結論

不動産業界への転職で失敗する人の多くは、「年収が高い」「頑張りしだいで稼げる」という求人広告の言葉だけを見て応募し、給料の仕組みや働き方、なぜ不動産なのかを考えないまま選考に進んでしまう人です。不動産業界には、売買の仲介、賃貸の仲介、物件の管理、開発など、さまざまな仕事があり、未経験から活躍している人もたくさんいます。けれど、年収の数字だけで選ぶと、選考で志望理由を語れなかったり、入社後に働き方が合わなかったりします。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、不動産業界への転職で失敗する人の特徴と、応募する前に確かめたいことを解説します。

1失敗ストーリー

「年収を上げたいからです」としか言えなかった

去年の夏、31歳のまなぶは、同窓会で同級生たちの活躍を聞いたことをきっかけに、転職サイトに登録して応募を始めました。応募した10社は書類の段階ですべて不採用でしたが、そのころ毎日届いていたスカウトのメールの中に、ある不動産会社の営業職からの「面接確約」のスカウトがありました。そこで目に入ったのは、「未経験から年収1,000万円も可能」「頑張った分だけ評価される」という言葉です。同窓会で、不動産会社で働く同級生が大きな契約を決めた話をしていたことも思い出し、「自分も、ここなら年収を上げられるかもしれない」と、仕事の中身をよく調べないまま面接を申し込みました。

その会社の面接で、まなぶは最初にこう聞かれました。「なぜ、不動産業界なのですか」。まなぶは少し考えてから、「年収を上げたいからです」と答えました。面接官は表情を変えずに続けました。「お客さまの休みに合わせて、土日に働くことが多いですが、大丈夫ですか」「給料のうち、契約の件数で決まる部分がありますが、どう考えていますか」。まなぶは、土日の勤務のことも、給料の仕組みのことも、面接のその場で初めて知ったのです。

面接官は最後に、「お客さまにとって、家は一生に何度もない大きな買い物です。その手伝いをしたい理由を、もう少し聞きたかったですね」と言いました。まなぶは返す言葉がありませんでした。結果は、不採用でした。帰りの電車で、まなぶは自分の答えを思い返しました。年収の話ばかりで、お客さまのことも、不動産という仕事のことも、何一つ話していなかったのです。準備していたのは、前の会社での営業の数字だけでした。

あとから調べてみると、不動産業界の仕事は、会社や部門によって、給料の仕組みも休みの取り方もまったく違いました。求人広告の一番大きな数字だけを見て、自分に合う仕事かどうかを確かめていなかった。年収を上げたいという気持ちそのものが悪いのではなく、それしか理由がなかったことが問題でした。まなぶは、去年の夏のいくつもの失敗の中でも、この面接のことを特によく覚えています。

2原因分析

不動産業界への転職で失敗する人の特徴5選

1

求人広告の「最高年収」だけを見ている

「年収1,000万円も可能」という言葉は、うそではなくても、多くの人がその金額に届くという意味ではありません。求人広告の一番大きな数字は、一部の人の例であることが少なくありません。入社1年目の人の平均的な年収や、基本給と成果で決まる部分の割合を、面接や転職エージェントを通して確かめておきましょう。広告の数字ではなく、自分が1年目に受け取れそうな金額で比べることが大切です。

2

給料の仕組みを確かめていない

不動産の営業職では、基本給に加えて、契約の件数や金額に応じた手当が出る会社が多くあります。成果を出せば大きく稼げる一方で、契約が取れない月は、収入が大きく下がることもあります。基本給がいくらなのか、成果の手当はどう計算されるのか、収入が安定するまでにどれくらいかかるのかを確かめておきましょう。生活費をまかなえるだけの基本給があるかどうかも、大切な判断材料です。成果の手当の計算方法は会社ごとに違うため、複数の会社を比べてみると違いがよく分かります。

3

休みの取り方と働く時間を想像していない

住まいを探すお客さまは、平日に仕事をしている人が多いため、不動産の営業や仲介の仕事では、土日や祝日に働くことが多くなります。お客さまの都合に合わせて、夕方以降に案内や打ち合わせが入ることもあります。休みが平日になると、家族や友人と予定を合わせにくくなることも、事前に考えておきたい点です。物件の管理や開発の仕事など、土日に休める仕事もあるため、部門ごとの違いも調べてみましょう。自分の暮らし方と合うかどうかを、入社前に考えておくことが大切です。

4

不動産の仕事の種類を知らない

不動産業界には、家やマンションの売買を仲介する仕事、賃貸の部屋を紹介する仕事、建物を管理する仕事、土地を仕入れて開発する仕事などがあります。同じ不動産業界でも、仕事の種類によって、求められる力も働き方も大きく違います。営業として成果を追いたいのか、長くお客さまの暮らしを支えたいのか。自分がどの仕事に向いているのかを考えてから、応募先を選びましょう。

