結論

キャリアチェンジを試さずに決めて後悔する人の多くは、「この仕事がしたい」という思いだけで、その仕事を一度も小さく試さないまま、転職活動を始めてしまう人です。やったことのない仕事は、どうしても本や求人の言葉、まわりの話から想像するしかありません。想像だけで決めると、面接で中身のある話ができなかったり、入ってから「思っていたのと違う」と気づいたりします。キャリアチェンジは「思いで決めるもの」ではなく、「小さく試して、確かめてから決めるもの」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、キャリアチェンジを試さずに決めて後悔する理由と、決める前にできる試し方を解説します。

1失敗ストーリー

「やってみたことはありますか」に、何も答えられなかった話

2年前の春の夜、本棚の前で、やりたい仕事を一度も試していなかったことに気づき考えこむまなぶのイラスト

2年前の春、まなぶは、未経験のマーケティング職への転職を目指して、転職活動を始めました。きっかけは、たまたま読んだマーケティングの本でした。「お客様の気持ちを読み解いて、商品の売れ方を変える。こんな仕事がしたい」。まなぶは、その日のうちに転職サイトに登録し、マーケティング職の求人に応募を始めました。

けれども、まなぶは、マーケティングの仕事を実際にやってみたことは、一度もありませんでした。本を何冊か読んだだけで、毎日の仕事の中身がどんなものかは、よく分かっていなかったのです。それでも、「入ってから覚えればいい」と思っていました。まわりにマーケティングの仕事をしている知り合いもいなかったため、誰かに話を聞いてみることもありませんでした。

ある会社の面接で、面接官はやさしい口調で聞きました。「マーケティングに興味を持ったきっかけは分かりました。では、小さなことでもいいので、実際にやってみたことはありますか。たとえば、身近な商品の売り方を考えてみたとか」。まなぶは、言葉に詰まりました。「本では勉強しているのですが、実際には、まだ……」。面接官は少しうなずいて、メモを取りました。まなぶの「やりたい」は、本の中の仕事に向いていて、実際の仕事を一度も確かめていなかったのです。

そのあとの面接でも、同じような質問が続きました。不採用の通知が10通を超えたころ、まなぶは、ふと考えこみました。「自分は本当に、マーケティングの仕事がしたいのだろうか。それとも、本で読んだ『お客様の気持ちを読み解く』ところに引かれているだけなのだろうか」。夜の部屋で、本棚に並んだマーケティングの本を見つめながら、まなぶは、自分がやりたいことの中身さえ、よく分かっていなかったことに気づきました。

2原因分析

キャリアチェンジを試さずに決めて後悔する理由

1

仕事のイメージだけで、決めていた

本や記事、求人に書かれている仕事は、その仕事のいちばん魅力的な部分であることが多いものです。実際の毎日には、地道な作業や、思っていなかった苦労もあります。決める前に、その仕事をしている人に「1日の流れ」と「いちばん大変なこと」を聞いてみると、イメージと実際の差が見えてきます。知り合いがいなければ、転職エージェントや、仕事を紹介するイベントで話を聞くこともできます。差を知ったうえで「それでもやりたい」と思えるかが、大切な確かめどころです。

2

今の仕事の中で、試す方法を探していなかった

新しい仕事を試すのに、いきなり転職する必要はありません。今の職場にも、試せる場面が隠れていることがあります。今の仕事の中で、やってみたい仕事に近い作業を、自分から手を挙げて引き受けてみると、実際の手ごたえを確かめられます。まなぶの場合なら、前の会社で取引先と一緒に行う販促の企画を手伝わせてもらえば、マーケティングに近い仕事を体験できました。試した経験は、面接で話せる何よりの材料にもなります。

3

小さく試せる場を、使っていなかった

今の職場で試せないときは、外に小さく試せる場があります。週末の講座で実際に手を動かす、身近な商品を題材に自分で分析してみる、副業として小さな案件を受けてみる、などです。お金や時間をかけすぎない形で、まず一度やってみることが大切です。やってみると、楽しいところも、苦手なところも見えてきます。一度試してみて合わないと分かれば、それも大事な発見です。転職してから気づくよりも、ずっと小さな失敗ですみます。

4

やりたいことの中身を、言葉にしていなかった

「マーケティングがしたい」という言葉の中には、実はいろいろな「やりたい」が混ざっています。お客様の声を聞きたいのか、数字を分析したいのか、広告を作りたいのか。「その仕事のどの部分に引かれているのか」を書き出してみると、自分に合う仕事の形がはっきりしてきます。まなぶは、自分が引かれていたのが「お客様の声を、形にすること」だと気づいたことで、その後の仕事選びの軸が見えました。中身が分かれば、職種の名前にこだわりすぎずにすみます。

