結論

成長業界への転職で失敗する人の多くは、「これから伸びる業界に行けば、自分の将来も安心だ」と考え、ランキングやニュースを追いかけるばかりで、その業界の中で自分が何をするのかを考えないまま動いてしまう人です。成長している業界には、新しい仕事やチャンスがたくさんあるのは確かです。けれど、業界が伸びることと、その中で自分が力を発揮できることは、まったく別の話です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、成長業界への転職で失敗しないためのポイントを解説します。

1失敗ストーリー

「伸びる業界ランキング」を追いかけて、1年が過ぎた

業界の本を新しく買ってきたまなぶが、本棚に並ぶ読みかけの本に気づき、苦笑いしながら手を止めるイラスト

3年前、転職を考え始めたまなぶが、最初に調べたのは「これから伸びる業界」でした。今の会社にいて、将来は大丈夫なのか。そんな不安から、ネットの記事や動画で業界のランキングを毎晩のように見るようになりました。「どうせ転職するなら、成長している業界に行きたい」。そう考えたまなぶは、まずAIの業界に目をつけ、入門書を2冊買いました。週末には、オンラインの勉強会にも参加しました。

ところが、翌月には別の記事で「再生可能エネルギーの市場が急拡大」という言葉を見て、今度はエネルギー業界の本を読み始めました。その次は、医療とITを組み合わせた業界です。ニュースを見るたびに目指す業界が変わり、本棚には、読みかけの業界の本ばかりが増えていきました。どの業界にも将来性がありそうに見えて、一つに決めることができなかったのです。業界の説明会の動画を見ては「ここもいいな」と思い、次の日には別の業界の記事に心が動く。その繰り返しでした。

そして、どの業界についても、自分がそこで何の仕事をするのかを考えたことは一度もありませんでした。営業の経験を生かすのか、資料作りの力を生かすのか。そもそも、その業界にはどんな職種があり、未経験の自分を求めている会社はあるのか。業界の将来ばかりを調べて、その中での自分の役割を考えていなかった。気づけば1年以上がたち、まなぶは一社にも応募していませんでした。調べた時間の長さに比べて、手元に残ったものは驚くほど少なかったのです。

あとから振り返ると、成長業界を探していたのは、自分の将来の不安を、業界の将来に預けようとしていたからでした。まなぶはその後、自分の経験が生きる仕事は何かという順番で考え直し、2年前に転職しました。一つの業界に決めきれなかった時間も、今では大切な教訓です。迷い続けた時間の過ごし方については、転職するか迷ったときに失敗しない方法でも紹介しています。

2原因分析

成長業界への転職で失敗しないための5つのポイント

1

業界の成長と、自分の成長を分けて考える

業界全体が伸びていても、その中のすべての会社や、すべての仕事が伸びているわけではありません。大切なのは、業界の勢いではなく、その中で自分がどんな経験を積み、どんな力を伸ばせるかです。「成長業界に行けば安心」と考えるのではなく、「その業界で働いた3年後、自分はどんな仕事ができるようになっていたいか」を書き出してみましょう。そこが言葉にできれば、業界選びの軸がはっきりします。反対に、言葉にできないなら、まだ業界を選ぶ段階ではないのかもしれません。

2

業界ではなく、業界の中の職種で考える

成長業界と呼ばれる業界にも、営業、企画、カスタマーサポート、事務、エンジニアなど、さまざまな職種があります。業界の名前だけで考えていると、自分が応募できる求人がどれなのかが見えてきません。気になる業界があったら、その業界の求人を職種ごとに眺めてみましょう。自分にできそうな仕事、少し勉強すれば手が届きそうな仕事が具体的に見えてきます。求人の数が多い職種ほど、未経験から入れる入り口も見つけやすくなります。

3

自分の経験がつながる入り口を探す

未経験の業界に入るときは、今までの経験とつながる入り口から入ると、選考でも入社後でも力を発揮しやすくなります。たとえば、営業の経験がある人なら、成長業界の会社の営業職から入る道があります。業界は変えても、職種は変えない。あるいは職種を変えても、業界は変えない。一度に両方を変えないだけで、転職の難しさはぐっと下がります。選考でも、「この経験があるから、この仕事で役に立てる」と説得力をもって伝えられます。今の自分の経験の中で、その業界の役に立てそうなものを探してみましょう。

