会社のリスキリング制度で学んで後悔する理由
会社のリスキリング制度で学んで後悔する人の多くは、「会社がお金を出してくれるなら」と、仕事とのつながりを考えずに、おもしろそうな講座を選び、修了したところで満足して、学んだことを仕事で使わないまま終わってしまう人です。会社の制度は、費用の心配が少なく、勤務時間の中で学べることもある、恵まれた機会です。けれども、使い道を考えずに学ぶと、修了の証明だけが残り、仕事は何も変わりません。会社のリスキリング制度は「無料で学べる機会」ではなく、「仕事を変えるための機会」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、会社のリスキリング制度で学んで後悔する理由と、制度を仕事に生かす使い方を解説します。
修了したのに、何も変わらなかった話
去年の春、まなぶの会社で、社員が学び直しに使える制度が始まりました。会社が契約したオンラインの講座の中から、好きなものを選んで、3か月のあいだ受けられるという仕組みです。説明会のあと、同じチームの同僚たちは、データの集計や、資料作りの効率化など、仕事に関係する講座を選んでいました。
まなぶが選んだのは、Webデザインの基礎の講座でした。一覧の中で、いちばん楽しそうに見えたのです。「会社がお金を出してくれるんだから、普段は学べないことを学ぼう」。上司には、講座を選んだことを、システムの画面で知らせただけでした。講座は楽しく、まなぶは、週に2回の動画と課題を、3か月で最後まで終えました。画面に「修了」の文字が出たとき、まなぶは、とても満足しました。
ところが、夏の面談で、上司から「学び直しの制度で学んだことは、仕事でどう使っている?」と聞かれ、まなぶは言葉につまりました。何か答えようとしても、思いつくのは「楽しかった」ということだけでした。営業企画の仕事で、Webのデザインを作る場面はほとんどありません。一方で、データの集計を学んだ同僚は、学んだ方法でチームの報告書の作り方を変え、作業の時間を大きく減らしていました。修了することが目的になり、学んだことを仕事でどう使うかを、一度も考えていなかったのです。
面談のあと、まなぶは、修了の証明の画面を見返しました。講座の中身は、今ではほとんど思い出せません。「同じ3か月なら、仕事を変えられる講座を選べばよかった」。まなぶは、席に戻りながら、小さくため息をつきました。楽しかった3か月は、まなぶにとって、仕事とは別の時間になってしまっていたのです。
会社のリスキリング制度で学んで後悔する理由
おもしろそうかどうかだけで、講座を選んでいた
会社の制度で選べる講座には、仕事に直接つながるものから、教養として学べるものまで、さまざまな種類があることがあります。おもしろそうかどうかだけで選ぶと、学ぶことは楽しくても、仕事で使う場面が見つかりません。講座を選ぶ前に、「今の仕事で困っていること」と「これからの仕事でしたいこと」を書き出し、それにつながる講座を選ぶことが大切です。好きなことを学ぶのは、仕事につながる学びが一つ形になってからでも遅くありません。
上司と、学ぶ目的を話していなかった
会社の制度で学ぶときは、上司と目的を話しておくと、学んだことを試す場面を作ってもらいやすくなります。「この講座で学んだことを、どの仕事で、どう使うか」を、申し込む前に上司と5分だけ話すようにしましょう。上司から「それなら、こっちの講座のほうが今の仕事に合う」と助言をもらえることもあります。会社が制度を作るのは、社員の仕事が変わることを期待しているからです。その期待を、先に上司と確かめておきましょう。
修了することが、目的になっていた
講座には、修了という分かりやすいゴールがあります。そのゴールに向かって進むうちに、修了そのものが目的になってしまうことがあります。けれども、修了は学びの始まりにすぎません。講座を選ぶときに、「修了したあと、最初に仕事で試すこと」を一つ決めておくと、修了がゴールではなく、試すためのスタートになります。試すことが決まっていれば、講座を受けるときにも、どこを特にしっかり学べばよいかが分かります。
