結論

AIの偽画像をシェアして失敗する人の多くは、本物らしく見える図やグラフ、写真を、出どころを確かめないまま「すごい情報を見つけた」と人に広めたり、仕事の資料に使ったりしてしまう人です。AIを使えば、誰でも本物そっくりの画像やグラフを作れるようになりました。「見た目が本物らしい」ことは、もう「本物である」証拠にはなりません。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、AIの偽画像をシェアして失敗した理由と、広める前に立ち止まるための考え方を解説します。

1失敗ストーリー

提案資料に貼ったグラフの「出どころ」が、どこにもなかった

偽のグラフ画像を共有してしまったことを、同僚の席を回って一人ひとりにおわびするまなぶのイラスト

今年の3月、まなぶは、夜にスマートフォンでSNSを見ていて、一枚の画像に目を留めました。「中小企業の8割が、来年までに業務へのAI導入を予定」。きれいなグラフと、調査機関のような名前が入った、いかにも公式らしい画像でした。たくさんの人が「これはすごい」と共有していて、まなぶも「ちょうど提案に使える」と思い、すぐに保存しました。ちょうど、中小企業向けの提案資料の入り口になる数字を探していたところだったのです。探していた答えが向こうからやってきたようで、まなぶは疑う気持ちをまったく持ちませんでした。

翌日、まなぶはその画像を、中小企業向けの提案資料の1ページ目に貼りつけました。「多くの会社が動き始めています」という、説得力のある入り口になると考えたのです。資料の見栄えも、ぐっと良くなりました。ついでに、部署のチャットにも「この数字、使えますよ」と画像を共有しました。何人かの同僚が、自分の資料にも使ったようでした。「いい数字を見つけたね」と声をかけられ、まなぶは少し得意な気持ちになっていました。

2週間後、その提案資料を見たお客さまの情報システム担当の方から、メールが届きました。「1ページ目のグラフの調査を探してみたのですが、見つかりませんでした。出典を教えていただけますか」。まなぶは慌てて調べました。けれど、画像に書かれていた調査機関の名前で探しても、そんな調査はどこにもありませんでした。よく見ると、グラフの目盛りはところどころ文字が崩れ、調査機関の名前も、実在しない組み合わせだったのです。どうやら、AIで作られた画像が、本物の調査のように出回っていたようでした。

まなぶは、お客さまにおわびをして、その日のうちに資料を差し替えました。部署のチャットでも、同僚たちに訂正を伝えました。すでにその画像を使った資料を社外に出していた同僚もいて、まなぶは一人ひとりに頭を下げることになりました。「一枚の画像を確かめなかったせいで、自分だけでなく、同僚にも恥をかかせてしまった」。まなぶは、自分が「広めた側」になっていたことに、強いショックを受けました。

上司はこう言いました。「数字や画像を使うときは、元の出どころまでたどれるものだけにしよう。たどれないなら、どれだけ便利でも使わない」。まなぶは、見た目だけで本物かどうかを判断できる時代ではなくなったのだと、身をもって知りました。そして、だまされたこと以上に、自分が確かめずに広めたことで、偽の情報を運ぶ手伝いをしてしまったことが、何より悔しく感じられました。

2原因分析

AIの偽画像をシェアして失敗した理由

1

見た目の「本物らしさ」で信じた

AIで作られた画像は、整ったデザインや、公式のような名前で、とても本物らしく見えます。「きれいに作られている」「公式っぽい」は、本物である証拠にはなりません。画像を見て「すごい」と感じたときほど、一度立ち止まって、「これは誰が、どこで発表したものか」を確かめる習慣をつけましょう。とくに、自分が探していた答えにぴったりの情報ほど、疑う気持ちが弱くなりやすいので注意が必要です。

2

たくさん共有されていることを、信頼の根拠にした

多くの人が共有している情報は、正しそうに見えます。けれど、たくさん広まっていることと、正しいことは別の話です。偽の情報ほど、驚きがあって広まりやすいこともあります。共有している人の数ではなく、元の発表にたどり着けるかどうかで判断しましょう。共有している人の多くも、元の発表を確かめずに広めているかもしれません。

