結論

学び直しを仕事に生かせず失敗する人の多くは、「スキルさえ身につければ、仕事は自然と変わる」と考えて、学んだことを使ってよいか、どの仕事で試すかを職場と話さないまま、一人で学び終えてしまう人です。仕事のやり方は、自分一人では変えられないことが多く、上司やまわりの人の理解が必要です。学ぶことと、職場で使えるようにすることは、別の準備がいります。学び直しは「身につけたら終わり」ではなく、「職場で使える形にするところまで」が学びです。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、学び直しを仕事に生かせず失敗した原因と、学びを職場で使うための進め方を解説します。

1失敗ストーリー

自動化を学んだのに、職場で使えなかったAさんの話

町内会の清掃活動の公園で、落ち葉を集めながらAさんから学び直しを仕事に生かせなかった話を聞くまなぶのイラスト

日曜日の朝、まなぶは、町内会の清掃活動に参加していました。公園の落ち葉を集めていると、隣で一緒にほうきを動かしていたのが、同じ町内に住むAさん(40代女性)でした。Aさんは、建築の資材を扱う会社で、経理の仕事をしています。休憩のとき、まなぶが勉強の話をすると、Aさんは「私、学び直しで、ちょっと空回りしちゃったことがあって」と話し始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

Aさんの職場では、毎月の締めの時期になると、取引先からの請求書の数字を、表計算ソフトに手で打ちこむ作業に、何日もかかっていました。「これを自動にできれば、みんなが楽になる」。そう考えたAさんは、去年の春から、表計算ソフトの作業を自動にする方法を学べる講座に、自分のお金で通い始めました。仕事のあとの夜と週末を使い、半年かけて、自動で表を作る仕組みを作れるようになりました。

秋になり、Aさんは、自分で作った仕組みを会社のパソコンで使おうとしました。ところが、情報システムの担当から、「会社のパソコンでは、決められたもの以外の仕組みは使えない決まりになっている」と言われました。上司に相談すると、「急に言われても、経理のやり方を変えるには、ほかの部署との調整もいるから」と、話は止まってしまいました。Aさんは、作った仕組みを見せる機会もないまま、会議室を出ることになりました。何を学ぶかは決めていたのに、職場で使えるかどうかを、学ぶ前に誰とも話していなかったのです。

結局、その年の締めの作業は、これまでどおり手で打ちこむことになりました。「半年がんばったのに、職場では一度も使えなかったの」。Aさんは、集めた落ち葉の袋の口をしばりながら、そう話してくれました。学んだ中身は、とても役に立つものだったからこそ、余計にくやしかったといいます。

2原因分析

学び直しを仕事に生かせず失敗した原因

1

学ぶ前に、職場のルールを確かめていなかった

会社には、使ってよい道具やソフト、情報の扱い方など、さまざまなルールがあります。学んだことがそのルールに合わないと、どれだけ役に立つ方法でも、職場では使えません。学び始める前に、学んだことを職場で使えるかどうかを、情報システムの担当や上司に確かめておくことが大切です。使える道具が決まっているなら、その道具でできる方法を学ぶほうが、すぐに仕事で使えます。

2

上司と、学ぶ目的を共有していなかった

仕事のやり方を変えるには、上司の理解が欠かせません。上司が知らないところで学び、ある日突然「これを使いたい」と伝えると、上司は判断の材料がなく、慎重になってしまいます。学び始めるときに、「この作業を、こう変えたいので、これを学ぶ」と、上司に一言伝えておくようにしましょう。上司が目的を知っていれば、途中で相談しやすく、必要な調整も前もって進めてもらえることがあります。

3

いきなり、大きく変えようとしていた

学んだことを生かそうとすると、つい、仕事のやり方をまるごと変えたくなります。けれども、大きな変更ほど、まわりの人や部署との調整が増え、なかなか前に進みません。まずは、自分の担当の作業の一部だけで小さく試し、結果を数字で示すことから始めましょう。「この作業が、毎月3時間から30分になった」と示せれば、上司も、ほかの作業に広げることを考えやすくなります。小さな成功が、大きな変更への近道です。

4

一緒に使う人のことを、考えていなかった

自分だけが分かる仕組みは、自分が休んだり、異動したりしたときに、誰も使えなくなってしまいます。職場がそれを心配して、使うことをためらうこともあります。仕組みを作るときは、ほかの人も使えるように、手順を短くまとめ、一緒に使う人に一度見せておくようにしましょう。同僚が「これなら私も使える」と思えれば、職場に広がりやすくなります。学んだことを、自分の仕事から、みんなの仕事に変えていく視点が大切です。