学んだことを、すぐに試していなかった
学んだことは、使わなければ、すぐに忘れてしまいます。修了から時間がたつほど、仕事で試すきっかけもなくなっていきます。講座で一つ学んだら、その週のうちに、仕事の中で小さく試してみるようにしましょう。最初から大きな成果を出す必要はありません。報告書の一部、会議の資料の1枚、いつもの作業の一つの手順など、小さく試すことで、学んだことが自分のものになっていきます。
学んだ結果を、まわりに伝えていなかった
学んだことを仕事で試しても、それを誰にも伝えなければ、学びの成果は自分の中だけで終わってしまいます。チームの会議で「講座で学んだ方法を、この資料で試してみた」と短く伝えるだけでも、上司や同僚が、学びの成果を知ることができます。ほかの人が同じ講座を受けるときの参考にもなり、チーム全体の仕事が変わるきっかけにもなります。会社の制度で学んだ人には、学んだことをチームに返す役割もあるのです。伝えることで、自分の学びも、もう一度整理できます。
楽しさで選ぶ人と、仕事を変えるために選ぶ人の違い
会社のリスキリング制度を生かすためのチェックリスト
会社の制度で講座を選ぶ前と、受けているあいだに、次の項目を確かめてみてください。同じ時間を使うなら、仕事が変わる学びにしましょう。すでに修了した講座がある人も、今から一つ試すことを決めれば、学びを仕事に戻すことができます。
- 今の仕事で困っていることと、これからしたいことを書き出した
- 書き出したことにつながる講座を選んだ
- 申し込む前に、上司と使い道を5分話した
- 修了したあと、最初に仕事で試すことを一つ決めた
- 一つ学んだら、その週のうちに仕事で小さく試している
- 試した結果を、チームの会議などで伝えている
今年の秋、会社の制度の2回目の募集がありました。まなぶは、申し込む前に、手帳に書いてあった「取引先の数字を読み解いて、企画の根拠を示せるようになる」という目的を見せながら、上司と5分だけ話しました。上司は「それなら、データの見せ方の講座がいいんじゃないか」と言い、まなぶはその講座を選びました。修了したあとに試すことは、「毎月の企画会議の資料に、取引先の数字のグラフを1枚入れる」です。講座で一つ学ぶたびに、その週の資料で小さく試し、チームの会議でも、試したことを短く伝えるようにしました。「楽しい講座より、仕事が変わる講座のほうが、結局は楽しいんだな」。まなぶは、グラフの入った資料を見ながら、そう思いました。
資格と学び直しで後悔しないために
会社の制度で学ぶときも、自分の強みと、これからの仕事でしたいことを整理しておくと、仕事につながる講座を選びやすくなります。
市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】
自分の経験や強みをもとに、市場での価値や、向いている方向を確かめられる診断のサービスです。学び直しの講座を選ぶ前に、自分の強みと、これから伸ばしたいところを知っておくと、仕事につながる講座を選びやすくなります。
資格と仕事に強い!個人レッスンのプログラミングスクール【Winスクール】
パソコンやITの講座を、個人レッスンの形で学べるスクールです。会社の制度にない分野を学びたいときや、仕事で使うために基礎から確かめたいときに、目的を伝えて学ぶ中身を相談できます。
まなぶ
みらい
まなぶ会社のリスキリング制度で学んで後悔する原因は、おもしろそうな講座を選び、上司と目的を話さず、修了したところで満足して、学んだことを仕事で使わないまま終わってしまうことです。仕事につながる講座を選び、上司と使い道を話し、修了後に試すことを決め、学んだらすぐ試し、結果をチームに伝える。それだけで、制度は仕事を変える力になります。社会人の学び直しで失敗しないための考え方は、社会人の学び直し・リスキリングの失敗から学ぶでまとめています。
社会人の学び直し・リスキリングについては、社会人の学び直しで失敗する人の特徴5選や学び直しの費用で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