4

同じ業界の中でも、会社ごとの違いを見る

伸びている業界には、新しい会社がたくさん生まれる一方で、競争が激しく、うまくいかずに事業をやめる会社もあります。業界の将来性と、一つひとつの会社の安定は、別のものとして見る必要があります。応募を考える会社については、何で売上を上げているのか、業績は伸びているのか、実際に働いた人がどう感じているのかを、一社ずつ確かめましょう。業界の勢いだけで会社を選ぶと、入社後に事業の方向が大きく変わって戸惑うこともあります。

5

調べる期限を決め、一つに絞って小さく動く

業界の情報は、調べれば調べるほど新しいものが見つかります。期限を決めずに調べ続けると、ニュースのたびに目指す業界が変わり、いつまでも動き出せません。「1か月調べたら、一つの業界に絞って求人に応募するか、そこで働く人に話を聞く」といった期限と行動を、あらかじめ決めておきましょう。小さく動いてみることで、本や記事では分からない業界の手触りがつかめます。動いてみて違うと感じたら、そのときに方向を変えれば十分です。

3図解

成長業界への転職で失敗する人と、納得して挑戦できる人の違い

⚠ 成長業界への転職で失敗する人のパターン
将来への不安から、「伸びる業界ランキング」を追いかける
↓
ニュースのたびに、目指す業界が変わる
↓
業界の中で、自分が何をするのかを考えない
↓
調べるだけで時間が過ぎるか、入ってから役割が見つからない
◎ 成長業界に納得して挑戦できる人のパターン
業界の中の職種と、自分の経験がつながる入り口を探す
↓
業界の将来性と、会社ごとの違いを分けて確かめる
↓
調べる期限を決め、一つに絞って小さく動く
↓
自分が力を発揮できる場所として、成長業界を選べる
4解決策

成長業界への転職を考えたときのチェックリスト

成長業界は、準備しだいで大きなチャンスになります。動き出す前に、次の項目を確かめてみてください。

  • その業界で働いた3年後に、どんな仕事ができていたいかを書き出した
  • 気になる業界の求人を、職種ごとに眺めてみた
  • 今の経験とつながる入り口を、一つ以上見つけた
  • 業界と職種を、一度に両方変えようとしていないかを確かめた
  • 応募を考える会社の売上の柱と業績を確かめた
  • 調べる期限と、その後に取る行動を決めた

まなぶは今、ニュースで「伸びる業界」という言葉を見ても、すぐに飛びつかなくなりました。代わりに、「その業界で、自分の経験はどう役に立つだろう」と考えるようにしています。業界の将来に自分の将来を預けるのではなく、自分の力を生かせる場所として業界を選ぶ。それが、まなぶが1年以上の遠回りから学んだことでした。

※業界の成長の見通しは、景気や技術の変化によって大きく変わることがあります。ランキングや記事の情報は参考の一つとし、応募する会社の情報は自分で確かめましょう。
5おすすめサービス

成長業界の中で、自分に合う仕事を見つけるために

成長業界への転職を考えるときは、業界の情報を集める前に、自分が仕事で何を大切にしたいのかと、これまでの経験を整理しておくのがおすすめです。

A
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これまでの経験や実績を、第三者と一緒に言語化していけるタイプです。自分の経験が、成長業界のどんな仕事の入り口につながるのかを考える手助けになります。転職を考え始める前の段階から利用できるサービスもあります。

相談してみる

まなぶまなぶ
「伸びる業界ランキング」を追いかけて、ニュースのたびに目指す業界が変わって…気づいたら1年以上たっていました。
みらいみらい
業界が伸びることと、その中で自分が力を発揮できることは別です。業界の中の職種と、自分の経験がつながる入り口から考えましょう。
まなぶまなぶ
業界の将来じゃなく、その中での自分の役割を考えるんですね。

成長業界への転職で失敗する原因は、業界の将来性ばかりを追いかけ、その中で自分が何をするのかを考えないまま、調べ続けたり飛び込んだりしてしまうことです。業界の中の職種で考え、経験がつながる入り口を探し、会社ごとの違いを確かめ、期限を決めて小さく動く。それだけで、成長業界は自分の力を伸ばせる場所になります。業界や職種を変える転職で失敗しないための考え方は、公務員から民間転職の失敗から学ぶでまとめています。

業界・職種を変える転職については、不動産業界への転職で失敗する人の特徴5選や人材業界への転職で後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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