5

試した結果を、振り返っていなかった

小さく試しても、やったことを振り返らなければ、次の判断につながりません。試したあとは、「楽しかったこと」「大変だったこと」「もっとやりたいと思ったこと」を、短く書き残しておきましょう。何度か試して振り返ると、自分が本当にやりたい仕事の形が、少しずつ見えてきます。その記録は、面接で「なぜこの仕事を選んだのか」を話すときの、説得力のある材料にもなります。キャリアの棚卸しのしかたについては、キャリアの棚卸しで失敗する人の特徴5選でも紹介しています。

3図解

思いだけで決める人と、試して確かめてから決める人の違い

⚠ キャリアチェンジを試さずに決めて後悔する人のパターン
本や求人のイメージだけで、やりたい仕事を決める
↓
一度も試さないまま、転職活動を始める
↓
面接で「やってみたこと」を聞かれ、答えに詰まる
↓
選考が通らないか、入社してから思っていた仕事と違うと気づく
◎ キャリアチェンジを試してから決める人のパターン
その仕事をしている人に、1日の流れと大変なことを聞く
↓
今の仕事の中や外で、小さく試してみる
↓
試した結果を振り返り、やりたいことの中身を言葉にする
↓
納得して決められ、面接でも実感のこもった話ができる
4解決策

キャリアチェンジを試さずに決めて後悔しないためのチェックリスト

キャリアチェンジを考え始めたら、転職活動を始める前に、次の項目を確かめてみてください。小さく試すことは、遠回りのようで、いちばんの近道です。

  • やりたい仕事をしている人に、1日の流れと大変なことを聞いた
  • 今の仕事の中で、近い作業を試せる場面を探した
  • 講座や副業など、外で小さく試せる場を使ってみた
  • その仕事のどの部分に引かれているのかを、書き出した
  • 試した結果を、楽しかったこと・大変だったことに分けて振り返った
  • 面接で話せる「やってみたこと」を、一つ以上用意した

まなぶは、不採用の通知が10通を超えたあと、前の会社で取引先と進めていた販促の企画を、2か月だけ手伝わせてもらいました。取引先の声を聞いて売り場のアイデアをまとめる仕事は、思っていた以上に楽しく、反対に、広告の数字を細かく分析する作業は、まだ自分には遠いと感じました。その振り返りから、まなぶは「お客様の声を、形にする仕事」を軸に求人を探すようになり、今の会社の営業企画の仕事に出会いました。「やりたいことは、考えるだけじゃなくて、試して見つけるものだったんだな」。まなぶは、そう思っています。

5おすすめサービス

キャリアチェンジで後悔しないために

キャリアチェンジを試してから決めるには、自分が仕事に求める価値観を知ることと、自分の強みや適性を客観的に確かめることが役立ちます。

A
仕事選びの価値観を重視したい人向け

転職・求人情報ならリクルートの転職サイト【リクナビNEXT】

かんたんな質問に答えるだけで、仕事探しに役立つ自分の価値観のヒントが分かるタイプです。やりたい仕事の「どの部分に引かれているのか」を考えるきっかけになり、試す前の見当をつけやすくなります。

適職診断してみる

C
自分の市場価値やキャリアの方向性を客観視したい人向け

市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】

第三者視点で、自分の強みや適性、これまでのキャリアの棚卸しを手伝ってもらえるタイプです。小さく試した結果と照らし合わせると、自分に合う仕事の形を確かめやすくなります。

診断してみる

まなぶまなぶ
本を読んで「この仕事がしたい」と思っただけで、一度も試さずに転職活動を始めていました…。
みらいみらい
キャリアチェンジは、思いで決めるものではなく、小さく試して確かめてから決めるものです。その仕事をしている人に話を聞き、今の仕事の中や外で小さく試してみましょう。試した結果を振り返ると、やりたいことの中身が見えてきます。
まなぶまなぶ
やりたいことは、試して見つけるものなんですね。

キャリアチェンジを試さずに決めて後悔する原因は、やりたいという思いだけで、その仕事を一度も小さく試さないまま、転職活動を始めてしまうことです。話を聞き、今の仕事の中や外で試し、引かれている部分を言葉にし、結果を振り返る。それだけで、納得のいくキャリアチェンジに近づけます。未経験からのキャリアチェンジで後悔しないための考え方は、未経験からのキャリアチェンジの失敗から学ぶでまとめています。

未経験・キャリアチェンジについては、未経験の職種で入社後に失敗する人の特徴5選や軸ずらし転職で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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