3

元の発表をたどらなかった

本物の調査や発表なら、発表した団体のホームページなどで、元の資料を見られることがほとんどです。画像だけで判断せず、調査機関の名前や調査名で検索し、元の発表を自分の目で確かめることが大切です。元の発表が見つからないものは、仕事では使わないと決めておきましょう。元の発表が見つかったときも、発表された日付や、調査の対象・人数まで確かめておくと、資料の説得力がさらに増します。

4

おかしなところに、気づこうとしなかった

AIで作られた画像には、文字が崩れている、数字の合計が合わない、ロゴや名前が微妙に違うなど、よく見ると不自然なところがあることがあります。ただし、見た目の違和感だけで見分けるのは、年々難しくなっています。違和感は「確かめるきっかけ」として使い、最後は元の発表で確かめることが大切です。違和感がないからといって、本物だと決めつけないようにしましょう。

5

気軽に、仕事の場で広めてしまった

自分が信じた情報を、チャットで共有したり、資料に使ったりすると、その情報は自分の名前と一緒に広まっていきます。広めた人は、受け取った人から見れば「その情報を保証した人」になります。共有する前に「この情報の出どころを聞かれたら答えられるか」を自分に問いかけましょう。答えられないなら、共有を待つのが賢明です。どうしても共有したいときは、「出どころは未確認です」と添えるだけでも、受け取った人が慎重に扱えるようになります。

3図解

AIの偽画像をシェアして失敗する人と、立ち止まれる人の違い

⚠ AIの偽画像をシェアして失敗する人のパターン
本物らしいグラフや画像を見て、すぐに保存する
↓
出どころを確かめず、資料に使ったりチャットで共有したりする
↓
相手に出典を聞かれて、初めて調べる
↓
自分も周りの人も、信頼を失ってしまう
◎ AIの偽画像に立ち止まれる人のパターン
「すごい」と思ったら、一度立ち止まる
↓
発表した団体や元の資料を、自分で探して確かめる
↓
元の発表にたどり着けたものだけを、出典つきで使う
↓
安心して使える情報だけで、仕事を進められる
4解決策

画像やグラフを広める前のチェックリスト

AIの技術が進むほど、本物そっくりの画像は増えていきます。画像やグラフを広めたり使ったりする前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 誰が、どこで発表した情報かを確かめた
  • 発表した団体のホームページなどで、元の資料を見つけた
  • 共有している人の数ではなく、出どころで判断した
  • 文字の崩れや、数字の合わないところがないか見た
  • 出典を聞かれたら、すぐに答えられる
  • 確かめられないものは、使わない・広めないと決めた

まなぶは今、SNSで気になる数字や画像を見つけたら、まず元の発表を探すようにしています。資料に使うのは、元の発表にたどり着けたものだけ。出典は、発表した団体の名前と日付を、必ずページの下に書き添えています。「すごい」と思ったら、まず出どころ。部署のチャットでも、数字を共有するときは出典のリンクを一緒に貼ることが、いつの間にか当たり前になりました。

※偽の情報と気づかずに広めてしまったときは、気づいた時点で、共有した相手に訂正を伝えることが大切です。社外に出した資料の場合は、上司に相談しながら対応しましょう。
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SNSで見つけたグラフを提案資料に使ったら、AIで作られた偽の画像で、同僚にまで恥をかかせてしまいました…。
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見た目が本物らしいことは、もう本物の証拠にはなりません。広める前に、元の発表にたどり着けるかを確かめましょう。
まなぶまなぶ
「すごい」と思ったら、まず出どころなんですね。

AIの偽画像をシェアして失敗する原因は、見た目の本物らしさや共有の多さで信じ、元の発表をたどらないまま、仕事の場で広めてしまうことです。「すごい」と思ったら立ち止まり、元の発表を自分で探し、たどり着けたものだけを出典つきで使う。それだけで、自分も周りの人も守れます。AIとの付き合い方で失敗しないための考え方は、AIとの付き合い方の失敗から学ぶでまとめています。

AIとの付き合い方については、AIに意見を求めて失敗する人の特徴5選やAIを使ったことを伝えずに後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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