5

使えないと分かったところで、あきらめていた

一度「使えない」と言われると、それまでの学びが無駄になったように感じて、そこで止まってしまいがちです。けれども、学んだ考え方そのものは、別の形で生かせることがよくあります。たとえば、会社で認められている道具の中で、同じような自動化ができる機能を探したり、作業の手順を見直す提案に使ったりすることができます。「何がだめで、どうすれば使えるのか」を、情報システムの担当に聞いてみましょう。学びを生かす道は、一つとは限りません。

3図解

一人で学び終える人と、職場で使えるようにする人の違い

⚠ 学び直しを仕事に生かせず失敗する人のパターン
職場のルールを確かめず、一人で学び始める
↓
上司に話さないまま、仕事をまるごと変える仕組みを作る
↓
「使えない」と言われ、そこであきらめる
↓
学んだことが、職場で一度も使われないまま終わる
◎ 学び直しを仕事に生かせる人のパターン
学ぶ前に、職場で使えるかを担当や上司に確かめる
↓
目的を上司と共有し、自分の作業の一部で小さく試す
↓
結果を数字で示し、ほかの人も使える形にして広げる
↓
学んだことが職場に根づき、仕事が少しずつ変わっていく
4解決策

学び直しを仕事に生かすためのチェックリスト

仕事に生かしたいことを学ぶ前と、学んだことを使い始めるときに、次の項目を確かめてみてください。学ぶ前の小さな確認が、学びを職場に届ける近道です。すでに学び終えている人も、今から職場の人と話せば、生かす道は見つかります。

  • 学んだことを職場で使えるか、担当や上司に確かめた
  • 会社で使ってよい道具の中で、できる方法を調べた
  • 何を変えたくて学ぶのかを、上司に伝えた
  • まずは自分の作業の一部で、小さく試すと決めた
  • 試した結果を、時間や回数などの数字で示せるようにした
  • ほかの人も使えるように、手順を短くまとめた

Aさんは、その冬、情報システムの担当に、どうすれば使えるのかを聞きに行きました。すると、会社で認められている表計算ソフトの機能だけでも、学んだことの多くは、形を変えて使えると分かりました。Aさんは、まず自分の担当の取引先の分だけで試し、毎月3時間かかっていた作業を40分にしました。その結果を上司に見せ、手順を1枚の紙にまとめて同僚にも説明したところ、今年の春からは、チームの全員が同じやり方を使っているそうです。「学ぶ前に、職場の人と話しておけば、半年も遠回りしなかったのよね」。Aさんは、ほうきを片づけながら、そう言って笑っていました。

5おすすめサービス

資格と学び直しで後悔しないために

仕事に生かす学び直しは、今の職場で使う道具や作業に合った中身を、基礎から確かめて学ぶことが大切です。職場で生かす道が見つからないときは、学んだことを生かせる働き方を知っておくのも一つの方法です。

A
基礎から学びたい人向け

資格と仕事に強い!個人レッスンのプログラミングスクール【Winスクール】

パソコンやITの講座を、個人レッスンの形で学べるスクールです。職場で使っているソフトや、変えたい作業を伝えて、仕事ですぐに使える中身を相談しながら学べます。

講座を見てみる

B
仕事選びの価値観を重視したい人向け

転職・求人情報ならリクルートの転職サイト【リクナビNEXT】

求人を探せるほか、自分の価値観や向いている仕事を確かめられる診断もある転職サイトです。学んだことを生かせる職場や働き方がほかにあるかを、まずは知っておくだけでも、今の職場での進め方を考える材料になります。

適職診断してみる

まなぶまなぶ
半年かけて学んだのに、職場では一度も使えなかったなんて…。
みらいみらい
学び直しは、身につけたら終わりではなく、職場で使える形にするところまでが学びです。学ぶ前に、職場で使えるかを確かめ、上司と目的を共有しましょう。まずは自分の作業の一部で、小さく試すことが大切です。
まなぶまなぶ
学ぶ前に、職場の人と話しておくんですね。

学び直しを仕事に生かせず失敗する原因は、スキルさえ身につければ仕事は変わると考えて、職場のルールや上司の理解を確かめないまま、一人で学び終えてしまうことです。使えるかを確かめ、目的を共有し、小さく試し、数字で示し、ほかの人も使える形にする。それだけで、学び直しは職場に根づいていきます。社会人の学び直しで失敗しないための考え方は、社会人の学び直し・リスキリングの失敗から学ぶでまとめています。

社会人の学び直し・リスキリングについては、社会人の学び直しで失敗する人の特徴5選や学び直しの費用で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

ABOUT ME
アバター
みらい
みんなの失敗談を共有して、たくさんの学びや共感をお届けするメディア「https://SHIPPAI.JP」を運営しています