結論

AIを使ったことを伝えずに後悔する人の多くは、「わざわざ言う必要はない」「言わなければ分からない」と考えて、相手がAIの使用についてどんなルールや考えを持っているかを、確かめないまま仕事を進めてしまう人です。AIを使うこと自体は、悪いことではありません。けれど、相手が後から知ったとき、「使ったこと」より「言ってくれなかったこと」が、信頼を大きく損ねることがあります。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、AIを使ったことを伝えずに後悔する理由と、上手な伝え方を解説します。

1失敗ストーリー

「使ったことより、言ってくれなかったことが残念です」

夜の自宅のデスクで、お客さまからの電話に申し訳なさそうにうつむくまなぶのイラスト

今年の6月、まなぶは、副業で請け負っている資料作成の仕事で、小さな研修会社からセミナー用のスライドの作成を頼まれました。何度か仕事をしたことのある、まなぶにとって大切なお客さまで、副業の収入の柱にもなっていました。締め切りが短かったため、まなぶは、スライドに入れるイラストをAIで作り、説明の文章の下書きにもAIを使いました。仕上がりはとても良く、お客さまにも喜んでもらえました。いつもより早く、しかも見栄えのよいスライドを納品できたことに、まなぶ自身も満足していました。

まなぶは、AIを使ったことを特に伝えませんでした。「仕上がりが良ければ、作り方は関係ないだろう」と考えていたのです。ところが、1か月ほどたったころ、お客さまから連絡がありました。セミナーに参加した取引先の方から、「このイラスト、AIで作ったものですか?」と聞かれたというのです。お客さまは答えられず、「確認してお返事します」とその場を収めて、まなぶに確かめてきました。電話の声は、いつもより少し硬く聞こえました。

まなぶが「はい、AIで作りました」と答えると、お客さまは少し間をおいて、こう言いました。「実は、うちの会社では、お客さまに出す資料にAIで作った画像を使わない決まりにしているんです。最初の打ち合わせでお伝えしていなかったこちらも悪いのですが…」。そして、最後にこう続けました。「AIを使ったことより、言ってくれなかったことが、少し残念です」。

まなぶは、イラストをすべて差し替え、無償で作り直しました。週末をまるごと使って、一枚ずつ描き直したそうです。お客さまはその後も仕事を頼んでくれましたが、次からは「AIを使う場合は、事前に相談してください」という一文が、依頼のメールに必ず添えられるようになりました。「隠したつもりはなかった。でも、伝えなかったことで、相手には隠されたように感じさせてしまった」。まなぶは、その違いの大きさを思い知りました。

まなぶは、自分が依頼する側だったらどう感じるかを考えました。作り方を知らされずに、後から人に聞かれて初めて知る。それは、たとえ仕上がりが良くても、落ち着かない気持ちになるはずです。AIを使うことが当たり前になってきたからこそ、伝え方が問われるのだと、まなぶは考えるようになりました。

2原因分析

AIを使ったことを伝えずに後悔する理由

1

相手のルールや考えを、確かめていない

会社やお客さまによっては、AIの使用について決まりを持っていることがあります。「AIで作った画像は使わない」「社外秘の情報はAIに入れない」など、その内容はさまざまです。仕事を受けるときに、「AIを使ってもよいか」「使ってはいけない範囲はあるか」を最初に確かめることが大切です。聞くこと自体が、相手への誠実さとして伝わります。相手がAIの使用について特に決めていない場合でも、確かめたことで、あとで行き違いが起きにくくなります。

2

「言わなければ分からない」と考えてしまう

AIで作ったものは、見た目では区別がつかないこともあります。そのため、「わざわざ言わなくてもいい」と考えがちです。けれど、相手が後から知ったとき、「伝えてもらえなかった」という事実は、仕上がりの良さでは取り戻せません。言わなくても分からないかどうかではなく、相手が知ったときにどう感じるかで考えましょう。迷ったときは、伝えておくほうを選ぶのが安全です。