5

「なぜ不動産なのか」を自分の言葉で語れない

不動産の売買は、お客さまにとって人生で何度もない大きな決断です。そのため、面接では「なぜこの仕事をしたいのか」を深く聞かれることがよくあります。「年収を上げたい」だけでは、お客さまの大きな決断を任せられる人だとは思ってもらえません。今までの仕事で、お客さまの決断を支えた経験や、住まいに関わる仕事に興味を持ったきっかけを、自分の言葉で書き出しておきましょう。小さな経験でもかまいません。宅地建物取引士の資格の勉強を始めておくと、本気で目指していることも伝わりやすくなります。

3図解

不動産業界への転職で失敗する人と、納得して挑戦できる人の違い

⚠ 不動産業界への転職で失敗する人のパターン
求人広告の「年収1,000万円も可能」という言葉にひかれる
↓
給料の仕組みや休みの取り方を確かめずに応募する
↓
面接で「年収を上げたいから」としか言えない
↓
選考に通らないか、入社しても働き方が合わずに苦しむ
◎ 不動産業界に納得して挑戦できる人のパターン
1年目に受け取れそうな年収と、給料の仕組みを確かめる
↓
仕事の種類ごとの働き方を調べ、自分に合う仕事を選ぶ
↓
「なぜ不動産なのか」を、自分の経験とつなげて語る
↓
働き方も収入も納得したうえで、新しい業界に挑戦できる
4解決策

不動産業界に応募する前のチェックリスト

不動産業界は、未経験からでも挑戦できる業界です。応募する前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 入社1年目の人の平均的な年収を確かめた
  • 基本給と、成果で決まる手当の割合を確かめた
  • 休みの曜日と、夕方以降の仕事の入り方を確かめた
  • 売買・賃貸・管理・開発など、仕事の種類の違いを調べた
  • 「なぜ不動産なのか」を、自分の経験とつなげて書き出した
  • 実際に働いた人の声で、働き方の実態を確かめた

まなぶは今、求人広告を見るとき、一番大きな数字ではなく、仕事内容と給料の仕組みの欄から読むようにしています。業界を選ぶ理由は、「稼げそうだから」ではなく、「この仕事で誰の役に立ちたいか」から考える。去年の夏の不動産会社の面接は、まなぶにとって、苦いけれど大切な学びになりました。

※不動産会社の給料の仕組みや休みの取り方は、会社や部門によって大きく異なります。気になる点は、面接や転職エージェントを通して、応募する会社ごとに確かめましょう。
5おすすめサービス

不動産業界の働き方を、応募の前に確かめるために

不動産業界への転職では、求人広告だけでは分からない給料の仕組みや働き方を、応募の前に確かめておくことが大切です。

A
幅広い業界を見たい人向け

転職成功実績1万【リクルートエージェント】

求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプ。不動産業界の中でも、売買・賃貸・管理など仕事の種類ごとの求人を比べられ、給料の仕組みや休みの取り方も、担当者を通して確かめられます。

詳細を見てみる

B
社風や雰囲気まで調べたい人向け

企業口コミ・評判サービス【エン カイシャ】

実際に働いた人の声から、事業内容や社風、働き方の実態を確認できるタイプです。求人広告の年収の数字だけでは分からない、成果の手当の実際や、休みの取りやすさを確かめる材料になります。

口コミを見てみる

まなぶまなぶ
「年収1,000万円も可能」というスカウトにひかれて面接を受けたら、面接で「年収を上げたいからです」としか言えませんでした…。
みらいみらい
不動産業界は、仕事の種類によって給料の仕組みも働き方も違います。1年目の年収と働き方を確かめて、「なぜ不動産なのか」を自分の言葉で語れるようにしましょう。
まなぶまなぶ
一番大きな数字じゃなく、仕事の中身から読むんですね。

不動産業界への転職で失敗する原因は、求人広告の年収の数字だけを見て、給料の仕組みや働き方、仕事の種類を確かめず、「なぜ不動産なのか」を語れないまま選考に進んでしまうことです。1年目の年収と給料の仕組みを確かめ、働き方と仕事の種類を調べ、自分の経験とつなげて志望理由を語る。それだけで、不動産業界への挑戦は納得できるものになります。業界や職種を変える転職で失敗しないための考え方は、公務員から民間転職の失敗から学ぶでまとめています。

業界・職種を変える転職については、人事職への転職で後悔する理由や成長業界への転職で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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