会社を辞めてから勉強して失敗した話
会社を辞めてから勉強して失敗する人の多くは、「働きながらでは勉強に集中できない」と考えて、先に会社を辞め、学ぶ期間と転職活動の期間、そのあいだのお金の見通しを決めないまま、新しい仕事のための勉強を始めてしまう人です。勉強だけに使える時間は、思っていたより早く過ぎていきます。収入のない期間が長引くほど、気持ちにも焦りが生まれ、学ぶことにも転職活動にも集中できなくなってしまいます。未経験の仕事のための勉強は「辞めてから始めるもの」ではなく、「働きながら始めて、期限とお金を決めて進めるもの」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、会社を辞めてから勉強して失敗した原因と、学びと転職を両立させる進め方を解説します。
半年の予定の勉強が、1年を過ぎても終わらなかったAさんの話
10月の週末、まなぶは、地元の秋祭りに顔を出しました。神輿の休憩所になっている町内のテントの裏で、屋台の手伝いをしていたのが、中学の同級生のAさん(30代前半の男性)でした。Aさんは、地元の不動産会社で賃貸の仲介の営業をしていましたが、今は東京のIT企業で、社内のシステムを管理する仕事をしているそうです。焼きそばの鉄板を片づけながら、Aさんは「転職するまでに、1年半もかかったんだよ」と苦笑いしました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)
28歳のとき、Aさんは、ITの仕事に移りたいと考えるようになりました。けれども、営業の仕事は夜まで忙しく、勉強の時間がとれません。「中途半端に働きながら勉強するより、辞めて集中したほうが早い」。そう考えたAさんは、会社を辞めて、半年でITの資格を取り、すぐに転職するつもりでした。貯金は、なんとか半年分ほどありました。
ところが、辞めてみると、勉強は思うように進みませんでした。決まった時間に起きる必要がなくなり、生活のリズムが崩れていきました。資格の試験には一度落ち、気づけば半年が過ぎていました。貯金が減っていく焦りから、転職活動を始めましたが、面接では毎回「この1年は、何をしていたのですか」と聞かれました。「勉強していました」と答えても、何をどこまでできるようになったのかを、はっきり示せなかったのです。
結局、Aさんは、生活費のためにアルバイトを始め、勉強と転職活動を続けました。転職が決まったのは、会社を辞めてから1年半後でした。「働きながら少しずつでも始めていれば、もっと早く、お金の心配もなく転職できたと思う」。Aさんは、片づけ終わった鉄板の前で、祭りのにぎわいを眺めながら、そう話してくれました。
会社を辞めてから勉強して失敗した5つの原因
働きながら始める方法を、考えていなかった
忙しい仕事をしながら勉強するのは大変です。けれども、辞めてしまうと、収入がなくなるうえに、生活のリズムも崩れやすくなります。まずは、朝の30分や通勤の時間、週末の半日など、働きながら使える時間を探して、小さく勉強を始めてみることが大切です。働きながら続けられれば、勉強が自分に合っているかを確かめることもできます。どうしても時間がとれないときは、残業を減らせないか、部署を変えられないかを先に考えてみましょう。
学ぶ期間と、転職活動の期限を決めていなかった
「半年で資格を取って、すぐに転職」と考えていても、計画どおりに進むとは限りません。期限があいまいだと、勉強がずるずると長引いてしまいます。「いつまでに、何ができるようになるか」と「いつから転職活動を始めるか」を、先に決めて書き出すようにしましょう。勉強が終わってから転職活動を始めるのではなく、学びながら活動を並行して始めるほうが、時間を無駄にしません。予定より遅れたときに、どう立て直すかも決めておくと安心です。
辞めたあとのお金の見通しを、立てていなかった
会社を辞めると、給料がなくなるだけでなく、健康保険や年金、住民税の支払いを自分ですることになります。思っていた以上に、毎月のお金が出ていきます。辞める前に、毎月かかるお金と、辞めたあとに自分で払うお金を書き出し、何か月暮らせるかを計算しておくことが大切です。失業保険を受け取れる場合も、自分から辞めたときは、受け取れるまでに一定の期間があります。手続きや条件は、ハローワークで確かめておきましょう。