3

どこにAIを使ったかを、説明できない

「AIを使いましたか?」と聞かれたとき、どこに、どのくらい使ったかを答えられないと、相手の不安は大きくなります。AIを使った場所と使い方を、簡単にメモしておくと、聞かれたときにすぐ説明できます。「イラストはAIで作成、文章はAIの下書きを自分で直した」のように、一言で言える形にしておきましょう。使ったAIのサービス名や、作った日付も残しておくと、さらに安心です。

4

相手が、さらにその先の人に説明する立場だと考えていない

仕事を頼んだお客さまは、さらにその先の取引先や参加者に、成果物について説明する立場になることがあります。あなたが伝えていないと、お客さまが答えられずに困ってしまいます。相手が誰に、何を説明する必要があるかを想像して、必要な情報を渡しておくことが大切です。納品物と一緒に、説明に使える短いメモを渡しておくと、相手もきっと助かります。

5

伝えることを、後ろめたいことだと思っている

AIを使ったと伝えると、「手を抜いたと思われるのでは」と心配になることがあります。けれど、AIで浮いた時間を、内容の確認や工夫にあてたことを一緒に伝えれば、むしろ仕事の進め方への信頼につながります。AIの使用は隠すものではなく、仕事のやり方の一つとして、堂々と伝えればよいのです。伝え方に迷ったら、「何に使い、何を自分で確かめたか」の2点を伝えるだけで十分です。

3図解

AIを使ったことを伝えずに後悔する人と、上手に伝えられる人の違い

⚠ AIを使ったことを伝えずに後悔する人のパターン
相手のルールを確かめずに、AIを使って仕事を進める
↓
「言わなくても分からない」と考えて、使ったことを伝えない
↓
後から相手が人に聞かれて、初めて知る
↓
作り直しになり、「隠された」という印象が残る
◎ AIを使ったことを上手に伝えられる人のパターン
仕事を受けるときに、AIを使ってよいかを確かめる
↓
AIを使った場所と使い方を、簡単にメモしておく
↓
納品のときに、使った場所と確かめたことを一緒に伝える
↓
相手が安心して、成果物を使い、説明できる
4解決策

AIを使って仕事をする前のチェックリスト

AIは、仕事の質と速さを高めてくれる心強い道具です。相手との信頼を守るために、次の項目を確かめてみてください。

  • 仕事を受けるときに、AIを使ってよいかを確かめた
  • 使ってはいけない範囲(画像・文章・情報など)を確かめた
  • AIを使った場所と使い方を、メモしておいた
  • 納品のときに、AIを使ったことと確かめたことを伝えた
  • 相手がその先の人に説明するときに困らないか考えた
  • 相手から預かった情報をAIに入力していないか確かめた

まなぶは今、副業で仕事を受けるときは、最初の打ち合わせで「AIを使ってもよいですか。使う場合は、どこに使ったかを納品時にお伝えします」と確かめています。納品のメールには、AIを使った場所と、自分で確かめたことを短く書き添えるようにしました。AIを使うかどうかより、伝えるかどうか。そう決めてから、お客さまから「進め方が分かって安心です」と言われることが増えました。

※AIで作った画像や文章の扱いについては、相手の会社の決まりや契約の内容によって異なります。仕事を受けるときは、契約書や依頼内容に、AIの使用についての取り決めがないかを確認しましょう。
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まなぶまなぶ
AIで作ったイラストのことを伝えずに納品したら、お客さまに「言ってくれなかったことが残念」と言われてしまいました…。
みらいみらい
AIを使うこと自体は悪くありません。仕事を受けるときに使ってよいかを確かめて、使った場所は納品のときに伝えましょう。
まなぶまなぶ
AIを使うかどうかより、伝えるかどうかが大事なんですね。

AIを使ったことを伝えずに後悔する原因は、相手のルールを確かめず、「言わなければ分からない」と考えて、使った場所も説明できないまま仕事を進めてしまうことです。仕事を受けるときに確かめ、使った場所をメモし、納品のときに伝える。それだけで、AIは相手との信頼を深める道具になります。AIとの付き合い方で失敗しないための考え方は、AIとの付き合い方の失敗から学ぶでまとめています。

AIとの付き合い方については、AIの偽画像をシェアして失敗した話や子どものAI利用を見守るときに失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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