結論

子どものAI利用を見守るときに失敗しないためには、「使わせない」か「好きに使わせる」かの二択にせず、親も一緒に使ってみたうえで、家庭のルールと学校の方針を子どもと話し合って決めることが大切です。AIは、調べものや勉強の手助けになる一方で、宿題の丸写しや、個人情報の入力といった心配もあります。子どもにとって大切なのは、AIを怖がることでも頼りきることでもなく、上手な付き合い方を身につけることです。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、子どものAI利用を見守るときに失敗しない方法を解説します。

1失敗ストーリー

「AIなら大丈夫だと思った」と、息子は言った

ボウリング大会のあと、ベンチで靴を履き替えながら前の職場の先輩・Aさんの話を聞くまなぶのイラスト

この話は、まなぶが前の職場でお世話になった先輩、Aさんから聞いたものです。前の職場の仲間で久しぶりに集まったボウリング大会のあと、ベンチで靴を履き替えながら話していたとき、まなぶが「最近は子どももAIを使うんですか」と聞くと、Aさんは「使ってる。それで、わが家ではちょっとした騒ぎがあってね」と話してくれました。

Aさんは、中学2年生の息子を育てる40代の会社員です。去年の夏休み、息子が「調べものに使いたい」と言ったので、Aさんは家のパソコンでAIを使うことを許しました。仕事でAIの便利さを知っていたAさんは、「うまく使えば勉強の役に立つ」と考え、特に使い方のルールは決めませんでした。息子は楽しそうにAIを使い、夏休みの宿題もいつもより早く終わらせていました。自分の部屋にパソコンを持ち込んで、夜遅くまで使っている日もありましたが、Aさんは「勉強しているなら」と、特に気にしていませんでした。

ところが、夏休みが明けてすぐ、担任の先生から電話がかかってきました。「息子さんの読書感想文が、ほかの生徒の文章とよく似ていて、本人に聞いたらAIに書いてもらったと話していました」。さらに、パソコンの履歴を一緒に見てみると、息子はAIとのやりとりの中で、学校の名前や友だちの名前、家の近くの場所まで書き込んでいたことも分かりました。

Aさんが話を聞くと、息子はうつむいて言いました。「AIなら大丈夫だと思った。誰にも見られないと思ってたし」。Aさんは、息子を責める気持ちにはなれませんでした。息子なりに、AIを上手に使っているつもりだったのです。「使い方を何も教えずに渡したのは、私のほうだった」。さらに調べてみると、使っていたAIのサービスには、利用できる年齢の決まりがあり、保護者の同意が必要な場合もあることも、Aさんは初めて知ったそうです。

Aさんはその後、学校の先生とも相談し、家族で話し合って、AIの使い方のルールを決め直しました。「禁止するのは簡単だったけど、それだと息子は隠れて使うようになると思ったの」と、Aさんは言います。話を聞いたまなぶは、大人でも迷うAIとの付き合い方を、子どもと一緒に考えることの大切さを感じていました。自分が仕事で何度もAIで失敗してきたことを思えば、子どもが最初からうまく使えないのは当たり前のことだと思えたのです。

2解決策

子どものAI利用を見守るときに失敗しない方法

1

親も一緒に使ってみる

子どもがどんなふうにAIを使っているのかを知らないと、心配の中身も分かりません。まずは親が子どもと一緒にAIを使ってみて、何ができて、どんな答えが返ってくるのかを知ることから始めましょう。一緒に使うことで、AIが間違えることもあるという体験を、子どもと共有することもできます。子どもが知っているAIの使い方を、親が教えてもらうのもよいきっかけになります。

2

利用できる年齢と、学校の方針を確かめる

AIのサービスには、利用できる年齢や、保護者の同意についての決まりがあることがあります。使い始める前に、サービスの決まりを確かめましょう。また、学校によって、宿題や課題でのAIの使い方について方針が決められていることもあります。担任の先生に確かめておくと、子どもも迷わずに済みます。学校の方針と家庭のルールがそろっていると、子どもにとっても分かりやすくなります。