何ができるようになったかを、形にしていなかった
勉強していた期間を面接で説明するとき、「勉強していました」だけでは、相手には何も伝わりません。学んだことを使って、小さな作品や成果物を作り、何ができるようになったかを形で示せるようにすることが大切です。ITの仕事なら、自分で作った簡単な仕組みや、学んだ内容をまとめた記録などです。資格だけでなく、実際に手を動かした跡があると、面接での説得力は大きく変わります。ブランクがある転職の伝え方については、ブランクありの転職で後悔する理由でも紹介しています。
学びを支える制度を、調べていなかった
働きながら学ぶ人や、仕事を探しながら学ぶ人を支える制度があります。決められた講座を受けると費用の一部が戻ってくる制度や、仕事を探している人が無料や少ない負担で受けられる職業訓練などです。こうした制度を知らずに、すべて自分のお金で学んでしまうと、お金の負担が大きくなります。使える制度の条件や手続きは、勤務先やハローワーク、厚生労働省の案内で、辞める前に確かめておきましょう。制度によっては、会社に在籍しているあいだでないと申し込めないものもあります。辞める前に確かめておくことで、選べる道が広がります。
辞めてから学ぶ人と、働きながら学ぶ人の違い
会社を辞めてから勉強して失敗しないためのチェックリスト
新しい仕事のための勉強を考えているときは、会社を辞める前に、次の項目を確かめてみてください。辞めるかどうかは、そのあとに決めても遅くありません。
- 働きながら勉強に使える時間を探して、小さく始めてみた
- いつまでに何ができるようになるかを、書き出した
- 転職活動を始める時期を、先に決めた
- 辞めたあとに毎月かかるお金を書き出し、何か月暮らせるか計算した
- 失業保険などの手続きと条件を、ハローワークで確かめた
- 学んだことを、作品や成果物として形にする計画を立てた
- 学びを支える制度の条件を、辞める前に調べた
Aさんは、アルバイトをしながら勉強を続けた最後の半年で、やり方を変えたそうです。毎朝決まった時間に図書館へ行き、「3か月で、社内のパソコンの管理を想定した小さな仕組みを作る」と期限を決めました。作ったものは記録にまとめ、面接で見せられるようにしました。同時に転職活動を始め、職業訓練の制度についても調べました。その結果、半年後に今の会社から内定をもらうことができました。「最初からこの順番でやればよかった。辞めることは、最後に決めればよかったんだよね」。Aさんは、そう言って笑っていました。
キャリアチェンジで後悔しないために
会社を辞める前に、お金の見通しを立てることと、働きながら転職の可能性を確かめることが大切です。
ライフプランニング相談・FP相談サービス【マネードクター】
お金の専門家と一緒に、家計や将来のお金の流れを整理できるタイプです。会社を辞めたあとに何か月暮らせるか、学ぶ期間のお金をどう用意するかを、辞める前に相談しておくと安心です。
転職成功実績1万【リクルートエージェント】
求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプです。働きながら相談して、未経験で応募できる求人や、求められる力を先に知っておけば、何を学べばよいかがはっきりします。
まなぶ
みらい
まなぶ会社を辞めてから勉強して失敗する原因は、働きながらでは無理だと考えて、学ぶ期間や転職活動の期限、お金の見通しを決めないまま、先に会社を辞めてしまうことです。働きながら小さく始め、期限とお金を決め、学んだことを形にし、使える制度も調べておく。それだけで、学びと転職を無理なく両立できます。未経験からのキャリアチェンジで後悔しないための考え方は、未経験からのキャリアチェンジの失敗から学ぶでまとめています。
未経験・キャリアチェンジについては、未経験の職種で入社後に失敗する人の特徴5選や家族に相談せずにキャリアチェンジして後悔する理由もあわせて読んでみてください。

