより、今の経験の延長線上にある仕事のほうが、経験を生かしやすく、採用されやすくなります。今の仕事と、どこかが重なっている仕事を、いくつか書き出してみることが大切です。営業なら、営業企画、カスタマーサクセス、販促の担当など、取引先と向き合う経験が生きる仕事がたくさんあります。隣の仕事を一度経験すれば、さらにその先へと進む道も見えてきます。
応募先の業界を、しぼっていなかった
食品、化粧品、旅行、教育と、ばらばらの業界に応募していると、どの会社にも同じような志望動機しか話せません。業界を変えるときも、自分の経験とつながりのある業界や、関心の理由をはっきり話せる業界にしぼるようにしましょう。しぼった業界については、主な会社やお客様、仕事の流れを調べておくと、面接で「この業界を選んだ理由」を具体的に話せます。業界や職種を変える転職の考え方については、業界や職種を変える転職の失敗から学ぶでも紹介しています。
残す軸を、面接で伝えていなかった
せっかく残す軸を決めても、それを面接で伝えなければ、相手には分かりません。「業界は変わりますが、取引先の声を聞いて形にしてきた経験は、この仕事でもそのまま生かせます」のように、変わるものと変わらないものを、セットで伝えましょう。残す軸がはっきりしていると、面接官は「この人は、何を持ってきてくれるのか」を思い描きやすくなります。変える軸については、そのためにどんな準備をしているかも、あわせて話せると安心です。
全部を変える人と、一つの軸を残してずらす人の違い
軸ずらし転職で失敗しないためのチェックリスト
キャリアチェンジの方向を考えるときは、応募を始める前に、次の項目を確かめてみてください。残す軸を決めるだけで、転職活動の進め方はぐっと分かりやすくなります。
- 業界と職種を分けて、それぞれ「変える」か「残す」かを決めた
- これまでの仕事で評価されたことを、書き出した
- その強みが、業界の知識か、仕事のやり方かを分けた
- 今の仕事の隣にある仕事を、いくつか書き出した
- 応募する業界を、理由を話せるところにしぼった
- 面接で、変わるものと変わらないものをセットで話せるようにした
まなぶは、エージェントの担当者と話し合い、「取引先の声を聞いて形にする」という仕事のやり方を残す軸に決めました。そのうえで、業界を変えて、企画寄りの仕事を探すことにしました。応募先も、取引先と一緒に販促を考える仕事がある会社にしぼりました。面接では、「業界は初めてですが、取引先の声を聞いて企画にまとめてきた経験は、そのまま生かせます」と伝えました。そうして出会ったのが、今のIT企業の営業企画の仕事です。業界の言葉には戸惑いましたが、取引先と向き合う仕事のやり方は、入社してすぐに役立ちました。「全部を変えなくても、一つずつずらしていけば、行きたい場所に近づけるんだな」。まなぶは、そう感じています。
キャリアチェンジで後悔しないために
軸ずらし転職を進めるには、自分の経験が生きる隣の仕事を知ることと、業界ごとの情報をくわしく聞けることが役立ちます。
完全無料で転職のプロをパーソナルマッチング【転職AGENT Navi】
特定の業界・職種に精通し、専門性の高い求人や業界特有の情報を持っているタイプです。ずらす先の業界のことをくわしく聞くことで、自分の経験がどこで生きるかを確かめやすくなります。
転職成功実績1万【リクルートエージェント】
求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプです。今の仕事の隣にある仕事を、いろいろな業界の求人から探すのに向いています。
まなぶ
みらい
まなぶ軸ずらし転職で失敗する原因は、思いきって全部変えたいと考え、業界も職種も一度に変えようとして、これまでの経験が生きる軸を残さないまま進めてしまうことです。残す軸を決め、隣の仕事から探し、業界をしぼり、変わるものと変わらないものを伝える。それだけで、キャリアチェンジはぐっと現実的になります。未経験からのキャリアチェンジで後悔しないための考え方は、未経験からのキャリアチェンジの失敗から学ぶでまとめています。
未経験・キャリアチェンジについては、キャリアチェンジを試さずに決めて後悔する理由や家族に相談せずにキャリアチェンジして後悔する理由もあわせて読んでみてください。