3

「入れてはいけない情報」を具体的に決める

子どもは、AIとのやりとりを、誰にも見られない会話だと思いがちです。名前、学校名、住所、友だちの名前、写真など、AIに入れてはいけない情報を、具体的に挙げて一緒に確認することが大切です。「なぜ入れてはいけないのか」も話しておくと、子どもが自分で判断できるようになります。入れてしまったときに、怒らずに相談してほしいと伝えておくことも大切です。

4

「答えを写す」ではなく「考える手助け」として使う

宿題をAIに書いてもらうと、早く終わりますが、子どもの力にはなりません。AIは「答えをもらう道具」ではなく、「考えるのを手伝ってもらう道具」として使うよう話しましょう。たとえば、「分からない言葉の意味を聞く」「自分が書いた文章の分かりにくいところを聞く」など、具体的な使い方を一緒に決めておくと安心です。自分で考えて書いたものを、最後にAIで見直すという順番を守るだけでも、学びの質は大きく変わります。

5

ルールは、子どもと一緒に決めて見直す

親が一方的に決めたルールは、守られにくいものです。使う時間や場所、使い方のルールを、子どもの意見も聞きながら一緒に決めると、子どもも納得して守りやすくなります。AIの使い方やサービスの決まりは変わっていくので、学年が上がるときなど、時期を決めて見直しましょう。困ったときに、隠さずに相談できる雰囲気をつくることも大切です。ルールを破ったときに叱るより、なぜそうしたのかを聞く姿勢が、次の相談につながります。

3図解

子どものAI利用で失敗する見守り方と、上手な見守り方の違い

⚠ 子どものAI利用の見守りで失敗するパターン
使い方のルールを決めずに、AIを使わせる
↓
宿題の丸写しや、個人情報の入力に気づかない
↓
問題が起きてから、急に禁止する
↓
子どもが隠れて使うようになり、相談もしにくくなる
◎ 子どものAI利用を上手に見守るパターン
親も一緒に使い、年齢の決まりや学校の方針を確かめる
↓
入れてはいけない情報と、考える手助けとしての使い方を決める
↓
ルールを子どもと一緒に決め、時期を決めて見直す
↓
子どもが自分で判断しながら、AIと上手に付き合える
4チェックリスト

子どもがAIを使い始める前のチェックリスト

AIは、子どもの学びを広げてくれる道具にもなります。使い始める前に、家族で次の項目を確かめてみてください。

  • 親も一緒にAIを使ってみた
  • 使うサービスの利用年齢や、保護者の同意の決まりを確かめた
  • 宿題や課題でのAIの使い方について、学校の方針を確かめた
  • 名前・学校名・住所など、入れてはいけない情報を一緒に確認した
  • 「考える手助け」としての使い方を、具体的に決めた
  • ルールを子どもと一緒に決め、見直す時期を決めた

Aさんの家では今、AIはリビングのパソコンで使うことにして、使い方のルールを紙に書いて貼っているそうです。息子は、読書感想文を自分で書いたあと、「分かりにくいところを教えて」とAIに聞くようになりました。「禁止するより、一緒に使い方を考えるほうが、ずっと息子のためになった」。ボウリング場のにぎやかな音の中で、Aさんはうれしそうに話していました。

※AIのサービスごとに、利用できる年齢や保護者の同意についての決まりが異なります。お子さんが使う前に、各サービスの最新の利用規約を確認しましょう。
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まなぶまなぶ
Aさんの息子さんは、読書感想文をAIに書いてもらったうえに、学校や友だちの名前まで入力していたそうです…。
みらいみらい
禁止するか自由にさせるかではなく、親も一緒に使ってみて、ルールを子どもと話し合って決めることが大切です。
まなぶまなぶ
禁止するより、一緒に使い方を考えるほうが子どものためになるんですね。

子どものAI利用を見守るときに失敗しないためには、親も一緒に使ってみて、利用年齢や学校の方針を確かめ、入れてはいけない情報と使い方のルールを子どもと一緒に決めることが大切です。時期を決めてルールを見直し、困ったときに相談できる雰囲気をつくれば、子どもはAIと上手に付き合えるようになります。AIとの付き合い方で失敗しないための考え方は、AIとの付き合い方の失敗から学ぶでまとめています。

AIとの付き合い方については、AIの声のなりすましに備えず後悔する理由やAIを使ったことを伝えずに後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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