時短勤務で後悔する理由
時短勤務で後悔する人の多くは、「勤務時間が短くなるのだから、仕事も自然と減るはず」と考えて、何を手放し、何を続けるのかを、上司やチームと話し合わないまま始めてしまう人です。働く時間だけが短くなり、仕事の量はそのままだと、家に仕事を持ち帰ったり、毎日時間に追われたりして、かえって苦しくなります。時短勤務は「時間を減らす制度」であると同時に、「仕事の分け方を決め直すきっかけ」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、時短勤務で後悔する理由と、始める前に話し合っておきたいことを解説します。
時間は短くなったのに、仕事の量はそのままだったAさんの話
まなぶが住むマンションの1階には、小さなパン屋さんがあります。土曜日の朝、そのイートインで、同じマンションに住むAさん(30代女性)と隣の席になりました。Aさんは、旅行会社の法人営業の部署で、企業の社員旅行や研修旅行の手配をしています。子どもが2歳になったこの春、職場に戻り、時短勤務で働き始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)
Aさんの勤務時間は、9時から16時まで。これまでより1日2時間短くなります。上司に時短勤務を申し出たとき、「分かった、無理しないでね」と言われ、Aさんはほっとしました。復帰の前に、上司と話したのは、勤務時間とお迎えの時間のことだけでした。けれども、担当する取引先の数も、仕事の中身も、休む前とほとんど変わりませんでした。「時間が短いのだから、そのうち周りが調整してくれるだろう」。Aさんはそう考えて、自分からは何も相談しませんでした。
実際に始まってみると、毎日が時間との勝負でした。昼休みも資料を作り、16時になると、やりかけの仕事を残したまま、保育園のお迎えに走ります。夜、子どもを寝かしつけたあと、こっそりパソコンを開いてメールを返す日が増えていきました。それでも、取引先への返事が遅れることがあり、同僚が代わりに対応してくれたことを、あとから知ることも何度かありました。
ある日、同僚から「Aさんの担当分、どこまで私が見ればいいのか分からなくて」と言われ、Aさんはハッとしました。誰が何をどこまで受け持つのかを、チームで一度も話し合っていなかったのです。「時短にしたのに、家でも仕事をして、同僚にも気をつかわせていた。最初に上司と、仕事の分け方を決めておけばよかった」。Aさんは、カフェオレのカップを両手で包みながら苦笑いしました。
時短勤務で後悔する理由
仕事の量を、時間に合わせて決め直さなかった
働く時間が短くなれば、同じ量の仕事をこなすのは難しくなります。それなのに、仕事の量や担当をそのままにしておくと、足りない時間を家や昼休みで埋めることになります。時短勤務を始める前に、担当している仕事を書き出し、「続けるもの」「誰かに任せるもの」「やめるもの」に分けて上司と話し合うことが大切です。時間に合わせて仕事を決め直すことは、わがままではなく、続けて働くための準備です。
「周りが調整してくれる」と待っていた
上司や同僚は、本人が何に困っているのかを、言われなければ分かりません。「無理しないでね」という言葉も、具体的にどう仕事を分けるかまでは決めてくれません。自分から「この仕事はこう分けたい」と案を出すと、上司も判断しやすくなります。待っているあいだに無理が重なると、本人も周りも疲れてしまいます。案を出すときは、「この取引先は同僚と2人で受け持ちたい」「この資料づくりは続けたい」のように、具体的に書き出しておくと話が早く進みます。
チームでの受け持ちを、話し合っていなかった
時短勤務では、急な対応や、16時以降の連絡を、誰かに任せることが出てきます。誰が何をどこまで見るのかが決まっていないと、同僚は気をつかいながら手を出し、本人は申し訳なさを抱えることになります。「16時以降の取引先からの連絡は誰が受けるか」「急な変更があったときはどうするか」を、チームで決めておくと、お互いに気持ちよく働けます。決めた内容は、チームのチャットなどに残しておくと、あとから入った人にも伝わります。
制度の中身を、確かめていなかった
法律では、3歳未満の子どもを育てる人は、原則として1日6時間の短時間勤務を選べることになっています。そのほかにも、在宅勤務や時差出勤など、会社によって使える制度はさまざまです。時短勤務だけでなく、ほかに組み合わせられる働き方がないかを、人事担当に確かめてみると、選べる道が広がります。制度の内容や対象の期間は会社の規程で決まっているため、必ず確認しておきましょう。
評価やキャリアへの影響を、聞いていなかった
時短勤務をすると、評価のされ方や、任される仕事が変わることがあります。そのことを知らないまま働いていると、「評価が下がったのでは」と不安になったり、やりたい仕事から遠ざかったと感じたりします。時短勤務のあいだの目標の立て方や、評価の基準を、上司と一度話しておきましょう。「今は時間が限られるけれど、この仕事は続けたい」と伝えておくことも大切です。
時間だけ短くする人と、仕事の分け方まで決め直す人の違い
時短勤務で後悔しないためのチェックリスト
時短勤務を始める前と、始めたあとに、次の項目を確かめてみてください。働く時間が変わるときこそ、仕事のしかたを見直す良い機会です。
- 担当している仕事を、すべて書き出した
- 仕事を「続ける」「任せる」「やめる」に分けた案を作った
- その案をもとに、上司と仕事の量を話し合った
- 勤務時間外の連絡や急な対応を、誰が受け持つかチームで決めた
- 時短勤務のほかに組み合わせられる制度がないか、人事担当に確かめた
- 時短勤務のあいだの目標と評価の基準を、上司と確認した
- 家に仕事を持ち帰る日が続いたら、すぐに相談すると決めた
Aさんは、同僚の言葉をきっかけに、上司との面談で担当の取引先を見直してもらいました。大きな手配を担当する取引先は同僚と2人で受け持ち、16時以降の連絡は同僚が受ける代わりに、Aさんは午前中の見積もりづくりを多めに引き受けることになりました。週に1日は在宅勤務を組み合わせ、通勤の時間を仕事にあてられるようにもなりました。「仕事を手放すのが怖かったけれど、分け方を決めたら、かえって自分の仕事に集中できるようになった」。Aさんは、パンの袋を手に、少し晴れやかな顔で話していました。
仕事の失敗を減らすために
限られた時間で働くには、やることを見える化して優先順位をつけることと、チームの仕事の分け方を整えることが役立ちます。
タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】
仕事のやることと期限を一覧にして、優先順位をつけやすくするタイプです。勤務時間内に終える仕事と、誰かに任せる仕事を分けて書いておけば、時間に追われる毎日を整えるきっかけになります。
業務プロセス整理・DX相談サービス【Chatwork DX相談窓口】
チームの仕事の流れや情報共有のしかたを整理することから支援してくれるタイプです。時短勤務や在宅勤務の人がいるチームで、引き継ぎや連絡の受け持ちを決める仕組みを考えるきっかけになります。
まなぶ
みらい
まなぶ時短勤務で後悔する原因は、勤務時間だけを短くして、仕事の量やチームでの受け持ちを決め直さず、「周りが調整してくれる」と待ってしまうことです。仕事を書き出して分け方の案をつくり、上司やチームと受け持ちを決め、使える制度も確かめる。それだけで、限られた時間でも安心して働き続けられます。働き方で失敗しないための考え方は、働き方の失敗から学ぶでまとめています。
働き方については、リモートワークで失敗する人の特徴5選や有給休暇の取り方で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

